国会会議録

【第183通常国会】

衆議院・消費者特別委員会
(2013年4月11日)




○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 きょうは、農事用電力料金の値上げについて聞きます。

 関西電力における農事用電力料金の規制部門と自由化部門、それぞれ値上げ率と値上げ幅はどうなっていますか。

○松田政府参考人 関西電力におけます規制部門の農事用電力料金の値上げ率につきましては、改定前と比べて約一四%の値上げになるものと承知しております。

 なお、規制部門全体では九・七五%、自由化部門全体では一七・二六%の値上げとなると承知しております。

○穀田委員 今、農事用電力の自由化部門の方は把握していないということになるわけですね。

 自由化部門とはいうけれども、事実上、十の電力会社の独占であって、新電力と言われている他の電力会社を選択しようがないのが実態じゃないか。だから、それらの値上げの実態をつかむのは当たり前の話なんですね。そういう点は、私は全くけしからぬと思うんですね。

 そこで、私は、滋賀県土地改良事業団体連合会の方々にお話をお聞きしました。

 例えば、農事用電力特別高圧で、関電は、電力量料金一キロワットアワー単価に二円三十九銭の加算単価を一律に上乗せしています。夏の季節でいえば三七・二%の値上げ、その他の季節で四〇・一%の大幅な値上げであります。

 森大臣、この契約が実行されれば、農業並びに消費者物価にどのような影響が及ぶと認識しておられますか。

○森国務大臣 米穀等農産品の価格は、その産品の市場の状況で決まってくるので一概には申し上げられないとは思いますが、電気料金が上昇した場合、それが小売価格に反映されることも考えられると思います。

 個別物資の価格動向は所管省庁において適切に監視されているものと考えておりますが、価格が急激に上昇しますと国民生活に与える影響が大きいですから、関係省庁と連携し、価格動向を注視してまいりたいと思います。

○穀田委員 一般論はわかるんやけれども、それはやはり、農事者がやっている仕事の中で、電力料金がこれだけ上がったら、それは上がりますわ。土地改良区の事業団の連合会の皆さんは、農水省にもそれから経産省にも、こういう形で要請書を出しています。

 それによると、滋賀県下の農業用水は、全農地面積の四四%が安定的な琵琶湖を水源としている。このため、揚水機を電動機によって駆動させ用水を供給、琵琶湖からの逆水に依存する土地改良区の年間の電力料金は約五億円と言われています、そう書いています。今回の大幅な値上げに大きな衝撃を受けている、土地改良区の運営にも支障を来すと訴えておられます。

 農事電力使用量合計が滋賀県で一番多い土地改良区を有する日野町の藤澤町長も、一円も上げてはならぬとは言わない、全体で年間三千万円、二七%の値上げになる、産業用の一七%値上げと比べても大き過ぎる、このような大幅値上げは、町の基幹産業である農業が潰れかねない、こう述べておられるわけであります。農業が維持できなくなる危険に直面していると言っても過言ではないと思います。

 農水省は、この事態に対してどう物を言ってきて、どう対応しようとしているのか、お答えいただきたい。

○江藤副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 先生のおっしゃることはごもっともな点が多いと思います。円安もありますし、それから、農事用の電力九五%がいわゆる農業水利施設で使われているということです。ただ、先生御存じのように、もともとの課金の分母が若干違うということもありますので、率をここで一概に言うのは私ののりをちょっと越えておりますけれども、少し議論の必要があるかとは思います。

 農林水産省としては、やはりこれは農家にとって、すぐに価格転嫁はできませんし、物財費の高騰というのが農家の経営を圧迫することは、もう間違いのない事実でありますので、まずは管理費用等の予算をきちっと確保する、これも当たり前のことであります。

 それから、水の管理方式。これは土地改良区にも御協力をいただかなければなりませんが、ポンプアップをするその量、やはりポンプを回す回数を、どれだけ時間を制限するのか、減らす努力をするということがまず必要になってくるかと思います。

 それから、契約時において何ワットで契約をしているのか。二百ワットなのか二百五十ワットなのか。それによって電気料金が変わってくるわけですから、過去実績をやはり見直しをして、その契約状況が現実と合っていなければ、安い価格帯での再契約に更新をさせていただくような指導をする。

 それから、国土強靱化も含めて、若干名前は今変わりつつありますけれども、この水利施設の更新とか長寿命化、こういうときには省電力型の機械にできる限り更新をしていただく。それから、小水力発電とかいろいろございます。

