13日、外務委員会。在日米軍での感染拡大懸念あるのに、米軍はチャーター機などで自由に飛来

2020年05月18日

 

報告です。13日に開かれた外務委員会で「在日米軍基地での新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う問題について」質問。

 

委員会全体

 

まず、米国防総省によれば、米軍関係者の5月8日時点の感染総数は1万1000名に達し、集団行動を取る軍隊の特性から、感染増加に歯止めがかからない状況だという。
佐世保基地や横田基地などでも米軍関係者の感染が相次いで確認されており、横須賀基地でも、「30名」近くの感染者が出ているという。もはや、在日米軍内でも感染が拡大していることは疑いのない状況だ。
――コロナ対策を進める上で「在日米軍」への対応は重要な意味を持つ――
「政府は、4月3日以降、『水際対策』として、米国全土からの外国人の入国を拒否する措置を講じているが、在日米軍の施設・区域からの入国する米軍関係者も含まれるのか」と、茂木敏充外務大臣に問いただした。

茂木大臣は、何と「対象とはなり得ない」と答弁(写真下)するではありませんか。
私が、「日米地協定の第9条2項では『合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される』と定めており、これに則って除外されているのだな」と確かめると、「その通り」と認めるではありませんか。

 

茂木大臣

 

日米地位協定によって対象外になっていることを初めて認めました。
私は、さらに、在日米軍の公式ホームページでは、日本政府は、特定の国からの渡航者を禁止しているが、SOFA(ソーファ=日米地位協定)関係者の日本への入国は許可している」と書かれていることなどを示しました。

これでは「水際対策の強化」をいったところで、米軍関係者の入国を許しているのでは、玄関を閉めて裏口を開けているようなものだ」と厳しく指摘しました。

二つ目に重要なのは、米軍関係者の移動制限には、多くの「例外」措置があることです。そればかりではなく、米国からの直行便のチャーター機で、在日米軍基地に入国している実態があること。

 

こくたさん1

 

私は、米航空機動軍団(AMC)が公表した運航計画などをもとに、直行便のチャーター機の飛来状況について調べてみた。米国から、三沢基地、横田基地、横田基地を経由して岩国基地と嘉手納基地に、3月13日から昨日までに計86回にのぼっていることを明らかにした。

米国から在日米軍基地へのチャーター機の飛来状況

さらに、在日米軍司令部の公式ホームページで、この直行便方式を「移動制限が課せられた中でも最終目的地まで途切れることなく渡航できる」と推奨していることを指摘し、「これでは在日米軍内での感染拡大から、国民を守ることなどできないではないか」と質問。

 

鈴木北米局長

 

外務省の鈴木量博北米局長(写真上)は、各基地にチャーター機が飛来していることを含め「米軍が必要な運用上の活動をしている承知している」と認めました。
直行便で自由に出入りができる実態を認めたことも極めて重大です。これでは裏口から出入り自由というだけでなく、「庭先からもどうぞお入りください」となるではないかと思わず言いたくなりました。

三つめに重要なのは、米軍内での感染への検疫体制の問題です。

私は「在日米軍が、米軍の施設・区域から入国する米軍関係者に対して、どんな検疫を行っているのか。これまでにどの程度の検疫を実施しているのか。詳細は把握しているのか」「米側は、日本の検疫に基づいて同様の措置を取っているというが実態はどうなのか」と質問。

 

こくたさん2

 

渡辺孝一・防衛大臣政務官は、具体的な検疫方法や検査件数については「報告は受けていない」と答弁し、「所管省庁に聞いてくれ」と答弁するあり様(写真下)。

 

さすがに私も「事前の質問通告で、『米軍の施設・区域ごとの検疫の実数や割合など、防衛省として把握している内容』と詳しく要求しているではないか」と述べ、政務官の無責任ぶりを批判しました。
再度答弁にたった政務官は「米側が連携していると承知しており問題はない」と強弁するしかありませんでした。

 

渡辺防衛政務官

 

私は「地位協定によって米軍関係者の入国を拒否できず、軍用機やチャーター機などでの入国を容認する、さらに米側がどれだけの検疫を行っているのか、米側の移動制限に違反する事案があることも知らないということだ」と指摘。
「これでは、在日米軍内で広がる新型コロナの感染から、日本人従業員や周辺住民をはじめ、国民の命と安全を守ることなど到底できない。住民の命を本気なって心配する、守るという態度が欠けている」と指摘し、質問を終わりました。

 

質疑は、衆議院ライブラリーから視聴ができます。

 

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写真下は、 「パトリオット・エクスプレス」と呼ばれる直行便の資料。シアトルからの航路が示されている。

 

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写真下は、同じくパトリオット・エクスプレスの3月の運航表。

 
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写真下は、在日米海軍司令部/ 日本管区司令部、司令官からのメッセージ

 

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