国会会議録

【第166通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2007年3月20日)

 水門の設備工事をめぐる官製談合事件の問題を追及。
 06年3月に事件が発覚する半年以上も前から、OBの関与を告発する談合情報を把握しておきながら、OBを事情聴取の対象からはずしていた事が明らかになった。「投書があったのに調べもしない、これでは省ぐるみで疑惑隠しをしたといわれても仕方が無いじゃないか!」ときびしくつめより、ずさんな調査体制を指摘した。
 

○塩谷委員長 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 この間、水門談合について質問し、OB関与の情報の問題について質問しました。その後、新聞報道では、二〇〇五年の夏、元課長の実名を挙げ、談合への関与を指摘する投書が寄せられたという報道があり、さらに投書は、国交省が所管する社団法人日本建設機械化協会に天下りしていたが、協会の会議室で業者が談合していると具体的に記載していると書かれていました。さらに続いて、投書の内容は〇五年九月までに文書で国交省幹部に伝えられていたとあります。

 これらは事実なのか。それと、どういった内容だったかを明らかにしてほしいと思います。簡潔にお願いしたい。

○竹歳政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年の夏にOBを含めた談合情報があったことは、報道にあるとおりでございます。国土交通省として、直ちに公取に通報し、調査もいたしまして、入札を中止いたしました。今先生の御指摘の、例えば会議室でやったとか、幾つかの情報については確認ができていないところでございます。

○穀田委員 要するに、私、文書をいただいているんですが、委員会に提出していただきたいと思います。

 私、言いたいのは、先日の水門談合でOB関与の問題で質問したときに、OBの事情聴取をしなかったのはなぜかと聞いたら、新聞報道の段階でございましたのでやっておりませんと答弁したわけですよ。そうじゃないんですよ。だから、私、新聞報道ではなくて、それ以外に、事実は、談合情報もあった、告発もあったということでしょう。そして、告発もあって、その告発の内容について、国交省の中でもきちんとそれを渡したということなんでしょう。そこを言ってくれなくちゃ。そうなんでしょう。

○竹歳政府参考人 OBにも実は二種類あるということでございます。

 今、先生おっしゃったように、談合情報で特定されているOB、これは公取に通報したわけです。これについては、調べないというのではなくて、むしろ公取できっちり調べてもらうということ。むしろ我々が直接調査と称して会ったりするとまた変に見られるおそれもあるということでございまして、これは公取にお願いするということです。穀田先生に対する私の答弁の中で、若干舌足らずだった点もあると思いますけれども、そういうものについては公取でしっかり調査してもらうということを申し上げたんです。その他のOBは、新聞報道の段階でしたから手をつけなかったということなのでございます。

○穀田委員 それは余りにも、方便というんです、そういうのを方便というんですよ。

 やはりそういう内容があったということについて正しく伝え、この問題については公取にやったと。いろいろな情報があるけれども、それは分けてやらなくちゃならぬ、しかし古いものの方はこうだったとか、それはきちんと言うべき話で、それをあなたはどう言ったかというと、当時は新聞報道の段階でございましたのでと、こう来ているんだよ。

 そのほか、大臣も、そういう点でいうと、こう言っているんですよね。退職した人も平成三年とか平成八年に退職しているわけですよ、そういう人が十年もたってから今言われるということでありましてと、あたかも符合を合わせて、符牒を合わせているようにそっちの話だけしている。私は両方聞いているにもかかわらず、時間もないものだから、そうはならぬわけですね、こっちは。それを、そういうやり方をしちゃだめですよ。

 談合情報があった、それを公取に言った、そこを詳しく言えと言っているんじゃなくて、そういうことだけではない、ほかの判断もしながらやっている、それについては、御指摘のあったことについては、あるんだというんだったらきちっと言ってくれる、それは当たり前じゃないですか。

 要するに、簡単に言えば、半年間放置したと言われたことまで書いているように、私にすれば、投書まであったのにOBを調べもしない。それは調べる調べない、やり方について、どういう調べ方があるかは、それはいろいろあるでしょう。だけれども、そういう場合は省ぐるみの疑惑隠しだと言われても仕方がないということだけ私は指摘したいと思うんです。大臣、どうですか。