 ただ、先生に申し上げても、これぞという画期的なものがないことは重々承知をいたしておりますので、基本的にはやはり電力会社さんに、もうちょっと経営努力をきちっとして、すぐに価格転嫁に結びつけるようなことは私はやめていただきたい。

 内閣として、電力システム改革を今一生懸命やっているわけでありますので、また先生からも御指導、御意見をいただければありがたいと思います。

○穀田委員 やめていただきたいと言ったのは、これは画期的でして、立派なものだと私は思いますよ。政府全体が、やめてくれ、いいかげんにせいというような話にせなあきませんで、ほんまに。

 そこで、経営の努力の細かい話をしてはりました。せやけれども、江藤さん、みんなは、時間短縮して、本当にようしてはりますねんわ。そんなもの、これをやれ、あれをやれなんて、これ以上何ができますねんな。それを知っておってお互い言うてんのやからね。ほんまに難儀やなと私は思いました。分母が違う、これは、農業に対して当たり前に安くするというかつてからの、昭和の初期、戦前含めてやっていたという事態は知っていてお互いに言っておるのやから、それはあきまへんで。そういうことを含めて、これだけやはり関電に対する怒りというのは強いわけです。

 そこで、今ありましたように、関電は、国が指導すれば聞くということを日野町長に言っているらしいんですよ。だから、江藤さんが言っている中身をきちんと政府としてやっていただければ、私は大きな前進があるんじゃないかと思うんですね。

 というのは、自由化部門だけ好き勝手に料金を決めていいわけじゃないんですよ。だって、発電にかかるコストを積み上げた総原価をもとに、規制部門、自由化部門にコスト配分するという設定をする仕組みになっているわけです。だから、経産省は、その意味で与える影響を踏まえて、農水省はさっきそう言っていただきましたし、今度は経産省がそう言っていただければ、大体これで両方抑えられるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。

○赤羽副大臣 今回の関西電力に対する料金値上げの認可については、極めて安易に上げたわけではございません。一昨年三・一一以来のエネルギー制約に直面する中で、状況が、火力発電の発電量の増加に伴って燃料コストの上昇が伴う。しかし、さはさりながら、この値上げ申請に対して、電気料金審査専門委員会を十回開催いたしましたし、当然、電事法に基づいて、公聴会、インターネットを通じての国民の声も伺った上に、米国からのシェールガス輸入の効果も織り込んで計算しろと、かなり厳しくした上での認可だというふうな認識をしております。

 そのこと、規制部門でそういうふうにコストを値下げすることが、私は、自由化分野の料金についても値上げ幅を圧縮すること、これは関電の会長もみずから表明もしておりますし、そういう合理性があるものだということをまず申し上げておきたいのであります。

 今の江藤副大臣のお話にもありましたように、今回、火力発電の発電量の増加に伴うという燃料費のコスト増ですから、これは、いずれの料金メニューについても、基本料金は変更せずに、従量料金については一キロワットアワー当たり二円から三円値上げしたものであって、それを率で言われると、従来的に低く抑えていた農事用の電力が十数%になってしまうというような結果だと思います。

 それをどう評価するか、そこを抑えるということは、一般家庭用電力の値上げ幅をそのパラレルとして上げなければいけないのかということにも直面するので、その辺のことはよくよく吟味していかなければいけないのではないかと思うわけです。

○穀田委員 それはありませんで。やはり、農業用をなぜ安くしたかという経過を経産省はよく知っているんですよ。もともとそういうものについて、日本の国土を保全し、しかも農業関係は大事だからと安くしてきたわけですよ。そのことを含めてみんなで議論して、一般国民もこれだけでいいのかどうかということを議論したら、絶対うんと言いますよ。だから、そこは全く違うと私は思うんです。

 しかも、一七%じゃないんですよ。それは、さっき言いましたように、高電圧の関係はこれだけ上がっているという話をしているわけですからね。それとの対応をしてくれないと困りまっせ。

 問題は、滋賀県だけと違うんですよ。京都府南丹市の照明器具を使って野菜を育ててきた野菜工場が、電気代が二割も高くなるということで休業を余儀なくされ、従業員は全員解雇されたと言われています。このように、さまざまな分野で影響が出始めています。

 先ほど言いましたように、農業は安定した食料を生産し、地域経済と雇用に大きな役割を果たしているわけです。国土保全にも重要な役割を果たしている。ですから、その立場から電気料金についても監視していく必要がありますし、私は、もっと現場で起きている事態をきちんと掌握し、先ほど江藤副大臣からありましたから、こういう事態を掌握しつつ、認可申請中の東北と四国の査定にもっと厳しく反映させるべきだと思うんですが、大臣の答弁を求めます。

