国会会議録

【第166通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2007年5月16日)

16日の国土交通委員会で、大阪府吹田市の遊園地「エキスポランド」 のジェットコースター事故について、現地調査を踏まえて質問した。
 最大の問題は、ジェットコースターの安全確保のための法令の不備だ。私は法令を整備してこなかった国の不作為責任を問うた。

○塩谷委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 九日に続き、大阪のエキスポランドで起きたジェットコースター事故について聞きます。

 私は、十二日、事故を起こしたエキスポランド社と吹田市に調査に行ってまいりました。ちょうど事故発生から一週間。関西ではマスコミも大きく取り上げており、より詳しく報道されています。調査して、この問題の重大性を再認識しました。

 一つは、事故を起こした事業者の安全に対する反省と責任の希薄さを痛感したということです。二つ目に、自治体の建築行政のあり方の問題。そして三つ目は、一番大事だと思うんですが、法令の不備、法令を整備してこなかった国の不作為責任にかかわる問題です。

 そこで、まず第一に聞きたいと思うんです。

 事故の原因究明や再発防止について、国はより積極的に関与すべき責任があると私は考えます。敷地は万博公園の中にあって、土地は国と大阪府が所有しています。その公有地を賃貸ではなく委託契約という形で借り受け、入場料などの売り上げの一部を万博記念機構に支払っている。つまり、公有地を借りて営業して、その事業者が安全を軽視するずさんな検査で事故を起こした。だから、単純な民間企業の問題ではないと思うんですね。

 所管は財務省だろうけれども、国はより安全を重視するよう監督すべきであり、遊戯施設監督官庁として二重の意味で責任は大きいと思うが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

○冬柴国務大臣 建築基準法のことにつきましては、前回も答弁いたしましたけれども、建築基準法上、こういう遊戯施設について、コースターとか観覧車のようなものについての建築基準が定められておりまして、それに基づいて作製されなければ供用はできないわけですが、その後は、特定行政庁が、定める期間の間に、建築基準法に定めるそれらの条件を満たしているかどうかという検査をする、そういう枠組みが決められているわけでございます。

 したがいまして、国としては、いわゆる地方分権という考え方から、国が何もかもやるというのではなしに、外交とか安全保障とか、もちろん先ほどのお話にもありましたが、国民の安全、安心の保障とかいうことについて、そしてまた、こういうものについて統一的な基準を設けてそれを遵守させるというようなことについて国は権限を持つけれども、それから先の具体的な部分については、この場合は特定行政庁という地方公共団体が責任を分担してやっていくという仕組みになっていると私は理解をいたしております。

○穀田委員 仕組みはわかっているんですよ。ただ、事故が起きて、それでは私言いたいんですけれども、国土交通省は、例えばあのエレベーター事故が起きる、そのときにも私質問したんですね。あのときにも、そういう事故情報というのは共有する必要がある、それを通知している、条例までつくれと指示している、それをつかんでもいない、それはたった三つや四つの自治体しかやっていないということを指摘して言ったわけですね。案の定、また同じことですね。これは聞いてみると、そういう新しい遊戯施設に関する事故情報も共有されていない。そうすると、一体全体何をしていたのかということを言うんですね。あわせて、人が死んでいるんですよ。

 したがって、それを何とかしようという場合については、そんな枠組みだとか、この間も局長は、地方分権の時代ですからと、そんなあほなことを言って、それだったら被害者の前に行って言ってみろと。小河原さんのところへ行って、いや、これは地方分権の時代でございますからと言ってみれるなら言ってみろ、私はそう言いたくなるわけですよ。

 そうじゃないんだと。今この問題についてどうしたら解決できるかということについては、まずお互いに責任を持とうじゃないかという姿勢が大事だということを言っているんですよ。仕分けについては、そういうことを話すこと自体が、私は今お話ししたように違うと思うんですね。

