こくた恵二

こくたが駆く


中国訪問記4 北京での和服姿

 「しんぶん赤旗」の9月29日付に、日中友好議員連盟の一員として北京を訪問している私が着物姿で写っていることで、何かと話題になった。
 「旅行カバンに入れるのにかさばらないか」という声や、果ては「袴をはいているが、“着付け”の人を連れて行ったんですか」との冗談ともつかぬ疑問まで寄せられる始末だ。
 洋服・スーツと違って、着物の場合は、たためば平になる。案外荷物としてはかさばらないものだ。誰もが普通は着替えのスーツを持っていく。それが着物で、私にとっては着替えのスーツをもっていくのと何ら変わりがない。
 「晴れ着文化の着物でなく、日常の普段着として着物を着用」するというのが、私の一貫したポリシーである。今春からようやく一人で袴をはけるようになったこともあって機会あらば着るようにしている。
 外国に出かけるとき、ふだん愛用する着物を着れば、外国の人も、確実に日本人と認識してくれる。また、日本の民族衣装としての「着物」を知ってもらう良い機会となる。
 同行の議員の皆さんも「目立ちたがり」と非難するのではなく、概して「よく着てくれたな。着慣れしているね」と好意的だ。
 とんだことで目だってしまったこともある。在中国日本大使館が主催した日中国交回復30周年記念レセプションに招かれたときのこと。(写真上)
 300人以上の招待客の中で、着物姿は、もう一人。二人とも引力でひきつけられたかのように談笑した。「よく似合っています。着慣れてますな」などと言われ喜んでしまった。重要無形文化財総合保持者、坂井音重さんであった。(写真下)
 その夜、日中伝統文化交流大会の薪能を観賞したのだが、氏が日本側演能団長で「土蜘蛛」の演者だったとは終演のあいさつで知った。気軽に談笑し、お近づきになれたのも、着物のおかげだ。
 日本国際貿易促進協会会長として日中国交回復30周年記念事業に中国から主賓として招かれていた橋本元首相ともお会いした。着物愛好議員連盟の役員である橋本さんは「我々も着物を着てくればね、素敵ですよ。日本の姿を表してなかなかですよ」と多くの議員にも宣伝してくれた。結構良いこともある。

[2002年11月11日(月)]