国会会議録

【第176臨時国会】

衆議院・予算委員会
(2010年11月10日)


○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 菅総理に質問いたします。

 総理は、雇用、雇用、雇用と、雇用を中心にした経済対策を進めると所信演説で述べました。さらに、十一月四日の本会議では、経済が活性化する、そういう好循環を生む上でのキーが雇用であると発言しました。これは当然だと思います。

 一つは、雇用をつくること、二つは、現に進行している人減らしに歯どめをかけること、この二つが大事だと思いますが、この点での総理の見解をお伺いしたいと思います。

○菅内閣総理大臣 雇用を通して経済を大きくしていくというのは、今、遠山議員の最後の質問にもお答えをしたところです。

 今、穀田さんの方から二つを言われました。その中で、私が言っているのは、雇用をつくっていくには三つの方法がある。一つは、まさに新たな雇用をつくること。一つは、外に出ていくような企業を、何とかとどまって雇用を守ること。そしてもう一つは、中小企業などが新卒者を欲しいと思っても、ミスマッチでなかなか得られない、そういう雇用をつなぐことだと思っております。

 今御指摘のありました、企業ができるだけ多くの雇用を維持するというのは、守ることにはつながりますが、それは、今申し上げたように、あるべき仕事を海外などに出るのを、できるだけ国内でとどまってもらえるような政策もやらなければならないということとの兼ね合いで申し上げております。

○穀田委員 守ることが必要だということとふやすことが必要だということだと。

 現実はどうかという問題を見てみたいと思うんです。私は、雇用の現実は、雇用をふやすよりも減らしていく方が多いんじゃないかと見ています。リーマン・ショックが起こる前の〇八年九月とことしの九月の就業者数はどうなっているか、全体と製造業の推移を確認したいと思うんです。以下の数字で確かかどうかです。

 全体でいいますと、リーマン・ショックの前について言うならば六千三百六十五万人が、この間の九月でいうと六千二百八十六万人、七十九万人減っている。製造業でいうならば、一千百二十九万人から一千五十五万人へと七十四万人減っている。これは確かですね、総務省。

○鈴木(克)副大臣 お答え申し上げます。

 今、穀田委員のおっしゃったのはいわゆる季節調整値でございますが、原数値でも大きな違いはございませんけれども、この二年間でいわゆる総就業者数は八十四万人減少しております。そして、製造業だけ見ても七十六万人減少しておる、大変な状況でございます。

 以上です。

○穀田委員 減数は非常に多い、若干の違いはあるけれども、八十万人台が減っている。減らす方が多いから雇用者総数で見ると減っているということだと思うんです。

 では、大企業の側に雇う力がないのかといえば、そんなことはありません。九月決算が発表されています。今年度上半期決算で大企業は増収増益となり、利益水準は〇八年九月のリーマン・ショック前に戻る勢いだと報じています。各社の合計で見ると、経常利益も純利益も、リーマン・ショック前の〇八年上半期とほぼ同じ水準に回復しています。

 今述べたように、そして今総務副大臣から報告があったように、リーマン・ショック後、就業者数はまさに減少の一途をたどっていて、とりわけ製造業での減少が、就業者の減少の中で九割を占めていて、率が高いことは一目瞭然であります。結局のところ、大企業にとってみれば増収増益をやっているけれども、労働者、国民には仕事が回らず、雇用もされていない、そういうあらわれだと思います。

 そこで、雇用破壊の問題について少し議論をしたいと思うんです。

 結局、就業者、雇用者が減り続けている根底には、個々の企業による解雇、雇いどめ、退職募集など人員削減があります。まず一つは、人員削減の問題について聞きたいと思います。

 例えば、上場企業のうち主なもので、〇九年、希望・早期退職募集の数は百九十一社、二万二千九百五十人に上り、二〇一〇年上半期においても、退職募集企業は六十五社、一万六百八十七人に上っています。ここには更生手続中の日航は含まれていません。日航は、早期退職募集だけでも一次から三次まで実施し、既に五千人を超えて応募しています。千八百八十六人の契約・派遣社員の雇いどめも行われ、グループ全体で一万六千人にも上ります。ことし最大の人減らしです。

