国会会議録

【第180通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2012年6月15日)


○穀田委員 タンカー特措法について質問します。

 まず最初に、私は、イラン制裁の国連決議と日本の立場についてお聞きしたい。

 第一に聞きたいのは、イランに対する国際的な制裁措置は国連安保理においてどのように決定されているのか、概要を明らかにされたい。

○中野大臣政務官 お答えを申し上げます。

 イランの核問題をめぐって採択されました国連安保理決議がございます。委員恐らく御案内だと思いますけれども、二〇〇六年の十二月以来、二〇一〇年六月の安保理決議一九二九まで四本決議をされているわけでございますが、その中では、イランに対しましてウラン濃縮関連活動の停止等を義務づけておりまして、国連加盟国に対しては資産凍結等の措置を義務づけております。

 その中でイラン産の原油の取引についてでございますけれども、この安保理決議の中には、国連加盟国に対して措置を講じるようなことは義務づけてはおりません。

○穀田委員 安保理でどんな決定をされているかという、まだ概要を言っているわけで、資産凍結をやっていると。

 今お話あったように、イラン産原油の取引について累次の国連安保理決議には決定はない。もう一度、いいんですね。

○中野大臣政務官 委員御指摘のとおりでございます。

○穀田委員 そうしますと、資産凍結はしているけれども、イラン産の原油の取引について国連安保理決議がやめろと言っているわけじゃない、ここの構図がまず確認される。

 その上で、そうしますと、アメリカとEUはイランに対してどういう制裁措置を決めているのか。それはどういう理屈で物を言っていて、また、どれほどの国に、かつ、どのような協力を求めているのかということについてお聞きしたい。

○中野大臣政務官 米国及びEUと、日本に対する措置でございますけれども、米国につきましては、二〇一二年度の国防授権法におきまして、イラン中央銀行等と相当な金融取引を行った外国金融機関に対し、米国における決済口座の開設の禁止等の制裁を科すとしておりまして、イラン原油の購入を相当程度削減する場合には制限を免除する例外規定を設けるということで、各国のイラン産原油輸入の削減を求める措置をとっているということでございます。

○穀田委員 今のはアメリカなんでしょう。アメリカとEUの、だから、どういう理屈でどれほどの国に、つまり、こことここの国に協力してくれとか、それからどういった協力を現実にと、二つあるわけでしょう、アメリカとEU。そして、それぞれが独自に制裁を決めているわけだから、どういう理屈で、どういうところに協力を求めて、どれがどんなふうにそれを受けているのかということを、全体を聞いているわけですよ。わかりますか、言っていること。

○中野大臣政務官 理由についてでございますけれども、これにつきましては、アメリカないしEUの国の独自の考えでございますので、理由に対しまして、我が国としてそれに対して論評するということではないのかなと思っています。

 それで、措置に対してでございますけれども、措置に対しては、先ほど申し上げた、例えばアメリカでいえば、二〇一二年度の国防授権法に基づいて各国に協力を求めているという……(穀田委員「EUは」と呼ぶ)EUにつきましては、EU外相理事会が決定をした主な対イラン措置として、これはEU国内ですね、イラン産原油及び石油製品の輸入を禁止しているということでございます。

○穀田委員 だから、わからぬ人やな。論評をしてくれと言っているんじゃないんですよ。アメリカは授権法という法律でやっていることは確かなんだけれども、つまり、国連決議だけでは不十分だ、核の問題について締め上げる、仮にですよ、締め上げるというか、そういうことの必要性を、もっとやらなくちゃならぬという理屈なのか、EUはどういう理屈でこういうことについて禁輸すると外相会談で決めていて、それを、単に自分のところの域内が禁輸するだけじゃなくて、ほかの国に対しても、再保険をさせないだとか、そういうことの動きがあるわけでしょう。そういう理屈はどういう理屈で立っていて、論評を避けるって、論評してくれというんじゃないんですよ。

