国会会議録

【第186通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2014年4月23日)


○穀田委員 きょうは、道路法改正案について質問します。

 まず事実関係の話なんですけれども、日本道路公団の民営化当初の、高速道路会社が新規建設する有料道路の事業延長は何キロで、総事業費の額は幾らと想定していたのか、これについてお答えください。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 民営化時の平成十八年三月に締結をした協定上の数字をお尋ねだろうと思います。

 高速道路会社が建設する高速道路として、新規建設事業の延長は約一千四百キロメートル、新東名あるいは首都高の中央環状新宿線などが含まれております。事業費は約十二兆九千億円を見込んでいたところでございます。

○穀田委員 その後、高速道路会社が新規建設する有料道路はふえているのかどうか、何キロで事業費は幾らか、これについてもお答えください。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路会社が建設する高速道路につきまして、ただいま御答弁申し上げました平成十八年三月に締結しました協定以降、新たに協定に追加をした建設事業でございますけれども、延長で約二百四十キロメートル、これは東京の外環道あるいは名古屋の二環道、あるいは首都高でいいますと横浜環状北西線、こういった路線が入っておりますけれども、この事業費は約七千億円でございます。

○穀田委員 七千億円ほどふえているということですね。

 そこで、高規格幹線道路のうち、供用中と事業中延長は何キロか。そして、それ以外の、事業化していない未事業延長はどれだけあるのか。未事業区間というのは、結局、高速道路会社が建設することはないのか。この辺についてお答えください。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 無料区間も含めました高規格幹線道路につきまして、平成二十六年三月現在で、開通済みの延長が約一万七百キロメートル、事業中の延長は約二千三百キロメートル、未事業化の延長は約一千百キロメートルとなっております。

 この未事業化一千百キロメートルでございますけれども、先ほど大臣も御答弁をされておられましたけれども、オートマチックに必ず全てを事業化すると決まったわけではございません。ただいまは、高速道路会社が建設することもあるのかというお尋ねですけれども、二つの条件をクリアする場合に建設を行う場合がございます。

 一つは、厳しい事業評価を経て、これをクリアすることが条件でございます。そして、高速道路会社がさらに行うためには、四十五年以内に債務償還をするという、今の償還スキームに影響を及ぼさない範囲であれば事業を追加することは可能である、このようになっております。

○穀田委員 そこで、今お話しした件についてオートマチック化ではない、こう話があったので、ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、いわゆる四全総で一万四千キロという話、これが一つの底流をなしているわけですよね。

 大臣、一つ聞きたいのは、その決定済みの一万四千キロというのは全部つくるのかということについて、これはお互いの話ですし、よくわかると思っているので、別によろしいやろ。

○太田国務大臣 これは四全総を閣議決定して決めたことでございます。それで、現実には、あと一千百キロが未事業化になっている。

 オートマチックという表現をしましたけれども、ここは、今申し上げましたように、償還ということはきちっとやっていかなくちゃならないということと、何よりも、BバイCを初めとするそうした効果があるということは、少なくとも踏まえなくてはいけないと思っておりまして、そういう点では、残る一千百の中でも、やるところとやらないところというのは出てくる可能性があるということでございます。

○穀田委員 では、一万四千キロまでとにかくいくというわけでもないと。その辺をはっきりしてほしいんですよ。

 要するに、オートマチックでないと言っていることは、一万四千キロについては、つくり切るのか、つくり切らないのか。それはその時点で判断すると言っているのか、何を言おうとしているのか、もう一つはっきりしてほしいものですから、そこを尋ねているわけです。

○太田国務大臣 精いっぱいはっきり表現をしていると思うんですけれども、その中には、例えば外環というのが入っていたりします。そして、この間、寺島先生がおっしゃった中部横断道路の山梨部分とかいうのが、まだ決まっていないところもあったりします。

 一本一本について、それがBバイCということと、そして償還ということと、両面からいって適切かどうかということを判断させていただくということで、やる場合もやらないという可能性もあり得るということでございます。