 こういう人減らしの実態を深刻だと思わないのか、これに歯どめをかけるべきだと思わないのか、これについて総理大臣の見解を聞きたいと思います。

○馬淵国務大臣 まず私の方から、日本航空のお話が出ましたので、お答えさせていただきます。(発言する者あり)わかりました。短く、手短にということでございます。

 十一月九日、昨日、この早期退職ということでの募集に対しまして期限が切れたところでありますが、最終的にはこの応募状況を集計中だというふうに聞いております。

 日本航空は、この応募結果を分析した上で今後の対応を検討するとされておりまして、いずれにいたしましても、更生計画を、今、現時点で、計画案にのっとっての削減を進めているところでございますので、私どもとしては、日航自身の削減あるいは計画全体の誠実な実行というものを見守ってまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 私は、日航の例をやったんじゃなくて、全体として人減らしの計画が随分出ている、こういう実態についてどう思っているかということを総理に聞きたかったわけです。

 今、日航の事態について出ましたから、では一言やりたいと思うんですが、今お話あったように、早期退職募集の三次募集が締め切られて、報道では、削減目標に足りなかったから今度は整理解雇するということまで報じられています。

 日経新聞によると、二次募集では、千五百人が目標だが、応募者は千五百二十人あったとしている。既に二次募集の時点で目標を上回っていたのに、三次募集したと。病気休暇で休んでいる人が退職募集に応じても数には入れないとも言われている。削減目標自身が極めていいかげんだということを示していると思います。その上、特定のパイロットや客室乗務員を乗務から外し退職を迫る、人権侵害の退職強要までやっている。やり方もひどい。だからパイロットが提訴までしているわけです。

 総理、総理は日航再建決定にも深くかかわっておられました。こういう人減らしを、政府が深くかかわる再建でやっていいのか、雇用、雇用と言う総理が不当、違法なやり方で真っ先に人減らし、雇用破壊をやらせていいのか、しかも整理解雇、強制解雇まで容認していいのか、このことが問われていると思います。今度は総理にお聞きします。

○菅内閣総理大臣 個別に日航のことのお尋ねでありますが、今国交大臣からも状況の報告はいただきました。

 私も、今の職責につく前に一定の関与はいたしておりました。しかし、この再建計画そのものは、まさにこれは法的整理の後に管財人として参加された皆さんが、計画をされた中身を今実行されております。

 もちろん、一般的には、できるだけ雇用が守られることが好ましいというのはもちろんのことでありますけれども、一つの企業が、例えば株式も、いわば株をゼロにし、株主の負担もあり、そして融資をした銀行も債権放棄をし、そういう中で再建する上では、個々の企業としてやらなければならないこともあるわけでありまして、一般的な意味では雇用が守られることが好ましいわけですけれども、個別的な企業についてこうすべきだ、ああすべきだというのは、私の立場としては控えたいと思います。

○穀田委員 個別の、しかも、一番人減らしをやっていることに対して、何にも言えないではだめですよ。だって、再建に深くかかわっている、しかも、そのことで日本の空の安全という問題も、そして公共的な乗り物の機関として発展させるという、そういう政府の責任があるわけですから、そういう見地はおよそけしからぬと私は思います。

 結局のところ、私は、人減らしを食いとめるための手だてを打たないということでは国民が納得しないし、ましてや整理解雇などやるべきでないということをはっきり言うべきだと思っています。

 もう一つ深刻な実態は、工場閉鎖、事業撤退です。

 各地で、地域の衰退を招くと、自治体からも存続要請が相次いでいます。ことしだけでも工場閉鎖が相次いでいます。工場閉鎖、縮小で問題なのは、地域経済の問題に直結するということであります。兵庫県では、創業から百年近い工場などが相次いで閉鎖、撤退しています。三菱重工神戸造船所の商船建造撤退、アサヒビール西宮工場、森永製菓塚口工場、雪印関西チーズ工場などの閉鎖が相次いでいます。

 今述べたのはほんの一部分にすぎません。リストラ、希望退職、そして、今述べたもう一つ深刻な実態である工場閉鎖、事業撤退の状況について、政府としてどのように掌握しているのか、また、閉鎖、撤退が地域経済にどのような影響を与えるのか、経産担当のところから報告していただきたいと思います。