○冬柴国務大臣 国土交通省としましては、公正取引委員会に通報した事案については、公にしないでほしいという公正取引委員会からの一般的指示があるわけです。それは捜査に支障があるからということです。そういう意味で、そのように申しているわけでございます。

○穀田委員 余り反省がないなと。要するに、私が質問したことに対して、そういうことはない、新聞報道しかないからやらないんだという言い方は違っていたということなんですよ。それは紛れもない事実じゃないですか。それは、言い方が不十分だとか説明、あなた方の言い方はすぐ、舌足らずでしたと。舌足らないという話じゃないんですよ。そういう言い方で、こんな事実があったということについて言えば、後から出てくる。これは肝心な話ができないから困るけれども、では、少なくとも公取がやった後だったら別に、それはわかっている、今日の時点では既におしまいの話なんだから、そういうことについて発言していいかと聞けばいいじゃないですか、質問通告しているわけだから。

 問題は、そういう努力が足りぬということと、省ぐるみでこういう問題があったときにまともな対応をするということについて聞いているわけだから、そういうものについてはきっちり答えるというのは当たり前だと私は言っておきたいと思うんです。わかりますね、意味は。わかってくれればいいんです。

 やはりこういう問題というのは、省がつかんでいる事実について、これは報告できない、それはあるでしょう、そういう問題についていえば。だけれども、そういう種類の問題と違う話でごまかしているというやり方がおかしいと言っているんですよ、僕は。それは言っておきたい。

 やはり官房長は、絶対、そういうことについていえば、舌足らずじゃなくて、わざとそういうことを言ったとしか思えないほど発言をしている。それに符合を合わせて、過去の話、十年前、何年前という話をして、少なくとも二年前にやめている人の話だとかとあるわけだから、それを区分けして、もし自分のところでわかっているんだったら、そういう話をしたらいいじゃないですか。だめですよ、そういうやり方は。

 だから、みんなにきちっと資料は出していただくというふうにしていただきたいと思います。それはいいですね。資料は出していただく、私のところに来たんだけれども、出していただく、いいですね。いいと言ってくれればいいよ。委員長、それはお計らいを願います。

○塩谷委員長 はい。

○穀田委員 次に、そうやっていると時間がないので、自動車検査独法の改正案について、残りの時間は質問をします。

 昨年、トラックの荷台架装メーカーによる不正車検が問題になった。立入検査等の権限強化の法改正が行われた。今度は、いすゞ自動車を初めとするバス製作会社による不正車検も横行していた。運行会社からの要望で、テレビやカラオケ、豪華な座席をつけるなどしてバスの仕様を改造して、重量がふえる、後輪軸にかかる重量制限十トンを超えたため、軸の振動を抑えるおもりを取り外すなどして不正に車検証を取得したという事件でした。こういう不正な車検をはびこらせないためにも、車検制度のあり方が極めて重要です。

 また、実際に事故もふえているんですね。先日の観光バスの事故、トラック事故など、運転手の過密労働などの問題とともに、バスの火災など、車の側の問題、整備点検にかかわる事故も多い。

 車検というのが安心、安全の観点からますます重要になってきているけれども、その原理原則に関する問題についての認識を大臣に最初にお伺いしたいと思います。

○冬柴国務大臣 不正にこのような車両保安基準に適合しないような車両をつくり出して、検査を受け、それをその後またそうするというようなことは、全く許すことができないものでございます。そういう手の込んだことを今後もやられないようにするために、検査結果の電子化等による自動車検査の高度化を早急に進める必要があるということで、現在それを進めております。新しい排ガス検査の導入等、今後とも適正な検査の実施に向けて取り組んでいかなければならないというふうな決意をいたしております。

 人の手だけではもう手に負えないほどの悪さをされたと私は思います。したがいまして、そういうような最新の検査機器を入れて、そしてわかるようにしたいというふうに思います。

○穀田委員 いろいろな機器を入れるのも、見るのは人間なんですよ。その安全、安心を確立し確保するのは機械じゃないんですね。そういういろいろな機械を入れたとしても、それを使いこなす人間が必要なわけでして、私はそういう問題にしてはならないと思っています。そこで私は人の問題を言っているんですよ。

 非公務員化について一言聞きたいんだけれども、車の安全を確保するためには、検査にかかわる検査官など技術者の人材確保が必要ですね。これまで国家公務員として携わってきたわけです。それで皆さんも、その身分がどうなるかという問題についてるるあったわけです。