○穀田委員 では、もう一つ聞きますけれども、一万四千キロを超えている部分というものがありますね。それについては、やるんですか、やらないんですか。

○太田国務大臣 そこは四全総では決めておりません。ただ、道路というのは、時代状況に応じて必要なところは当然出てくるというふうに思います。そういう点では、かなり財政制約ということもあり、必要性ということもあり、そしてBバイCということもあり、償還ということもありますから、それらをよく考えて、厳しい査定のもとで判断させていただくということになろうというふうに思います。

○穀田委員 今言っているのは、二つの礎だけ言っているということですね、簡単に言うと。BバイC、事業評価と、それから四十五年の償還のスキームということですな。今後、一つ一つ、これはまた何回も議論していく話になるだろうと思っています。

 そこで、話をまたもとへ戻すんですが、高速道路会社が建設した場合、その建設費にかかった債務というのは債務保有機構が引き受けないのかどうか、これを局長、お願いします。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 高速道路会社が建設をした場合には、協定に基づき会社が建設した道路資産は工事完了後に機構に帰属し、同時に、会社が建設のために負担した債務は機構が引き受けることとなっております。

○穀田委員 今度は、高速道路の建設債務の引き受けのことについて少し聞きたいんですけれども、民営化当初、旧道路公団から引き継いだ債務というのは約四十兆円でした。民営化後に高速道路会社が建設や維持管理に係る費用を借り入れした債務についても、債務保有機構が引き受けることになったわけですね。そうしますと、どんどん高速道路を新規に建設しても、そのために借り入れた借金は機構が引き取ってくれる、公団時代の債務と一緒にということになりますよね。会社にとってはこんなにいい話はないわけで、借金は気にせずに、高速道路はつくり放題ということにならないかという、民営化の時点でも随分出た疑問だったと思います。

 それに対して、四十五年で返済できるよう、債務保有機構が高速道路会社から引き受ける債務の額を決めるから大丈夫だと言っていたと、私、当時のことを記憶しているんですけれども、実際には、引受債務の額は修繕費を含めて幾らと決めていたのか。民営化のスタートにかかわる大事な点なので、明確にしていただきたいと思っています。

○中原大臣政務官 お答えをいたします。

 平成十八年三月に締結いたしました協定におきましては、高速道路機構が高速道路会社から引き受ける債務は、平成六十二年までの償還期間内の合計で約二十一兆三千億円となります。

○穀田委員 その後、協定の変更が当然何回か行われています。今ありました二十一兆三千億円だったわけですけれども、その引受額が二〇一四年三月二十五日時点では二十二兆二千五百六十億円と、今の計算でいいますと、九千六百数十億円、約一兆円が、当初に比べて引受額が増加している。

 この引受額が増加した原因は何かということなんですね。民営化後、新直轄高速とされた東京外郭環状道路、いわゆる東京外環と名古屋環状二号線が、合併施行方式による新規建設が追加されました。東日本高速と中日本高速の建設分担分を債務保有機構が追加で引き受けたことなどが含まれているのではありませんか。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の東京外郭環状道路、関越道の大泉ジャンクションから東名のジャンクションの間、そして、名古屋第二環状自動車道につきましても、他の建設事業と同様、協定に基づいて措置されることになります。

 会社が建設のために負担した債務は、道路資産とあわせて、工事完了後に機構が引き受けることになります。

○穀田委員 だから、結局のところ、さっき言いましたように、二十一兆三千億円、正確に言うと二千八百五十四億円ですけれども、それが二十二兆二千五百五十六億円にふえている。だから、高速道路を新規につくれば、交通量、それから需要予測も増加して、料金収入もふえるから、引受額がふえても四十五年で大丈夫だという理屈なんだと思うんですね。

 でも、需要予測が必ず予測に基づいてふえるとか、料金収入が増加するとは限らないと私は思っています。だから、需要予測が外れれば、料金収入が減り、返済できなくなることもあるんじゃないかということを言っておきたいと思います。