○中井委員長 松下経産……(細川国務大臣「数の方は私から」と呼ぶ)そう、それでは細川厚労大臣。(穀田委員「数なんて聞いていない」と呼ぶ)経産でしょう。(穀田委員「そう言っているじゃないか」と呼ぶ)

 松下君。

○松下副大臣 御指摘のとおり、離職の状況については国としてもしっかり把握をしております。これは、再就職援助計画の作成を義務づけておる雇用対策法でしっかりと離職者の状況について把握しているということでございます。

 また、大規模な工場等が閉鎖された場合ですけれども、雇用の創出や消費の減退などを通じて地域経済全体に著しい影響を及ぼすおそれがあるということは、御指摘のとおりでございます。

 我々としても、我が鹿児島県でもそういう実態がございますけれども、仕事を失っている中小企業についても、全国の商工会や商工会議所等の相談窓口において対応をしっかりとやっているということでございまして……

○中井委員長 経産省は工場の数を、統計は持っていないですか。

○松下副大臣 統計は、工場統計調査において、従業員が十人以上の製造業の事業者数などを都道府県ごとに調査しておりまして、その変動を通じて廃業等の動向の把握をしております。

 以上でございます。

○穀田委員 総理大臣、今述べたのでわかると思うんですよね。一定の統計というのはとっているんだけれども、実際に地域経済にどのような影響を与えているとか、それから、その中での就業というのがどれほど困難になっているかとかいうのを、およそ明確に把握していないということなんですよ。だから、結局話がリアルじゃないんですよ。どれほど大変か。

 皆さんにはお手元に資料をお配りしているから、このパネルを見てほしいんです。ことしになってから報道された主な大企業の工場閉鎖の事例です。

 私は、これほど多くの地域で閉鎖、撤退が行われているとは驚いたんですね。従業員のところについて言うならば、これは正社員が中心です。ですから、今経産から話がありましたけれども、この表にあらわれていない下請の雇用破壊、地元商店街の疲弊など、地域経済の死活問題になっているわけです。だから兵庫県も、今後、長い歴史のある工場の縮小や撤退を避けるために、対策を研究したいとか、新規に進出する企業の誘致だけでなく、既に進出している企業のバックアップが必要などと言って、模索しているほどであります。

 総理は、こうした雇用破壊を行う企業のリストラ策、つまり企業再構築についてどう感じ、どう考えているのか、述べていただきたいと思います。

○松下副大臣 御指摘のとおりでございまして、大規模な工場等が閉鎖された場合には、先ほども申し上げましたけれども、雇用の喪失、それから消費が減退いたしますので、地域経済全体に大変大きな影響を及ぼしていることは間違いございません。

 鹿児島県の例で申し上げましても、出水の地域で一部上場の企業が撤退した後の雇用の問題、そして新しい事業の誘致、我々国会議員も挙げて、県も挙げていろいろ努力をしておりますけれども、なかなか思うようにいかないことが実態でございます。全力を挙げて努力してまいります。

 以上です。

○穀田委員 努力は当然なんですけれども、どこに今肝心なポイントがあるかということが大事なんですね。

 リストラの動向は、大きく言って二つに分けることができると思います。一つは、破綻など業績悪化によるリストラ、二つは、円高対応や競争力強化のために集約化、コスト削減、海外移管という形があるんですね。その中で、とりわけ二つ目がふえているのが今日の特徴で、業績が上向きの中でも、競争力強化を理由に、より利益を高めるためのやり方をとっています。収益を上げるために、むしろ真っ先に率先して雇用調整をしている。つまり、人件費削減による固定費の圧縮、リストラ、首切りを進めることで収益を上げている傾向が多いと私は思っています。

 そこで、三菱重工の神戸造船所の例をとってみましょう。

 三菱重工が七月、神戸造船所での商船建造から撤退を表明して、手持ちの建造が終わる二〇一二年上半期で生産の打ち切りを表明しました。そして、防衛省向けの潜水艦の建造と原子力発電設備に特化するという。その言い分は、先行きの見通しがないということだと言われています。

 しかし、造船業の今後の見通しについてどう見ているのか、国交大臣。

○馬淵国務大臣 造船業の今後の見通しでございます。

 我が国の造船業、二〇〇九年は新造船の建造量は過去最高を記録しておりますが、これは、建造までに一、二年という長いスパンがかかりますので、実はリーマン・ショック以前の受注であった。直近の受注量を見ますと、これは二〇〇八年秋以降、減少しております。極めて厳しい状況にある、このように考えております。

