国会会議録

【第166通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2007年3月27日)

本日開かれた衆院国土交通委員会で、今こそ住宅再建への公的支援に踏み出すべきだ、と冬柴大臣に求めた。

○塩谷委員長 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 能登半島地震に関連して、国土交通大臣にお聞きします。

 今回の地震でお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げ、被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げたいと思います。

 今回の地震について、どのメディアも大体、日本ではいつどこに大地震が起きてもおかしくない、地震対策は待ったなしだと報道しています。私もそのとおりだと考えます。

 耐震改修促進法が制定されましたし、国は、住宅の耐震化率を二〇一五年度までに九〇%に引き上げる方針を決めました。その進捗状況と問題点について、簡潔にお述べいただきたいと思います。

○冬柴国務大臣 委員がおっしゃったとおりでございまして、能登半島地震においてお亡くなりになられた方の御冥福と御家族に対するお悔やみを申し上げますとともに、今なお、重傷を負われた方二十四名を含む二百十四名の方が傷害を受けられました、また多くの方々が避難所にまだ避難をされておりまして、相当大きな規模の余震におびえておられるという状態でございまして、一日も早くこれが終息するように、我々も全力を尽くさなければなりませんし、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、耐震について、九〇%までということで目標値を定めて努力をしているところでございますが、耐震化の目標、耐震診断、耐震改修に対する助成方針などを内容とする耐震改修促進計画の策定を地方公共団体に求めておりまして、四十三都道府県では本年の三月末、もうすぐでございますが、策定する予定、残り四県につきましても本年七月までには策定を完成する予定となっております。ただ、石川県におきましては、公表予定が今回の地震によって若干おくれるとのことでございますが、住宅の耐震化目標を九〇%にする計画案が示されているところでございます。

 今回の地震では、残念ながら、全壊、半壊合わせて二百棟以上、二百四十五棟でございます。これは三月二十七日、八時三十分現在のことでございますが、被害が発生していることは事実でありまして、補助制度の整備や税制の活用が平成十八年度から適用されたこともあり、必ずしも徹底されていない現状のもとにこのような大震災が起こったことはまことに残念でございます。

 このため、今後、地方公共団体に対しまして、耐震改修促進計画に基づいた取り組みを強力に要請していくとともに、耐震診断・改修に係る助成制度の的確な運用等施策の充実を求めていきたい。地域住民や関係者と一丸となって、二十七年度においては耐震化率が少なくとも九〇%を上回るという目標を着実に実現できるように努めてまいりたいというのが、現在の心境でございます。

○穀田委員 私は、こういう地震が起きるたびに、計画を本当に進行させる、それは自治体の計画というのじゃなくて、耐震化率を九〇%にするという目標に基づいて、どうしたらこれが進行できるかというのをその都度その都度考えるべきものだと思うんですね。

 それで、日経新聞はこう言っていまして、財政の苦しい地方自治体では耐震診断・改修への補助制度がおくれていると。自治体はやはり大変なんですよね。大臣はすぐ、計画ができているという状態だけはいつも、単に大臣だけじゃなくて国土交通省もそう言うんですけれども、問題は、計画をつくればいいというわけじゃ決してないんですね。それがどうしたら進むか、ネックは何かという問題なんです。だから、私は、国の支援の枠組みを広げる問題などきちんと検討しないとだめだということをあえて言っておきたいと思います。

 そこで、大臣は被災者の住宅確保などに全力で取り組むよう指示したとあります。もちろん仮設住宅は当然として、確保と言う限り、壊れた家屋を直すことも含まれると私は思うんですね、確保するわけだから。

 そうすると、これまた新聞が報道していますが、二〇〇〇年の鳥取県西部沖地震の後、鳥取県は個人住宅復旧に最高三百万円を補助する基金制度を創設した、住宅再建こそ生活再建、地域再建になるという発想だと述べています。毎日新聞でした。

 今回の被災地は高齢者が多いことも特徴です。住宅再建への援助が一層重要なことはもはや明確だと思います。その意味で、住宅本体再建への公的支援にいよいよ踏み出すべきときではないか。阪神大震災を経験してきた二人の、お互いの者として、人間として、とりわけ政治家としての大臣に改めてここは問いたい。

○冬柴国務大臣 私どもも、十二年前にあの阪神・淡路大震災を体験した一人として、住宅再建こそ震災復興のかなめだというふうに思いました。公的施設の再建、整備、これはもう当然のことでございますけれども、個人の住宅が再建できるかどうかということが、その町のにぎわいを取り戻すことができるかどうかにかかるわけでございます。

 そのためには、震災で家を失い、家具を失い、家族まで失って消沈している人たちが、自分の出費のもとにあるいはローンを組んで住宅を再建するということは大変困難であります。また、二重ローンになる場合もあります。そういうことで、私どもは、関西に住む体験した議員は住宅再建支援をやろうということで相当調整をいたしましたが、残念ながら、今日までそれが実現していないのも事実でございます。

