議長不信任案・岸田内閣不信任案、共産党は、高橋・笠井両氏が、賛成討論を行いました

2022年06月10日

 

9日、衆院本会議で、細田博之議長不信任決議案、岸田文雄内閣総理大臣不信任決議案が上程され、日本共産党から、それぞれ高橋千鶴子衆院議員、笠井亮衆院議員が賛成討論を行ないました。

本会議終了後、私は、両不信任決議案に関して、地元メディアの取材を受けました。

私は、細田議長の不信任決議案は否決されたが、細田氏の「セクハラ疑惑」は、何も明らかにされていない、ご本人の説明もない。さらに選挙買収に関わる疑惑の徹底解明はこれからだ。引き続き真相解明は、品位と権威を貶められた国会の責務だと述べました。
岸田内閣の不信任決議案の否決について、「衆院における議員数の力関係で否決されたが、平和と暮らしの問題で信任できないという声を、来るべき参院選で日本共産党の前進の形で審判を下したい。そのために奮闘したい」と語りました。

 

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高橋千鶴子議員の細田博之議長不信任決議案に対する賛成討論は以下の通りです。

私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました細田博之議長不信任決議案に賛成の討論を行います。
憲法第41条「国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関」であります。この国会を代表する衆議院議長は、三権の長として特別な職責を担っているのであり、国民から疑念をもたれるようなことが決してあってはなりません。しかし細田議長の言動にはその自覚のかけらもみられません。

今般、細田議長のセクハラ疑惑について週刊誌報道がありました。複数の女性記者や自民党本部の女性職員などへの取材、証言に基づくものであり、「事実無根」の一言で終わらせるわけにはいきません。国民を代表する立場にある議長がセクハラ疑惑を指摘された時点で、議長の資格がするどく問われているのです。ところが議長は6月3日、立憲民主党、日本共産党などの議員らが説明責任を果たすよう申し入れた際には、「国会が終わったあとに訴訟で明らかにする」と答えるのみでした。
自らにかけられたセクハラ疑惑を晴らすことなしに、その職にとどまることは決して許されません。

2019年のILO総会でハラスメント禁止条約が採択されました。日本も条約に賛成し、批准に向けた対応が迫られる中、日本共産党はハラスメントの禁止を法律に明記するよう修正案を提案しましたが、禁止規定は盛り込まれず、かつ日本政府は批准もしていません。
今年5月、IPU列国議会同盟が提唱する点検手法を用いての「議会のジェンダー配慮への評価に関するアンケート」が全衆議院議員に実施されました。超党派の「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」の中川正春会長が、2月に細田議長と面会し、実施を要請したものです。その中には、「国会には差別や性差別、ハラスメントのない職場を保証する行為規範や方針として明文化されないが、必要だと思うか。」「国会議員を対象としたハラスメント防止方針及びハラスメントや差別の苦情処理の仕組みはないが、もうける必要があるか」などの問いが並んでいます。国際基準に照らしても、日本の国会が大きく立ち遅れいることを認め、国会も変わるときではないでしょうか。

さらに言えば、細田議長は、被害を受けた当事者が名乗りでてくることはないとタカをくくっているのではありませんか。まして記者は取材源を秘匿することが鉄則であり、被害者もしくは事実を知る同僚記者などが名乗り出ることは困難であります。
4年前の財務省事務次官のセクハラ問題もありました。取材を通じてのハラスメントから記者たちを守るため、マスコミ各社ができること、やらなければならないことがあるのではないでしょうか。この際、マスコミ各社の皆さんにも心から呼びかけたいと思います。
加えて、細田議長は小選挙区「10増10減」の見直しを訴えていますが、この法改正の趣旨説明を行い、現行の小選挙区制を温存させた本人が、実施する段になって反対を訴えるとはあまりにも無責任です。
中立・公正でなければならない議長が、特定の法律について賛否を表明し、立法府が決めたことを尊重しないとは、議長の資質にかけるといわざるをえません。
さらには、細田議長の「選挙買収」疑惑も浮上しています。民主主義の根幹である選挙において、カネの力で選挙を捻じ曲げることは、決してあってはならないことです。選挙において府政を働いていたと疑われること自体、国会を代表する議長の任にある者として許されません。ましてや、河井夫妻の大規模買収事件が記憶に新しい中、何の反省もなく、同様の疑惑が指摘されたことは看過できません。事実であればそもそも議員の資格がないと言えるのではないでしょうか。

終わりに、議長は慣例として第一党が推薦した人物を選んできました。細田氏を議長に推薦した自民党が真相究明の立場を投げ捨てていることを厳しく批判し、その責任は免れないことを指摘して、討論を終わります。

 

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笠井亮議員の岸田内閣不信任決議案に対する賛成討論は以下の通りです。

 

 

私は、日本共産党を代表して、岸田内閣不信任決議案に賛成の討論をおこないます。

不信任の第一の理由は、ウクライナ危機に乗じて、「力対力」で対抗する大軍拡をすすめ、平和に逆行する危険な道を突き進もうとしているからであります。
岸田総理は、先の日米首脳会談で「敵基地攻撃能力」の保有検討に言及し、「防衛費の大幅な増額」を約束しました。「力対力」では平和はつくれません。それは東アジアと世界に新たな軍事的緊張と「軍事対軍事」の悪循環、戦争への道にほかなりません。
これまで政府は、「相手に脅威を与える攻撃型兵器は憲法上保有できない」としてきましたが、「敵基地攻撃能力」の保有は、この憲法解釈をひっくり返す無法なものです。歴代政府が曲がりなりにも掲げてきた「専守防衛」の大原則を投げ捨てるものであり、「戦争放棄」を内外に宣言した憲法9条のもとで許されないことは、火を見るより明らかであります。9条改憲は、こうした危険な道をいっそう進めるものであり、断じて認められません。
しかも一昨日、閣議決定した「骨太方針」には、自民党の軍事費GDP2%提言を取り込み、「5年以内に防衛力の抜本的強化」を盛り込んだものであります。軍事費だけを特別扱いして倍増することを経済財政運営の基本方針としたことは、きわめて重大です。こんな大軍拡をやろうとすれば、消費税増税や社会保障削減、もしくは国債の大量発行につながることは必至であります。こんな平和も暮らしも破壊する道を決して進んではなりません。