 ただ、一方で、今後ということで見れば、新興国の経済の急速な発展、また、それに伴う海上輸送量の増加などを考えますと、造船需要というものも回復していくということも考えております。

 そうした中、我々としても、IMOにおける国際ルール策定の主導など、造船業界においてもリーダーシップを発揮できるような環境の整備に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 造船業界の全体の動きというのは、成熟産業と言われています。しかし同時に、今後の見通しを見た場合にどうなのかといいますと、貿易と輸送がふえるわけですから、全体として成長産業だということも言われています。

 したがって、今、仕事がないんじゃなくて、あるけれども、長崎や下関でつくるから神戸ではつくらない、神戸では受注しないということが今の客観的な事実なんですよ。

 それで、神戸造船所は、一九〇五年に創業した百五年も続くしにせなんです。神戸の町にとっては貴重な存在です。

 神戸新聞で感想文コンクールというのがありまして、「世界の海でかつやくしてね、マヌーバー号」ということで、小学三年生が感想文を出しています。その中によりますと、「世界の海でかつやくしてね、マヌーバー号」という見出しで、神戸のこの会社は、あと二年でお船をつくるのをやめてしまうという記事が出ていました。この会社は百年ぐらい前からお船をつくっていて、きょうのマヌーバー号は千二百八十七番目になるそうです。一隻のお船は、この会社で千人くらい、小さな部品をつくる人も数えると、全員で三千人から四千人もの人がかかわっているそうですと書かれています。

 この小学生が書いているように、どれほどの労働者や下請に影響を及ぼすか明らかではありませんか。三菱重工に対して、神戸造船所の商船建造撤退のやり方を見直しすべきだということについて、政府として要請すべきではないでしょうか。

○馬淵国務大臣 平成二十四年度に、上半期を目途に終了させるという神戸造船所でございますが、今大変厳しい状況であります経済環境の中で、各企業がそれぞれ生き残りをかけてさまざまな施策を打っているということでありまして、その意味では、個別企業が一定の経営方針をもとに、それこそみずからのリスクを抱えながら判断をしたということについては、政府がそこに何らかの関与を行うというのは適切ではないというふうに私自身は考えます。

 ただ、一方で、当然地域における影響というのは大変大きゅうございますので、これに対しては、私どもでは、神戸の運輸監理部におきまして、地域の経済における影響調査あるいは情報収集などを行うべく、相談窓口の設置ということも行っております。

 先生御指摘の雇用の問題に対する意識ということにおきましては、私ども、所管が違えども、こうした地域経済への一定の影響を及ぼす可能性のあるところに対しては、十分な配慮を行えるような相談窓口設置という施策を打っております。

○穀田委員 私はおかしいと思うんですね。つまり、神戸造船所は原発や潜水艦に特化する、これについては政府を挙げて支援している。片や、地域経済が衰退するという事態に対しては知らぬ顔。これでいいのかということが問われるんです。きっちり物が言えないでどうしますかいな。

 地域では、地元の下請企業や商店街、労働者、市民などが、神戸の造船を残そうという連絡会まで結成し、雇用と地域経済を守ろうとして運動をしています。神戸市長でさえ、造船事業は神戸経済を長年にわたって支えてきた基幹産業であり、すそ野の広い産業として多くの中小企業の活性化や市民の雇用の確保にもつながっていること、進水式を初め、港神戸の象徴として多くの市民にも親しまれている事業所であるとして、引き続き神戸での操業を求めている状況であります。

 私は、今窓口を設けているというお話を聞きましたけれども、確かにありました、しかし現実は、例えば神戸市に対する相談、それからそちらに対する相談、そんな大したことないんですよ。それは、多くの方々が、どないしたらいいかと本当に悩んでいるという現状で、それこそ今の深刻な実態に対して、調査もし、かゆいところに手の届くような形で援助してあげるということについて、みんな期待していないからそういうことになっているんですよ。それぐらい事態が深刻だということについて思いを寄せなければならないと私は思っています。

