京の冬の風物詩③ 好物「すぐき」ができるまで
2019年12月18日
いつも購入している「すぐき」の農園を訪問。見学させていただきました。私はこの漬物が好物です。甘酸っぱい香りと酸味(それぞれの農家によって味が違うのも食する側の愉しみでもあります)が、ご飯がにぴったりで、この時期、お酒のつまみにも欠かせません。すぐきさえあれば、ちびちびと進みます。
すぐき(すぐき菜ともいう)は、上賀茂で生まれ育ち、京都の伝統的な漬物のひとつで、「しば漬け」「千枚漬け」と合わせて京都の三大漬物と呼ばれています。
すぐきは、カブの一種である酸茎菜の葉と蕪を原材料とし、乳酸発酵漬物で、先ほど触れたようにほどよい酸味が特徴です。
8月下旬から9月上旬にかけて、すぐき菜を栽培するところから始まります。この時期は台風や豪雨の被害を受けやすく、年々、栽培が難しくなっています。収穫したすぐき菜は様々な工程を経て、漬け込みは11月と12月の2ヶ月の間に行い、この2ヶ月で1年分の仕込みを行います。
写真下は、畑からとってきたばかりのすぐき菜。
面取りをしたすぐき(写真下)。収穫したすぐき菜のかぶらの皮を包丁でとります。実は面取りする作業を了解を得て撮ったつもりが、なかったので残念です。来年はもう一度チャレンジします。
キレイにカット(面取り)されたところ。このキレイなこと。私は芸術的と評しています。
もの凄く大きな樽(直径2メートルもあるとか)に塩とともに漬け込まれる(荒漬け)一晩、たっぷり塩をふり、重石をかける。
荒漬けのあとは、水洗いをして本漬けへ。天秤押しと言われる工程に入ります。
四斗樽に、長さ3~4メートルの丸太の先に重石を括り付け、テコの考えで圧力とする。近頃は機械化も進んでいる実態です。
漬かったすぐきは、8日間、約40度の室(むろ)に入れてじっくりと発酵させます。だから、野菜の乳酸菌いっぱいの健康食です。
すぐきが、歴史上初めて文献に現れるのは約700年以上前と言われています。
栽培は上賀茂神社の社家(神社に仕えていた神官)の間で始まったとされ、社家や公卿間の贈答品として、あるいは上賀茂神社から宮廷への献上品として用いられていたそうです(京の上賀茂すぐき倶楽部のパンフ参照)。そうした経緯から、現在でもすぐき漬は贈答品としてお歳暮に用いられます。
すぐきは、それぞれの農家の特色がでます。酸味が強いのもあれば、弱くサラダ風の味も。食べ比べてみるのも一興です。私は、七味とお醤油を少々かけてご飯にのせて食べるのが大好きです。