 大体、昨日、参議院の決算委員会の答弁でも、本契約に基づいて善管注意義務あるいは利用者保護義務を課している、これが果たせなかったという点では重大だと財務省だって言っているんですよ。その仕分けの話をしているということ自体が私は極めて残念だと思います。

 そこで、事故を起こしたエキスポランド社について、どういう企業か。国交省としてどう把握しているか伺いたい。

 私は、調査の際に同社の専務と面談しました。事故について申しわけないとは謝罪していました。でも、会社は、七二年発足以来、安全第一を社是としてきたということを繰り返し述べて、今回の事故については思いがけない事故だったと述べたわけですね。私、これも、局長じゃないけれども、事故を起こした当事者が思いがけない事故だなどと言えば、遺族や被害者がどう感じるか。考えると私は腹が立った。

 吹田市が、風神雷神2以外の二十八基ある遊戯施設についても探傷試験しているかどうか報告を求めたんですね。そうしたら、会社はどう言ったと思いますか。文書で出してくれ、文書で要請してくれという話で、全く高飛車で、行政をなめているとしか、私は本当に反省していない会社だなと思ったんですね。

 そこで、ずさんな検査について、同社の施設営業部長が事故後、それまで異常がなくて、延期しても大丈夫だと思った、JISで探傷検査が義務づけられているのは知らなかったなどと言っている。これは、昇降機検査資格者の資格取得講習、これはテキストのコピーなんですが、その中には遊戯施設の検査標準の授業がありまして、そこの中にちゃんと「検査方法及び判定基準」という項目もあるんですね。だから、自分が講師をしているわけだから、このテキストでやっているわけだから、知らぬはずがないんですよ。さらに、会社の元役員がこのJISの検査基準の原案作成委員会の委員であった。要するに、うそをついているんですね。

 私、そこの会社で聞いたんですけれども、過去にも探傷検査を先送りしていたこと。それから、他の三つのジェットコースターについても専務はどう言ったか。検査の先送りがありませんとは言えないと。似たような答弁をして、局長の顔をぼうっと思い出したんだけれども、要するに、していないということを言わないわけですね。検査の先送りがありませんとは言えない、こういう言い方をするんですね。本当にひどい人たちだなと思ったんだけれども、こういうありさまなんです。だから、いいかげんな検査をしていたことははっきりしているんですね。

 私が聞きたいのはここなんですよ。国交省は、過去にも探傷検査を先送りしていたこと、他のコースターについても先送りしていた事実をつかんでいるかということです。

○榊政府参考人 過去の問題につきまして、まだ特定行政庁の吹田市の方からはそういった報告を受けてはおりません。

 ただ、先ほどの御議論から申しますれば、私どもの方も、実は、日本建築設備・昇降機センターが実施する講習がどういった内容だったか、その講師はだれだったか、そういったことは調べましたので、先日の参議院の決算委員会の御答弁のときに申し上げたところでございますけれども、担当部長がこの検査標準の講義を行っていたというふうに聞いておるものですから、そういう講義を行っているという者が属する会社でJIS規格に基づく検査が行われていなかったということはまことに問題でありますし、極めて遺憾だというふうに思っているところでございます。

○穀田委員 遺憾なのはわかっているんですよ。私が行っただけで、少なくとも過去に探傷検査が行われなかった事実があるということ、それから他のコースターについても先送りしていたということ、二つの事実を私はつかんだんですよ。あなたは少なくともそういう報告を受けていない。どっちが今大事だと思いますか。

 私は、専務と話をして、過去にも探傷検査すべきだったのにしていなかったという事実と、他のコースターについてもやっていなかったという事実、これをつかんだ。あなたは報告を聞いていないということを話している。どっちが今大事だと思いますか。

 だから、私が言っているのは、何も全部責任を負えとか、その仕掛けがこうだとか言っているんじゃないんですよ。やはり直接出かけていって、話を聞いて、ほんまに一つの事故で一人の命がなくなった、大変なことだと。遺憾だなんて言っている話を、何回遺憾だと言ったってだめなんですよ。遺憾だと思ったら行ってやってこいと言っているんですよ、私は。そこを言っているということを理解してほしい。