 ただし、被災者生活再建支援ということは一歩踏み出すことができまして、当面百万、その後三百万まで、そして住宅を再建する人にとって、その家を建てる間の、借家であれば転居をしている家の家賃、そういうものを見るとか、あるいは利息を見るとかいうようなものはその生活再建支援の中に入るという、いわば今までから見れば画期的な一歩を踏み出しているところはあります。

 しかしながら、個人住宅に国費を入れるわけにはいかないというのが現時点における財務関係の方々の強い意見でもあり、国民の大多数もその点には迷っておられるのではないかというふうに思います。私は、これは党派を超えてこういう場で大いに議論をやっていくべき問題だろう、テーマだろうというふうに思います。

○穀田委員 現状認識、かなめだという点では一緒なんですよ。大臣はいつも、財務がどうだこうだということは理屈にならぬ。

 それと、国民の世論と言いますけれども、私、何度もやりとりして、お互いにわかっているんだ。中越地震のときに、こういう国費を投入するのはどうだと。八割近くの方がそれはいいと言っているんですよ。だから、国民はそれは納得しているんですよ。問題は、政治がそのことに対して決断を下すかどうかということが求められていると私は思っています。ですから、大臣が、それは閣僚全体の中でなかなか合意が得られないけれども私はこれで頑張るということを、私だって期待しているわけですよ。

 鳥取沖地震のときに、当時の片山知事は、実は地震直後の十一日目にして先ほど述べた救援策を明らかにしました。その際に、一刻も早く再建の希望が見えるようにということで、早期の決断の重要性を説いたわけです。私は、その時期に来ていると思っています。

 溝手防災担当大臣は、けしからぬ発言も一言ありましたが、それ以外にこう言っているんですね。この地域は高齢化が進んでおり、再建がどうなるか懸念していると述べているんですね。

 だから、地震災害が起きたこういうとき、地域社会の崩壊にもつながりかねない事態が目の前にあるときに、もとどおりの生活を取り戻す。もうお互いに経験していますから、一番大事な住宅再建こそ生活再建だという点は一致しているわけですから、その教訓をどないしてやるのか。だから、財務当局の壁を突破するために力をかしてくださいと言っていただければいいわけですよ。そこが大事じゃないかと思っています。

 次に、モーターボートをこの間質問しました。それに関連して、公営企業金融公庫の問題について聞きます。

 岩手県奥州市から岩手競馬の振興に係る要望書が来ています。簡単に言うと、岩手競馬の再生に向け、低利による長期借りかえあるいは繰り上げ償還に係る補償金の免除が出されています。競馬の赤字によって地方財政の改善に寄与しなくなる、市民の負担がふえるばかり、それを打開するに当たっての当然の要求と思うが、その経過や内容について、総務省の見解はいかがかということをお聞きします。

○椎川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問の公営企業金融公庫でございますけれども、原則十年単位の債券発行によりまして市場から資金を調達いたしまして、その時点の調達コストなどを勘案いたしまして算定した利率によりまして、地方公共団体に長期の資金の貸し付けを行っているものでございます。

 この岩手県競馬組合の場合には、十八年という長期の資金を貸し付けているわけでございます。そのため、約定と異なります長期低利での借りかえでありますとか補償金なしの繰り上げ償還を相手方の事情に応じて認めるということになりますと、公庫の持っております基本的な機能を損なうことにつながりかねないということでございまして、これを認めていくことはなかなか難しいのではないかというふうに思ってございます。

○穀田委員 なかなか難しいと言うんだけれども、制度的に言うと、いろいろ変化をしているわけですね。繰り上げ償還は上水道など四つで認めています。だから、政策判断で同様にすべきだと私は考えているんですね。

 では聞きますが、岩手競馬は、地方競馬の中では、水沢という競馬、私はそこで生まれたものですから、割と有名なところなんですよね。企業金融公庫には納付金で随分貢献していると思うんですが、総額どの程度納付してきたのか。歴史的に見ますと、経年でずっとたどって何ぼかということと、一番売り上げが多かった時期で地方競馬の中での比率はどの程度のものか。この二つ、お答えください。

○椎川政府参考人 岩手県競馬組合の公庫に対する納付金の実績でございますけれども、制度が創設されました昭和四十五年度から平成十七年度までの間に納付されました納付金の総額は、単純に足し上げますと約百四十七億円でございます。しかし、そのうち、経営状況によりまして後年度に還付されたものが約七十七億円ございまして、これもまた単純に差し引きますと、実質的な納付額は約七十億円ということでございます。この実質的な納付額というのは、平成二年度以前の年度、あるいは黒字でございました平成八年度、さらには平成十七年度の決算未確定でとりあえず納付しているものが大層でございます。

