国会会議録

【第180通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2012年8月7日)




○穀田委員 私は、まず航空分野の安全について聞きたいと思います。

 高速ツアーバスの事故で、規制緩和が問題になりました。参入規制を緩和したため、事業者がふえ、運賃のダンピングが激化するなど過当競争が発生しました。さらに、法令違反を繰り返す事業者がはびこる事態も生まれています。運行に直接かかわる運転手の賃金や労働条件の低下を招き、安全が脅かされてきました。

 交通運輸分野というのは、人の命を預かり、運ぶために、運転手の状態が安全に直結する。だから、当然、日雇い労働や長時間運転など厳しい規制があります。かつて規制緩和を推進した側も、安全など社会的規制は緩和しないと言ってきましたし、国交省は、事前チェックから事後チェックに変えるが、監視、監督は強化すると言ってまいりました。しかし、実際は、先ほど述べたように法令違反も常態化し、検査官の数も足りず、穴だらけだった。先日の東北道の高速ツアーバスの事故、前回も指摘しましたが、監査に入ったのに、乗務時間を点検しなかったというチェック内容のずさんさも露呈しました。

 これだけ交通分野での安全が問題になっているときに、安全規制の緩和というのは問題だと言われている時期に、信じられない話がある。航空分野の安全を規制緩和すると言われています。しかも、百項目にわたって緩和する。これは事実なのか。そして、なぜこのようなことをするのか、目的は何か、安全を守れるのか、こういった点について大臣に見解をお聞きしたいと思います。

○羽田国務大臣 現在、航空分野においては、首都圏空港の容量拡大、オープンスカイの進展、LCCの参入、シミュレーターの普及などの航空技術の進展など、航空を取り巻く環境が大きく変化しております。

 このため、安全の確保を大前提とした上で、技術の進展や国際標準等を踏まえて、昨年十二月より有識者会議を設置し、航空技術分野の専門家の参画を得て、規制及びその運用について見直しを行ってきたところであります。

 公共交通において安全確保は最大の使命であります。国土交通省といたしましては、航空技術規制の運用状況のフォローアップを含め、引き続き公共交通の安全確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

○穀田委員 万全を期していきたいという気持ちは、それは当たり前の話なんですけれども、問題は、この間何度も指摘したけれども、安全が脅かされている実態があるわけじゃないですか。不安全事例が相次いでいる事態を私は何度も告発してきました。スカイマークが、ことしだけで六件の安全にかかわるトラブルが発生し、厳重注意を受けた。日航も、相次ぐふぐあい事象に危機感を抱き、特別安全キャンペーンを実施した。コスト削減のために台風の中を突っ切るとか、骨折していた機長が操縦したなど、信じられないケースが発覚しています。

 規制緩和を、誰が、何のために要望しているのかということを見きわめる必要があるんですよ。はっきりしているのは、LCCの参入を初め競争が激化する中で、いかにコストを削減するか、コスト削減競争を強いられる航空業界の要望が背景にあるということを見きわめなければなりません。安全規制さえ緩和してコストを削減する。結局、業界にしてみれば、安全など二の次になる。

 そういう業界の要求を受け入れて安全規制を緩和する政府、行政というのは、安全を確保する責任の放棄じゃないのかと私は疑わざるを得ません。したがって、航空の安全を確保できるのかということを改めて問いたいと思うんですが、いかがですか。

○羽田国務大臣 今般の見直しについては、航空会社の要望があったことは事実であります。しかし、あくまでも安全の確保を大前提とした上で、国際標準等を踏まえ、安全性の検証を行い、実施しているところであります。

 その際、有識者会議を設置し、航空技術分野の専門家の知見に基づく意見をいただいた上で、最終的な判断は行政側で行うこととしております。

 いずれにしましても、公共交通において安全確保は最大の使命である、こういうふうに認識しており、国土交通省としては、今後とも、公共交通の安全の確保に万全を期していきたいというふうに考えております。

○穀田委員 何やら、先ほどの答弁を繰り返しているというのが実感なんですけれども、私、思うんだけれども、ツアーバスの事故で、監査の強化とか、万全を期すという話がいかに空虚に聞こえるかということなんですよ。