 だって、あなた方が外交交渉するときに、相手がどういう理屈でやってきて、うちはどういう理屈でやっているのかということがなければならない。外交交渉の中身についてあれこれ聞こうなんというんじゃないんですよ。表向きのそういう形はどういうことが世界としては通用していて、日本の理屈はどういう形でやっているのかということがなければならない。それを、あなたは全然、我々にどういう話をしているのか。アメリカはどういう理屈で、授権法という法律はわかっていますよ。EUは外相会談で決めている。どういう理屈か、それに対して日本はどういう理屈で闘っているのかと聞いているわけです。

○松富政府参考人 米国は、国防授権法という国内法に基づいて、米国内の金融決済の制限を課すという仕組みの中で制裁を科そうとしています。基本的には金融制裁でございます。何も外国の銀行に直接制裁を科そうということではなくて、アメリカの銀行に対して、イランと取引するような銀行とは取引するなとアメリカの銀行に言っているわけで、副次的な迷惑が日本にかかってくるという構造でございます。

 EUの外相理事会の決定というのは、EU諸国及び国内の企業がイランからの石油の引き取りをやめる、保険、再保険の提供もやめるということであって、これも、外国に協力を求めるとか、そういう性格のものではございません。ただ、副次的に影響を受けるということでございます。

 それで、なぜアメリカ、EUがこういうことをやっているのかということは、やはり二つあると思います。一つは、国連安保理決議一九二九号の前文で、イランの石油収入と核開発の関連性が示唆されている文章がございます。これが背景にあるのが一点。

 二点目は、イランとEU3プラス3との協議。実は、前回は昨年の一月、そこは決裂して、一年と三カ月の間何も動きませんでした。その間にイランは、既成事実として濃縮ウランの蓄積を積み重ねてきています。そこで、ここは対話と圧力の中で圧力の局面である、したがって制裁を強化しなければならない、そうしないとイスラエルがまた軍事オプションをとるかもしれない、こういうことも背景にあって、制裁を強化するという発想から今回のそれぞれの国内法の制定に至ったんだと考えています。

○穀田委員 だから、今の局長の説明で、要するに、制裁を強化する過程、そして国連決議の実行の過程の中でこういうことが起こっているということなんですよね。それをちゃんと言ってくれないと、何かさっきみたいな話で言っているようでは、授権法が出た、外相会議で決定していると、そんな事実だけ述べられた日には、何でそういうことについて我々が今立ち向かっているのかという根本がわからないじゃないですか。それも、議員のところにしっかり理解してもらうということの根本としては、私は欠けていると言わざるを得ないと思うんだよね。あれでわかるんだったら誰も苦労せぬわけです。そう思いませんか。私はそう思いましたよ。

 そこで、では、そのような動きに対して、今までイラン産原油を取引していたのは単に日本だけじゃないんですよ。随分、各国あるわけですね。それらの国々はどのような対応をしているのかについてお聞きしたい。

○松富政府参考人 まず、米国の国防授権法については、アメリカの銀行と取引をしたいと思う銀行を抱える国については考慮せざるを得ないと思います。国防授権法の中には例外規定とウエーバー条項があって、各国とも例外規定の適用をめぐってアメリカと協議に入ったと理解してございます。例外規定の適用をもらうためには、相当なイラン石油の引き取りの削減を行う必要があるというのが条件でございます。この結果、今のところ、約十八カ国・地域がアメリカの例外適用の対象になるというふうに考えています。

 EUについては、例外適用はございません。したがって、EUの決定として包括的な例外適用の延長を求めるか、もしくは自前の措置を講じるか、どちらかしかないと思います。

○穀田委員 要するに、アメリカとEUがそういう措置をとっている。例えばアメリカの場合には、今ありましたように、例外規定があって、十八カ国がそれに応じてやっている。そして、EUの場合については例外適用なしだが、全体としてそれを今努力しているということがわかる。

 そこで、そうすると、日本というのはどういう見込みで対応し、今の判断はどこまで来ているのかということについて、外務省。

○松富政府参考人 対話と圧力という文脈において、現時点は圧力の局面であるということについては、日本は欧米諸国と軌を一にしてございます。したがって、国際協調のもと、アメリカやEUとも緊密に連携をとりながら制裁の強化ということに努めてまいりますし、イランからの石油の引き取りについても、自然に減ってきたという面もありますけれども、これまで過去五年間で四〇%減らしてきた、こういう状況にあります。こういうのが今の局面の認識でございます。

