国会会議録

【第183通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2013年4月19日)




○穀田委員 多数の人命にかかわる大規模建築物の耐震化は緊急の課題であって、耐震化を加速させる必要があります。

 これまで、地方自治体に耐震改修促進計画の策定を義務づけるなど、耐震改修の促進を図ってまいりました。その到達点はどうなのか。また、二〇一五年度までに九〇%という目標や、東日本大震災の教訓、南海トラフ地震、首都直下地震など、今後の大災害想定などから見ますと、今の到達点はおくれていると私は断ぜざるを得ないと思います。なぜおくれているのか、その要因をどのように認識しておられるのか、まず最初にお聞きします。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方公共団体の取り組みを含めた到達点でございますが、耐震改修計画につきましては、市町村につきましても、全部とは申しませんが、相当程度の策定が進んでおりまして、その上で、補助制度でございますけれども、こちらにつきましては、先ほど来お答えしていますように、住宅の方はかなり進んでまいりました。年を追って補助をする公共団体がふえておりますけれども、その他の建築物の方はまだまだという状況でございまして、これについては大変これから私どもも努力をしていかなければいけないということを認識させていただいております。

 それから、耐震化の状況でございますけれども、正式に出ていますのは古いデータで大変恐縮でございますが、平成二十年現在で、住宅が七九%、多数の者が利用する建築物が八〇%、目標値につきましては、推測でございますけれども、目標値達成のためには、この時点で大体二%ぐらいおくれていたというふうに認識をしておりまして、委員御指摘のように、まだまだおくれているのではないかということでございます。

 この要因でございますけれども、一つは、耐震化の中で、特に住宅は建てかえに相当期待をしておりました。大体一対三の割合で建てかえの方が多いというのがこれまでの趨勢でございまして、これにつきましては、二十年のリーマン・ショックを受けまして、目標設定時に百二十万戸と見込んでいた建てかえが、今八十万戸台ということで推移をしておりまして、これが一つの大きな要因になっていると思います。

 それから、耐震改修につきましても、耐震改修に多額の費用がかかる、所有者の認識が必ずしも十分ではない、工事中に利用できなくなるようなことがある、区分所有建物については合意形成が難しい、こんなような要因も考えられるところでございます。

 今回の法改正等で、これらの相当部分をある程度リカバリーできると思いますので、これから一生懸命、この向上に向けて取り組んでまいりたいと思います。

○穀田委員 いつも最後はそう言ってやっているんだけれども、おくれているわけですよね。

 一番最後のあたりで、おくれている原因とありましたけれども、結局のところ、多額の費用とおっしゃっていましたよね。それは確かに、東京都のマンション実態調査でもそれであって、改修工事の費用がないためというのが五〇・一%なんですよね。それから、診断に反対している主な理由を聞きますと、やはり、二番目ではあるんですけれども、改修工事費用がないためと、それから費用負担ができないため。おっしゃっているように、その点にあることは確かだと思うんですね。そこで、私は、そういう実態を踏まえながらやることが必要だということをお互いに認識したいというのが一つです。

 その上で、大規模のそういう建物の耐震診断を義務化して、その結果を市町村に報告させ、公表させることで、大規模建築物の所有者などは、耐震性がないと判断されれば耐震改修しなければならない。しかし、今お話ししたように、耐震改修費用がなければ工事もできない。幾ら耐震診断を義務化しても、改修費用をどうするのかということが一番ネックになる。これは誰が考えてもそうなんですね。

 そこで、二〇一二年度補正並びに二〇一三年度予算で、義務化に伴う緊急支援措置を設けています。これでどれだけの効果があって耐震改修が進むと考えているのか、お答えいただきたい。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 義務化に伴う予算につきましては、二〇一三年度のみでございます。二〇一二年度補正予算におきましては、防災・安全交付金の中で、住宅につきまして、国、地方で合わせまして三十万円、従来の補助に上乗せをするというような措置をとらせていただいたところでございます。

 二〇一三年度予算につきましては、住宅・建築物の耐震化を含めました社会資本整備総合交付金に従来の補助メニューは入れているわけでございますけれども、今般の法改正による、耐震診断義務づけの対象となる建築物に対する特別の措置として、補助率の引き上げ、場合によっては国のみでの補助、こういったものを可能にするための補助制度を別枠で百億円措置させていただいております。

 この百億円の使い道は、実際には診断の方が先行することになると思いますけれども、一例の計算でございますけれども、診断について一千から二千棟、耐震改修について三百棟から四百棟、今年度の予算で対応できるのではないかというふうに考えております。