 ある新聞では、安全について規制を担う官庁が、同時に業界を発展させる役割を担っているということが問題だと言っているんですね。これは、先ほどの答弁の中にずっとありますように、こうやっているから大丈夫だ、しかし航空会社からの要望であることは確かだ、こう言っている。みずから言ってきた、規制緩和については、安全規制はきちんと守るんだという角度が非常に後退しているということを私は指摘せざるを得ないと思うんですね。

 機長らでつくる日本乗員組合連絡会議などが、次のように意見を申し入れています。

 二十四時間空港と同時に航空機の高稼働化が進んでいる中で、できるだけ整備時間を減らし、整備士も減らす、こんな動きが進んでいます。到着から出発の間に行う飛行間点検やダブルチェックは安全運航を担保する基本でしたが、飛行間点検、ダブルチェックは省略の対象になっています。

 こういう指摘をしているし、そして、元日航機長で日本ヒューマンファクター研究所の桑野偕紀所長も、激しい競争にさらされた企業は安全を軽視することがある、ツアーバス事故はそれを証明している、国交省は徹底して目を光らせないといけないと指摘しているんですね。

 ですから私は、ここは本当に、安全にかかわる規制は緩めてはならないという立場でどれほどやるのかということが問われていると思っているんですね。その辺、御見解はいかがですか。

○羽田国務大臣 今委員から御指摘をいただいたことについては、やはり私も、安全、安心というのが第一だというふうに思っております。

 最終的には行政が決めることでありますので、しっかりと検討もさせていただきたいと思います。

○穀田委員 その際、有識者会議を経ている、最後は行政が、この語り口のパターンというのは原発とよく似ているんですよね。くれぐれも、そういうことで同じ過ちを繰り返してはならぬということだけは指摘しておきたいと思います。

 次に、日本航空の再建にかかわっての問題について質問します。

 真の再生は、私が一貫して主張してきました安全性と公共性の確保が必要であり、それは政府の責任であることを指摘してまいりました。とりわけ、利益なくして安全なしという安全軽視の経営手法を批判し、さらには百五十六人もの整理解雇は全く必要がなかったことを明らかにし、その不当性を指摘し、さらに、それが職場のモチベーション低下を招いて不安全事例にも影響していることを述べてまいりました。

 きょう、改めて、日航の真の再生とは何か、政府の責任について見解をただしたいと思います。

 先日、東京証券取引所が日本航空の株式再上場を承認しました。九月十九日を上場予定日にしている。この再上場をめぐっては自民党の方々からもさまざまな問題点が指摘されました。

 まず確認したいんですが、過去最高の利益を上げている日航が欠損金の繰越控除制度を使わなかった場合、納税額は幾らになるか。

○長田政府参考人 日本航空からは、二〇一一年における繰越欠損金による法人税の控除額は約三百五十億円であるというふうに聞いております。

○穀田委員 三百五十億円だと。

 大もうけしている企業が、法人税を実質的に払わなくてもいい。しかも、今後九年間にわたって納税しなくてもよい。そうすると、このままでいけば、約四千億円にも上る巨額の税金を納めなくていいと報道されています。なぜこんなことが許されるのか、大臣にお聞きします。

○羽田国務大臣 御指摘のとおり、日本航空においては、今後、繰越欠損金制度により多額の税負担が軽減されることが予想され、その点については少なからずの方が割り切れない気持ちをお持ちだというふうに指摘をされております。そのことについては承知をしているつもりであります。

 一方で、繰越欠損金制度は、欠損金が発生した全ての法人に適用される税制上の一般的な制度であり、優遇や支援といった特例的な制度ではないと承知をさせていただいております。

○穀田委員 特例的ではないと言うけれども、そんなことを言い出したら、更生法の適用会社は例外扱いして、七年目までの一〇〇%の相殺が可能となっているんですね。だから、そっちできちっとやったらいいじゃないかというふうに私は思うんですね。

 実は、今大臣がおっしゃった制度というのは、一二年度の税制改正で、法人税の免除期間は七年から九年に延長されたんです。延長されたんですよ、前からあったというだけじゃなくて。そして、再建中の企業には欠損金の適用で優遇措置も生まれた。だから、日航の支援のためじゃないかとささやかれたほどなんですよね。