 他方、対話の方も日本は忘れてはいけないと考えていまして、正しいタイミングがあれば、日本としてこれまで培ってきたパイプも生かしながらそれなりの役割を果たしていきたいとは考えていますけれども、その時期がいつなのかについてはまだ見えてこないということでございます。

○穀田委員 そういう意味でいうと、アメリカやEUがこの制裁措置というのを今後しばらく続けるということは、誰が考えても明らかなんですね。そうしますと、日本というのは、イラン産原油の輸入についてどのような方針で今後臨むのか、そして、今後の石油関係のエネルギー政策との関係で、これはこういうものだという方針が必要だと思うんですよね。その辺は大臣はどういうふうにお考えなんですか。

○北神大臣政務官 石油については、イランは今こういう状況ですけれども、石油の埋蔵量が、世界で五割、中東の地域に集中しているわけでありますから、当然、この中東における産油国との関係強化というのは引き続き重要であるというふうに考えております。

 ただ、先生のおっしゃる、エネルギー政策全体につきまして、石油については、過度な中東依存というのは避けなければいけないということから、自主開発ももちろん大事ですし、また、供給源の多様化、分散化というものも重要だということでございます。

 そういうことから、いわゆる中東ではない、ロシアとかベネズエラとか、そういった国との資源外交を強化していかなければいけないというふうに思っていますし、さらには、具体的に言えば、ベネズエラの重質油の油田開発、あるいはブラジルの海の深いところにある油田の開発とか、さらにはグリーンランド、北極圏の方もこれから開発をしていかないといけない。こういったことで、日本の企業の支援をするために、JOGMECのリスクマネーの供給を通じて積極的に推進をしていきたいというふうに思っています。

○穀田委員 簡単に言うと、供給源の多様化ということを今考えていて、イランに頼るということについては少しずつ減らしていこうということですな。それで理解してよろしいな。(北神大臣政務官「そうです」と呼ぶ)はい。

 では、その次に、大きな二つ目に聞きたいのは、EUの制裁措置が発動され、イラン産の原油の輸入が仮にとまることになった場合、国民生活にどんな影響を与えるのかということについて少し聞きたいと思うんですね。

 六月二十日までにこの特定タンカーの特措法が成立しなかった場合、国民生活にどんな影響が出るのか、具体的に少しお示しいただきたいと思います。

○北神大臣政務官 イラン産原油の引き取りがとまった場合の話ですが、これは当然、我が国としては代替の原油の手当てをしなければいけないということでございます。

 ただこれは、言うはやすしでありまして、実際には、七月に入って米国そしてEUの制裁が始まると、先生さっきおっしゃったように、日本だけじゃなくて中国とかいろいろな国がイランの油に頼っているという中で、やはり相当代替原油の駆け込み需要というものが発生をします。これによって国際的な原油市場の混乱というものが起きる可能性があり、日本として代替原油の手当てをしなければいけないんですが、実際に調達できるかどうかが非常に不透明になると同時に、既に高どまりをしている原油の価格がさらに上昇する危険性があるというふうに考えています。

 ちなみに、国際機関の試算によると、こういう事態が発生した場合には、二、三割、原油の価格が上昇すると。国内のガソリンでいえば、今、百四十円ぐらいですけれども、これが百六十円ぐらいに上昇するということでございます。こういった結果、物流のコストも当然上がりますし、電力のコストも当然上がるというふうに非常に危惧をしているところでございます。

 特に後者の電力については、今、原子力発電所が停止をしている中で火力発電が非常に重要になってきていますので、これのエネルギー源である重油というものが調達困難になるおそれもあるということも危惧をしております。

 こういったことから、国民生活、日本の産業、経済に極めて大きな影響を与えるというふうに思っていますので、何としてもこの法案、迅速に審議をお願いしたいというふうに思っています。

