予算委基本的質疑①。「敵基地攻撃能力」について、岸田総理をただす。

2022年01月28日

 

報告です。26日に開かれた衆院予算委員会の基本的質疑に立ち、敵基地攻撃能力について、岸田総理にただしました。

 

 

私は、安倍晋三元総理が、昨年11月20日に開かれた「日本協議会・日本青年協議会結成50周年記念大会で行った記念講演の箇所(写真下。資料1参照を)を示し、「敵基地だけに限定せず、『抑止力』として攻撃力を持つということです」と述べている、米国の場合は、ミサイル防衛によって米国本土は守るけれども、一方で、反撃能力によって相手を殲滅します。この後者こそが抑止力なのです」と、「打撃力とは相手を殲滅する能力だ」と説明していることを紹介

 

 

岸田総理は、「安倍元総理の発言についてのコメントは控える」と述べ、「相手国を殲滅する全面戦争を行う、それができる軍事力をもてという引用された部分があるが、そういうことは全く考えていない」と答弁。

私は、質問に対して答えていないことを指摘。

 

 

さらに、岸田総理が昨年3月、自らのツイッターに掲載した一部を提示(写真下。資料2参照を)して、「相手領地内でのミサイル阻止能力、すなわち、敵のミサイル発射能力そのものを直接打撃し、減衰させることができる能力を保有することが必要です」と主張していると指摘し、「安倍元総理が主張する打撃力の議論と何が違うのか」と追及。

岸田総理は、「あらゆる選択肢を排除せずに、議論していく」と答弁するだけでした。

 

 

岸田氏は「提言」で、「我が国が講じるミサイル抑止策は、弾道ミサイル防衛システムによる迎撃体制のみです。常時持続的なミサイル防衛を実現するため、昨年12月、イージス・システム搭載艦2隻の整備が閣議決定されました。しかし、変則軌道のミサイルや飽和攻撃への対応には不十分です」と強調。

この点でも、安倍元総理の認識とまったく同じだ。

安倍元総理は、「ミサイル防衛能力をずっと追求し続けることには限界があります」と述べ、「(日本が)打撃力を持たなければ、私は日米同盟は成り立たないと思っています」と強調している。つまり“相手国を殲滅するために出撃する米軍への協力に日本の打撃力が不可欠だ”というのだ。

このような議論は、「戦争放棄」をうたった憲法とは絶対に相いれないと厳しく指摘。

 

 

続いて、安保法制の下での敵基地攻撃能力の保有について追及しました。

1月24日の本委員会で、総理は、敵基地攻撃能力に関連し、「安倍政権時代に平和安全法制の議論を行い」、「新しい武力行使の三要件を確認した」。「我が国の武力行使については、その原則に基づいて対応すべきものである」と説明された。「武力行使の新三要件」を満たせば、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うということか。

日本に対する直接の攻撃がない場合であっても、安保法制による集団的自衛権の行使として、敵基地攻撃を行うことがあるのかないのか、はっきりとした答弁を求めました。

これについても、「あらゆる選択肢については、憲法の考え方、国際法、そして日米の役割分担、従来からのルールに基づいて議論していく」との一般論で答弁に終始しました。

 

 

安倍前総理は、「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事だ」と発言し、昨年12月13日の報道番組では、「台湾有事」に関連し、「米国の艦艇に攻撃があれば、集団的自衛権の行使もできる存立危機事態となる可能性がある」と述べている。
つまり、安保法制の下で、日本が敵基地攻撃能力を持てば、日本に対する攻撃がないのに、「米国を守るため」として、自衛隊が米軍と共に他国の領域にまで攻め込んで攻撃できるようになるではないかと追及。

岸田総理は、具体的な議論をこれから始める、今の時点で申し上げることはできないと答弁を避けました。

私は、安保法制の下で、日本が敵基地攻撃能力を持てば、集団的自衛権の行使として、日本が攻撃を受けていないのに、「米国を守るため」として、他国を攻撃することが可能になる。これは「日本を守る」どころか、むしろ相手の反撃を呼び起こし、日本に戦火を呼び込むことになる。わが党が安保法制を「憲法違反の戦争法だ」と厳しく批判してきたのは、このためだと強調しました。

 

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資料1

 

 

資料2