国会会議録

【第174通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2010年5月18日)



会議録 第174回国会 国土交通委員会 第20号(平成22年5月18日(火曜日))


○穀田委員 きょうは、UR賃貸住宅の事業仕分けに関連して質問します。

 まず、事業仕分け、何を言わんとしているのかということについて聞きたいと思うんです。

 四月二十六日、行政刷新会議が行っている事業仕分けで都市再生機構が対象になり、賃貸住宅事業の仕分けも行われました。そこで、仕分けされた側の都市再生機構、国交省は、UR賃貸住宅事業に関して、どういうスタンスで仕分けに臨み、何を主張したのかということをまず明らかにしていただきたいと思います。

○川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御案内のとおり、URにつきましての事業仕分けにつきましては、都市再生、賃貸住宅、それから関係法人との取引の三点につきまして仕分けの対象になったところでございます。その中で、私どもは、行っております事業の現状、それからURの役割等について正確に御理解をいただき、御議論をいただくというスタンスで御説明をしてまいったわけでございます。

 とりわけ賃貸住宅についてでございますが、政策的な意義としては、既存のストックを活用して、今後急速に高齢化が進んでまいります大都市圏の高齢者向けの住宅としての機能を期待しているというような説明をいたしました。

 その上で、民間でもできるのではないかという御指摘については、政策的意図、それから、URが抱えております、こういった賃貸住宅事業を支えておりますのが巨額の負債であるということから、直ちに民に移管するというのは難しいのではないかという御説明を申し上げまして、それをもとに、各有識者の皆様の方からもいろいろ御議論をいただいたところでございます。

○穀田委員 私は、賃貸住宅事業の仕分けそのものに問題があるということを感じました。つまるところ、住宅政策の視点が全くないというのが率直な感想です。

 例えば、公営住宅は一千万戸あるなどと、はっきり言って無知な認識を持っていたり、それから、公営住宅とUR賃貸の違いも理解していなかった発言もありました。仕分け人が住宅政策そのものを理解せずに効率性や行政の無駄という観点からだけ見ているというのが、私の率直な感想でした。

 UR側の説明者が、URの団地に建物だけがあるわけではなくて、住んでいる人がいるということを述べていたように、住んでいる人がいるわけですね。これが住宅政策の根本になければならない。

 もともとUR賃貸住宅は、一九五五年に住宅公団から始まり、当時の住宅不足の解消や居住水準引き上げなど、国民が安心して住み続けられる住まいの確保を目的にした住宅政策の中心事業であったわけです。健康で文化的な生活を保障した生存権を初め、生活する住民が存在する人権的視点から、社会的、経済的情勢が変化したもとで、住宅政策としてどうあるべきかという議論をすべきものだと考えます。仕分けにはこの視点がはっきり言って欠けている、ここに第一の問題があります。

 そういうことになりますから、仕分けの評価結果は、そういうところから出発するがゆえに、結局どうなったかということであります。結果は、「高齢者・低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行、」し、「市場家賃部分は民間に移行する」だったわけであります。

 私は、住宅局長の報告にありますように、結局、その政策的意義を述べるスタンスを持っていながら、いわばあちらの評価結果というものに対して、導き出すようなことをしたとは言わぬけれども、これについて今どう考えているのかということを改めて聞かぬとこれは大変だなと思いました。したがって、国交省としてこれらをどう受けとめているのかについて聞きたいと思います。

 今後、この文言を見ただけでは、具体的にどうなるのかというのは理解できない部分が多いんですよね。大臣もうなずいていますけれども、本当にこれはちょっとよくわからないというのがあります。

 例えば、一つ目に、「市場家賃部分は民間に移行する」という後半の部分からいいますと、この「市場家賃部分」とはUR賃貸住宅のどの部分を指すのか。UR賃貸住宅は、都市再生機構法第二十五条によって、すべての団地が近傍同種の家賃、すなわち市場家賃を設定しています。そして、達していないところは、三年ごとの見直しで市場家賃化を図る値上げを行っています。

 つまるところ、UR賃貸住宅のすべてが市場家賃部分ということになるじゃないか。この点について、まず、いかがですか。

○藤本大臣政務官 穀田委員にお答えいたしたいと思います。

 都市再生機構、URについては、現在、大臣の指示のもとでそのあり方全般について、業務範囲とか組織形態とか、それについての見直しを検討しているところでございまして、六月末を目途にその結論を出す予定で今検討を続けているところでございます。

