国会会議録

【第186通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2014年5月30日)


○穀田委員 きょうは、京都由良川改修事業について質問します。

 京都府北部の由良川は、暴れ川と呼ばれるほど氾濫を繰り返しています。一九八二年の台風十号、その規模の降雨に対して対策をとろうというので、二〇〇三年に、災害発生の防止や軽減を図ることを目標に、おおむね三十年かけて整備計画が策定されました。

 ところが、その策定した翌年の二〇〇四年に二十三号台風で大災害が起きる。そして、地域住民や流域四市からの要望で、四十二地区のうち十八地区で先行して改修工事を進め、二〇一四年度中に築堤工事や家屋のかさ上げを完成させる事業が進められてきた。ところが、完成を目前にした昨年の二〇一三年九月十六日の十八号台風で、また大災害に見舞われた。住民は、実に九年間に二度の災害に見舞われています。そこで、昨年六月に新たな改修計画がつくられて、被害が甚大な地域を今度は五年で整備する見直しがされました。こういう経過を経ているんですね。

 ただ、この間の経過がありますから、住民は不安が大きくて、たび重なる被害のために、地域外への移住が加速したり、集落が成り立たなくなるんじゃないかという危惧の声も出始めています。整備計画の充実と早期事業着手の要望が、福知山、舞鶴、綾部市議会や住民から出されていますけれども、近年の局所的豪雨などの気象異変により、再び災害が起こり得る状況の中で早急な対策が必要だと思うんですね。

 したがって、きょうは、その地元の声を踏まえて若干質問したいと思います。

 一つの問題は、まず、災害を軽減する目的で防災対策の工事がやられていたさなかに水害が起こる。もっと早く完成できなかったのか、水害は防げなかったのか、どうなっていたかという意見が地元からは出ています。国交省の工事に対して、人手不足で工事がおくれていたんじゃないか、それから、仕事ぶりからすると、かさ上げ工事は特殊な技術が必要で工事業者の確保が困難、かさ上げは個々の住民との話し合いが必要で相当時間がかかっているんじゃないかという声が出されていまして、さらに、用地買収などを行う職員自身が足りないのではないか、こういった声がずっと出ています。

 当委員会において、私、前回質問しました。大型開発事業に人を回して、こうした地元密着の事業で人手不足が起きているということじゃないのかということをやったわけですけれども、今後のことを考えまして、事業がうまく回るように手を打つべきじゃないか、発注側の職員をふやすべきじゃないかと思っているんですが、その点、お答えいただければと思います。

○太田国務大臣 去年の九月、由良川と桂川を、私、映像でずっと見ていました。しかも、あそこの由良川のところは前、破堤したばかりというところで、本当に大変だということで、その後、ことしになりまして、私、上からずっと由良川を見させていただいたりいたしました。

 これは、二十六年度完成を目指して進めてきたことも事実で、人手不足ということでもなかったようでございます。しかし、これはもう、またということになっては大変なことでありますので、人員もできるだけふやすというようなことも含めて考えて、どうすれば、どうすればというよりは、できるだけ早く、できるだけ早くというのは、何年とかいうことは言えないんですけれども、できるだけ早く、二回も連続してということでは大変なので、できるだけ早くということを再度徹底したいというふうに思います。

○穀田委員 大臣は、人手不足というわけじゃなかったんじゃないか、こう言っているんですけれども、地元の方に聞くと、例えば綾部の縦貫道路が完成すれば、その業者が回ってくると期待しているというふうな声もありますし、京都府では、土木事務所の職員が、〇三年から、ちょうどこの期間ですよ、一三年までに、六百十八名から五百十四名、百四名も減っているんですね。六分の一減っているんですよ。それから、技術職員も同じ時期に三百三十二名から二百八十四名、四十八名減っているんですね。

 だから、私、正直な感想を言うと、用地買収にはっきり言って時間がかかっていたというのがみんなの思いなんですよ。私もそういうふうに思います。体制がきちんととれておれば、十年待たずして完成したんじゃなかったかというのがやはり根底にあるということは、よく見ておいてほしいなと思うんですね。

 そこで、地元の要望に基づいて若干聞きます。

 かさ上げの事業に対して補償が当然出ます。対象が住家に限定されていると聞いていますけれども、地元からは、消防車庫や共同施設、公共施設のかさ上げや、地域を結ぶ生活道路のかさ上げも対象にしてほしい、あるいは補助の対象にならぬのか、こういった要望が上がっていますけれども、その点はどうなんでしょうか。

