国会会議録

【第173臨時国会】

衆議院・国土交通委員会
(2009年11月18日)


○川内委員長 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 共産党の穀田恵二です。

 八ツ場ダムについて、私も一言申し上げたいと思います。

 私どもは、早くから一貫して、無駄と環境破壊の計画として多くの団体と協働し、国会でも地方議会でも中止を求め続けてまいりました。その際に、中止に当たっては、地域住民が受けた困難を償うなどの観点から、国と関係自治体などが地域住民を交えた地域振興のための協議会をつくり、住民の生活再建や地域振興を図ることを義務づける法律を制定することを要求してきたところであります。

 新政権は、地元住民や関係者の疑問や不安に一つ一つ答え、ダム中止への理解と合意が得られるように丁寧に手を尽くすこと、民主的プロセスが必要だというのが私どもの立場であります。改めて求めるものであります。

 そこで、きょうの一連の質疑を聞いていて考えました。半世紀以上、国の施策に翻弄されてきた水没地区住民の苦難は、想像に余りあります。長い反対運動の末、苦渋のダム受け入れを決断し、一刻も早い地域再建を願った住民の中から、国の政策変更によって暮らしが左右されることに怒りの声が上がることは当然であります。

 問題は、地域住民に苦渋の選択を迫り、苦しめてきたのはだれかということであります。それが大事なんですね。五十数年間も、やはりダム建設ありきと強行してきた自民党政権じゃないかということを私はあえて言わせていただきたい。

 もともと、住民の皆さんは、大反対運動を展開してきました。それに対して国は、下流域の首都圏の水需要の増大や洪水対策の必要性を振りかざして、いわゆる説得というものをやってきたわけであります。しかし、九〇年代には既にバブルが崩壊し、首都圏への人口集中もとまり、水需要予測も過大だということが明らかになっていたなど、社会経済情勢が大きく変化していったにもかかわらず、ダム建設ありきを強行し続け、苦渋の選択を迫った。それが間違いのもとであったということについて、私は指摘しておきたいと思っています。

 そこで、きょうはその議論は、私どもの考え方はそういうことだということをお伝えして、きょうは公共事業の見直しについて少し質疑をしたい。

 新政権の発足と同時に、公共事業のあり方について、大臣は、また内閣は、コンクリートから人へということで全面的見直しを公言しています。先ほどもありましたし、大体、一連の言っているのは、すべてのダムの事業の見直しを初め、河川整備、さらには道路整備、空港整備、港湾、新幹線、まちづくり関係等々の公共事業について、新規建設の原則停止、事業量の抑制による予算減額、縮減、費用便益評価方法の見直し等による事業の再検証などを進めようとしておられることは御案内のとおりです。

 そこで、これは、新政権としては、これまでの自民党政権のもとでの公共事業政策を転換しようとするものだと考えます。きょうは、では、従来の自民党政権が進めてきた公共事業をどのように総括し、どのように転換しようとしているのかについて聞きたいと思います。端的に、まず、自民党政権時代の公共事業政策について、何が、どこが問題だと考えているのか、お答えいただきたい。

○前原国務大臣 今、社会資本整備の特別会計ということになっていますが、もともと十五の中期整備計画があったんですね、道路あるいは河川。つまりは量ありきで、そして必ずそれを使い切るということで、財政状況がどうであろうが、あるいはほかに予算を重点的に使うべきではないかというものがあろうが、とにかく道路はつくり続ける、空港、港湾をつくり続ける、河川整備をやり続ける、こういったところに私は大きな問題があったんだと考えております。

○穀田委員 これは、私はなぜ変えなければならないかという哲学の問題だと思うんですね、根本問題だと思うんです。ですから、私は今大臣がおっしゃったことは当たり前のことだと思っているんですけれども、私はやはり、社会経済情勢の変化も顧みず、公共事業というものをもうけの対象としてやる、そして、ゼネコンの要請に従って、一方では族議員という政治家が、国交省を初めとする官僚を使って、あるいは使われているのかもしれませんけれども、公共事業を利用して食い物にしてきたというのがこの自民党政権下における現実だと思うんですね。ですから、この大もとを断ち切ることが必要だ。

