国会会議録

【第183通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2013年3月19日)



○穀田委員 北朝鮮の核実験の強行は、核兵器のない平和な北東アジア、世界を求める国際世論への重大な挑戦です。核兵器、核計画放棄を求めた国連安保理決議に違反するものだと私は考えます。その意味で、唯一の被爆国の国民として断じて許すことのできない暴挙であり、私は厳しく糾弾したいと思っています。

 その立場から若干質問をいたします。

 北朝鮮が二月に強行した三回目の核実験に対し、国連安保理は、今月七日、制裁の追加、強化を盛り込んだ決議二〇九四号を全会一致で採択しました。この決議を主導したアメリカは、北朝鮮に相当な痛みを与える中身だと強調していますが、決議二〇九四号の主な特徴は何か、外務省、お答えいただきたいと思います。

○松山副大臣 お答えをいたします。

 今回の安保理決議でございますが、北朝鮮による核実験が今までの累次の安保理決議違反であると非難をしまして、北朝鮮によるさらなる挑発行為を禁止しています。また、これまでの決議と比較をして、北朝鮮による核、ミサイル関連活動に関連する金、人、物の動きを強く規制する制裁が含まれています。

 我が国は、一貫して、安保理が断固たる対応をとるように、米国を初めとする関係国と緊密に連携をして、今回の決議の共同提案国というふうになっております。安保理が、このように強い内容の制裁を追加、強化する措置を決定したことを政府として歓迎し、高く評価をしております。

 北朝鮮が国際社会の強い警告と非難を真摯に受けとめて、今般の安保理決議を初めとする一連の安保理決議を誠実にかつ完全に実施して、さらなる核実験、発射を含む挑発行為を決して行わないように、改めて強く求めてまいります。

 また、我が国としても、国際社会が一層効果的に北朝鮮問題に対応していく観点から、米国、韓国、中国、ロシア等、関係国と引き続き緊密に連携強化をしてまいります。

○穀田委員 強い措置ということで、歓迎するという旨が外務省からありましたけれども、改めて、国連安保理決議二〇九四号についての国交大臣の御意見を伺っておきたいと思います。

○太田国務大臣 今般の安保理決議では、二月十二日の北朝鮮の核実験を安保理決議違反と認定して、これを非難するとともに、特に、人、金、物の流れの規制の強化や貨物検査の義務化等の追加的な制裁措置等の包括的かつ強い内容が含まれるものになりました。

 国連安保理において、このような北朝鮮の核実験を非難し、北朝鮮及び各国がとるべき措置の決定等を含めまして、全会一致で採択されたということは高く評価されるべきであるというふうに思っております。

 現在、今般の国連安保理決議二〇九四号への対応について、内閣官房、そして外務省、財務省等とよく連携して、政府全体として、法改正の要否も含めまして検討しているところであります。

 国交省としては、特に貨物検査の厳格な執行等、これらが大事だということで、これらについて具体的な措置の検討を急いでまいりたい、このように思っているところです。

○穀田委員 私は、北朝鮮は、今回の国連安保理の全会一致で決議された内容、つまり、国際社会の総意をきちんと受けとめなきゃならぬと考えています。その点で、北朝鮮の軍事的挑発を抑えるには、北朝鮮に対して、国際社会からの孤立ではなく、累次にわたる国連安保理決議の義務の履行によって国際社会の総意を実行することが北朝鮮としても生きていく道なんだということを理解させなければならないと考えます。

 安保理決議二〇九四号の内容の問題ですが、今お話ありましたが、決議は、いずれの措置も国連憲章第七章四十一条に基づく非軍事で行うことを定めたということだと考えますが、外務省、それでよろしいですね。

○松山副大臣 お答えいたします。

 安保理決議二〇九四号ですが、前文において、安保理が国連憲章第七章のもとに行動して、国連憲章第四十一条に基づく措置をとることが述べられています。国連憲章四十一条は、安全保障理事会が、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができる旨を定めています。

 よって、安保理決議二〇九四号の措置は、委員御指摘のとおり、国連憲章第四十一条に基づく兵力の使用を伴わない措置と位置づけられます。

○穀田委員 私も、先ほど、外務省から決議の訳をようやく、五分ほど前にいただきましたけれども、その中に書いているんですが、三十三項に、「事態の平和的、外交的かつ政治的解決の約束を表明し、また、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を容易に」する、こういうことを書いていまして、その前文のところでは、先ほどありましたように、一番最初の項目の中に、国連憲章第七章のもとで行動し、同憲章第四十一条に基づく措置をとって行うということを書かれています。ですから、そういうことなわけです。これは極めて重要でして、国際社会が北朝鮮のそういう挑発に対して、平和的、非軍事的措置で対応することを改めて明らかにしたものであります。

 これは私、一貫して言っているんですが、軍事に対して軍事で対応するというのは悪循環を生むだけで、国際社会の一致した対応を妨げるものだと考えるからであります。

 そこで、国連決議への対応についてお聞きしたいと思います。同決議二〇九四号に関連して世界各国はどのような対応をしているのか。特に、六カ国協議の関係国である韓国や中国の対応はどうなっているか、報告されたいと思います。

○松山副大臣 お答えいたします。

 今般の決議の採択に対しまして、中国及び韓国ともに、これを支持する旨の反応を示していると承知をしています。

 中国については、例えば外交部報道官、安保理の北朝鮮による核実験に対する必要かつ適度な反応を支持する旨を発言しており、また、中国の国連常駐代表ですが、決議の完全な実施が重要であるという旨の発言をしております。