○穀田委員 そこで、私が出しました、住宅・建築物の耐震化に関する主な補助制度の変遷というところに書いているんですが、今お話あったのは、平成二十四年補正、平成二十五年予算というところに書いているものを大体細かくお話しいただいたということだと思うんです。

 そこで、旅館業の意見についてということで、ちょっと具体的に話をしたいんです。実は私、私の祖父が全旅連、全観連という関係者だったものですから、その意味で言いたいわけであります。

 そこで、観光地である東伊豆町議会が、旅館の耐震対策への支援の強化を求める意見書というので要望をしています。

 それによりますと、耐震改修には、小規模でも改修に数千万円かかるとも言われ、大規模施設では数億円単位に改修が必要になるとも言われている。銀行からの融資が受けられる保証はない。国の支援についても、この程度の支援では、事業所は耐震に足を踏み出し切れない。今回の法改正は、地元資本の老舗旅館への廃業宣言と受けとめられるという、これほど厳しい意見も上がっているんですね。そして、国会に対して、法改正に対する支援を補助額や金融など総合的かつ大幅に強化するよう強く要望する、こういう意見書であります。

 ですから、東伊豆町町議会自身がこういう要望書を出している。このような意見にどう応えるのか。

 あわせて、私も今述べました、各党もお話があったようですが、全旅連の提出している五つぐらいの要望については、私も同業者の一族として、極めて切実で当然だと思うんです。この点、あわせて大臣にお答えをいただければと思います。

○太田国務大臣 東伊豆町の町議会から本年三月にそうした要望、意見書をいただいております。

 二十五年度予算案では、今回の法改正によりまして、耐震診断義務づけの対象となる大規模な旅館等に対しまして、国として特別の支援をすることとしております。

 具体的に、耐震改修の方につきましては、地方自治体の補助がない場合にも、国が単独で一一・五%、こうした補助をするとともに、地方公共団体の補助がある場合は、国の補助率を最大三分の一まで引き上げるということが可能となっているところでございます。

 このように、地方公共団体の補助がある場合に大幅に補助率を引き上げることができるというのが今回の仕組みでございまして、都道府県等に対しまして、補助制度の整備充実を図っていくよう強く要請をしたいというふうに思っているところです。

○穀田委員 今お話があったように、それは地方公共団体に補助がない場合もあるわけでして、そういうことも含めて言っておられるわけですよね。ですから、地方公共団体自身も援助するようにという督促をしていると思うんですけれども、なかなか財政的余裕がないという問題もありまして、その意味では、私どもとしては、国が最終的には、どういうところで、受ける側はどういう援助が最終的に受けられるのかということが、結果としては、どういう手だてであれ、全体として必要なわけですから、そこはよく見ていただいて、しっかり配慮願いたいということだけは、あえて言っておきたいと思います。

 そこで、次に、全ての住宅、小規模建築物の耐震努力義務化の方について聞きます。

 これもやはり資金がネックになっている。この努力義務化に伴う支援措置の拡充はあるのか、局長に端的にお答えいただきたいと思います。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回努力義務化しましたのは、一般の住宅、それから、賃貸マンションは従来からかかっているんですが、分譲マンション、さらにはそれ以外の小規模な建築物、こういうものについてでございます。

 住宅については、従来から補助制度がございましたし、先ほど来御説明をしている上乗せ補助の措置を講じたところでございます。

 マンションにつきましては、法律の方で耐震改修工法の多様化を認め、容積率の特例、あるいは区分所有法の特例を設けたところでございます。

 その他の小規模な建築物につきましては、これは優先順位ということもあって、国の交付金の基幹事業というところには、今のところ、入れてございません。

 しかしながら、公共団体の判断で、いわゆる効果促進事業という枠の中で、これについても助成は可能というふうになってございます。

○穀田委員 それで、今話がありましたけれども、この平成二十四年補正というところにも書きましたけれども、それ自身は時限措置でありまして、まだまだ極めて不十分だということを私としては思っている。

 そこで、国民の命や安全を守る上で、住宅・建築物の耐震改修というのは当然であって、誰も異議はないわけです。異論を挟む者はない。しかし、誰もが知っているように、資金力不足がネックになっているということは確かなわけですね。

 そこで、私が出しました資料の一ページ目の方にあるんですけれども、法制度も、一九九五年の阪神大震災後に法律が制定されて、二〇〇五年の法改正で、自治体への改修計画策定の義務化、そして二〇一三年の大規模建築物への耐震診断義務化へと、強制力を持たせる方向へと変化してきています。

 政府の支援策も、建築物については、法律の制定とともに一三・二%の改修補助が始まり、二〇〇五年度補正では緊急輸送道路沿道建築物の補助率を三分の二に引き上げ、〇八年度には避難所等も三分の二に補助率を引き上げました。

