赤嶺衆院議員、本会議で新防衛大綱・中期防について質問/動画も見られます
2019年05月16日
16日、衆院本会議が開かれ、昨年末、安倍政権が閣議決定した、新防衛大綱・中期防について安倍首相出席のもと質疑が行われました。日本共産党からは、赤嶺政賢員が代表して、質問しました。
日本国憲法と安全保障に関わる重要な問題ですので、赤嶺議員の質問全文を掲載します。
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安倍政権が昨年末に閣議決定した新防衛大綱・中期防は、「アメリカ第一」を掲げ、同盟国に軍事分担と財政負担の拡大を求めるトランプ政権につき従い、過去最大の軍事予算を投じて、日米軍事同盟の拡大強化をはかるものです。
新大綱・中期防は、現在の安全保障環境の特徴として、「国家間の競争が顕在化している」ことを挙げ、従来の陸海空のみならず、宇宙、サイバー、電磁波などの新たな領域にまで日米間の軍事協力を拡大するとしています。
これは、中国、ロシアなどとの戦略的競争を安全保障上の優先課題に位置付け、核戦力と宇宙軍拡、サイバー攻撃態勢の強化で、圧倒的な軍事覇権体制を確立しようとするアメリカの軍事戦略を日本が共有し、その一翼を担うということではありませんか。
際限のない大国間の軍拡競争に日本も加わるということですか。
世界的な軍事的緊張の激化と軍事費の膨張による国民生活切り捨て、財政破たんを招く危険をどう認識しているのですか。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所によると、2018年の世界の軍事支出は1兆8220億ドル、約200兆円に上り、1988年の統計開始以来、過去最高になっています。
国連のグテーレス事務総長は、昨年5月に公表した軍縮アジェンダで、「冷戦期のような緊張状態が、はるかに複雑で危険な環境の下で戻ってきた」と、軍拡競争が激化する世界の現状に警鐘を鳴らし、加盟国と専門家、産業界、市民社会に軍縮のための取り組みを強化するよう呼びかけました。
憲法9条を持つ日本がやるべきことは、この提案に積極的に応え、軍事対軍事の悪循環から抜け出し、軍縮にふみだすための外交的なイニシアティブを発揮することではありませんか。
新大綱・中期防は、憲法違反の安保法制、日米ガイドラインを具体化するものです。
いずも型護衛艦の空母化改修によって、戦闘作戦行動に発進準備中の航空機への給油・整備を容認した安保法制の下で、米軍戦闘機がいずもを拠点に他国領土への爆撃を行うことが可能になります。歴代政府自身が憲法上許されないとしてきた武力行使との一体化そのものではありませんか。
しかも、政府は、長距離巡行ミサイルや高速滑空弾など、自衛隊が他国領土を直接攻撃できる兵器の保有にまでふみだしています。戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を定めた憲法9条の下で、このような兵器の保有が認められる余地など、どこにもないではありませんか。
「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは憲法の趣旨とするところではない」としてきた歴代政府の憲法見解との矛盾をどう説明するのですか。
総理は憲法改正に関わり、「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と強調しますが、すでに9条改憲を先取りする動きを進めているではありませんか。自衛隊を米軍と共に海外で戦争する軍隊につくりかえるものであり、断じて許されません。
米国製兵器の大量購入も重大です。
米国政府からのFMS、対外有償軍事援助が年々増大し、今年度は7013億円、安倍政権復帰前の5倍以上になっています。こうした米国製兵器の大量購入が軍事費全体を押し上げ、財政の硬直化を招く要因になっているのではありませんか。
新大綱・中期防は、F35ステルス戦闘機の105機の大量調達、6000億円を超えるとも言われるイージス・アショアの導入を盛り込んでいますが、トランプ大統領は、過去の日米首脳会談で、こうした兵器の売り込みを明言してきました。アメリカ言いなりの兵器調達は、ただちに中止すべきではありませんか。
昨日・15日で、沖縄の本土復帰から47年になりました。
県民が願ったのは、核も基地もない平和な島としての復帰でした。米軍占領下に構築された広大な米軍基地が居座り続ける現状は、決して県民が願った沖縄の姿ではありません。
政府は、沖縄県知事選挙、県民投票、衆議院補欠選挙などで繰り返し示された県民の民意を正面から受け止め、辺野古新基地建設は断念し、普天間基地をただちに閉鎖・撤去すべきです。
住民合意を置き去りにした、南西諸島への自衛隊配備はやめるべきです。
以上、新防衛大綱・中期防の撤回を要求し、質問を終わります。
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動画も、ぜひ、ご覧ください。