○森北政府参考人 今御指摘がございましたように、由良川では、平成十六年、そして昨年、平成二十五年に台風による甚大な浸水被害が発生をいたしました。それを踏まえまして、輪中堤とか宅地のかさ上げによる浸水対策を実施しているところでございます。

 御指摘の、宅地のかさ上げにつきましては、洪水から住民の生命財産を守るという観点から、現在は宅地を対象に実施をしているものでございますが、公共施設等のかさ上げにつきましては、例えば防災・安全交付金、こういったものを活用して地方自治体を支援していくことができるというふうに考えております。

○穀田委員 何でこんなことを言っているかというと、今局長も、二回あったというような報告をしていますけれども、二回とも避難所である集会所などが浸水しているわけですよね。だから、そういう、地域にとってかけがえのない施設は対象にすべきだということを私は思っています。

 由良川には多くの支流が流れています。その中で、内水があふれたために浸水した地域も多いと聞いています。今局長からお話があったように、現在計画されている輪中堤が完成しても、内水である支流や用水路などの改修が進まなければ浸水被害は起こるんじゃないかと住民は不安を抱えています。内水対策についても支援すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○森北政府参考人 委員御指摘の内水対策につきましては、国、県によります河川改修、これは支川も含めてでございますが、そういったものと、自治体による土地利用規制、ハード、ソフト一体となった総合的な内水対策計画を策定いたしまして実施をしているわけでございますが、この中で、自治体等が実施する事業につきましては、これも交付金等で支援することができますし、また、仮に内水被害が実際に発生したときには、国が保有しております排水ポンプ車、これは由良川でいいますと、福知山河川国道事務所では三台、排水ポンプ車を保有しております。こういったものを派遣いたしまして、内水排除を支援しているところでございます。

○穀田委員 口を開けば交付金、交付金と言うので、そこが問題でして、しかも今、森北局長はポンプ三台と。あんな広いところに三台あったって、どないすんねやと。この間、二台出て、残り一台どうするのかという話になっていて、そういう実態があって、誰も知らぬから、あの広い地域に三台あったらいけるのかと。それは、一つの市に三台、四台あるというならわかるけれども、そんなことで間尺に合うのやったら苦労せえへんのやわ。

 やはり財政的理由で進まない現状があるわけで、私は、輪中堤やかさ上げが進んでも、内水の被害がなくならない限り、それでは災害対策は半減しちゃうよと。したがって、支流河川の改修促進に対しても、国としていろいろな形で支援していく必要があると私は考えています。

 この問題で、普通、川の整備というのは大体下流からやりますけれども、ここの場合は上流から整備されているわけです。河口地域である宮津市の整備について、一点聞きたいと思うんです。

 日ごろは、下流は流れが悪く、砂がたまっていくということになるんですが、洪水時は当然これは一気にありますから、押し流す。上流に、築堤や堤防その他いろいろなこと、築堤などができることによって、台風時など下流に大量の水が流れ込み、浸水するんじゃないかという不安が、下流地域の住民から出ています。

 今回の五年計画に下流地域である由良地域などは入っていない、こういった問題が、さまざま意見が出ています。本当に大丈夫なのかと。きちんと住民に説明する必要があると思うんですが、その点、いかがでしょうか。

○土井大臣政務官 ただいま先生から御指摘いただきました河口部、由良、また石浦地区及び西神崎地区というふうに承知をいたしております。この三地区、昨年の出水で住家の浸水被害が生じておりませんでした。そのようなことから、今年度より着手している緊急的な治水対策の対象にはなっておりませんが、由良川水系河川整備計画では輪中堤などを実施する地区としており、ぜひ緊急的な治水対策に引き続きまして、対策をしっかりと講じてまいりたいと思っております。

 このようなことを地元に十分説明をさせていただきながら、御理解を得ていきたいと考えております。

○穀田委員 この間、いろいろな計画が出まして、その都度その都度、結構変更があったりなんかして、住民は、どれにいくのかいなと、そういう意見もありますので、納得いく説明、丁寧な説明が必要だということだけ言っておきたいと思います。