 先ほど来、ずっとこの間私どもと議論してきましたけれども、住宅についても、一九九八年に耐震診断、二〇〇二年には耐震改修で一五・四%の補助制度が創設、〇五年度の補正では地域要件も緩和、さらに、〇八年には地域要件撤廃などを拡充しています。

 確認しますが、耐震診断、耐震改修の支援制度を拡充しているという主な考え方、理由というのは、大臣、何でしょうか。

○太田国務大臣 とにかく、全体の政府ということでいえば、そうした状況に、地震があるたびに少しずつやらなくちゃいかぬということで来たんだというふうに思います。

 私は、学校の耐震化なんかは自分が一番国会議員の中ではやってきたというふうに実は思っておりまして、四川大地震がありまして、胡錦濤さんが来て福田内閣というときに、直ちにこれは支援をしなくちゃいけないと同時に、学校の耐震化でいいますと、五月二十日だったと私は記憶しておりますけれども、福田総理と談判しまして、一気に補助率を上げろということを言わせていただいた。その中で、これが急激に上がったというようなことがありまして、耐震化が大事だという意識を持つ人たちがその都度その都度やってここまで拡充してきて、今回この法案になったんだというふうに思います。

 したがって、お金の問題ということが一番、国も財政難、そして現場で住宅を持っていらっしゃるいろいろな方たちもお金が、直ちに改修費用が出ないというようなことがあって、どうしてもおくれがちになっているということでありますから、私は、これだけの大地震が起き、そして、これから首都直下、南海トラフ、さまざまな地震というものが想定されて、きのうも、おとついも、きょうもというような状況でありますから、何とか少しでも応援できるという体制を、予算化ということも含めてやらなくてはいけないと思っておりまして、ぜひとも多くの議員の皆様の御協力もよろしくお願いしたいというふうに思っているところでございます。

○穀田委員 大臣は、公の施設の話、学校の問題についても、ことしの春の最初の予算委員会でもお話ししていました。

 私が何でこんなことを言っているかというと、私自身も阪神・淡路大震災のときの六日後に国会で質問しまして、今やはり住宅支援というのがなければ生活再建はできない、だから住宅再建の支援制度をつくろうじゃないか、公的支援制度をつくろうじゃないかということを初めて私は問題提起しました。そこに哲学があるわけですね。それは、個人財産の形成に資するということで、当時拒否されたわけです。当時、村山内閣の時代でした。そこの根本について余り触れずに、わあわあっと外側のことばかりを今大臣は言われましたけれども、私は、ここのところの哲学を正す必要があるというふうに思っているわけであります。

 その場合に、個人の財産というんじゃなくて、例えば公益性に資する建物が一つ、三つ、五つ壊れた場合に、その沿道が壊れるということだとかも含めて、公益性に一つの阻害が出てくるという形でそれを補っていく考え方、そういう点が大事なんじゃないか、そういう点も考慮しながら私は考えてきたんじゃないかなというふうに思うんですね。だから、考え方の哲学を聞きたかったわけです。その点は後でもう一遍やりますけれども、それを聞きたいと思っています。

 そこで、私どもは、考え方を改めて提起したいと思うんですね。大臣も今、南海トラフの話もしましたし、それから首都直下の問題も、これは言わざるを得ないことになっています。そこで、私どもは、耐震化支援はもっとふやすべきだと思いますし、その点で三つの提案をしたい。

 一つは、耐震改修補助をもっとふやすこと、第二は、老朽化対策など他の改修事案とセットで総合的な支援制度にすること、第三は、地域のまちづくり、地域再生の一環と位置づけて支援すること、大きく言って、こういう考え方を提起したい。

 そこで、今、耐震化に係る国と地方の補助金の状況を見ますと年間どの程度あるのかということを一言、言ってくれますか。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 この耐震化の費用は、今回の特例は別でございますけれども、社会資本整備交付金の方で補助を出しております。この交付金の内訳というのが、実は集計をされておりません。そういうことで、こういうことでお許しいただけないかということで試算をしてまいりました。

 二十三年度に国の補助を受けて耐震改修した件数というのはわかってございます。戸建て住宅が八千九百戸、それから共同住宅、これはほとんど公営住宅でございますけれども、七千三百戸、特定建築物、多数の方が使われる建築物が千六百棟でございます。

 もう単価等の細かいことは省略しますが、一定の平均値みたいなものを掛けて算出をしましたら、戸建てが十五億ぐらい、共同住宅が七十億ぐらい、特定建築物が二百七十億ぐらい、大まかに三百五十億ぐらいの補助をしているのではないか。地方負担がほぼ同額でございますので、地方の方では、これを含めまして七百億円ぐらい使っていただいている、こんなことになっております。