 私は、大企業の工場閉鎖、撤退に対して、雇用と地域経済を守らせるルール、そして規制が必要だと思います。具体的には、会社側が事前にステークホルダー、住民、商店街、行政、これらに対して説明、相談を行うことの義務づけ、これらのことは最低限必要じゃないでしょうか。多大な迷惑をかけて長年根づいてきた地域における関係を、将来構想も含めてみんなつくっているときに、降ってわいた形でばっさり切っていく、こういうやり方に対して、きちんとした、最低限これぐらいの規制が必要じゃないでしょうか。

 総理大臣、いかがですか。

○馬淵国務大臣 工場撤退のときの規制ということですので私の所管ではないかもしれませんが、今の造船のお話から、例えて言えば、ともに発展をしてきたわけですから、当然ながら地域への還元がなされてきたわけです。そして、その経営の中で一定程度還元をされながら地域の住民の方々の雇用も確保してきたわけですが、企業がみずからのステークホルダーに対してそのリスクをしっかりと提示しながら判断をしていくということについては、私は、企業の自由な経済成長の中での判断であるべきではないかというふうに考えます。

 一方で、我々は、政府で新成長戦略を掲げて、今後成長していく分野というものを提示し、また、さまざまな規制を撤廃し、あるいは国際標準をつくっていくという施策を提示しておりますので、その中で企業みずからが判断をしていただいて、そして新たな雇用の確保という展開を示していただくことが、この国の経済成長、そして雇用の確保という一つの手だてになるのではないか、私自身はそのように考えております。

○穀田委員 私は、雇用と地域経済を発展させるためのルールが必要じゃないかと。それは、ある意味では、今お話あったが、規制が必要なんですよ。つまり、自分の勝手で突然出ていくなどということは許されない。それは、単に私が言っているだけじゃなくて、世界ではそういうことがルール化されているんですよ。だから私は、まず第一に、せめて事前説明と。しかも、そのステークホルダーというのを狭めるんじゃなくて、地域住民、商店街、そういったところともしっかり議論する。当たり前のことを言っているんですね。それが一つなんです。

 あわせて、最後ですから、では総理大臣に聞きますが、私はそれだけではだめだと思うんです。二つ目には、やはり、閉鎖や撤退を回避する努力義務を課す。第三に、やむなく閉鎖、撤退する場合については、雇用、地域経済への影響を最小限にする努力を行う。第四には、地域への社会的責任の放棄に対するペナルティー、例えば工場閉鎖に伴う地元産業の活性化のための資金拠出義務など、これらを提案したいと思っています。

 何らかのルールづくりが必要だと私は考えますが、総理のお考えはいかがですか。

○菅内閣総理大臣 それぞれの町にとって、特に大きな企業の工場が撤退するということは大変大きなマイナスの影響があるわけでありまして、そういう点で、何らかの協議といったものがあるということは、一般的には好ましいことだと思います。

 そういう中で、三十人以上の労働者が離職を余儀なくされる事業規模の縮小を行う事業主に対しては、再就職援助計画の作成を義務づけておりまして、これは雇用対策法で義務づけております。また、同計画を公共職業安定所長に提出して、認定を受けなければならないことになっております。

 これらを通じて、離職の状況について把握をし、再就職の支援をするということだと思います。

 大規模な工場等が閉鎖された場合は、雇用の喪失や消費の減退を通じて地域経済に著しい影響を及ぼすおそれがありますので、こういったことも、先ほど松下副大臣からもありましたが、そうしたものを把握しながら、都道府県ごとにそうした動向を把握して対応を考えていくことが必要だと思います。

 いずれにいたしましても、やはり日本の経済そのものがこの二十年近く成長率が余り伸びないという基本がありまして、そういう点では、日本の経済そのものをもう一度成長軌道に乗せていくということが根本的な対策になろうかと思っております。

○中井委員長 穀田君、質問時間が来ていますので、まとめに入ってください。

○穀田委員 はい。

 成長軌道に乗せるためにも、やはり大企業に対して社会的に責任を果たさせるということが大事なんです。

 今私が提起したことは、何もやみくもに言っているんじゃないんですよ。社会が必要としているということが一つと、もう一つは、EUやフランスではやられている、世界的には共通のことなんだということなんです。したがって、私は、雇用を破壊する蛇口を閉めることと、大企業の身勝手ともいうべき人員削減、地域経済衰退にストップをかけるルールづくりが必要だということを改めて述べて、質問を終わります。