 歴史を見ますと、公的資金を入れた銀行も、この制度によって税金を納めてこなかった。ところが一方、今、全企業にだと言っていますけれども、庶民には消費税の大増税、もうけがなくて赤字であっても税金を取られる消費税の増税、片や、二千億円も大もうけする企業が税金を納めなくていい。私は、不公平という問題について、その制度の問題が国民にとってどうなのかという角度から見なくちゃならぬと思うんですね。公的資金は確かに返ってくるかもしれないけれども、減税したものは国庫には入らぬわけですから、優遇過ぎる税制だと私は思うんです。

 JALとかメガバンクという大企業で、そして公的資金が投入されている、三つ目に、その上、大もうけをしている、この三つの条件を満たす場合に、税金を払わないというのはどうもおかしい。だから、このような場合は、制度から外すということなどを初めとして見直すべきじゃありませんか、財務省。

○三谷大臣政務官 先生御指摘の欠損金の繰越控除制度は、企業活動が期間を定めずに継続的に行われるのに対し、法人税については、事業年度を定めて所得の計算をするという制度的な問題に対応するものであって、先ほど大臣がお話をされたように、支払うべき税金を免除するといった特例的なものではありません。また、一般論で申し上げれば、こうした制度の見直しを行うに当たっては、その目的や影響等を含め、慎重な検討が必要だと考えます。

 なお、本制度については、平成二十三年度改正において、法人実効税率の引き下げとともに実施した課税ベースの拡大の一環として、大法人の控除限度額を所得金額の八割に制限するという見直しを行ったところでございます。

○穀田委員 あれこれ言っているけれども、こんな制度がいいのか、国民にはさっぱり理解できない。常日ごろ、金が入るのをあれこれ言う財務省が、こういうことだけは気前がいい。本当に情けない限りですよ。

 こういう制度の問題はお互いにわかっているわけです。しかし、こういう制度であるかもしらぬけれども、大もうけしている、公的支援を受けている、そして大企業だという場合には制度から外すぐらいのつもりでやったらどうかということを言っているわけですよ。そんなことぐらいできないようでは何のための政治かと私は思うんです。

 そこで、ちょっと聞きますけれども、第三者割り当て増資で百二十七億円があったわけですけれども、京セラが増資引き受けしたという話もいろいろ出ていました。日航の上場で株式が売りに出されるけれども、その価格は一株当たり幾らになりますか。

○神田政府参考人 お答えします。

 有価証券届け出書では、想定売り出し価格は一株三千七百九十円というふうになっております。

 ただ、この価格につきましては、需要状況等を勘案の上、九月十日に最終的な売り出し価格は決定される予定でございます。

○穀田委員 そうすると、総株式数でいいますと一億八千万株強ですから、六千八百七十億円になる勘定で、約二倍近くなる。

 そうすると、日航の支援は、企業再生支援機構が総額三千五百億円を二〇一〇年十二月一日に出資した。これに対して、日航は第三者割り当て増資として一億七千五百万株、二千円で発行しています。このほか、二〇一〇年十二月二十四日に二千株、四百万円。これは当時の日航役員二十名に、一人二十万円で買わせている。

 さらに、会社更生法の手続終了直前の二〇一一年三月十五日にも六百三十五万株、総額百二十七億円を発行している。当時会長、現名誉会長の京セラの稲盛さんも買っているようであります。発行された株式を取得した会社名、取得株数、価格について回答されたい。

○大串大臣政務官 当時の第三者割り当て増資のときの一株当たりの価格は二千円でございました。

 当時、第三者割り当て増資をしてそれを引き受けた者は、先ほど名前が挙がりました京セラ以下の八社であったというふうに存じております。

○穀田委員 名前を言ってくれと言っているだけだから、京セラ以下というのはどういうつもりかいね、京セラは買っているということを言っているわけだから。

 会社名を言ってくれと言っている。もう時間がないからあれだけれども、京セラが二百五十万株、五十億円で買っている。それから大和証券五十億円、そのほか東京海上日動火災だとかジェイティービー、こういったところやね。それを言ってくれと言っているんです。

○神田政府参考人 御指摘の内容については、既に有価証券届け出書で公表されております。

 京セラ、大和証券、そのほか、あいおいニッセイ同和損保、損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上、それから阪急交通とジェイティービーということで、既に開示されているところでございます。