 そして、今回の事業仕分けの結論で、今、穀田委員が御指摘いただきましたとおり、「市場家賃部分は民間に移行」というこの内容を含めまして我々としては真摯に受けとめて、この都市再生機構の業務のあり方について見直しが必要であるということの認識はしています。

 ただ、おっしゃるとおり、その「市場家賃部分」というのが具体的にどのようなUR賃貸住宅を指しているかが明確ではないんですね。御承知のとおり、平成十一年から市場家賃に全部移ってきて、その以前の原価家賃から市場家賃に移ってきているということは明確だというふうに思っております。

 ただ、仕分けのときの議論といいますかやりとりを聞いていますと、比較的収益性の高い都心部の高額物件、これを念頭に置いているのではないかなということは想定がつきますので、これを含めましてあり方の検討会の中でも議論をしていただいて、そしてその結論をいただいて政務三役で結論を出していきたい、そのように考えております。

○穀田委員 私は、真摯に受けとめてもらっても困るなというのは率直に思うんですよね。つまり私が言っているのは、住宅政策としての根本が欠けているところに相手が立っている話を、それを真摯に受けとめるんじゃ困るので、まず根本の土台をはっきりせえへんなんだらそれはやられちゃうよと言っているわけですよ。

 ついでに聞きますと、「高齢者・低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行、」こう書いているわけですよね、決めているわけですよ。ここでわからぬのが、「高齢者・低所得者向け住宅」とあるが、何を指すのか。現に居住している高齢者、低所得者に向けた住宅という意味なのか、新たに新設、改築等によって建設する住宅なのか。また、現に居住している高齢者、低所得者というのは、現実はどうか。それは、各地の団地に点在し、大半の団地では過半数を占めているのが現実ですよね。そして、各団地にはもちろん子育て世代も、勤労のちょうど盛りの世代も居住しています。こういう実情を無視して、高齢者、低所得者を移転させ、集合させた団地をつくるとでも言うのだろうか。全く意味不明だ。

 また、国に移行すると言うが、国とは何を指すのか。都市再生機構を指すのか、あるいはそれ以外の管理主体を創設するのか。

 これらの問題もありますので、先ほど大臣わざわざ手を挙げていただいたので、同じような全体としての、今言っている中身がよく理解できない、それが、先ほど言ったように住宅政策の根本というところから視点が欠けている、こういう判断の上に私は質問しているので、お答えいただければと思います。

○前原国務大臣 詳しくはまた藤本政務官から答弁をさせていただきますけれども、事業仕分けそのものについてちょっと私の方から話をしたいと思います。

 事業仕分けというのは、今二回目をやっているわけでありますが、私はこれは、先ほど藤本政務官が答弁をさせていただきましたように、中身について真摯に受けとめるということは必要だと思うんです。ただ、それを、じゃ、全部、義務、責務としてやらなきゃいけないのかというと、そうではないんですね。これは、事業仕分けをして、それで最後は行政刷新会議にかけられて、行政刷新会議でもまれたものがまた各役所に戻されて、そして各役所で、決して組織防衛に走ることなく、本当のあるべき政策論からどうするかというところをしっかり議論する中で、最終的に政府として決めるということであって、ですから、事業仕分けというのは第一段階だというお考えをいただければ結構かと思っております。

 そして、今回のURのものにつきましては、私も今委員がおっしゃったことについてはかなり問題意識は共有することもありますし、それを最終的に国土交通省あるいは政府全体として判断するときに、住宅政策、特に高齢化が進んでいくという日本の置かれた現状に即した形で、どういう役割を果たしていけるのかどうなのか。しかし、他方で、事業仕分けで指摘をされたようなURのあり方については解体的に見直していくということを我々は申し上げているので、それをしっかりやっていく。両面が、両面というか両方向からの視点というのが必要じゃないかと思っております。

 詳しくは藤本政務官からお答えさせます。

○藤本大臣政務官 お答えいたします。

 答弁、繰り返しになりますけれども、今、穀田委員から御指摘いただいた高齢者、低所得者、これについても、事業仕分けの議論を聞いていますと、基本的には、高齢者さらには低所得者に対しては一定の配慮が必要だということの中で事業仕分けの評価をされているんだろうというふうには思っております。

 ただ、御指摘いただいたとおり、具体的な定義でどうするのか、どういう方々が該当するのかということについては、方向性として示されたということで我々は理解をしておりますので、これは検討会の中あるいは政務三役でも、ここのところを具体的な方針を踏まえて考えていきたい、そのように考えております。