 そこで、そういう問題について、では検査の内容その他について一つずつ検証しましょう。

 乗り物というのは、定期検査実務要綱にはちゃんと乗り物と書いているんですね、これには。ジェットコースターは乗り物なんですね。大臣も、なぜこれが建築基準法の検査かと、最初はどうもびっくりされたみたいであります。だれもが疑問に思うことでありまして、十一日の委員会でも議論になりまして、国交省は、簡単に言うと、建築基準法でも安全が確保できると答弁しているんですね。

 しかし、これも私はおかしいと思うんですね。建築基準法のどこに乗り物の安全を担保する規定があるのか。乗り物というのは、普通考えますと、電車とか自動車とかという構造の意味ですね。

 それで、鉄道局に聞きたい。

 鉄道の場合、車両検査などの安全確保の法令上の規定はどうなっているか、簡便にお答え願いたい。

○平田政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道車両の車軸の安全確保のための基準につきましては、鉄道営業法に基づいて定められました鉄道に関する技術上の基準を定める省令において規定されているところでございます。

 この省令におきましては、施設及び車両の構造上の基準を定めているほか、車両の検査につきましても、車両の種類、構造などに応じまして、対象とする部位及び方法を定めて、行わなければならないとされているところでございます。

 車軸検査の具体的な方法につきましては、同省令の解釈基準通達におきまして、定期的に探傷検査によることといたしまして、事業者はこの方法によって実施しているところでございます。

○穀田委員 要するに、省令で書いているということなんですね。

 そこでもう一度、では住宅局に聞きます。

 ジェットコースターに関して、今の鉄道に関する安全規定のような規定が建築基準法令のどこに規定されているか聞きます。

○榊政府参考人 建築基準法の施行令百四十四条及びこれに基づく告示で、施設ごとに構造基準を定めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、遊戯施設の客席部分やこれを支える主要な部分が構造耐力上安全であること、客席部分は走行時の衝撃が加えられた場合に客席にいる人を落下させず堅固な構造であること、事故が発生し、発生するおそれがある場合に自動的に作動する非常どめ装置を設けることといったような基準を定めております。

○穀田委員 それは百四十四条にそう書いているんだけれども、今私が聞いたのは、ジェットコースターに関する車軸はないということは明らかですね。今お話しされたのは、一生懸命百四十四条を読んでいるだけで、そこに書いているだけの話をしていて、先ほど鉄道局が言ったように、鉄道局の場合には定期検査の検査項目及び方法という解釈基準を示していまして、その中に車輪及び車軸、そしてこれは定期的検査を行うべきものであると書いているんですね。ところが、おたくのところはそうは書いていないんですよ。一般論としてそう書いているだけだということです。それは確かです。今おっしゃった二つのことからも明らかであります。

 そこで、では、そういうもので車軸のことについてはない。乗り物の安全の確保が建築基準法でできるか、ここは大臣に聞きたいんですね。大臣もいろいろお考えで、いろいろなことで、この間の不備その他を含めてお考えなさったと思うんですね。

 私はやはり、建築基準法で無理なんだったら新たな法令を考える必要があるし、それから、建築基準法に、鉄道のような、今のような乗り物の安全規定を取り込むことが可能なんだったら、取り込むことを検討すべきじゃないか。つまり、一般論としてそういうことを言うだけではもう間尺に合わない時代に来ている。だから、そこを私は提案しているんです。いかがでしょうか。

○冬柴国務大臣 私も全くそのような考え方から、建築基準法の法令の中に、探傷試験を行わなければならないと。ずっと手繰っていけば、どこかで切れているんですけれども、やらなきゃならないということになっているわけですが、私は、それはだれが見てもわかるように、建築基準法令の中に、法あるいは令、規則でもいいですけれども、そういう中にこの探傷試験というものがきちっと入り込む必要があるし、また、できればその期間とかあるいは取りかえとかいうようなことも、必要であれば決めなければならないと思っています。