 そこで、おっしゃるように、この物事の出発点というのは何だったかと考えますと、例えば、八〇年代後半には、日米構造協議によりアメリカから要求された公共投資基本計画、さらにはこれを背景に計画された全国総合開発計画、いわゆる全総などは、形の上では確かに廃止されたり変更されているんだが、計画のもとで具体化された大型事業の計画は、やはりこの際にきっぱり廃止、そしてもう白紙に戻す必要がある。具体的に言うならば、一万四千キロの高速道路計画だとか、私は何度も国会で質問してきたんですけれども、海峡横断道路を含む地域高規格道路の計画などでそれがあります。

 自公政権は、そういう意味では、私の質問に対して、少し手直しはする、でも根本は変えないと。ですから、新たに計画された国土形成計画にはそのまま残っているというのが現実なんですね。これらを一たん廃止、白紙にする、必要なら一からやり直す、そこまで踏み込むべきではないんでしょうか。その辺の問題が今問われていると私は思うんですが。

○前原国務大臣 穀田委員から答弁は短くという御意向でございますので、できるだけコンパクトにお答えをしたいと思いますが、先ほど穀田委員もおっしゃっていただきましたが、我々は、量、質、そして評価方法、これを根本的に変えていくということであります。

 これは、評価方法を変えていけば、先ほど同僚委員の御質問に答えましたけれども、費用便益のあり方も見直していくということになったときに、当然ながら、帰結として、延々と道路をつくり続けるということにはならないというふうに思っておりますので、そういった取り扱いについては、評価のあり方を見直すということになるとおのずと結論は決まってくるということを御認識いただければと思います。

○穀田委員 そこで、私は、今その大もとにある計画を、おのずとと言うんだけれども、実際には、残っている問題として、国土形成計画については相変わらずずっとあるぞと。これを一から見直す、そういうことになるのかということを、おのずとと言われると、おのずとそうなるといって理解してもいいのかどうか、極めて微妙なものですから。

○前原国務大臣 今、河川のみならず道路も含めて、再検証のプロセスにのせているわけです。そして、事業評価方法のあり方も今決めているという段階でありまして、そういったものが定まってくれば、おのずと次に来るのがどういったことなのかということを申し上げているわけであります。

○穀田委員 ですから、私はきちんと、その意味では一から見直すという、ある意味では結論先にありきではないことは事実です。でも、根本問題がそこにあるんだということをやらないと、新政権としての決意が疑われるということだけは言っておきたいと思います。

 そこで、具体的に少し話を進めたいんですけれども、天竜川ダム再編事業と海岸侵食対策について聞きたいと思います。

 今進めている百四十三カ所のダム事業を見直すということですけれども、先ほども出た八ツ場ダムを中止するという議論の中で、あとどれだけ事業費がかかるかとか、それから、継続する方が安くつく、いや、やめた方が安いなどという議論があります。しかし、こういう議論のやり方は、何が何でもダム建設ありきで公共事業を進めてきたこれまでの自民党政権のもとでの議論だと私は思うんですね。今や、議論の立て方が違う。そうせなあかん。本当に必要かと。将来の日本と、国土と国民の暮らしにとってどうなのかということを考えてこそ、抜本的見直しの意味があると思うんです。

 今言った天竜川ダム、何で言ったかというと、ダムをつくれば将来どうなるのか、その参考となる既設のダムがどうなっているかを見たいからなんです。

 皆さんにお渡しした資料を見ていただければ、一ページ目が、その八つのダムというのが再開発・改造事業となっている。理由は治水機能の増強であって、大体、おおむね五十年から六十年たっているものであります。この中にある天竜川ダム再編事業、佐久間ダムがどうなっているかということを、先日、私は調査に行ってまいりました。そして、佐久間ダムから天竜川河口の海岸にある中田島砂丘まで調査してまいりました。

 何に注目したかというと、砂です。天竜川は長野県の諏訪湖から遠州灘まで二百十三キロあって、中央アルプス、南アルプスからの大量の水とともに土砂をこの平野と遠州灘に運んできているわけですけれども、戦後、多くのダムができることによって、このダムに土砂が堆積しています。

 一方、近年、遠州灘では海岸侵食が進んでいる。それが資料の四ページ目、五ページ目であります。これは大臣、今、カラーのものを見てくれということでお渡ししていると思うんですけれども。四ページ目、五ページ目の資料ね。大臣には直接前にお渡ししているはずです。(前原国務大臣「ええ、白黒ですけれども」と呼ぶ)私はちゃんと事務方にカラーを渡しておいてくれよと言ったのに、ほんまにせいないな。それで、その資料の四ページ目、五ページ目が砂丘の分と侵食されている地域の図であります。