○穀田委員 そこまで言うと、では、何をしていたんだと。要するに、国民生活にそれほどの打撃があるという話をいつしたか、先ほども多くの方々が疑問に思っているのはそこなんですよ。それほどのことを言うんだったら、国民生活に大打撃を与えると言うんだったら、すべからく手を打っていたらどうなんだという話なんですよね。ここがみんなわからない話なんですよ。

 しかもそれは、いつそういうことがわかったか。それほど大げさな、何か、電力だ、物流だ、大混乱が起きると。大混乱が起きるような顔をして必死になってやっているなんていうことを、いつからやっていたんだと思うんですよね。

 新聞を見ると、どんなことを言ったって、先ほど局長からもあったように、一月に交渉が始まって、三月の問題について、明らかにこれは変だと。そうすると、最低でも三月の時点で、新聞も書いていますけれども、そういう可能性があるということはもう既にわかっているわけですよ。わかっているんですよ。ということは、一方では外交交渉をするというのは当たり前なんですよ。それを否定していないんですよ、私どもは。その中身についてつまびらかにせいなんてことを言っているわけじゃないんですよ。

 問題は、だとしたら、我々日本国民に対して、ないしはそういった問題について、こういう可能性があるぞということについて、みんなの協力を得て、だから、イラン制裁との関係で、再保険の問題はこういったことについて法律が必要になるかもしれないという提起があってしかるべきじゃないのかと。

 そういうことについて、大臣、今大臣になったばかりで、あなたに質問するのは私も申しわけないと思うんだけれども、国家としてそういう危惧があるという問題について、法案が必要だというようなことを六月七日に我々に言ってくる。三月の時点で、少なくともEUがああいう決定をした段階で、その方向性がある、そうすると、外交交渉をやりながら、そのことについて、もしかの場合にやらなくちゃならぬ。

 今ごろになって、北神さんなんか、調達が不透明だとか、中国が駆け込み需要だ、混乱だ、物流だ、電力のコストだといって、そんなこと、そういうことになる前からわかっているわけで、だとしたら、その法律をつくろうということについて、あるかもしれない、こういうときにはどうしたらよろしいかということがあってもしかるべきだ。そういう点での反省がないと言っているんですよ、私どもは。

 大臣、そういう問題は、今後こういうことが起きるとしたら、私は、はっきり言って、国民が大被害を受ける可能性があるときに、とどのつまりまで、最悪のところまで来てからやるなんということがあったんじゃだめだと言っているんですよ。そう思いませんか。そういう反省を含めて、あれば。

○羽田国務大臣 今御指摘いただいたことは重く受けとめさせていただきたいと思いますが、政府としても、野田総理大臣また玄葉外務大臣初め政府一体となってこのことについては取り組んできたというふうに承知しております。

 また、このことについてはEU及びEU加盟国に対して働きかけを行ってきたわけですけれども、猶予継続等、そういうことも含めてお話をさせていただいてきました。

 また、核問題をめぐる3プラス3とイランとの協議が行われております。この動向を見きわめる必要もあったということで、今回このような形でお願いをさせていただいているところでございまして、今後とも、今御指摘をいただいてまいりましたことはしっかりと受けとめながら進めていきたいというふうに思っています。

○穀田委員 受けとめて、受けとめてと言うけれども、みんなこの事態というのは、三月の時点で、少なくとも一月や三月、経過を経る中で、もしこれができなければこういう事態が起こるということはわかっているわけですやんか。そうしたら、政府として、そういうことが起こり得る可能性がある、だから、国民的にいったらこういう法律が必要だと、それのいわば国会審議を経なければならないわけですやんか。そうすると、国会の了承を得る、つまり、与党、野党を問わず、生活にかかわる問題について、この可能性があるということについて、もしかのときはよろしくということについて、するのが当たり前だと言っているんですよ。そういうことはなかったと。

 それは怠慢で、先ほども怠慢だと言うけれども、怠慢という話で済むわけじゃないんですよ。そうすると、最後になると、国民生活が大変だからといって、そういうおどしをかけてやるのかということになるんですよ。だから、そういう政治の立場が問われているということについて私は言っておきたいと思います。

 終わります。