ロシアのウクライナ侵略は、国連憲章の重大な蹂躙であり、断じて許されません。いま大事なのは、国際世論によるロシアの包囲です。「侵略やめよ」「国連憲章を守れ」の一点で全世界が一致団結して一刻も早く侵略を止めることです。
ところが岸田総理は、「民主主義対専制主義のたたかい」と主張するバイデン大統領に同調して、「価値観を共有するG7主導の秩序」などと、特定の「価値観」で世界を二分する態度をとっています。こんな「力対力」の軍事ブロック的対応では、戦争を拡大し、新たな危険をもたらすことを厳しく警告しなければなりません。
政府の役割は、紛争を絶対に戦争にしないことです。憲法9条を生かして、戦争を起こさないための外交に知恵と力を尽くすことです。東アジアのすべての国を包み込む包摂的な枠組みをつくり、「対抗ではなく対話と協力の地域」にすることです。その役割を果たさず、外交戦略も持たず、軍事一辺倒にのめりこんでいるのが岸田政権にほかなりません。

さらに重大なのは、沖縄の本土復帰50年のいま、県民の民意を踏みにじって辺野古に新たな巨大米軍基地の建設を強行していることです。在日米軍の横暴がエスカレートし、沖縄はもちろん、全国各地でもオスプレイなど米軍機による低空飛行訓練やパラシュート降下訓練も被害が激増しています。ところが岸田政権は、この無法に抗議一つしようとせず、日米地位協定の改定を拒み続ける主権国家とはいえない異常な態度は許せません。
総理が、「核兵器廃絶をめざす」といいながら、いまだに米国の「核の傘」にしがみつき、第1回締約国会議が今月に開かれる核兵器禁止条約に背を向けていることです。締約国61カ国以外にも、NATO加盟国を含め20カ国以上がオブザーバー参加するのに、広島・長崎の惨禍を体験した唯一の戦争被爆国として、核兵器廃絶の先頭に立たない岸田内閣を到底、信任などできません。

不信任の第二の理由は、現下の物価高騰に無為無策で、国民のくらしをかえりみない冷たい政治をすすめているからです。

 

 

今年4月の消費者物価は2・5%の上昇で、水光熱費や食料品などの生活必需品は、4・8%とさらに値上がりしています。なにもかも値上げラッシュは、家計を直撃し、中小企業、個人事業主、農林漁業者の経営を脅かしています。
いま政治がなすべきは、物価を引き下げ、賃金を上げることです。そのためには我が党は、消費税5%に緊急減税、大企業の内部留保を賃上げに、中小企業支援とセットで最低賃金1500円に、経済力にふさわしく社会保障と教育を拡充し、学費の半額と給食費無償化に、などを提案しましたが、総理には、まったく「聞く耳」「聞く力」がありません。
それどころか、また6月から年金を削減されました。どこが「100年安心」か。10月から75歳以上の医療費窓口負担を2倍化しようとしています。こんな冷たい政治など断じて認めるわけにはいきません。

国民生活を苦しめている元凶は、「アベノミクス」と弱肉強食の新自由主義にあります。総理は、「新しい資本主義」「新自由主義の弊害を乗り越える」などと息巻いていましたが、何のことはない。一昨日、閣議決定した「新しい資本主義実行計画」には、反省もなく「アベノミクス」の3本の矢の「堅持」を明記したのであります。「所得倍増」も「資産所得倍増」にすり替わりました。貯蓄や投資にまわすお金のない庶民には、まったく無縁です。これでは賃金は上がらず、大資産家だけが富を増やすだけです。
いまこそ新自由主義を終わらせて「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」に転換し、財界・大企業の目先の利益拡大を最優先にする政治を根本的に転換するときです。この内閣をこれ以上、存続させるわけにはいきません。

米価暴落を放置し、麦や大豆、牧草などへの転作に不可欠な水田活用交付金を削減した岸田内閣の責任は重大です。日本の食料自給率は、37%と先進国でも異常な水準にまで下がっています。ひたすら食料輸入を拡大し、社会・経済の基盤である食料自給率を大幅に引き下げ、地方を疲弊させた「亡国の農政」を抜本的に転換しなければなりません。

岸田内閣が、待ったなしと世界が真剣にとりくんでいる気候危機打開に逆行し、石炭火力と原発に固執し続けていることも決して看過できません。「骨太方針」は、「原発の最大限活用」までぶち上げたのであります。東京電力・福島第1原発事故から11年、被害者を置きざりに、あの事故がなかったかのような政策を強行することは断じて許せません。
純国産の再生可能エネルギーを大いに普及し、省エネと一体にエネルギー自給率の向上をはかることこそ、気候危機を打開し、日本経済を成長させる道であります。

以上、平和の問題でも、くらし経済などあらゆる問題でも、もはや、この内閣に国政を担う資格はありません。
目前の参議院選挙で、岸田内閣に厳しい審判を下し、国民が安心して希望をもって暮らせる政治への転換をはかるため全力を尽くす決意を表明して、賛成討論といたします。