 次に、話題をかえまして、JALの重整備の問題について聞きます。

 JALが、航空機の機体整備、重整備の作業業務を、五月十九日から五日間、停止、ストップしていると聞きました。JALの羽田航空機整備センターは、次のように言っています。昨年より現業、間接を問わず、看過できないふぐあい事象が連続して発生している。そのため、路線便の運航を安全に確保する作業及び緊急性のある業務以外、全ての作業、業務を五日間停止し、各職場の安全と品質の点検、振り返りの話し込みを実施することとした。こういうふうに通達しているんですね。

 この内容について、国交省はどのように把握し、指導しているのか。相次いでいるふぐあい事象の内容と国交省としての認識、JALのとった五日間整備停止措置に対する国交省としての評価、対応などについて述べていただきたいと思います。

○田村政府参考人 お答え申し上げます。

 最近、日本航空におきまして、整備マニュアルの手順が遵守されていない事案、あるいは整備士としての基本動作がおろそかになっている事案等が発生しているということを踏まえまして、五月十九日から二十三日の五日間、羽田の整備センターにおける重整備をとめて、関係部門ごとのグループミーティング等を行ったと報告を受けております。

 この措置は、日本航空として最近の事態を深刻に受けとめ、現場で航空機整備に従事する各人に基本動作の徹底を図るとともに、現場の意見をくみ上げて再発防止を図ることを目的としたものと聞いております。

 国土交通省といたしましては、個々の事案に対する日本航空の再発防止策の実施状況につきましてしっかり監視をし、引き続き、安全運航のために必要な整備体制が確保されるよう指導監督してまいる所存でございます。

○穀田委員 この問題の重要性、深刻性ということについて、認識を一致しておかなくちゃならぬと思うんですね。

 同じくセンター長は、その文書の中で、その後もふぐあい事象はおさまらず、非常用装備品や耐空性に影響を及ぼす重大ふぐあいへと拡大する傾向になっている、こう言っているんですね。さらに、所属する全ての皆さんに危機意識を持って取り組みを行っていただきたいと提起しているわけですね。

 さらに、JALの整備本部長は、社内の説明会で次のように述べています。昨今、さまざまなふぐあいが連続し、内外に整備に対する信頼が揺らぎ、この状態がとまるのか、我々も自信が揺らいでいる。自分らも自信が揺らいでいるというところまで言っているんですね。さらに、一四年度がスタートしたけれども、ジェイエア客室乗務員が飛行中に骨折する重大インシデント、福岡ではグラハン作業者がタグにひかれて骨折、成田ではステップから転落してあわやという重大事例が発生、加えて重大ふぐあいが連続しているということで、その理由を述べているわけなんですね。

 これに対して、一緒に合同の会議をやっているわけですけれども、集めてやっているわけですが、労組の委員長は、今回の整備をとめて話し合うという重大な決断はショックであり、二十数年間整備をやってきて、いまだかつてなかったことだと言っているんですね。つまり、この問題について、五日間とめて、いろいろなことについて話し合うなどというのは、一度もやったことがないほど大変なことなわけですよね。だから、それだけ重大なことだと思うんですね。

 問題は、かつてないほど事故等の重大事例が、なぜ重整備というところで発生しているのか、その原因と背景に何があるのか。この点についての大臣の認識をお聞きしたいと思います。

○太田国務大臣 日本航空におきましては、整備マニュアルの手順が遵守されていない事案や、整備士としての基本動作がおろそかになるというような事案が最近発生をしており、一覧表も見させていただきました。これらのトラブルは、直ちに航空機の安全性に影響を与えるものではないものの、このまま放置すると、将来、運航の安全性に影響を及ぼしかねないということから、日本航空において速やかに改善が図られる必要があるというふうに考えています。

 国交省としまして、日本航空がこれまでに行った個々の事案に対する再発防止策の実施状況について確認をするとともに、今後、必要に応じ、さらに状況をしっかり把握して、厳しく指導するなどして監督を強めたいというふうに思います。

○穀田委員 大臣が一覧表を見たと言っているので、その一覧表の中には、やはり、もしこれがこのまま見過ごされればエンジン部分にトラブルが起きるというような事象もあるんですね。だから、安全性に影響がないというわけではないんですね。もしかしたら、極めて危ないということまで起きているところに今の重大な事案があるということは言っておきたいと思うんですね。

