「安倍内閣不信任決議案」賛成討論その2
2016年12月16日
第三に、この3年半の安倍政権の経済政策「アベノミクス」の行きづまりと破たんであります。
安倍総理は、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すと宣言し、まず大企業を応援し、大企業がもうけを上げれば、いずれは家計に回ってくると言い続けてきました。しかし、現実は、大企業は3年連続で史上最高の利益をあげましたが、労働者の実質賃金は、3年のうちに、年額で17万5千円も減り、家計消費は実質14カ月連続でマイナスとなっているではありませんか。
このもとで、格差と貧困がいっそう拡大し、社会と経済の危機を深刻にしています。
労働者の平均賃金は、1997年をピークに、年収でなんと55万6千円も減少し、所得階層でみても増加しているのは年収2000万円以上のごく一部の高額所得者などであります。非正規雇用労働者の増大によって低賃金労働者が増えているのであります。
貧困が広がり、子どもの貧困率は16・3%となり「貧困の連鎖」が深刻な社会問題となっています。働きながら生活保護水準以下の収入しかないワーキングプア世帯は、就業世帯の9・7%にも上っているのであります。
ところが安倍内閣は、格差と貧困にいっそうの拍車をかけようとしています。今国会で強行した年金削減にとどまらず、社会保障費の「自然増削減」路線のもと、医療費負担増、介護サービス取り上げ、生活保護切り下げなど、国民生活破壊に次々と手を付けようとしています。
もはや安倍総理に、日本経済のかじ取りをまかせるわけにはいかないのであります。
いま求められているのは、格差と貧困をただすための改革です。そのためには、消費税10%増税をきっぱり断念し、富裕層と大企業への優遇税制をただし、応分の負担を求める、消費税に頼らない別の道へ転換することです。経済政策を財界、大企業応援から国民の暮らし優先へと切りかえるべきです。
軍拡や大型開発中心の予算にメスを入れ、社会保障、教育、子育て支援など、格差と貧困の是正につながる予算を増やすことが必要です。
また、「残業代ゼロ法案」を撤回し、残業時間の法的規制、インターバル規制によって、過労死を生み出す長時間過密労働を解消する、真の「働き方改革」が必要です。
さらに重大なことは、安倍政権が原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、将来にわたって推進することを決め、原発再稼働をすすめていることです。東京電力福島第一原発事故から6年近くが経過しても、なお8万6千人もの人々が避難生活を強いられ、政府がすすめる避難指示解除と賠償の打ち切りが、被害者に新たな苦しみを押しつけており、原発再稼働のために福島を切り捨てる政治に対する深い怒りが広がっています。破たんした原発再稼働路線を中止し、原発ゼロの日本に踏み出すことこそ求められています。
最後に、私が訴えたいのは、安倍政権の暴走政治をどうしてストップするかであります。
昨年、安保法制反対にたちあがった市民の運動は、「主権者は私だ」「野党は共闘」と声をあげ、憲法違反、立憲主義破壊の安倍暴走政治を打倒し、「立憲野党」の連合政権をつくる動きに発展してきました。
これに応え、野党4党は、5月19日の党首会談で、①戦争法・安保法制の廃止、立憲主義の回復、②アベノミクスによる格差と貧困の拡大を是正する、③TPP、沖縄問題などで国民の声に耳を傾けない強権政治を変える、④憲法改悪を許さない――という4点で一致して、参議院選挙において1人区の野党統一候補を実現し、つづいて総選挙での野党共闘を加速化させる協議をすすめています。
いまこそ、立憲主義、民主主義、平和主義を貫く新しい政治、すべての国民の「個人の尊厳」を擁護する新しい政治を切り開くべきであります。そのため、野党と市民の共闘をさらに大きく発展させ、安倍政権を打倒し、自民党政治を終わらせ、野党連合政権をつくることを強く訴えるものであります。
以上、安倍内閣不信任決議に賛成の討論をおわります。