 そこで見たらわかるんですが、中田島砂丘というのは有名でして、二十年前には、四つも五つも山があって、砂がこうあったわけですね。だから、海へ出ようと思うと、その砂を、山を越えなくちゃならぬ。えらい遠いなという話になっているぐらい、子供たちが遠足に行ったときには、すごい遠いところに来たというので、海へ出るのも大変というところだったそうだということを地元の方々が言っていました。今は、そんな面影はみじんもありません。なぜこれほどまでに海岸侵食が進んだのか。地元の人たちは、今何とかしなければ砂丘そのものが消えてしまう、まさに緊急事態だとおっしゃっていました。

 そこで、国交省として、次の点をどのように認識しているか、確認したい。

 一つは、海岸侵食の重大性、緊急性をどのように考えているか。二つに、海岸侵食の主要な原因は何か。三つに、海岸侵食防止にどのような対策を立て、実施し、その費用は幾らかかっているか。

○三日月大臣政務官 穀田委員にお答え申し上げます。

 今おっしゃったように、ダムをつくることによって流れる土砂が減り、かつ、そのことが海岸侵食にもつながってくるということも含めて、ダムの効果や影響について再評価を行おうというのが、今の前原大臣を先頭にする国土交通省のダム行政に対する考え方でございまして、ぜひ、そういった観点も含めてしっかりと見直しの議論を、再評価、再検証の議論を進めてまいりたいというふうに思います。

 中田島の砂丘のこの侵食については、まず、この浜松篠原海岸ですか、これが、確認できる航空写真で検証しましたところ、昭和三十七年から平成十六年の四十二年間に、堆積傾向の区間が約八・四キロある。八・四キロについては堆積をしてきています。ところが、一方、汀線、いわゆる砂のたまっている線ですね、これが最大で二百十メートルも後退するような区間が約二・七キロあるというようなこともあります。

 したがって、こういう砂丘及び海岸の侵食の問題は重大かつ緊急の問題だと私たちも位置づけて、今状況を注視し、なお、この区間においては、静岡県においても、侵食から海岸線を保全するため、侵食防止対策を実施しておりまして、全体の事業費は、平成十八年度から平成二十二年度で約二十一億円という形になっております。

 なお、この原因について、これが二つ目の御質問だったと思うんですけれども、原因については、この天竜川の流域については、中央構造線や糸魚川―静岡構造線が通り地質が脆弱なため、土砂生産が活発、いわゆる川で土砂がたくさん流れる。もうこれも釈迦に説法だと思うんですけれども、それがダムによりせきとめられることによって土砂の流れがとまり、そして、そのことで海岸に流れるのが減り、そして波で侵食されるという影響もあろうかと思います。

 ただ、この発生要因については、さまざまな要因が複合的に作用しているというふうに私たちは考えております。しかし、この天竜川においては、回りくどくて済みません。天竜川においては、佐久間ダム等の電力ダム等の構造物による天竜川からの流下土砂量の減少や海岸構造物、例えば馬込川の導流堤等による漂砂の遮断等により海岸線が後退していると考えられると私たちは考えています。

○穀田委員 原因ははっきりしているんですよ。要するに、とめたから砂がたまっている。それはだれが考えたって事実なんですよ。それをあえて、あろうかと思いますとか、ああだこうだと言わずに、それこそ、土砂が減り、そのことも含めて見直ししているんだ、だからそれにふさわしく、原因はこれだと言えばいいんですよ、そんなことは。地元の人はみんな知っているんだから。

 そこで、天竜川ダム再編事業の目的と内容について、簡単に概要を一言言っていただきたい。

○三日月大臣政務官 お答え申し上げます、短く。

 天竜川は、今申し上げたような地形の特徴があるものですから、土砂生産が活発です。生産された大量の土砂により、遠州平野の扇状地を形成してきた河川です。

 この天竜川再編事業、いわゆる天竜川のダムの再編事業については、天竜川中下流部の洪水防御を目的として、既設の発電専用ダムである佐久間ダムを有効活用して、新たに洪水調節機能を確保しようというのが目的であります。