 そういうような考え方から、社会資本整備審議会の中の建築分科会建築物等事故・災害対策部会というものを五月十日に、五日に事故が起こりましたが、緊急にこれを開いていただきまして、その問題点について、早急にこれをまとめていただいた上、そのような建築基準法令の整備をしたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

○穀田委員 わかりやすく言うと、先ほど局長が読んだところをもう一度引用しますと、百四十四条は、見たらなかなかわかりにくいんですね。「摩損又は疲労破壊が生ずるおそれのある部分以外の部分の構造は、」こうきている。それで、実は私、聞いたんですけれども、これはもうわかり切ったことなので言っておきますと、「生ずるおそれのある部分以外の部分」、つまり、その構造については余り書かぬでもいいという、平たく言えば、そっちの方に分類されているのが実は車軸なんですね。だから、大臣がだれが読んでもわかると言うのは、そのことを言いたかったと思うんです。

 私も、これを読んで、一生懸命聞いて、「摩損又は疲労破壊が生ずるおそれのある部分」に車軸は入るのかと聞いたら、いや、違う、それ以外の部分というのに入るんだと。したがって、別の方法で、今度は建設省告示に書いていて、さらにそういう内容は別のところに書いているんだときますので、実際はだれもわかっていないという現実になってしまうんですね。

 ですから、JIS規格に基づいてしなさいということをわかっていた、ジェットコースターを所有しているところでいいますと、四割ぐらいが知らなかったという結果になってしまう。こういうことになるわけですから、今お話があったように、だれが見てもわかるようにということの改善が必要じゃないか。しかも、そのことによって、安全規定をわかりやすく取り込むことが大事だという点ではぜひやっていただきたいと思います。

 そこで、その際、問題があるんですけれども、建築基準法といいますと、耐震基準でもそうなんですが、新たな基準は既にある建築物には遡及して適用されないというのがあります。いわゆる既存不適格というのが思い浮かびます。今度の事故に関係して、乗り物の場合にはそういうわけにはいかないと思うんです。現在あるすべてのものの安全確保が担保されないと意味がないと思うんですが、この点はどうでしょうか。

○冬柴国務大臣 五月五日に起こって、五月六日付で、五月十八日までに、もうあとちょっとですけれども、全部調査して報告してくださいということを求めているわけでございます。したがいまして、そういうものを踏まえて、今ある部分について、例えば建築物とか、あるいは公共交通機関はすぐとめるとかそんなことできませんよ、でも遊戯施設だったらあしたでもとめられるじゃないですか。

 私は、そういう意味で、もし車軸というような点について強度が多少でも疑義があるということであれば、そういうものについては、今からでも試験をやるとかあるいはそれを取りかえてもらうとか、そういう指導はできるのではないかと思います。これはもちろん特定行政庁を通じてでありますけれども、そういうことはできると私は思っております。

○穀田委員 この点は確認できたと思うんです。つまり、現在あるものすべての安全はやはりきちんとやるということだと思うんですね。

 そこで、事故原因に関連して、車軸の金属疲労が有力視されていることは御承知のとおりです。しかも、他の遊園地では、報道によりますと、車軸は五年から七年で交換しているのに、エキスポランドでは十五年間かえていなかったと言われています。交換を義務づける規定はあるんでしょうか。

○榊政府参考人 交換を義務づけるような規定はないんですが、コースターの車輪軸の部品交換につきまして、平成十二年に私どもの方で「遊戯施設の維持保全計画書の作成手引き」というものをつくっておりまして、その中に保守・部品交換に関する事項を定めるということにいたしております。具体的には、個別の施設ごとに、定期的な交換を要するような部品ですとか消耗品についてリストを作成いたしまして、各部品ごとに交換の時期または基準、交換の責任者等を維持保全計画書に定めて、これに基づいて計画的な部品交換を行うようにということで指導をいたしているわけでございます。