○穀田委員 そうすると、上場によって、京セラも倍近い利益がある。だから、日航が上場すれば、結果として稲盛氏の身内の会社も五十億円近い利益を生むということになるわけですよね。稲盛氏は必ずもうけになることがわかっていて京セラなどに株式を割り当てたんじゃないかと考えられるけれども、簡単に言えば、稲盛氏はもうかるということがわかっていたんじゃないかという疑いは免れないわけですよね。

 そこで、一つ聞きたいんですけれども、日航が債務超過を解消したのはいつか。いつ解消したか。

○神田政府参考人 債務超過を解消いたしましたのは、平成二十二年の十二月時点で解消いたしております。

 この情報につきましては、翌年一月末に裁判所に提出いたしました月例報告にこの情報も含まれておりまして、債権者等の利害関係人は誰でも閲覧可能な状況となってございます。

○穀田委員 さっきから聞いていると、公表しているんだ公表しているんだと、一体何が言いたいのかよくわからぬけれども、そんなことわかって聞いているんだから、あなたのところはちゃんと答えたらええのや。その最後の答えなんか要らぬのや、それが何やちゅうねんと私は言いたいわけや。公開しているだ公表しているだって、当たり前やんか、皆知っているのだから。確かめているだけやんか。何でそんなことを一々言わなあかんのか、本当にわからぬわ。

 問題は、今わかったように、いいですか、ここからが大事なんです。債務超過が解消されたのは二〇一〇年の十二月なんです。しかも、営業利益が、更生決定後から九月までに千七百億円に上ることが確実だったんです。そして一万六千人の人員削減も達成していた。だから、会社がその時点で二次破綻するだとか、潰れるだとかいうことについての認識は経営陣にあろうはずがないんですよ。要するに、解消するということが十二月末にあったわけでしょう、利益も上がるということなんかを含めて言えば、二次破綻だとか、潰れるとか、経営陣にあろうはずがない。

 私が何を言いたいかというと、結局、その実態を知っているからこそ、稲盛氏は当時、不当解雇、整理解雇をやったわけですけれども、そういう問題について、解雇は経営上必要なかったと言っているのは、実はそこに根拠があるんですね。

 公的資金の支援を受けて大もうけしたのに、税金は免除される、その上、身内の企業に大もうけさせる、こんなやり方が許されるはずがない。企業の社会的責任、経営モラルからしておかしい。しかも、大もうけしたのは、売り上げが上がり、商売がうまくいったからじゃないんです。一万六千人の人員削減によるコストカットによるものであります。先ほども言いましたように、こういうときに、経営上、解雇は必要なかったと裁判で証言しておりながら、整理解雇、首切りまでやって、それをいまだに撤回しようとしない。だから、ここには、実は従業員を犠牲にして大もうけするということがありありと見える。

 国がこのような公的資金を入れたのは、こんな再生支援のやり方というのは正しいとお思いですか。その辺、大臣にお聞きしたいと思います。

○吉田(お)副大臣 日本航空につきましては、再生支援決定時の政府声明におきまして、我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っていることから、同社が再生を果たすまでの間、政府としても必要な支援を行うとされております。

 この方針に従いまして、政府として、裁判所の関与による透明性、公平性が確保された手続である会社更生法の適用と、企業再生支援機構による支援が行われてきたものと承知しております。

 これらの支援は、日本航空の再生のために必要な措置であったと考えております。

○穀田委員 それは公式の文書なんですよ。それはわかっているんです。

 問題は、今私が指摘したように、一つは、公的支援を受けて大もうけしたのに税金も免除、それから身内の企業に大もうけさせる、その上、従業員は首を切る、こういうやり方が再生支援として行われた結果、生まれている事象なんですね。

 あなた方の言っているのは、吉田副大臣が言っているのは、こうやってきました、こういう立場ですというのは、当時の日航支援についての公式の考え方なんですね。その考え方がこういう結果になっているんだが、そういう再生支援のやり方はよかったのか、こう聞いているんです。

