国会会議録

【第183通常国会】

衆議院・本会議
(2013年6月24日)




○穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、自民、公明両党が、衆議院小選挙区を〇増五減で区割り改定をする公選法改定案について、参議院で否決されたものとみなす動議を提出し、衆議院での三分の二以上の多数をもって再議決し、成立させようとしていることに、断固反対の討論を行います。(拍手)

 憲法五十九条一項は、法律は、衆参両院で可決したときに成立することを原則としています。それは、衆参二つの院で審議を深め、その問題点を国民に明らかにすることを保障するとともに、選出方法の異なる両院で審議することによって、国民の意思を多元的に反映させる精神に立つものであります。

 衆議院で可決してから六十日を経過したとして、軽々に否決とみなし、再議決していいものではありません。

 しかも、法案は、選挙制度という民主主義の根幹にかかわるものであります。

 選挙制度は、国民の多様な民意をいかに正確に議席に反映するかを原則に、全ての政党、会派が参加して慎重に検討されなければなりません。

 ところが、今回の〇増五減をめぐっては、その出発の段階から自民党と民主党の政局的思惑で扱われてきたことを厳しく指摘しなければなりません。

 振り返ると、二〇一一年十月から、衆議院選挙制度をめぐって、十六回の各党協議が行われました。この協議は、最高裁が小選挙区間の格差を違憲状態と指摘したことを契機としたものでした。重要なことは、現行の小選挙区比例代表並立制が、民意を著しくゆがめており、民意を反映する抜本改革が必要だということが、民主党以外の多くの政党の共通認識になったことでありました。

 ところが、当時、民主党は、こうした議論を無視しただけでなく、消費税を国民に押しつけるため、国会議員が身を切る改革が必要だと称して、比例定数八十削減に固執した上、各党協議を一方的に打ち切りました。

 そのあげくに、昨年の臨時国会で、当時の野田総理と安倍自民党総裁の党首討論の場で、解散の条件として選挙制度を持ち出し、それに基づき、〇増五減案が、自民、公明と民主などの賛成多数で成立させられたのであります。

 日本共産党は、当初から〇増五減に反対してきました。〇増五減は、最高裁が違憲状態とした一人別枠方式による配分を実質的に残して、格差が二倍を超える選挙区をとりあえずなくすという、まさにこそくなびほう策であり、小選挙区制を維持、固定するものでしかありません。

 今、改めて、二十年前の政治改革が何をもたらしたのか、検証すべきであります。

 当時、我が党は、小選挙区制は、選挙制度の基本である民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだとして反対しました。同時に、小選挙区の区割りが、発足時から二倍を超える格差を容認していることは、投票価値の平等を踏みにじる違憲立法だと批判しました。

 出発点から問題のあるこの制度を二十年も維持し続けてきた各党の責任が厳しく問われているのであります。

 現行制度のもとでの六回の総選挙結果から、根本的欠陥は明らかであります。

 小選挙区で第一党の得票率は四割台にもかかわらず、七、八割もの議席を占めています。得票率と獲得議席に著しい乖離を生み出し、議席に反映しない投票、死に票が過半数に上ります。

 この四月から、仕切り直しをして、各党の実務者協議が八回行われてきましたが、ここで、小選挙区による過度な民意の集約が問題となり、民主党もようやくこれを認めたのであります。

 今やるべきは、民意をゆがめる小選挙区制を人為的に緩和するのではなく、小選挙区制を廃止し、民意の反映する制度に抜本的に改革することであります。

 もう一つ言っておきたいのは、国会議員の定数問題です。

 そもそも、我が国の議員定数は、国際的に見ても、歴史的に見ても少ないものであり、国会による政府の監視機能の低下を招くことは明白であります。定数削減に合理的な根拠は全く存在しません。

 最後に、選挙制度の抜本的改革の議論を呼びかけ、反対討論を終わります。(拍手)