○森国務大臣 自由化の部門は、当庁とエネ庁との協議対象外になっておりますので、なかなか答弁は難しいのでありますが、委員の御指摘を踏まえて、消費者に与える影響等をさらに真剣に検討してまいりたいと思います。

○穀田委員 これは、単にそれぞれの省庁の役割というのではなくて、実際消費者に与える影響、それから起きている現象ということ自体について、きちんとやはり大臣としても協議していただいて、やっていただく必要があろうかと私は思います。

 次に、食の安全、安心とTPP問題について質問します。

 消費者は、命や健康にかかわる問題として、食の安全、安心に関して重大な関心を持っており、それに役立つ消費者行政を求めています。

 自民党は、さきの総選挙において政権公約で、TPP問題は六項目を公約として掲げました。その中の四項目めに、「食の安全安心の基準を守る。」としています。三月十五日、TPP交渉参加を表明した安倍首相も、守るべきものは守るとして、食の安全基準も含まれるとその後答弁しておられます。

 その点では、森大臣も、担当大臣として同様の見解でございますね。

○森国務大臣 TPPについては、我が国として、守るべきものは守り、攻めるものは攻めていく、国益にかなう最善の道を追求していくと総理が表明されたとおりだと考えております。

 先ほどの、食の安心、安全の基準を守るといった、これは自民党のJ―ファイルの公約でございますけれども、消費者庁としても、食品表示を含め、消費者の安全、安心に資するため、全力を尽くしてまいりたいと思います。

○穀田委員 では、食品添加物について聞きます。

 日本は、食品添加物の使用について厳しく制限してきました。食品衛生法で原則使用禁止にし、安全性が確認されたもののみについて使用を求める指定制度を採用していまして、約八百品目を定めています。現行では、日本で認可されていない食品添加物を含む食品は輸入できない。それに対して、アメリカは三千品目であります。食品の輸出拡大を目指すアメリカにとってこの違いは非関税障壁として、撤廃を求めています。

 米国通商代表部、USTRは、それぞれ毎年毎年の外国貿易障壁報告書では、食品添加物の取り扱いについて、日本の食品添加物の規制は、幾つもの米国食品、特に加工食品の輸入を制限していると、米国政府は、食品添加物リストの審査を完了し食品添加物に関する審査のプロセスを迅速にするよう、日米規制改革イニシアチブを通じて日本に強く要請していると述べています。

 アメリカで認められている添加物で、日本で認められていない食品添加物を使った加工食品というのは、これは当然、食品衛生法違反として、現在、日本への輸入が認められていません。そのために、アメリカ政府は、アメリカで認められている添加物での審査、認可を一刻も早くするようにと日本に求めています。その要求に対して、日本政府はどのように対応しようとしているのか、厚生労働省。

○新村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、米国通商代表部、USTRの報告書におきましては、米国を含む世界じゅうで広く使用されている食品添加物等につきまして、指定手続を迅速化するよう指摘されていると承知しております。

 しかしながら、食品添加物の指定につきましては、米国の要望いかんということにかかわらず、科学的知見に基づいて、内閣府食品安全委員会の評価結果を踏まえまして、あくまでも、安全性を確保するとともに、有効性があるものを指定するということにしております。

 今後とも、食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的知見を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

○穀田委員 日本は、安全性の認められたものだけ使用を認めるというポジティブリスト方式をとってきたわけですね。今、一つ一つ審査をし、厳格にこれは運用されてきたわけで、世界に誇るべきものだと思うんです。

 ところが、政府は、包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定していますが、それを踏まえ、EPAを推進するため、国内の非関税措置を撤廃、緩和するとして、食品添加物の承認手続の簡素化、迅速化、そして、国際汎用添加物の承認手続の簡素化、迅速化に向けてルールの整備を行うと決めています。

 これは、一九七二年の食品衛生法改正の際の「食品添加物の使用は極力制限する方向で措置すること」の決議を踏みにじって、アメリカの要求に応じていくという立場じゃないのかと思うんですが、いかがですか。

○新村政府参考人 御指摘ありましたとおり、一九七二年、昭和四十七年の附帯決議では、当時、食品添加物の安全性が問題となっていたこともございまして、「食品添加物の使用は極力制限する方向で措置する」と決議されております。