○吉田(お)副大臣 繰越欠損金は税制上の一般的な制度でありますし、今御指摘の解雇の問題につきましては、現在司法の場で争われており、その推移を見守りたいと。

 そして、今委員の御質問で申し上げますと、これは再生のために必要な措置であったと考えているということであります。

○穀田委員 見守ると言っているのと、必要な措置であったというのは分けて言っているんだよね。それは確かだね。

○吉田(お)副大臣 もう一度申し上げますと、別で、これらの支援については再生のために必要な措置であったということ。

 そして整理解雇の問題については、現在司法の場で争われておりますので、その推移を見守りたいということであります。

○穀田委員 改めてわざわざ聞いたのは、その違いは違いではっきりさせておかないとあかんからね。

 そこで、この間の質疑の中で、大臣は、利益なくして安全なしというのは間違いだと。実は、私が指摘したのは、これは稲盛氏の経営哲学なんですね。もうけ、利益ばかり優先する再生手法は、結果として安全もないがしろにしてきたということを私は何回も指摘してきたわけです。

 先ほど述べましたけれども、コスト削減のために台風の中を突っ切ることだとか、骨折しているのに交代もせずに操縦桿を握っていて、到着後、病院に救急搬送される機長までいるし、機内では、客室乗務員には物品の販売にノルマが課せられ、保安要員としての任務を散漫にさせる。さらに、カートの飛び出しなど不安全事例が相次いでいる。さらには、こんなことまで起こっている。JALは管制官が速度を上げるように指示しても従わない。速度を上げれば燃料を食うから、こういうことまで報道されている事態です。

 安全確保が大前提ということは大臣もおっしゃっているし、何回も議論してきました。私は、一番大切な安全性と公共性を、再生に当たって貫かねばならないということは自明の理だと思うんです。しかし、それを実行するためには、繰り返し求めて言いますが、やはり整理解雇したベテラン労働者を職場に復帰させることだと考えています。

 行き過ぎた人員削減で、現場をやめていくパイロットが後を絶ちません。この間、客室乗務員の話をしましたが、パイロットも随分減っています。それで、運航乗務員が足りなくなって、急遽大量募集をやる。結局、気に入らない労働者を更生計画の名で無理やり解雇して、足りないから新たな人員を募集するなど、道理のないことを平気でやる。こんなやり方を許しておいて、再上場したから、再生はめでたし、めでたしでいいのか。

 私は、再生させる前に、国民がおかしいと思う点の是正の指導を行うべきだと思います。先ほど航空局長は不公平の問題についていろいろ言っていましたけれども、私も、大もうけしているのに税金を払わない制度、身内をもうけさせるやり方、そして公正競争の問題もあるでしょう、そして何よりも、解雇を撤回するように日航を指導すべきではありませんか。大臣に一言聞いておきます。

○吉田(お)副大臣 何度も委員御指摘の、利益なくして安全なしというお言葉でございますけれども、これは、稲盛名誉会長の雑誌におけるインタビュー記事をもとにしたものと承知しております。日本航空からは、安全と経営は車の両輪であり、安全を守ることと利益を追うことは両立可能であるという趣旨であると聞いております。

 いずれにいたしましても、日本航空におきまして、安全運航の確保を大前提として確実な再生が図られるよう、国土交通省といたしましても引き続き指導監督をしていく所存でございますし、今御指摘ございました整理解雇の問題に関しましては、現在司法の場で争われており、その推移を見守っていきたい、かように考えている次第でございます。

○穀田委員 稲盛さんの考え方は雑誌で言っていることだと。もし国土交通省がそういう見解でいるとすれば、本当に甘いなと思うんです。

 やります、必死になって頑張りますと言うてもやらない人が多いのに、そういう考え方を哲学として表明し、何度も私がここで言いましたように、その哲学の中で、JALのフィロソフィーということで、結局、安全の項目を外したことまで明らかにしているわけじゃないですか。そういった点も見ずにやっている。よっぽどのお人よしだなと私は思います。

 ですから、神戸新聞などは、政府の役割というのは投資ファンドじゃないと言っているんですね。つまり、安全、安心を最優先して、それでこそ任務が遂行できる、それを保障するのが国の責務だと言っているわけですね。

 私は最後に言っておきたいと思うんですけれども、やはり再生の根本は安全の確保なんです。それと、一番最初に言った規制緩和が極めて結びつく問題だ。政府が、一方では安全をと言って、大臣も副大臣も含めてそれが前提だと言うけれども、実際は、片一方で規制緩和をやって、安全問題についての規制を緩くする。こういうことをやって、しかも、もう一方ではいろいろなことで、今日の国民の税金をつぎ込んでやっていることに対する怒りがある。

 私は、こういうことをしっかり踏まえてやるべきだということを主張して、終わります。