 内容につきましては、佐久間ダムの発電容量の一部を買い取るとともに、恒久的な堆砂対策として、堆積した土砂対策として、土砂バイパスを整備することによって、洪水調節容量の安定的な確保と、土砂移動の連続性を確保して貯水池の保全を図る事業でございます。

○穀田委員 聞いている人はさっぱりわからぬと思うんだけれども、要するに、ダムに堆積する土砂を吐き出す、そのことによってダムの機能を守る、そういうふうに言ってくれなあかんわけ。簡単に言うとそういうことなんです。あなたのところの整備計画だとか基本計画にそう書いているんだから、回りくどい話をせぬとずばっと言わなくちゃ、三日月さん。それこそ、書いたものを読んだらあかんで。要するに、ダムのたまったものを流してダムの機能を守るとともに、それを流すことによって海岸侵食を抑制しようということなわけでしょう。そういうことですよね。確認したと。

 だから、ダムをつくったことが海に土砂が流れないようにした原因だということは、これはそのことからも明らかなんですよ。大体、再編事業の目的のところに、おたくのところの整備計画だとか整備基本方針に、要するに、堆砂対策を実施することによって土砂を移動させる、そして海岸侵食の抑制を図るということを書いているんだから、そういうことでしょう。

 そこで、佐久間ダムというのは、実はできたのが一九五六年。美和ダムは五九年。いずれも五十年を超えているんですね。ダムを建設して五十年もすれば、土砂がたまって貯水などダムそのものの機能も低下し、それだけではなくて、土砂を海に流す自然の営みも遮断をして海岸侵食などの被害を及ぼす、その被害のために再開発や改造をしなければならなくなる。海岸侵食の防止対策なども考えれば莫大な費用が要るんだということなんですよ。ただつくって、そこの周りをどうするかというんじゃなくて、五十年たったらもう一度やらなあかんということに大きな金がかかるということを見ていただきたいんです。そこなんですよ、肝心な点は。ダムというのは、一たんつくればどうなるかということの基本がある。

 しかも、そのダムというのは幾らたまっているかということで、皆さんに資料をお配りしたところであります。それがどういうふうになっているかというと、二枚目の、佐久間ダム、堆砂率九八%。そして、その次の資料に、佐久間ダムにどれだけたまっているか。今たまっている砂の量は、一億二千万立米近くたまっている。簡単に言うとそうですが、「実績堆砂量」とありますね、この資料には平成十八年と書いています。約一億一千九百万立米たまっている。

 それはどういうぐあいの量になるかというと、先ほど示した地図、伊良湖岬から御前崎まで百十キロぐらいあるんですよ。ここの区間に百メートルの幅で高さ十メートルの砂浜ができる、それぐらいたまっているということなんですね、この量は。わかりますか。ここの海岸全部に百メートルの長さ、高さが十メーター、これだけの砂がたまっているということなんですよ。だから、どれだけのものが今たまっているかというのは大変なことがわかると思うんですね。

 しかも、それは、この堆砂率というのは九八%とありますように、もともと、この資料にあるように、計画堆砂量、百年でたまる量が実は一億二千百万立米という計画なんですね。それがたった五十年で満杯になる、こういう実態をこれは示しているんです。だから、どれほど大変な事態が生まれるかということをこの機会に認識せなあかんということを私は言いたいわけですね。わかりますね、三日月さん。

 そこで、それでは一体どれだけの量を流せばこの海岸の侵食をとめることができるのか、どういうふうにお考えですか。

○三日月大臣政務官 お答え申し上げます。

 この佐久間ダム、発電等で大変目的があり、日本の高度成長を支えた、そういう意味で意義のあるダムだったと思うんですけれども、今委員が御指摘されたように、土砂がたまり、下流に流れずに、そのことが海岸に対する影響を与えたということの歴史をしっかりと踏まえながら、現状を私たちも確認をし、今後の対策をとってまいりたいというふうに思っています。

 その意味で、海岸侵食を防ぐために天竜川からどれぐらいの土砂を供給する必要があるのかということについては、国交省が平成十四年に行った学識経験者等から成る検討委員会の計算結果では、四十万立方メートルというふうに推定をしております。

 ダムの下流の支川から十万入って流れますから、差し引き三十万土砂が流れればその海岸侵食を食いとめることができるのではないかというふうに推定をしており、今回行う対策で、天竜川のダムの再編事業により、年間二十万立方メートルの土砂をバイパスで流していこう。そうすると、計算していただければわかるんですけれども、十万少なくなります。その分が足りないんですけれども、その分を静岡県等で行っていただいております海岸侵食対策事業等々で食いとめていきたいというふうに思っております。