 次に、大規模修繕、更新費用について聞きます。

 大規模修繕そして更新の費用を四兆四百五十億円と見込んでいます。これは随分絞り込んだという話を先ほど来しています。

 そこで、経過年数延長は、NEXCO三社で三千七百キロメートルもあります。さらに、十五年も経過しますと、経過年数四十年、これは首都高だとか阪神高速ですが、それからNEXCOについていえば三十年ですが、これはもっとふえるんじゃないかと思うんですね。そうしますと、更新事業費はもっとふえるんじゃないか。そうしますと、実際に大きく膨らんだ場合はどないなるのか、どうするのかということについてお聞きします。

○徳山政府参考人 まず、私の方から、大規模更新、大規模修繕の額について数字をお答えしておきたいと思います。

 首都高速について六千三百億、阪神で三千七百億、NEXCOで約三兆、本四で二百五十億となっておりまして、合計で四兆円でございます。

 高速会社が大規模更新、修繕を行った場合には、協定に基づき措置されることになりますけれども、会社が負担した債務は更新事業等の完了後に機構が引き受けることとなっております。

○穀田委員 いや、それは省いて、合計したものを私が言っているわけで、次に、さっきの質問に答えてください。

○中原大臣政務官 今後の更新についてでありますけれども、老朽化の進展は、立地環境や建設時の状況、開通後の使用環境に大きく依存をいたしており、単に建設から年数が経過したからといって、直ちに老朽化するわけではないというふうに認識をいたしております。

 例えば、隅田川にかかる言問橋や両国橋などは、八十年を超えて、重量制限もなく、健全に機能を維持いたしております。

 今回の更新計画につきましては、建設時に施工を急ぐなど無理をした箇所や古い基準で設計された箇所など、それぞれに理由がある箇所に対応するものでありまして、今回の対応以降、また次々と更新需要が生じるということにはならないというふうに考えております。

○穀田委員 当時のやり方の中でそういう無理があったということと、工法の基準が違ったということを言っておられるんだけれども、では、その後全部大丈夫かというと、それはその理屈だけでは論証にならないんですよ。

 やはり経年することによっていろいろな事態が生じてくるという理屈もありまして、そこはそう簡単じゃないということだけ言っておきたいと思うんですね。

 そこで、なぜ当初に大規模修繕や更新費用を算定していなかったかについて少し聞きたいと思うんですね。

 民営化時点の問題を含めて、国交省はこの間、何と言っているかといいますと、「道路構造物の老朽化予測には限界があり、民営化時においても更新需要の発生は想定していましたが、具体の箇所や対処方法が十分には明らかになっていなかった」と、先ほども局長も何度もこれは同じ話をしているんですけれども、答弁しています。

 想定していたとしたら、いずれ費用が増額するわけで、本来なら想定に基づいて推計すべきだったはずですが、それをしなかったのはなぜなんですか。

○野上副大臣 今先生からお話もありましたが、道路構造物の老朽化予測には限界があるということは申し上げてきております。民営化時においても更新需要の発生は想定したということも申し上げておりますが、当時は構造物が建設後四十年程度を経過し始めたところでありますので、この更新の必要性についての具体的な箇所や対処方法が十分に明らかになっていなかったということでございます。

○穀田委員 それはちょっと単純過ぎまっせ。だって、先ほど来、中原政務官からあったように、構造物の中身の、急いだ話だとか基準の話だとかあったわけでしょう。そういう話はこういうことになるとすぐどこかへ消えちゃうんだよね。私は、それはだめだと思うんですね。

 当時の道路局長はこう言っています。大規模な更新が必要だ、こういう状況が出てきたときにはまた相談すべき問題だとして、想定しているんですよ。それは問題が出てきたら相談しましょうと、意図的に先送りしていることを認めているわけですね。だから、具体の箇所や対処方法が十分明らかになっていなかったというのじゃなくて、初めからわかっていて、推計しなかったし、入れなかった。

 それは、結局のところ、民営化というスキームが必要条件だったことから、初めに民営化ありき、そして返済債務の総額を小さく見せるためではなかったかと思わざるを得ないと私は言っておきたいと思います。

 そればかりじゃないんですね。今言ったのは、想定自身があったにもかかわらず先送りしたということとあわせて、建設費、維持管理の削減が先にあったからじゃないかという問題なんですね。

