13日、衆院外務委員会で「日米貿易協定」を質問//動画もご覧ください。
2019年11月15日
報告です。13日、外務委員会が開かれ、日米貿易協定に関し、「農水省の影響試算の資料について」と「外務省の貿易協定の説明書について」を質しました。
私は、貿易協定の審議の前提となる影響試算を枚数にしてわずか1枚、しかも暫定版しか公表していない問題を指摘。10月23日の委員会で2017年公表のTPP11や日欧EPAの試算との比較分析とともに農産物の品目ごとの試算を提供することを求めていたにもかかわらず、10月24日の本会議での審議入りの際には提出されず、29日になって提出されたことを批判。農水省の姿勢を質しました。
さらに、私は「農水省が影響試算は国内対策を講じた場合の試算としているにもかかわらず、『品目別の参考資料」に国内対策の記述がない」と指摘し、「『国内対策を見込んだ試算』というなら、対策を講じた場合の品目ごとの影響を分析したデータがあるはずだ」と提出を迫りました。
伊東義孝農水副大臣は、「数字がかわるわけではない」「国内生産量が維持されるものと思っている」「万全な措置がされている」などの答弁を繰り返すのみでした。
次に、貿易協定についての外務省の「説明書」に関して茂木敏充外務大臣に質問。
「説明書」では、農産品の緊急輸入制限措置(セーフガード)の運用に関する日米政府間の交換公文の説明が書かれている。これを見ると牛肉でセーフガード措置がとられた場合、「発動水準を調整するため協議を開始する」と書かれている。しかし、この部分は本来、(交換公文では)「発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する」となっているものだ。なぜ説明書で「一層高いものに」という文言を削ったのかと質しました。
続いて、「交換公文は、セーフガードが発動した場合、単に「協議の開始を約束した」だけではない。セーフガードが発動した場合、その発動水準を「一層高いものに調整する」、いわば、発動水準を“引き上げる”ための協議を開始することが約束されているのだ。従って、『一層高いものに』という文言は、このセーフガードの運用に関する交換公文の内容を、正確に把握するうえで必要不可欠な文言であり、核心部分なのだ。説明書で削るなど、絶対にあってはならないことだと指摘しました。
これに対して、茂木大臣は、「説明書と交換公文の全文を示した」「協議の場合でも国益に反することはしない」と強弁するのみでした。
私は、「一層高いものに」という文言が有ると無いとでは、交換公文で約束された協議内容の理解が大きく変わってくるのだ。政府の側が「この文言は特段重要ではない」と勝手に判断し、説明書から省いて提出・配布するなど言語道断だ。この文言自身が国益に反する重大な踏み出しなのだ。
「そんな重大な文言を意図的、作為的に削除した説明書を是として、これ以上、質疑を続けることなどできない」と述べて、退席しました。
野党はこの意見に同調し審議は4時間半にわたって中断しました。
再開後、私はあらためて、「削られた文言は発動水準の引き上げというセーフガードの運用に関する核心部分だ」と強調し「この文言は特段重要でない」と勝手に判断し説明書から削って国会に提出するなど言語道断だと主張しました。
茂木俊充外務相は、「説明書と交換公文全文を国会にお示しした」と言いながら、牛肉の緊急輸入制限(セーフガード)の発動基準の問題は「重要問題だと理解している」と述べ、その重要性については認めました。
私は、最後に「農水省の資料も、外務省の説明書も、国会審議を軽視し、国民を無視する政府の姿勢が示されている。とりわけ、外務省の説明書の問題は、貿易協定の審議の根底にかかわる重大問題である」と強調しました。
外務省の説明書の重大性について、「2016年10月17日の衆院TPP特別委員会で、当時の岸田外務大臣が『説明書に関しましては、所管省庁として外務省が責任を持たなければならないと思っています。よって外務大臣である私が責任を持たなければならない問題であると認識をしています』と答えている。したがって、この問題は、まさに茂木大臣の責任が問われる問題なのだと厳しく指摘して質問を終わりました。
衆議院のライブラリーから質疑の様子を視聴することができます。
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