 以上です。

○穀田委員 大臣もお話ありましたが、問題意識は共有しているとありましたけれども、その点はよかったと思っているんです。やはり、真摯に受けとめるというその土台と基準をはっきりしておかへんと、今政務官からもありましたけれども、私は何も組織防衛という観点をやれと言っているんじゃないんですよ。私は、住宅政策の根本をしっかり据えなければ、その話は、とにかく民間委託すればいい、あとは、もうからないものはそうしたらいいとかなんとかという話はならぬということを言っているわけですよ。

 そこで、私は、居住者の立場に立った見直しが、先ほど解体的出直しとかそれから検討だとか言っていますから、少しその場合の、じゃ、次の視点はどうかということについて論を進めたいと思うんです。居住者の立場に立った見直し、なかんずく居住者との話し合いが極めて大事じゃないかと私は考えているところです。

 枝野行政刷新担当相も、高齢者や低所得者のセーフティーネットとしての機能を国の責任でしっかりやると述べています。しかし、UR賃貸住宅の居住者でつくる全国公団住宅自治会協議会が、国会内で、事業仕分けに抗議し、賃貸住宅を公共住宅として守るために各党に要請する集会が開催されました。私も参加しました。自民、公明の野党とともに、民主党も社民党も参加していました。

 その中で、民主党の議員は、大臣も民主党の旧公団居住安定化推進議員連盟、民主党公団議連というんですか、その顧問だと紹介していました。二十四日には大臣も自治会の代表と会うということも発言しておられました。

 公団自治協の事業仕分けに対する抗議声明では、大臣に対して、「評価結果がいかに居住者を無視した非現実的なものであるかを、冷静に判断するよう」ということで求め、さらに、「誤った「評価結果」にとらわれることなく、七十六万戸のUR賃貸住宅を今後とも国民のための公共住宅として適切な管理組織とシステムのもとで継続させる方策をとりまとめるよう」要求しているということが出されました。

 私は、よくこういう方々の、実際、先ほども現状というふうなことを大臣はおっしゃっていましたから、その現状のもとで一番苦労なさっている方々の話をきちんと聞いて、居住者の立場に立った見直しをすべきではないかと考えているのですが、その辺の御見解を承りたい。

○前原国務大臣 先ほど両面必要だと申し上げたのは、このUR都市機構については、例えば、都心回帰という時期があったわけですよ。そして、非常に高額の家賃の、立派な、公営住宅というよりは高級マンションなんかを手がけたときがあって、これなんかだけを見ると、何で民間がやらずにURがやるんだという批判は、私は全くそのとおりだというふうに思うんです。

 他方で、この間、千葉の高根台、若井議員のところですね、千葉で。高根台のところに行って、ちょうど私の年と同じぐらいの築年数の団地があるんですけれども、状況からすると、それはなかなかひどいですよ、エレベーターはありませんし。

 しかし、そういったところ、もちろんそれは建てかえをしていくんですけれども、エレベーターもなくて、しかし、そういった安いところに住んでおられる高齢者の方々、高齢者の御夫妻二人だけで住んでおられる方、あるいはお一人、独居の高齢者の方々もおられますね。そういう方々は恐らく、全体を民営化するということになったら、民営化するということは、民間企業の利益重視の採算の観点から、例えば、切り捨てられるんではないか、出ていけと言われるんじゃないか、あるいは家賃が上げられて結局住めないんじゃないかという不安を持たれるというのは、至極真っ当な御意見だというふうに私は思っております。

 また、このURの問題というのは、ずっと今までの経緯の中で、十一兆の負債があるんですね。これをどうするかということも頭の痛い話でございまして、そういう意味から、さまざまな観点から、このURについては、ファミリー企業もあって、ファミリー企業は天下りの巣窟ですし、また随意契約もいっぱいやっているという、別の問題点もたくさんあるわけですね。

 だから、そういったところは改革をしながらも、しかし実際に住んでおられる方々もおられて、その住んでおられる方々については、独居の老人あるいは老夫婦でお住まいの方々で、年金暮らしで、もう移るに移れないし、家賃が上げられてもたまらぬという方々もおられるという中で、我々は現実的な選択をしていかなくてはいけないということでありますので、今委員がおっしゃったことも踏まえて、我々は、仕分け結果で指摘されたことも真摯に受けとめながら、しかし、住宅政策はどうあるべきか、特にこれから高齢化が進んでいく中でこのURの果たすべき役割もあるわけですから、どう果たしていくのかということを踏まえて結論を出していきたい、こう考えております。

○穀田委員 私が言っているのは、現実を踏まえるというのは、先ほど高級マンション化という例を挙げましたけれども、これは前も、渡辺大臣が行政刷新の担当のときに、わざわざそういうところばかり行ってテレビに見せるというやり方もしていましたよ。それを批判していた方も、この委員会か別の委員会か、それは私もちょっと定かではありませんが、していますよ。