 民営化に際して、新規建設について言うならば、費用を二十兆から、当時議論されたのは十・五兆円まで削減したということに、いろいろありました。同時に、維持管理費も三割削減しています。

 昨日来、視察の中でも議論になりましたけれども、社会資本整備審議会道路分科会建議、道路の老朽化対策の本格実施に関する提言では、二〇〇二年から警告してきたと述べている。ところが、二〇〇二年から警告しているのに、今、この文書の提言にもありますように、警告に逆行して、管理費が三〇%削減されたと指摘しているんですね。だから、警告を受けながら、具体の箇所や対処方法を決めなかったこと自体が問題じゃないのか。

 だから、削減が先にあって、大規模修繕や更新費を加えるとコスト増になるから、わざと費用に加えなかったんじゃないのかというふうに思わざるを得ないんですが、いかがですか。

○徳山政府参考人 当時、道路局長が答弁しておりますように、やはり、この更新というものの必要性は想定をしておりました。しかしながら、致命的な損傷が生じる前の状態において、通常の維持管理、修繕で大丈夫なのか、あるいはもう土台からつくりかえる更新まで必要なのか、これを判断することは非常に難しいと考えております。

 民営化時点の判断といたしましては、想定はそのように更新の必要性は認めておりましたけれども、通常の維持管理、修繕により長寿命化を図るという考えにより、計画を策定したものでございます。

○穀田委員 それは違いますよ。やはり必要性を想定していたということの中で何が起きたかということなんですよ。それはやはり、当時のスキームがあって、それを優先させたという大きな話なんですよ。個別の小さい話じゃないんですよ。

 そして、修繕費用の問題についても、それはやはり、当時の雰囲気といいますか、含めて、減らせ、減らせというのがあって、コストダウンというのがあって、そういう圧力のもとでこれが行われたというのが、それが歴史の事実なんですね。ですから、そういう政治の動向を見なければ個別の話にはならないということを言っておきます。

 そこで、次に、新名神高速の抜本的見直し区間の問題について聞きます。名神の京都付近の大規模修繕、更新の箇所はどこか、費用及び対応策はどうなっているか具体的に聞きます。

 NEXCO西日本が管理する名神高速道路では、どこが大規模修繕、更新の対象になっているのか。一九六三年に開通した名神高速の栗東―尼崎間というのは、日本で一番古い高速道路であります。既に五十年を超え、老朽化も進んでいると言われています。十年以内に大規模改修が不可欠な橋が三本あると言われています。滋賀の瀬田川橋、追分橋、京都の山科川橋を指しているようですけれども、これらは更新事業の対象ですか。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 NEXCO三社におきましては、平成二十四年十一月に高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会を設立いたしまして、二十六年一月に大規模更新・大規模修繕計画を公表したところでございます。

 お尋ねの名神高速につきましては、栗東―尼崎間が我が国最初の高速道路として昭和三十八年に開通いたしましたけれども、この区間に含まれる、まず瀬田川橋については大規模更新の対象でございます。また、山科川橋、追分橋につきましては大規模修繕の対象といたしております。

○穀田委員 更新と大規模修繕の対象だと。

 そこで、確認しますけれども、この三つの橋は十年以内に、今NEXCOは、大規模改修が不可欠だと載っています。これは一一年の時点の掲載ですから、二〇二一年までに大規模改修が不可欠だということになりますわね、当然。載ってんねやから。そこで、瀬田川橋や追分橋は耐震補強だとか改良工事を実施しているんですけれども、さらにその意味でのどの辺までの大規模修繕が必要なのかはもう一つ不明ですけれども、いずれにしても、二〇二一年までに改修しなくちゃいけないということは確かですね。

○徳山政府参考人 具体の大規模更新、大規模修繕のスケジュールにつきましては、先生おっしゃるとおり、確かに急いでやらねばならないという考え方でございます。実際には、法律をお認めいただいた後、具体の技術的な検討に入りまして、その具体のスケジュールを決める、こういうことになろうかと思っております。