 私どもも、平成十二年以来、業界団体を通じまして、この手引の活用によります適正な維持、運行管理の徹底を指導しておるところでございますが、今回の事故を受けまして、五月六日付で、特定行政庁を通じまして、改めて遊戯施設の所有者等に対し、この「遊戯施設の維持保全計画書及び遊戯施設の運行管理規程の作成手引き」をもとに、遊戯施設の点検整備なり適切な運行管理について周知徹底を指導したところでございます。

○穀田委員 そこは、私何回も言うんですけれども、大臣が言っているように、だれでもわかりやすいという点でいうと、手引というのは確かに僕も見ています、ただ、義務づける規定ではないんですよ。そこが少し問題じゃないかなと私は言っているんですね。

 実は、なぜこれを言っているかといいますと、例の三菱のハブが折れたときの問題などで議論しましたように、あのときにも、製造、設計段階、さらには製造物責任の問題にもかかわるという議論を行ったわけですね。

 そして同時に、この車軸ということでいいますと、八年で交換すべきだったとするトーゴという製造元の指摘も報道されていて、ある場合には、エキスポランドとは別のところに対しては八年以内にかえてくれと推奨しているということまであったわけですね、そう報道されています。したがって、交換期間や製造者の責任などについて、これは東京新聞の五月十二日付の夕刊なんですが、そういうルールが必要だ、手引というのではなくてルールだということが述べられています。

 私は、いずれにしても、この部品交換が適切になされていない場合の処置も検討されるべきではないか。その点はいかがでしょうか。

○冬柴国務大臣 先ほど申しました五月十日に開かれました社会資本整備審議会の中の部会で、定期検査の項目、方法、基準というものをきっちりやっていただいて、建築基準法上の位置づけを明確にするということを考えておりますし、また、検査時点の状態の適否判断にとどまらず、次回の検査時点までに劣化が進むことが想定される場合とそうでない場合をちゃんと区別して、どうするのかというようなこともきっちりしてほしいと思っています。

 それから、定期報告の内容でございますけれども、これも詳細な内容とかそれを裏づけるための資料等の添付をちゃんと義務づけて、それを特定行政庁が受けたときに、それで適否が判断できるようなものも必要。今だったら、これはAでしたという結論だけが書かれているわけでございますが、それはその時点のことであります。それから、過去のふぐあい、過去どうだったかというようなこともきっちりして、それをこういうふうに直してAになったというような、過去の情報というようなものもその中に織り込んでもらいたいと思っています。

 あるいは、定期検査資格者の制度についても見直すところはないのかどうかというような点についても審議をしていただいておりますので、早急にこのような答申をいただいた上で、法律上それに違反したらどうするんだとおっしゃいますけれども、やはり法制度をする以上は罰則がかかるようにしなきゃいけないと私は思っています。

○穀田委員 私、吹田市に行きまして、Aというものが全部あるものを見ました。あれも本当を言うと、全部結果としてはAになるという仕掛けなんですね。それは当たり前なんですよ。ただ、そのときに、ふぐあいが見つかって、それをかえてAになったという場合には、資料を添付すると書いてあるんですね。それも怠っているということで、それは、見抜けなかった吹田市が悪いというよりも、そうじゃなくて、それはやはりそれを意図的にごまかした人が悪いわけでして、だから、添付されていない以上、単にAと書いているのは、結果として直してAにして丸にしているわけですから、それを悪いというわけにはいかないんですね、あの仕掛けというのは。

 ですから、そういう意味で、確かに添付するということも書いているので、そこはどうしたら一番やれるかというのは、きのうも吹田市の方から国土交通省に対して、法令化についての要望書が出ているようです。私は、現場とよくこういうものは、やるときは、地方分権、それから特定行政庁を通じて、こう平気で言うけれども、実際に直すときは特定行政庁とよく議論をしてやっていただく必要があるだろうと思うんです。それが一つです。