 その後、WTOのSPS協定が締結されるといった動きがございましたので、国際的な調和が求められる中で、一九九五年、平成七年には食品衛生法の改正がございまして、そのときの附帯決議では、食品添加物の指定等につきまして、国際的な基準も考慮しつつ、科学的な根拠による安全性評価に基づき指定等を行うという決議がなされております。また、二〇〇三年、平成十五年にも同趣旨の決議がなされていると承知しております。

 したがいまして、国際的に安全性が確認され、かつ汎用されている添加物、いわゆる国際汎用添加物でございますが、有効性と安全性を確認した上で国が主体的に添加物としての早期指定に取り組んでいるということは、これまでの附帯決議も踏まえたものであると考えております。

○穀田委員 そういった話をしているんじゃないんですよ。要するに、政府の方針でいうと、簡素化、迅速化するということを書いているから、違うんじゃないかと。

 しかも、今あなたはおっしゃるけれども、何も緩めたらいいという話を国会はしているわけじゃないんですよ。国際基準に合わせると言うけれども、国際基準というのは日本に比べて緩いということは、周知の事実なんですね。

 だから、結局、国会決議というものの背後にある、附帯決議の背後にある当時の情勢や国民の理解、そして、今新しく、それこそ食品の添加物に対して多くの方々が心配をなされている、そういう事態のもとでそれを守らなくちゃならぬという話なんですよ。私は、そういう点は、そういう解釈と同時に、国民の世論との関係でいって全く違うということを言っておきたいと思うんです。

 そこで、きのうの報道では、TPP交渉参加をめぐり事前協議が行われており、食品安全などなお調整、週内の大筋合意を目指すとされています。外務省、これは事実ですか。

○正木政府参考人 お答えいたします。

 日米間の協議は引き続き継続中でございます。我が国としましては、我が国のTPP交渉参加に対する米国の同意が可能な限り速やかに得られるよう、引き続き取り組んでまいります。

○穀田委員 それを今聞いて、みんなわかったか。わかるわけないやないですか、みんな。国民は、そういう事前協議でこうやっているのか、そして、「食の安全などなお調整 週内の大筋合意めざす」という報道があるけれども、それは事実なのかとみんな心配しているわけじゃないですか。そういう、今の食の安全に対して、安全、安心を守るとあそこまで言っておいて、こんな話が事前にやられているのか、報道はされているけれども、事実かと聞いているんです。

○正木政府参考人 恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、現在、日米間で協議を引き続き継続中でございます。

 協議の内容につきましては、したがいまして、今の段階で申し上げることはできません。

○穀田委員 やはり、こういうことを言えないという、それはほんまに、今のTPP問題について、事前にはわからない、交渉したら、それは秘密だ、終わっても秘密だ、こういうことを私どもは、あかんの違うかということを言ってきているわけですよね。

 しかも、アメリカがTPP交渉参加をめぐる事前協議で食品添加物の規制緩和を迫っているということが事実だとすれば、事は重大なんですよ。だから、それについて、いや、言えないなんて言っているんじゃなくて、もしそんなことがあったらだめだというふうに言うのが筋じゃないですか。だから、その点、大臣、どう思いますか。

○森国務大臣 私の所管分野ですと遺伝子組み換え食品の表示ルールのところなんですけれども、それについては議論の対象となっていないということは承知しております。

 いずれにしても、TPP交渉に参加した場合について、消費者庁は、以前から申し上げておりますとおり、食品表示を含め、消費者の安全、安心に資するために全力を尽くしてまいりたいと思います。

○穀田委員 遺伝子食品の話をしているんじゃないんですよ。今、全般の話をやっているわけですよね。事前協議、食の安全などはなお調整中だ、週内の大筋合意を目指す、ここまで書かれて、どないなってんねんという話をせえへん方がおかしいと思いませんか。副大臣はうなずいておられるけれども。

 大体、中身が、それは頑張りますと。頑張りますなんというのは当たり前の話であって、問題は、それをやられていることは広く知らせて、これは間違っているとか、それから、これはあかんとか、国民的にも、こんなになっているし、えらいことになってんねん、助けてくれとかいうふうな話をするのが筋だと言っているんですよ、私は。

 こんなことをやっておったら、TPPなどというのは、本当の意味で食の安全の確保などはできやしない。しかも、今の程度の話をして、答弁で質問に答えて、やりまっさなんという話で、およそ信用でけへんということがはっきりしたと思います。

 終わります。