○穀田委員 要するに任せですな。自分たちで十年以内にやらなくちゃならぬと言っているわけだから、それだったら、二〇二一年と違うかと聞いているんですよ。あっちがそう言うとんのやから、おたくのところが、国交省が具体の話についてまた聞いてみようなんて話、そんなおっとりした話じゃ困るんですよね。相手がやっとんのやから、それをきちんとやれよといったぐらい言ったらどうかと私は思いますけれどもね。ちょっと情けないなという気はしますがね。

 NEXCO西日本の関西支社のホームページには、「未来につなぐ信頼の道 新名神高速道路」と書いていますよ。その中で新名神高速の建設の根拠を書いていまして、このように述べています。「新名神高速道路が全線整備されれば、名神・中国自動車道とのネットワークの多重化により、名神高速道路の渋滞解消、災害時の代替道路の確保などの効果が期待されます。」こうしていまして、さらに、代替道路の確保というところでは、「自然災害や老朽化対策工事の際には、代替路線(リダンダンシー)としての機能を発揮できます。」と書いていまして、先ほど、今述べた三つの橋の老朽化対策の話をしましたけれども、こう書いています。「この大規模な改修工事を実施した場合、名神高速道路の代替路が確保されていないため、お客さまに多大な影響が発生してしまいます。」と書いていまして、何か、大規模更新で利用者に迷惑をかけるから新名神が必要なんだと言わんばかりなんですね。こんなおかしな話はないと思うんですね。

 では、新名神が開通するのはいつなんですか。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の新名神高速道路の二区間につきましては、大津ジャンクションから城陽ジャンクション間並びに八幡ジャンクションから高槻ジャンクション間ともに、平成三十五年度の開通を見込んでいるところでございます。

○穀田委員 では、計算すると、何ぼ。もう一遍言って。西暦で言って。

○徳山政府参考人 失礼しました。西暦で言いますと二〇二三年でございます。

○穀田委員 結局、三つの橋の更新というのは二〇二一年までにやるべしと。ところが、新名神が開通するのは二〇二三年。けったいな話なんやね。だから、橋の更新、改修は、新名神が開通する前に実施している。先ほどの理屈でいうと、本当におかしな話なんですよ。

 だから、工事中の代替路として新名神を使うことなんてできやしないんですね。だから、無論、この大規模工事の代替路を新名神建設の根拠にできるはずがない。誰が考えてもおかしな話で、新名神建設の根拠にするために老朽化対策をだしに使う、こういうのはやめるべきだと私は言っておきたいと思います。

 そこで、もう一つ。では、これはもともとどういう路線だったかというと、抜本的見直し区間なんですね。これはそもそも、当時、自民党の小泉首相が、民営化すれば会社は無駄な高速道路はつくらないといって、それまでの建設推進を抑制し、当時、皆さんも覚えておいででしょうけれども、九三四二以外はつくらないといって、さらに、九三四二の全部はつくらないとして、九三四二キロメートルの中に、抜本的に見直す必要がある、その区間を設定するとして明示された区間なんですね。すなわち、新名神の二区間というのは、三本目の高速は要らないということで設定された区間なんです。それが、大阪―京都を結ぶ第二京阪自動車道の完成後の交通状況を見て判断するとされたわけですね。

 そうすると、これが解除された、解除したわけですけれども、では、その解除の理由は一体何なんだということをお聞きしたいと思います。

○徳山政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この抜本見直し区間につきましては、周辺ネットワークの供用後における交通状況等を見て、改めて事業の着工について判断する、これが平成十八年当時の考え方でございました。

 平成二十二年三月に、新名神高速道路の主要な周辺ネットワークであります第二京阪道路が開通をいたしました。その開通の前一年と後の一年の渋滞発生回数を確認いたしましたところ、当時発表した資料でございますけれども、名神高速道路の瀬田西インターチェンジ付近の下り線では百八十回から百九十五回に増加をしておる、あるいは蝉丸トンネル付近の上り線では九十五回から百十九回に増加、京滋バイパスの瀬田東ジャンクション付近の上り線でも九十五回から三百二十六回に増加となっておりまして、渋滞が解消していないということがわかったわけでございます。