 もう時間がないのでここは省いて、要するに、これは、政府が行政改革推進法の特定独立行政法人の見直しに基づいて実施するものなんですね。そもそも国交省は、見直し当初案では公務員のままでいくべきだという意見だったわけです。また、当該自動車検査独立行政法人の理事長、これは民間から登用された方ですよ、この方も同様の意見だったと聞くんだけれども、その事実を確かめたい。

○岩崎政府参考人 昨年の八月でございますが、国土交通省として、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に見直しの素案を提出した際には、公務員の身分を維持する必要があるのではないかという主張をしてまいりました。

 それから、先生御指摘の独立行政法人の理事長でございますが、独立行政法人の理事長も、公務員型の方が望ましいという意見があったところでございます。

○穀田委員 私は、安心、安全対策を強めなくてはならぬというのはだれもが共通する意見だと思うんですよね。ところが、政策評価・独立行政法人評価委員会の国交省の意見に対する回答には、政府としての大きな方針、これまでの経緯を踏まえというだけで、検査業務の性格それから安全確保という観点からの指摘は何にもないんですよ。だからあなた方は、従来からいって、安全確保のためにも、それからこの業務上からしても、公務員として必要だという意見を述べたわけですね、一応。

 それに対して、相手方はどう言っているかというと、そんな話にかけ合うつもりはさらさらない、もうともかく人を減らすんだということだけで一点張りで来る。結果としてそういうことを承認したとなっているんだが、私は、大臣が言っていた、当初の、当時の問題だけと違って、大臣が、いわば一番大事なのは安心、安全なんだと言っているところの観点から、やはりそういうものに対して、それは物の申し方がおかしいと言ってやるべきじゃないですか。その辺だけ最後に聞いておきたいと思います。

○冬柴国務大臣 私は、安全、安心が国土交通省の使命であると思っております。

 ただ、公務員改革とかあるいはそういうような独立行政法人改革という大きな流れがあります。その中で、我々が不安に思っていた、いわゆる検査の際に暴行、脅迫を受けるということがあるわけで、暴走族も相手になるわけでございますから、そういうときに職員が公務執行妨害罪というもので守ってもらえるかどうか、これが心配でした。それからまた、いろいろな秘密というものを外へ漏らしたときの守秘義務違反というものも、通常の人になってしまった場合にこれでいいのか。それからもう一つは、やはり労働三権が全部保障されます、それは当然の話です、その場合に手続がとまってしまうんじゃないかということも心配の一つで、公務員型がいいと言っておったわけですけれども、その三点について立法手続がとれるということになりましたので、大きな流れもありますし、協調しようということでございます。

○穀田委員 その三点というのも、暴力の問題とかいろいろあるんだけれども、もう一つあって、あなた方は、「個々の検査官が、車両の使用の可否に直結する基準適合性審査を実施しており、行政処分に当たっての実質的かつ迅速な判断を行っている。」こういう一番大事なところがあるんですよね。そこのところがきちんと確保されるということを言わなくちゃならないんですよ。その後ろの方だけ言ったってだめですよ、それは。

 最後に一つだけ聞いておくけれども、安全担保がないというふうに私はまだ思っています。それで、手数料の自己収入化についてもありました。これだけ最後に端的に、先ほど来議論になっているように、手数料は上がるということだよね。

○岩崎政府参考人 現行の継続検査、二年ごとの車検の小型車の手数料は千四百円でございますけれども、二、三百円程度の値上げを考えております。車検をきっちりしていって、今先生御指摘の、不正改造の防止であるとか、あるいは車検のデータをちゃんとリコールに結びつけていくでありますとか、あるいは車検の検査の内容を、ちゃんと排ガスなんかもきっちり検査していくとか、こういうことをちゃんとやっていきたいと思います。そのための必要な経費として、国民の皆さんの理解を得ながら、こうしたものについて検討してまいりたいと考えているところでございます。

○穀田委員 そんな複雑な方法をやって、結局、値上がりになる。何でこんなふうな複雑な方法でやるのかということでいいますと、簡素でサービス向上がもともとの建前ではなかったのか、そういう面からも反するということだけ改めて指摘して、終わります。###本文終了###