 ですから、現実の多くは、それはそれで問題だし、また、随意契約等その他のURのやり方については、私もいいなんて思っていないんですよ。だから、居住者の関係の、いわば住んでいる人のことについて住宅政策というのは根本にある、そこをきちんと聞くべきだということを言っているわけですね。

 そこで、じゃ、どんな実態になっているかということについて、今、千葉県の話もありましたから、私はほかの例を出したいと思うんです。

 実は、今、国交省がやっているのは、ないしは都市再生機構というのがやっているのは、再生・再編方針ということで、〇七年末に、居住者や団地自治会などの意見を聞くことなく発表しました。そこに問題がありまして、七十六万戸余りの公団住宅を三割削減する、当面十年かけて約十万戸の再編に着手し、約五万戸を削減するということなんかもあって、そういうふうな再編方針というのが、いわば国民生活を第一に掲げた民主党に対して、国民は生活をよくしてほしいと願いを託したわけです。政権の座に着いた民主党は、これにこたえて、こういういわば再生・再編方針という構造改革路線というのは転換すべきと違うのか、こういう期待があるわけですね。

 そこで、ストック再生・再編というもとで何が起こっているかということであります。

 例えば高幡台団地を例にとります。商店などが入った団地のセンター棟である十一階建て二百五十戸の七十三号棟を取り壊すという話です。

 URは、この七十三号棟は耐震強度が足りない、したがって、補強、改修もできないから解体、更地化するという方針であります。ことし三月末を移転期限として居住者には通知してきています。しかし、十三世帯の住民が、どうして改修工事ができないか納得できる説明がないとして、七十三号棟に住み続けたい住民の会をつくり、今活動し、住み続けています。

 住民らは、本当に耐震補強、改修がでけへんのかURに説明を求めていますが、まともな説明がない。〇九年十二月、住民が情報公開請求して出された設計図が黒塗り。重ねて請求し、退去期限直前になってようやく図面が出されました。その図面を専門家に解析してもらった結果、耐震補強は十分可能との見解だったということです。横浜にある団地では同じ規模の住棟で昨年補強工事が行われているのだから、解体ではなく耐震補強できるのではないかというのが住民の皆さんの意見であります。

 この一連の経過を見てもわかるように、最低限の情報公開も行わないUR側の不誠実かつ住民不在の強権的な態度と姿勢に住民が反発したのは、私は当然だと思うんですね。

 ところが、耐震補強でもいいのではないかという住民の意見を無視する形で、五月十日付で、URは、七十三号棟を解体するための技術提案を公募している。こういう解体ありきのやり方を改めて、少なくとも、先ほど大臣もおっしゃっているように、URが結構、一方的なやり方をして、裏ではいろいろなことを、もうけることを平気でやりながら、こういうものについてはさっぱりだという点を我々批判しているわけですね。

 住民の納得と合意を得るようにURを指導すべきと違うのかということについて、見解を賜りたい。

○藤本大臣政務官 今御指摘いただきました高幡台団地七十三号棟については、今、穀田委員がお話しされたとおりでありまして、耐震改修工事を行うのが困難であるということで建物を除去するということにしました。これは居住性が大幅に損なわれるということであるとかそういう話なんですが、情報公開というのは大変重要だというふうに私も認識をしておりますので、ここは納得をしていただけるように努力をする必要性というのはあるんだろうと思います。

 ただ、現時点では、二百四戸のうち、今移転に合意をいただいていない方が十一戸ございまして、この方々に対しては引き続き御協力をお願いするとともに、この情報などをしっかり提供していく中で、移転をしていただけるようなあっせんを実施していきたいと思っております。

 こういう対象となるようなお住まいの方々に対しては、この団地だけではなくて、URにおいては、移転先の住宅をあっせんするであるとか家賃の減額であるとか移転費用の支払いとか、こういう条件をお示しした上で協力をお願いしていくということでございますので、国土交通省としても、URに対して、しっかり理解を得ていただけるような丁寧な対応をするように指導してまいりたいと思っております。

○穀田委員 丁寧な対応は当然です。

 ただ、今政務官もおっしゃったように、情報の公開といって、一番最初の時点でもうひどいことをやっている。民主党政権は、一貫して情報公開の問題については言ってきたわけじゃないですか。その前提の情報がさっぱり開示されない。しかも、そういう耐震補強、いけるじゃないかという専門家の意見もある。だから、そういう問題も含めてきちっと議論すべきなんですよね。それを一方的にばあんとやるというやり方がけしからぬ、それは同意できると思うんですね。