 韓国につきましても、例えば外交通商部スポークスマンが、今般の決議を全会一致で採択したことを歓迎、支持する、制裁の範囲と強度を一層強化したことを評価する旨の声明を発出しています。

 我が国として、国際社会が一層効果的に北朝鮮問題に対応していく観点から、今回の決議を踏まえて、中国、韓国を含めて関係国と引き続き緊密に連携をとり、協力をしていく考えでございます。

○穀田委員 今、副大臣からありましたように、韓国と中国と、簡単に言えば、この二つの国と今我々いろいろなことでやっているわけですけれども、そういう、連携してやらなきゃならぬことが大事だということですね。

 そこで、北朝鮮のそういう挑発をやめさせるためには、対話のテーブルに着かせることが大事であります。北朝鮮を対話のテーブルに着かせようと思いますと、今お話があったように、国際社会が一致して、実効ある制裁をやっていくということですね。

 そうした制裁の強化というのは、制裁のための制裁ではなくて、国際社会が一旦到達した枠組みで北朝鮮が約束した内容、具体的に言えば、二〇〇五年の六カ国協議共同声明で北朝鮮は核兵器の放棄を合意しました。二〇〇二年の日朝平壌宣言、二〇〇〇年の南北共同声明など、これらの内容に復帰させ、先ほど三十三項を引用しましたけれども、問題を平和的、外交的に解決する立場に徹することが何よりも重要だと思いますが、その点をお伺いしたい。

○松山副大臣 御指摘のとおり、我が国は、北朝鮮が累次の安保理決議、そして六者会合共同声明、また日朝平壌宣言等に基づく、みずからの国際的義務やコミットメントを誠実かつ完全に実施をすることが重要と考えています。

 我が国としては、関係国と連携をしながら、北朝鮮に対して、これらの国際的義務そしてコミットメントを誠実に、かつ完全に実施し、いかなる挑発行為も行わず、拉致問題の解決、非核化等に向けた具体的行動により、みずからの姿勢の根本的変化を示して、国際社会との関与を通じた前向きな対応をとる道を選択するよう求めてまいります。

○穀田委員 私は、今お話ししましたが、北朝鮮自身が合意した内容の枠組みに戻すということが大事だと考えます。特に六カ国協議は、北東アジアの平和と安定に直接かかわる当事者が一堂に会する交渉の枠組みです。したがって、協議の再開、復帰を求めていく必要があると私は考えます。

 その点では、安保理決議の内容も、三十四項で「六者会合への支持を再確認し、その再開を要請し、すべての参加者に対して、朝鮮半島の検証可能な非核化を平和的な方法で達成し、かつ、」ということで呼びかけている。そういう点でも合致すると思うんですね。

 そこでもう一つ、私は、北朝鮮の核実験と核開発の正当化を許さないためにも、国際社会が本気になって核兵器のない世界をつくるための具体的な行動に出ることが必要かと思いますが、その点での国交大臣の御所見を承りたい。

○太田国務大臣 国交大臣という立場を超えた話になるかと思いますが、全くおっしゃるとおり、核兵器のない世界ということの方向にしっかり歩みをしていくことが大事だというふうに思っています。

 北朝鮮が、穀田先生おっしゃるように、平壌宣言、あるいはまた二〇〇五年の六カ国協議、そうしたことで約束をして、また枠組みがあるというところ、そして、それを踏まえて、今回の二〇九四の中には、そうした連携をしっかりとるように、国際社会が一致して対応するということを言っていますから、その枠組みを本当に大事にしながら、そこを再構築していくという中でこの問題に対処していくということが、私は極めて重要なことだというふうに思っています。

 核兵器のない世界ということについては、これまでNPTあるいはCTBT、さまざまな取り決めがありますけれども、それらの、世界が一致して取り組もうということをもう一段と大事にして、枠組みを再構築しながら対処していくということに前進を果たすことが大事だというふうに認識をしています。

○穀田委員 私は、今、北朝鮮が、何度か核実験をやることによって、核保有国であることの既成事実化を図ろうとしているんだと思うんですね。そこの最大の理論づけ、彼らがどんな理論で言っているかというと、核兵器は抑止力だ、こういう考え方なんですね。結局、核抑止力論ということを展開しています。私は、これは絶対に許されない態度だと思っています。私たちは、どんな国であれ、新しい核保有国になるのは反対であります。

 ここで考えなければならないのは、今述べた、国際社会が本気になって核兵器のない世界に向かっていくための具体的な行動に出る必要がある。今、大臣は、もう一段とということで、さまざまな取り組みをさらに進める必要があるということをおおむねおっしゃいました。その意味で、私は、国際社会が核兵器のない世界、その実現のための全面的な核兵器禁止条約、NWC交渉を開始するということが必要じゃないかと考えます。

 北朝鮮の核実験を受けて、被爆者団体は政府に申し入れを行っています。一つは、北朝鮮が直ちに核兵器の開発、核実験計画を放棄すること、二つに、全ての核保有国が核兵器禁止条約の交渉に積極的な役割を果たすこと、三つ目に、日本政府が被爆国として同条約の交渉開始へイニシアチブを発揮すること、この三つを要請しています。

 私は、今、日本が唯一の被爆国として、その被爆者の方々が、どうしても世界を、核兵器のない社会をつくっていこうということの切なる訴えがここに示されているんだと思うんです。したがって、以上の提起を真正面から受けとめて被爆国の政府としての役割を発揮するよう求めて、質問を終わります。