 ただ、このことでは足りませんし、そもそも、平成十四年の学識経験者による計算結果というものが本当にどうなのかという視点の検証が必要ですから、委員の指摘も踏まえて、ぜひ、私たちとして、この海岸線だとか河床高の変化量をしっかりとモニタリングしながら、これまでとってきた対策がよかったのか悪かったのかということの検証も行ってまいりたいというふうに思っています。

○穀田委員 数字上はそうなんだけれども、今度は、どんなものを流すかという問題があるんですよね。

 そこで、私、天竜川に、漁協に行ってきました。そうしたら、アユは海から上ってこないわけですね、当然、遮断するわけだから。そういうことで、漁協は、上ってくる調査だとかそれから場所だとかいうことでいろいろな活動をしているわけです。

 天竜川というのはシルト粘土が多くて濁りが長く続くために、アユのえさであるこけが付着する石に泥がまずがばっとついちゃう。その泥をアユが食べるために、他の川のアユよりも胃袋が大きいというんですね。そこまで被害が出ているんです。だから、栄養がないために小ぶりで、成長していない。だから、ダム再編事業について、土砂を流すのは、漁協の方も、海岸全体のためや川をよくするということでそれは当然だと言っているんですけれども、そういうときに、やはり質の問題もあるということもぜひ注目していただきたいと思うんです。

 今ありましたように、約四十万を流そうというのに対して三十万しかない。昔、ダムのなかったころは、国交省の中部関係の方々が言っておられるように、百三十万立米流しているんです。天竜川というのは自力では流しているんですよ、ダムがなかったころはね。今や、十万とかゼロとかという事態ですよね。それを三十万にして、十万足りない、下の方で五万つくるというような話をしているわけだけれども、だって、養浜というんでしょう、浜を養うというんですよね。それもさっぱり流れてしまって全然役に立たないという現実があります。

 ですから、本当の意味で、これはやはり、緊急に事態を打開するための本格的な再検討をする必要があると思うんです。その上で、今言ったような形で、対策をする上ではいろいろな方々の意見をしっかり反映させる必要があるというふうに私は考えています。

 最後に、時間がありませんからあれですが、今るる述べてきましたけれども、私は、ダム事業の見直しを進める上で、また検証をする上で大事なことは何か。それは、その一つは、費用便益評価について言うならば、過大な需要見込みを排除することはもちろんのことだけれども、すべてのデータを情報開示することは当然であります。これが一つであります。もう一つは、何度も私は取り上げてきたんですけれども、自然破壊などのマイナス効果を評価対象に追加することをぜひ実現すべきだと思うんですね。

 BバイCというんだけれども、これまで自公政権は、数値化するのが難しいとか環境影響評価をやっているからなどとごまかしてきました。しかし、先ほど紹介したように、ダムは一たんつくればさまざまな弊害を将来にわたって及ぼすわけです。五十年、百年という単位で出てくるわけですよ。したがって、負の遺産を孫子の代まで引きずることは明白だ。したがって、将来にツケを残す負担も加味して、こういうものを評価しないとあかん。

 だから、そういうBバイCのところにマイナス評価、そして、しかも河川というのは、今度の河川法の改正で環境という問題も新たに入ったわけですよね。そういう角度からしっかり評価すべきだと思うんですが、最後に、その辺の大臣の見解をお示しいただきたい。

○前原国務大臣 今委員がお話をされた中央構造線の、私は天竜川に行っていませんけれども、上の日本海側の黒部川、このいわゆる連携排砂という出し平ダム、これは見に行ったことがありますけれども、たまった砂を連携排砂するわけですね。これで富山湾に汚れたヘドロを含めてかなり流れて、漁業関係者に大きな影響が及んでいるというようなことを私も見に行ったことがあります。そういう意味では、委員がおっしゃったことについて、私は全く同意をいたします。

 したがって、ダムに頼らない治水というものの一つは、今は、砂がたまって海岸侵食があるということと同時に、ためると、やはり水がよどんで水質が汚濁をしたりするんですね。そういうものも含めて考えなきゃいけないということで、議員のおっしゃったことも含めての再検証というものをしっかりやっていきたい、このように思っております。

○穀田委員 終わります。