○穀田委員 地方競馬の比率。

○椎川政府参考人 地方競馬全体におきます岩手県競馬のウエートにつきましては、突然の御質問でございまして、ちょっと手元に資料がないわけでございますが、売り上げでよろしければ、平成三年度の実績で申し上げますと、全地方競馬の売り上げの七%弱という形になってございます。

○穀田委員 だから、今お話があったように、七十億近く貢献をしてきたということですよ。それ以外にも地方自治体その他に対していろいろな貢献をしてきたということがあるわけですから、私が聞いた、いわば繰り上げ償還に係る補償金というのは約四億円ですから、極めて小さい数字だということがみんな聞いたら大体わかると思うんですね、これだけ貢献しているんだから。

 そこでもう一点、繰り上げ償還の補償金四億円というのは、払って、もし翌年破綻したら、その金は返ってくるのか。端的に。

○椎川政府参考人 現時点では事業の継続というものを前提とされておりまして、任意の繰り上げ償還ということで補償金をお支払いいただくというのが原則であろうと思っておりまして、その後に仮に事業廃止ということになりましても、繰り上げ償還によりまして既に当該債権債務関係は消滅いたしておりますので、過去に支払われた補償金を返還するというようなことは難しいと思っております。

○穀田委員 難しいということだけ確認をしておきたいと思うんです。つまり、ないということですよね、簡単に言えば。だから、これほど地方財政の貢献ということからしても、それから、今困難になっているときに、どうしたらこれを本当に救うことができるかという立場で物を考えなくちゃならぬと私は思っています。そこだけ言っておきたいと思うんです。

 最後に、場外舟券売り場について、この間一言言ったんですけれども、あと一点だけ聞いておきたいと思うんですね。

 三月十八日付の四国新聞は、実は、学校近辺にもオーケーなのかという報道をしているんです。現行の施行規則は、場外設置基準として、「文教施設及び医療施設から適当な距離を有し、文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれのないこと。」を定めています。現在準備している法改正後の省令には、この前段部分、「適当な距離を有し、」を削除されると聞いているんですけれども、事実か。これまでも適当な距離がどの程度かということでさまざまな意見の紛争がありました。距離の記述をなくせば、ますます学校の近くでもよいとなるんじゃないですか。

○冨士原政府参考人 場外発売場の設置基準に関する御質問かと思います。

 従来、告示で「文教施設及び医療施設から適当な距離を有し、文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと」というふうに規定してまいりました。それを今回、法改正に伴います省令におきまして、先生御指摘のとおり、「文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと」と定めることにしてございます。

 それで、従来の基準とどうなんだという御質問であろうかと思います。

 従来の基準についての考え方でございますが、文教上または衛生上の支障を来すおそれを判断する一つの基準として距離の要素を示したものということでございます。しかし、実際、具体的な案件につきまして判断を下すときには、距離だけではなくて、周辺の道路事情あるいは小中学校への通学路など総合的に判断する必要がございまして、現にそのようにこれまで運用してきております。

 したがいまして、今回の改正は、現在の運用をより的確に表現するということで書いたつもりでございます。したがいまして、今後、位置基準の運用に当たりましては、従来の運用を変更するつもりはございません。

○穀田委員 結論から言うと、変更するつもりはない、こう来るんだけれども、今までだってそういう中身のもとで随分やってきたんですよ。だから、緩くするということじゃないですか。

 千葉県のボートピア習志野というのが昨年九月にオープンしましたけれども、わずか三百メートルしか離れていないところに千葉工業大学があるんですね。学長がこんなふうに意見広告を出しているんですよ。教育環境を悪化させる場外舟券売り場設置計画は絶対に容認できませんと、新聞に意見広告まで出しているんですよ。当然、このように地域の学校関係者から問題点が指摘されたら、それこそ総合的に勘案して、設置を認めないのが当然じゃないかと思うんですね。それでもやっちゃうんですよ。

 しかも、僕が事前に聞いたときに、いや、通路がちょっと違いますという話をするわけですよ。皆さん、行ってみたらわかるんだけれども、駅をおりて、右の方へ行ったらボートピアへ行くんですよ、左の方へ行ったら大学へ行くんですね。そんなもの、毎日毎日、それは警備員はいますよ、そうだけれども、皆さんは青少年に対してこれでいいのかということについて、僕は、本当にこれは閣内でもよく議論していただいて、こういうルーズな方向には行かないんだということをどう強めるかというふうにしないと、何でもかんでもふやせばいいというものではないということをきちっとやっておかなあかんですよ。

 だから私は、この点でも、今後もこういう問題について、ともかくつくればいいという式のやり方については監視をし、本当にこれは、今出された方向の省令が変わることによって何ら変わらぬというような話を先週も今週も言っているけれども、絶対にそれはそのとおりやってもらわな困るということを含めて、今後見守っていきたいということを述べて、終わります。