 もう一つ、ここは聞きたいんですけれども、私、実は、去年の六月のたしか十四日だと思うんですけれども、大臣にもお会いしていただきましたけれども、例の港区のエレベーター事故があったときに、その前の年に国土交通省は、そういうさまざまな事故情報というものを共有する必要がある、共有するというのは、単に部内だけじゃなくて、条例化して、消防庁だとかその他を含めて全部共有する必要があるということを通知しているんですね。

 ところが、その結果がどうかというふうに聞いたら、条例化しているのは大阪ぐらいしかなかったんですね。それで、事故が起こった瞬間にまたわっとくる。今度もまた別な事故が起こる。これもよく聞いてみると、この問題について、事故は、昇降機にかかわるセンターの情報によりますと、何百件もあったと言われている。ところが、だれも知らない。こういうことが起こるたびごとに後手になるという点が、私はちょっとまずいんじゃないかと率直に思っているわけですよ。

 私は、去年六月十四日に、改めて事故情報の収集と分析によって事故を未然に防ぐ制度的保障の必要性を述べたわけですね。したがって、政府の審議会でも強調されたと思うんですけれども、確かにエレベーターほど遊戯施設はそんなにたくさんあるわけじゃありません。でも、事故情報の収集等の制度化は改めて重要だと思うんですが、その見解について最後にお聞きしたいと思います。

○冬柴国務大臣 そのとおりだと思います。そこで、今年度から、建築物等における事故情報、ヒヤリ・ハット情報、これをインターネットを通じて収集、公表し、建築物等の所有者等に対して注意喚起を促すためのサイトを開設し、運用を開始したところであります。これは、例えば観覧車に乗って上でとまったとか、そういうことが時折ありますが、そういうときに、乗っていた人がインターネットできちっとこういうところへ知らせていただくということで、情報をたくさん集めようというふうなことでございます。

 それから、これまでも国土交通省におきましては、特定行政庁から事故情報の報告を求め、この情報を分析し、必要に応じて全国の特定行政庁に対して提供する仕組みというものも準備しているわけですけれども、そういうことをもっと徹底させようと思っております。

 それから、事故情報の分析に基づく安全基準の見直し、フェイルセーフ等の安全設計思想に基づく性能の確保等に関する総合的、体系的な検討も行わなきゃならないというふうに考えているところでございまして、先ほどの社会資本整備審議会の建築物等事故・災害対策部会というところにおきまして、事故情報の収集、分析のあり方について今審議をいただいて、事故発生防止のための充実を図っていきたい。これは、委員の御提言等も踏まえまして、そういう措置をとっているということでございます。

○穀田委員 くれぐれも言うんですけれども、実は私、去年こう言っているんですよ。「二〇〇五年三月の国交省の通知では、」ということで、例の回転ドアの事故から起きている教訓なんですね。そして、国交省は共有化と条例化を推奨するわけですね。そのとき、当時の住宅局長は、実際に消防機関等との連絡協議会などを設置したのはということで、岩手県、愛知県、鹿児島県といった例を挙げたんですね。そして、関係条例を整備いたしましてとやっているんですね。どこが整備しているんだと私聞いたんですけれども、そうしたら、港区はやっていなくて、実際は、私が知っているのは大阪だけだった。

 こんなことはないとは思うんですけれども、きょうは聞かないでやめますけれども、同じことを言うと、大臣はそのように、今度はヒヤリ・ハットのインターネットをやりましたと。前は、そういうことを含めて徹底するために各県にやります、条例化も進めますと言う。大して進行してないからきょうは聞きませんけれども、そういうことで、起こったときにびほう的にやるんじゃなくて、やったことを徹底してやるための努力だけはしていただきたいということをお願いして、終わります。