 私は、四月十六日の当委員会での一般質問で、パイロット不足の問題を取り上げました。その中で大臣も、整備士も不足することを指摘していたわけですね。JALの大リストラで、整備士不足、ベテラン整備士が少なくなって、安全意識や技術力も十分に継承されていないなどが背景にあるんじゃないか。人減らしが背景にあるんじゃないかと私は思うんですね。

 こういう事態のもとで、国交省として、JALにどのように運航の安全を守らせていくというおつもりなのか。大臣の認識、決意をあわせてお聞きしたいと思います。

○太田国務大臣 現在のところ、日本航空自体において整備士の不足という事態にまでは至っていないというふうに思っています。しかし、整備部門において、基本動作がおろそかになっているような事案が多数、御指摘のように発生していることは事実でありますものですから、適切かつ速やかに、運航の安全を確保という一点に力を注ぐ必要があるというふうに思っています。安全運航のために必要な整備体制が確保されるように、指導監督していきます。

○穀田委員 大臣、それはそのとおりなんですけれども、私、聞いていると、何でこんなことが起きているかといいますと、やはり海外の重整備、これをやっているところがあるわけですね。当然、JALでも分担してやっているんですけれども、そういうこととの競争がある。いかに工期を短縮するかということが現場では問われていて、今までなかった夜勤三交代制が導入されているんですよね、こういう重整備のところにも。これが結構大変で、しかも、考え方として、JALに選ばれる整備にと、こう唱えていると。ですから、経営のそういう背景自身にコスト削減がずんと入っているということなんですね。

 大臣は、現在そんなことに至っていないと言いますけれども、これは大体、JALが人減らしをやったときに、日東整備などというのを切っていくわけですね。そのときに、それぞれの重整備をやるのは、機種によって違う整備をやるということで、それぞれ免許の性質も違うわけですよね。だから、それらを切っていくことによって体制が乱れて、当時、ペーパードライバーじゃないのかということを私は指摘したんですが、それぐらい結構混乱が生じたというのがスタートなんですね。だから、そこは見てもらわないと。

 しかも、今日、そういう外国で重整備をやるということがいわば規制緩和のもとでやられて、そのことによって、今度は、やはり金がかかるから中で少しやるためには無理してもらおうじゃないか、三交代でいこうじゃないかという話までしているんですよね。

 だから、労組の委員長は、その後、実はこう言っていまして、自分の出身校では、技術者である前に人間であれということで、どんなに優秀な整備士でも、その前に人間として心身とも健全でないと整備するに当たっていろいろチェックポイントを見逃す。そうした意味で、我々は、整備に集中できるように、人間として健全でいられる労働環境を求めていきたい。それが夜勤や単身赴任の問題、生活にかかわるお金の面であったりする。こういうことを言って、やはりストレートには言っていないけれども、夜勤の問題を初めとした労働環境の変化という問題が物すごく影響しているということを、この社内会議で言っているわけですね。

 ですから、そういうことも、よく報告は聞いていただいて、対処する必要があるんじゃないかということは言っておきます。

 では、もう一つ、パイロット不足で聞きます。

 四月に取り上げてすぐに、LCCのピーチがパイロット不足で年間二千便ほども減便するということが発表されました。パイロットが不足し、計画どおりに便数が確保できない。その後、LCCのバニラもパイロット不足による減便を公表しました。

 この間、議論していたときに、長期的、中期的、中長期的な、短期的な問題だと。それどころか、現実の問題だということが明らかになった。国交省として、この問題をどのように捉え、どういう対策をとろうとしているのか、明らかにされたい。

○田村政府参考人 今先生御指摘のように、LCC等の我が国航空業界が直面しているパイロット不足につきましては、深刻な課題であるというふうに受けとめております。

 国土交通省では、パイロット不足への対応といたしまして、昨年十二月に交通政策審議会のもとに小委員会を設置いたしまして、パイロットの養成、確保のための対策に関して検討を行っておりますけれども、先般再開をいたしました自衛隊パイロットの民間での活用に加えまして、今後さらなる具体策の検討を進め、夏前をめどに取りまとめを行う予定であり、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。

○穀田委員 余りかみ合うてへん感じがするねんけれども、要するに、さらなる具体化って、今現実に起きているわけやから、対策をとらぬとえらいこっちゃなと思っているんですね。

 私は、その際に、田村さん、問題は、国交省がぎりぎりの運航計画、人員配置を認めていることにあるんじゃないかと思っているんですよね。新聞に書かれていますけれども、メディアも書いていますけれども、LCC、機材も機長もぎりぎりのラインでやっている、それで、余剰人員は一人から二人と言われていると。