 加えて、地方公共団体や有識者委員会の御意見などを踏まえ、新名神高速道路の必要性が高いものと判断し、平成二十四年四月に事業に着手をすることとしたものでございます。

○穀田委員 それはいろいろ議論のあるところで、それで、きょう私持ってきたんですけれども、名神の老朽化の現状というのは、ここに、一ページ目の資料の一にあるものですね。そこで今述べた大規模更新をやっているのが二番目なんですね。

 そこで、三番目の資料、三枚目を見ていただいたらわかりますけれども、今お話あった検証を比較する場合に、こういった点もあるということを見ていただければありがたいと思います。これは、二〇〇七年九月から二〇〇八年三月、すなわち第二京阪の開通前と、二〇一一年九月から二〇一二年三月の交通量を比較したものなんですね。

 結果を見ていただくとわかりますように、茨木インターチェンジから大山崎のところでいうと二百二十一から百一。それから、上にありますように、上も下も見ていただければわかりますけれども、京都東インターから大津のインターチェンジのところを見ましても、渋滞回数は八十二回から七十二回に減っている。

 ですから、結局のところ、第二京阪が開通前と比較した場合に、問題になっている三区間のうち二区間では渋滞回数が減少していたということがこれでわかると思うんですね。それで、渋滞回数が増加した一区間も、週一回程度の渋滞にすぎなかったということであります。

 したがって、最大の根拠にしていた渋滞の状況は、第二京阪の開通で減少しているのが事実であります。私はこの辺に住んでいますから、要は、通ってみるとわかりますけれども、通っていると、ほんまにすいているというのが現実あります。ですから、抜本的見直し区間の凍結解除というのは根拠がなかったということであって、やはりこれは、この間ずっと、第二京阪が開通前とその後、全体の大きな中できちんと調べるべきだと私は思っています。そこはちょっと強調しておきたいと思います。

 そこで、もう一つ言っておきたいと思うんですけれども、私どもは、今述べてきたのは渋滞問題だということが一つと、それから代替路線という考え方があった。だから、この二つが、ある意味では抜本的見直し区間の解除の理屈に一応なっているわけですね。

 しかし、今見たように、渋滞問題についても、それはいろいろなとり方もあるし、気分もあるでしょうけれども、そういう現実がある。それから、代替路線というのはおよそそういうことが成り立たない。いわばこういう問題や疑問、異論、こういうものがある高速道路建設を最優先してやるべきではないというのが私の考えです。

 今急いでやるべきは、命と安全にかかわる大規模更新と修繕のことだと思っています。それに必要な費用は、抜本的見直し区間など新規建設の部分を再度検証し、凍結する、その費用を回すべきだと私は思っています。例えば、抜本的見直し区間の費用六千八百億円を大規模更新、修繕にすぐ振り向ける、抜本的見直し区間の工事着工の是非については議論を重ね、将来本当に必要だとなったら、そのときに費用をどうするかということを検討するということが必要だというのが私の考えであります。

 ですから、新たに無料化期限を延長するようなやり方ではなくて、今道路会社が新規建設を計画している、そのうちの費用から優先的に大規模更新、修繕に回していく、新規建設はその後に国民的な議論で検証していって必要な費用を捻出していくということが、今考えるべき、そういう礎石を置くべきところじゃないのかというふうに思うんです。

 今の国交省や政府のやり方は、建設費用は一切動かさない、それから、初めに建設ありきというやり方じゃないか、そういうやり方を改める時期に来ているんじゃないかと思うんですが、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

○太田国務大臣 具体的というよりは全体的なことにつきましては、そうした老朽化対策というものを最優先していかないと、命にかかわるというようなところでは、それは優先すべきものだというふうに思います。

 同時に、建設ということにつきましては、一つは、事業を中止すれば地域に対して多大な影響が生ずる可能性もあるということもあるんですけれども、経済戦略的な視点に立って、無駄な事業は削り、必要な事業は実施する。この老朽化対策あるいは耐震化メンテナンスという部分と経済戦略的に必要なものは、これはよくBバイCや、先ほどから申し上げますように、償還ということを考えて、厳しい財政制約というものを踏まえて、必要な事業というものは実施するということもまた大事であるというふうに思っているところでございます。

