5日の外務委。イスラエルとの経済連携協定を質す。3つの経済条約の締結に反対を表明。

2024年04月8日

報告です。4月5日、衆院外務委員会で、「イスラエルとの経済連携協定(EPA)締結」を巡り、上川陽子外務大臣を質しました。


日・アンゴラ投資協定、日・ギリシャ租税条約、日・EU経済連携協定改正議定書の3つの締結条約には、反対の態度を表明しました。
(反対討論は下段に)

 

私はまず、イスラエルの入植活動についての認識を、上川大臣に質しました。
上川さんは「入植活動は国際法違反だ」と表明しました。

イスラエルは、国際人道法に違反するガザへの無差別攻撃に加え、昨年(2023年)10月以降、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区への入植活動を強化しているのです。
国連では、昨年2月の国連安保理で「イスラエルの入植活動の継続がパレスチナ国家の樹立を認める『2国家解決』の実現可能性を危険なほど脅かしている」との議長声明を全会一致で採択しています。

私は、国連安保理の議長声明で、イスラエルの入植活動の拡大に「深い懸念と失望」を表明している。そのイスラエルと日本政府は、新たに「経済連携協定=  EPA」を結ぼうとしている。イスラエルが、国際法違反の入植活動を強化しているもとで、EPAを締結すれば「国際法違反を追認することになる」と批判しました。

続いて、イスラエルと日本のEPA締結に向け、2022年に発足した両国の共同研究にイスラエルの軍需関連企業などが参加しているかをただしました。

上川さんは「詳細は公表していない」と答弁を拒否。

私は、もともと経団連が2016年に、「戦略的なインフラ・システムの海外展開に向けて」という提言で、「イスラエルは、軍民転用技術が豊富」と注目していたことを指摘し、さらに2019年には、イスラエルに調査団を派遣し、サイバー・セキュリティーやデジタル分野で軍事を活用する8企業を訪問している事実を明らかにしました。
「共同研究が、『産官学を交えて』研究を行っているとすれば、イスラエルの軍需関連の政府機関や企業などが参加していないと信じがたい」と強調しました。

イスラエルとのEPA締結は、投資の促進や貿易の自由化にとどまらず、より幅広い分野で「ヒト・モノ・カネ」の自由な移動で経済強化を目指すもので「入植活動に懸念を示してきた日本政府の立場と矛盾する」と述べ、イスラエルとのEPA締結は許されないとして交渉中止を求めました。

 

 

 

 

 

 

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日・アンゴラ投資協定、日・ギリシャ租税条約、日・EU経済連携協定改正議定書に対する討論

私は日本共産党を代表して、日・アンゴラ投資協定、日・ギリシャ租税条約、日・EU経済連携協定改正議定書に反対の立場から討論を行います。

日・アンゴラ投資協定は、日本の多国籍企業の海外展開を促すために、相手国との間で投資環境の整備を図るものです。財務省の2023年度上半期の国際収支統計によれば、日本の経常収支が、年度の半期としては過去最大の黒字となり、海外投資の収益は18兆4000億円を超えています。大企業が収益比率を上げるため、海外投資を広げて内部留保をため込む一方、国内では、賃金や設備投資に回さない実態が浮き彫りとなっているもとで、本協定はこうした大企業の海外投資の拡大を、一層後押しするものです。

日・ギリシャ租税条約は、配当や利子などの投資所得に対する源泉地国での課税の限度税率を定めて免除する措置を講じるものです。
先ほどの国際収支統計では、日本の企業が海外の子会社から受け取った配当や利子などの「第一次所得収支」は、2兆8000億円に上る黒字で、過去最大となっています。こうしたもとで本条約は、日本の多国籍企業とその海外子会社が、当該国での課税を免除された上に「外国子会社配当益金不算入制度」により国内税法でも優遇措置を受けるなど、二重に利益を享受することを可能とするものです。

日・EU経済連携協定改正議定書は、新たに「情報の自由な越境移転」の規定を追加するものです。

これは情報技術を利用し、国境を越えた事業展開で巨額な利益をあげる多国籍IT企業の要望に従って、自由なデータ流通の障害となる「障壁」を取り払うものです。IT企業の利益のために規制の緩和・撤廃を進めることは、将来、日本が個人情報や消費者保護のため、米国を含む外国企業の活動を対象に、何らかの新たな規制を採用しようとする場合、本改正議定書の規定に抵触しないことを求められる可能性が高く、日本が取り得る措置の内容が制約を受けるおそれがあります。

以上を指摘し、三つの条約に対する反対討論とします。