 しかも、この七十三号棟の一階部分というのは、診療所、郵便局、集会所、スーパー、商店街があるわけですね。その中で、商店は歯抜けのようになくなって、日々買い物をしているスーパーも近く撤退するという話まで出ている。UR側は、解体した後の計画も示さない。こうなってくると、ともかくそこをつぶしてしまうんだという形しか見えない。

 そういう点でも二重三重にけしからぬという話は、これはだれが考えても、三日月さんはうなずいていますけれども、わかりますやろ、最初のスタートはふざけているわ、話し合いの途中はふざけているわ、新しい条件が出たもとで話し合いをきちんとやろうとはしない、展望は示せないよと、二重三重どころか四重五重にひどいという話はおわかりいただけると思うんですよね。だから、丁寧なだけじゃなくて、きちんとやってくれということを言っておきたいと思うんです。

 千葉県の話も出たからついでに言っておきますと、今、居住者の意見と、すぐこうくるんだけれども、千葉県の幸町団地もやはり取り壊すことを決定しているんですね。

 ここでは、私どもに、九十四歳の女性から、公団から出て行ってくれと言われて困っていると電話があったんです。

 URから手紙もいっぱい来ているし、職員の方もしょっちゅう来る。きょうも、引っ越しすれば百七十万円出します、出ていってくれと。来年三月には住めなくなる、裁判を起こしますよと。まさに脅迫まがいのことを言って、URの人が来るたびにぐあいが悪くなる。きょうも、来ないでくださいと言った。上の階に親切な人がいたが引っ越してしまった。長生きしてしまってこんなことになってしまう。三月十日の空襲のときに、東京の江東区での空襲に遭ったんだそうですね、死んでしまった方がよかったと。年はとったが一人で頑張ってやっている。少し歩くのが大変だが、洗濯も自分でできるし、買い物もスーパーが近くにあり便利だ。百円買っても届けてくれるし、民生委員さんが水曜日御飯を届けてくれる。本当に親切にしてくれて助かっている。買い物に行くと引っ越ししないで頑張りましょうねと言われる。URの人とは会いたくないからドアをあけないけれども、きょうはあけていましたと。

 こんなふうな悲痛な訴えが、私どもに届いています。

 こういう団地のように、コミュニティーが破壊され、高齢者が行き場のない事態に追いやられている。公的な住宅であるURが、今問題となっている追い出し屋まがいのことまでやっているというようなことは、これは絶対に改めるべきだ。

 先ほど政務官は現場の話だとかいろいろされていましたし、これはきちんとしてもらわな困るんだけれども、簡単に一言。

○藤本大臣政務官 時間がありませんので、ポイントだけで。

 その九十四歳の方、結果としてなんですけれども、途中ではそういうようなお話があったかと思いますが、その方も移転については御了承をいただいたというのが現時点では結論でございます。今、そこの幸町の団地については、長期不在の一戸のみ残すということになっております。

 ただ、穀田委員が質問でありましたとおり、その過程の中でいろいろ精神的な苦痛を与えてきたということが事実であるならば、これは改めていかなければいけないと思います。

○穀田委員 事実ですので、やはり、そういうことが起きているということに対して心を痛めないというのはあきませんで、ほんまに。だから、住宅の持っている政策というのは、住宅は権利であり福祉であるという立場からいかに設計するかということが大事だと私は思います。

 時間も来ましたので、私は最後に、URを見直すということについて四点だけ提案しておきたいと思うんです。

 一つは、高齢者や低所得者が過半数を占めるなどの実態に即して、居住者が安心して住み続けられるよう、公共住宅にすることを前提とすべきである。その意味で、旧政権のときにつくった再編、再生の名による団地の売却、削減は一たん白紙撤回して、計画をつくり直すべきだ。

 二つ目に、賃貸住宅部門はずっと黒字を続けています。この収益は本来、家賃の値下げや団地の修繕に振り向けるべきものであって、再生事業などの損失の穴埋めに充てることは許されないと思っています。

 第三に、したがって、家賃は近傍同種をやめ、収入に応じた家賃制度に改めること、そして、公営住宅と同様な家賃制度にすることを検討する必要がある。

 最後、四つ目に、UR賃貸住宅が、団地管理のノウハウや長年居住者が培ってきたコミュニティー活動などの経験を生かして、誘導居住水準のリード的役割を担うようにする。

 以上の四つの点だけ提案して、質問を終わります。