○穀田委員 今ありましたように、多く見積もって大体三百五十億程度のようです。

 では聞きますが、東京外環道、関越から東名の事業費は、一二年度、国、地方で幾らであって、一三年度はどうか。これも数字だけ。

○前川政府参考人 お尋ねの、東京外郭環状道路の関越自動車道から東名自動車道間で事業費を申し上げますと、二〇一二年度は二百五十億円でございます。このうち、国の予算額が七五%でありますので百八十七・五億円、東京都の予算額は二五%の六十二・五億円でございます。

 なお、二〇一三年度の事業費については、予算成立次第、決定をいたすことになっております。

○穀田委員 何を言いたいかというと、高速道路の建設、それも外環道の一区間の予算が大体約三百五十億円。片や、全国の国民の命にかかわる住宅・建築物の耐震化予算がそれよりも少ない。これは防災や減災対策を最優先に考えるという状況ではないということだけ、一言、言っておきます。

 そこで、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、学校の問題について一言触れますと、学校でいうと、耐震化は進んでいるんですけれども、老朽化はそんなに進んでいないんですよね。ですから、そういう状況についてもお聞きしたいと思っています。

 老朽化対策の取り組みの状況と更新費の試算について、文科省、お答えください。

○清木政府参考人 お答え申し上げます。

 公立小中学校施設につきましては、第二次ベビーブームに合わせて建てられた建物など、建築後二十五年以上を経過した建物の面積が全体の約七割となるなど、老朽化が大きな課題となっているところでございます。

 現在は、主に昭和四十年代前半ごろに建てた建物の建てかえがなされているところでございますが、今後、学校施設建築のピークが昭和五十年代でございましたので、近い将来、こうした老朽化施設の対策のために多額の費用がかかることが見込まれているところでございます。

 このため、文部科学省といたしましては、専門家などによります有識者による検討を行いまして、改築よりも工事費が安く、また排出する廃棄物も少ないいわゆる長寿命化改修、これは七十年から八十年程度使用が可能になるものでございますけれども、そちらへの転換が必要であるというふうに考えているところでございます。

 このため、平成二十五年度予算におきまして、長寿命化改修に対する補助制度を創設したり、また、モデル事業や手引の作成などを行うこととしているところでございまして、文科省としましては、各地方公共団体の要請を踏まえまして、必要な支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、費用の試算でございますが、有識者による検討の際に、一定の条件のもと、今後三十年間の公立小中学校施設の更新費用を試算いたしましたところ、これまでの建てかえ中心の整備では、国、地方合わせて約三十八兆円必要となりますところ、長寿命化改修中心の整備では約三十兆円になるとされているところでございます。

○穀田委員 大臣、どっちにしても、長寿命化しても三十兆円、それから、そうでない改築をやった場合でも三十八兆円という多額の金がかかるということだけは確かだと。

 ですから、私がこの間ずっと問題意識で追及しているのは、どこの省がどの程度あるかと一つ一つやっているということがおわかりいただけると思うんですが、とてつもなく膨大な金がかかるということだけはお互いに認識は一致している、したということだと思うんですね。そのためにずっとこの間やってきました。

 そこで、老朽化対策というのは、笹子トンネルの事故を見るまでもなく、命や安全を守る上で欠かせません。大地震などの災害に対しても、脆弱性というのは、まさに耐震不足と変わらないわけであります。学校だとか公共施設だから公的助成は当たり前だけれども、民間である住宅なども、現場では、住宅リフォームとあわせて改修するというのが現実的です。

 その意味からも、一九八一年以降に建築された建物についても、所有者が望む場合は耐震診断の補助の対象にすべきだと私は思います。バリアフリーや省エネ、耐火などの住宅の安全、安心、快適性などのリフォームは、住宅・建築物の老朽化対策でもあるわけで、耐震改修だけの支援ではありません。ですから、これらリフォームも補助制度等支援を拡充すべきではないでしょうか。お答えいただきたいと思います。

○太田国務大臣 耐震改修工事に合わせて住宅・建築物のリフォームを行うということは、極めて効果的であるというふうに認識をしております。

 この二十五年度予算におきまして、住宅・建築物の省エネ改修とバリアフリー改修を同時に行うことができる補助制度を用意しているわけであります。この補助と耐震改修の補助とあわせて活用することで、総合的な質の向上が図れるというふうに考えています。