○穀田委員 それについて私は異論があるわけですね。

 まず、経済戦略ということで言っていますけれども、別に新規の事業が常に経済的な効果をもたらすというわけではないんです。やはり、大規模修繕や大規模更新、それ自身が大きな経済的波及効果があるという試算もあります。それが第一点。

 それと二つ目に、真に必要なと言いますけれども、自民党の、かつて小泉さんの時代に言われた抜本的見直し区間でいうならば、それはそのとき決めたわけですね。つまり、緊急性がないということで議論をして決めたわけですね。ですから私は、新規大規模建設を大っぴらにやっている時代と違うということを言っているわけです。

 だから、経済戦略的にも、命の最優先という問題からしても、その意味からしても、私はその予算を大規模更新、修繕に回すべきだと思います。

 大臣がメンテナンス元年と言っておられますけれども、私も、随分早くからこの問題については、老朽化対策については福田内閣の前から、一貫してこの問題についての経済的効果についてもずっと言ってきました。

 これは、既に今日では、先ほど私も紹介しましたけれども、社会資本整備審議会道路分科会の建議が指摘しています。それは、こう言っています。「最後の警告―今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」、こう言っていますね。

 そういうものの提起に応えるためには、私は、大規模更新、修繕に大胆に、それこそ最優先に回すことが必要だと。そのことを指摘して、二分ほど余っていますけれども、終わります。

○梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

○梶山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

○穀田委員 道路法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 本法案は、高速道路の大規模修繕、大規模更新を実施する費用を捻出するため、二〇五〇年までとしていた高速道路の料金徴収期間を六五年まで十五年間延長するなどとするものであります。料金徴収期間の延長は、高速道路の建設や修繕に係る借入債務の償還期間を先送りすることにほかなりません。

 高速道路の大規模修繕、大規模更新は緊急の課題であり、その費用は高速道路の新規建設よりも優先して確保されるべきものであります。

 法案に反対する第一の理由は、大規模修繕、更新費用が道路公団民営化時に償還計画に含まれていなかったことは、当初償還計画のずさんさを露呈し、民営化先にありきで、費用を小さく見せる意図的なものであったことを示しているからであります。

 本来、大規模修繕、更新費用は、道路公団民営化の際に、償還計画に含めておくべきものでした。社会資本整備審議会からも二〇〇二年以降、近い将来大きな負担が生じると繰り返し警告されていました。にもかかわらず、費用算定の具体の箇所や対処方法を決めなかったのは、管理費コスト削減を優先し、費用を小さく見せる意図があったとしか考えられません。

 第二の理由は、大規模修繕、更新の債務と高速道路建設等の債務を別枠としたことで、新規の高速道路建設を歯どめなく継続する仕組みを温存することになるからであります。

 今後も数兆円規模で予定されている道路建設を抑制し、その債務部分を回せば、大規模修繕、更新の費用を捻出することは可能です。ところが、四十五年償還の建設に係る債務に、大規模修繕、更新の債務は含めず、別枠にしています。これは、今後もふえ続ける大規模修繕、更新費用に影響されることなく、事業中区間の建設のみならず、約一千百キロメートルの未事業化区間についても、引き続き建設する仕組みを温存するためにほかなりません。

 第三の理由は、新規の高速道路建設を抑制することのないまま無料化を延長することは、新たな負担を利用者、国民に強いることにもなるのは明白です。

 最後に、立体道路制度の既存道路への適用拡大は、もともと、土地利用秩序や管理秩序が混乱するとして、国交省みずからが否定してきたものです。首都直下型地震等の大規模災害が想定されるもとで、防災安全対策の強化が喫緊の課題になっているときに、管理秩序が混乱するなどの事態を誘発することがあってはなりません。首都高の大規模更新等、老朽化対策が急がれていることを利用して、費用捻出のために規制緩和するのは、本末転倒と言わなければなりません。

 以上で反対討論を終わります。