 だから、このことに対してコメントされたのが誰かは別として、国交省も、航空大手では考えられない少なさだということを指摘せざるを得ないわけなんですね。だから、余裕の考え方が違うわけですね。一人や二人余っているんじゃなくて、もともとそういう、いざというときの安定性を維持できるかどうかという角度から物を考えているわけじゃないんですよ。コストの面でしか考えていないという現実がある。だから、そういう安定性を維持できるという考え方に基づいてパイロットを配置させるようにすべきじゃないかと私は思うんですね。これが普通の常識なんです。

 今述べたように、コスト削減のためにぎりぎりの人員配置で運航するのがLCCの形態ですが、今回のように、コスト削減を優先したことで利用者に迷惑をかけ、ひいては安全も脅かされるという事態になりかねない。

 私は、単なるパイロットが不足している話では済まされないと思うんですね。問題の深さというのは、公共機関としての安定性はどうか、安全問題はどうか、LCCの経営形態を含め検証し、検討し、見直すべきじゃないかと思うんですが、それはいかがでしょうか。

○田村政府参考人 今般、操縦士の病欠等が短期間に集中したことにより大幅な減便が行われまして、利用者に多大な影響を与えたことにつきましては遺憾であるというふうに考えております。航空会社においては、予約済みの旅客に対して、他の運航便への振りかえですとか、それから料金の払い戻しなどの対応に努めるよう指導しているところでございます。

 一方、LCCは、航空機の安全運航というものは大前提とした上で、航空機運航の効率を上げることで単位当たりコストを下げて低価格を実現するビジネスモデルでございます。世界的にも、LCCの事故率が高いという統計があるとは承知しておりません。LCCは、新たな航空需要の創出を通じた国内観光の拡大、あるいは訪日旅客の増大等に資するものと考えております。

 国土交通省といたしまして、操縦士の養成、確保のための対策の推進、それから、航空会社に対する安全監査等を通じて、安全かつ安定した航空サービスが提供されるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 病欠が少し出たぐらいでああいうことが起こるのでは困るんですよ。そう思わなあかんわけ、まず。それと、監査なんかをやってと言うけれども、その定期監査の対象として、人員の問題なんかについては対象としていないんですよ。ですから、そういう一般論をしゃべっていけるほど甘くない事態になっているということを私は言っているんですよ。

 だって、先ほども言いましたけれども、JALだって、ああいう、二十数年間というか、今までやったことのないようなことでやらざるを得ないとか、やっているわけじゃないですか。LCCの問題だって、これをこういう問題として捉まえなくちゃならぬと私は思うんですね。

 私は、公共交通機関として失格だと。ほかのLCCの事業がうまくいっているかいっていないかなんていう話をしているんじゃないんですよ。今の事態というのは公共交通機関として失格だということを私は言いたい。

 田村さん、きょうお見えですけれども、もし鉄道やバスで、運転手がいない、病欠した、それで運行を二千減らします、仮にJR北海道でもいいですよ、それで運行計画の二割がだめになりましたと言ったら、どないなります。これは怨嗟の声がわんと来ますやんか、どないなってんのやと。そういう問題なんだということなんですよ。軽く捉えたらあきまへんで。だから、公共交通機関としての問題が問われているんだという角度から物事を深めなくちゃならぬということを私は言っているんですよ。

 だから、LCCの利用者のアンケートを見ますと、LCCを利用したくないと回答した人が二十数%、三〇%近くいますよ。その中の最大多い理由は何か。安全性に不安があるからと言っているわけですね。今、安全運航だとかなんとかってやっていますけれども、田村局長はそうおっしゃったけれども、乗っている人たちの一番の不安はここなんですよ。そういうものに見合った形で対策をとらなくちゃならぬというふうに私は思います。

 ですから、ここを見過ごしちゃならぬ。国として推進してきた規制緩和路線自身が問われていて、先ほど述べたように、やはり広く検証、検討する時期に来ているということを言っておきたいと思います。

 最後に一言。

 パイロット不足の問題の解決については緊急の課題です。この間、私は一貫して主張し、提起してきましたけれども、今こそ、即戦力である、JALで不当解雇されたパイロットを職場に戻すべきだということを主張して、きょうは質問を終わります。