 また、ずっとおっしゃっている、私有財産だからという、そこの根本的な哲学の問題というのはなかなか突破できないことで、恐らく一緒にやったかと思いますが、被災者生活再建支援法のときも、ここがもう本当に長年苦労したことでありますけれども、これは、公共ということについて、どういうふうにその辺の哲学を考えていくかということについても今検討していく段階に来たのかな、私はそのようには思っているところでございます。

○穀田委員 その議論はその議論で一回ゆっくりするということで。

 ただ、今のこの間の、先ほど述べました支援、補助制度や耐震改修に関する法律ということを見ますと、徐々にではあるけれども、実際上は個人の財産に結果としてはつながる形でやっているんですよ。それはなぜやっているかというと、公共物、公共的な被害を及ぼさないようにということからも接近できるという角度でやっていることは確かなんですね。それは今後も少し詰めた議論をしたいと思います。

 ただし、今ありましたように、こういう補助制度等を拡充し、リフォームと一緒にやるというのは効果的だという点では、これは大臣としての大事な発言として、私はこれをテークノートしておきたいと思っています。

 先ほど、伊豆の旅館の話をしましたけれども、実は旅館業というのは、観光振興のかなめであります。国交省は観光庁も所管していますし、その意味で、地域活性化の中心であるということは、皆さん、言うまでもないと思っていると思うんですね。それだけではなくて、東日本大震災では被災者の避難所として、さらにはみなし仮設として献身的役割を担ってきました。ですから、そうした公益性や社会貢献性の強い施設の耐震化は、安全、安心なまちづくりとしても重要だと考えます。

 ですから、耐震補助に限らずに、まちづくりの支援としての補助、耐震化のグループ補助金制度、低利、無利子融資など、そういう意味での具体的な支援制度を創設、拡充すべきところに踏み込んではいかがかと思いますが、いかがですか。

○太田国務大臣 今言われたことの全てを、補助とかいうようなことの中で、直ちにここで答えるという状況にはないわけですが、ただ、旅館業の方たち、どこどこの観光地だというようなところは、また商店街もそうです、密集市街地というところもそうです、個別の建物ということだけで耐震化を促進するのではなくて、やはり、商店街は商店街全体、それで、旅館があって観光地であるというところはその町全体ということで、まちづくりもやるということが基本的なことだというふうに思っています。

 そういうことでは、老朽化したデパートを例えば耐震化する場合、周りの商店街も含めて共同で建てかえるというようなこと、町全体で地震や火災に強いということに物の考え方を置いていくということは、私は大事なことだと思っております。

○穀田委員 ですから、私が提案したのをもう一度見ていただくとわかるんですが、三つ言っているんですよね。つまり、耐震改修補助をふやす、それから老朽化対策などと他の改修事案とセットでやる、それから地域のまちづくり、地域再生、こういういわば広がりを持ってやっていく必要があるだろうということを実はずっと言ってきているわけなんですね。最後のところはそういう意味で御賛成いただいたので、今すぐ全部やれというのは、それは無理なこともわかります。一つ一つそういう考え方でやっていこうじゃないかということであります。

 最後に一つだけ。

 マンション管理規約では、形状の著しい変更の四分の三の特別決議を規定している場合があります。そこで、法改正をしても管理規約を変えなければ、四分の三の特別決議が優先されるのか。耐震改修を促進させるためには、管理規約より法改正が優先されることを徹底し、管理規約の改正を促すことも必要だと私は考えます。大規模修繕に反対する区分所有者の事情をよく勘案して、不利益等の原因を極力取り除くための援助が必要ではないか。このことについて、最後、お答えいただきたいと思います。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回規定をいたしております区分所有法の特例につきましては、これはいわゆる強行規定でございまして、管理規約には定めがあってもこちらの方が優先する、すなわち過半数の決議で耐震改修を行うことができることになります。

 委員御指摘のように、であれば、反対者ができるだけ少なくなるような支援策が要るんじゃないかということだと思います。管理組合向けのマニュアルの作成とか、いろいろな形での情報提供、これは従来もやっておりますけれども、当該制度を含めまして、もう一回しっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 また、先ほど来出ています外づけフレーム工法というのは非常にマンションには有効でございまして、容積率の特例を設けましたので、これでかなり賛同もいただけるのではないか、いわゆるブレースのバツが出なくなっております。

 それから、加えて補助制度は、これまでお答えしたとおりでございまして、地方への働きかけも含めて、一生懸命取り組ませていただきます。

○穀田委員 一番最初に言いましたように、現場の実態をよく踏まえてやっていただかないと進みませんし、それはやっていますやっていますというような話で、うまくいったためしがないんですよ。だから、やはり現場の意見をよく聞いてやるということを、我々もそれをお届けし、前に進めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。