国会会議録

【第165臨時国会】

衆議院・国土交通委員会
(2006年10月18日)

 橋梁・道路公団談合事件について

○塩谷委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 北朝鮮のミサイル発射、続く核実験に対して、我が党は、国際社会の意思を無視し、六カ国協議や日朝平壌宣言などの国際的取り決めをじゅうりんする暴挙であると厳しく非難、抗議し、北朝鮮に、核計画を放棄し、即時無条件に六者協議に復帰することを要求してまいりました。そのために、国際社会が一致協力して北朝鮮に迫り、平和的、外交的に解決することが重要だという見地を強調してきたところです。日本独自の措置もこうした見地からあり得ると表明してまいりました。

 本日の承認案件は、北朝鮮のミサイル発射に伴う万景峰92号の入港禁止にかかわるものであります。

 七月、政府は、我が党の質問に、入港禁止措置の目的は、対話を通じた懸案の解決を図るためのものであり、六者会合の共同声明の履行と平壌宣言に基づき、諸懸案の包括的解決をしていく方針には変わりないということの答弁を安倍当時官房長官がされました。

 私どもは、万景峰号の入港禁止措置が、いわゆる制裁のための制裁というんじゃなくて、北朝鮮を六者協議に戻し、平壌宣言に基づく対話の道に復帰させ、外交的解決を図る手段としてとられたことを了としたいと思います。日本独自の措置は、中国、韓国を初め近隣関係諸国と協調のもとで、国際社会の一致結束を強め、外交解決を図る方向で実施されるべきことを重ねて強調しておきたいと思います。

 そこで、あわせて、国連安全保障理事会では、十四日、全会一致で、北朝鮮にさらなる核実験や弾道ミサイルの発射の停止、無条件での六カ国協議への復帰、さらに核兵器と核開発計画の放棄を要求するとともに、北朝鮮に対して国連憲章第七章四十一条に基づき経済制裁の措置をとることを決定しました。非軍事的措置によって北朝鮮に核計画の放棄と六カ国協議への復帰を求める国連安保理の決議が全会一致で採択されたことは、私どもも歓迎し、重要だと考えています。

 ところが、非軍事的措置によって問題解決へ各国が外交努力を強めようとしているさなかに、自民党中川昭一政調会長が、核保有の議論は大いにしないといけないとの発言を行っています。それだけじゃないんですね。さらに、非核三原則のもとで、周辺に核保有国ができた中でどういう対応ができるか考えようということだと。結局、重ねて核武装論の促進を主張したという意味で、私は許しがたい暴論と思うんですけれども、大臣の見解はいかがか。

○冬柴国務大臣 今御指摘のように、自民党の中川政務調査会長がそのような発言をされたという報道は存じております。

 しかしながら、我が国は、核兵器は持たず、つくらず、そして持ち込ませずといういわゆる非核三原則は国是としているものでございまして、この非核三原則を堅持すべきであるということは、安倍総理も別の機会に明確に答弁をしていられるところでございます。私といたしましても、今後とも非核三原則は堅持していくべきである、このように認識をいたしているところでございます。

○穀田委員 だとすると、そういう発言はよろしくないというふうに返せると思うんですけれども、ところが、先ほどあったように、発言は自由だなんという話があるんですけれども、そうじゃないんですよ。やはり、憲法の原則にのっとって、そして我が国の国是にのっとって発言するという、それは与党なり政権党なり、そしてまた大臣なりの本来の務めでなければならないと私は考えます。

 ところが、麻生外務大臣の昨日の安保委員会での発言は、これまた重大なんですね。麻生外務相は、核保有問題で、日本において核兵器保有の選択肢は考えられないとしながら、だんだんだんだんと隣がみんな持っていくときに、日本だけが何の検討もされないのはいかがなものか、いろいろなものを検討した上で持たないというのも一つの結論ですからと述べているわけですね。これは議事録にちゃんと載っているんですよ。報道でしたとかじゃなくて、これは議事録なんです。

 だから、これは、中川政調会長の発言と同じで、首相がどう言おうとこういうことを言っている。外交の責任者たる大臣が核保有議論をやってもよいと言ったことは極めて重大だ。先ほどありましたように、政府として議論する考えはないという安倍首相の発言とも異なるわけです。こうなりますと、外務大臣、外相としての適格性さえ疑われかねない、問われていると思いますが、いかがですか。

○冬柴国務大臣 非核三原則を堅持すべきであるというのが、安倍内閣の明確な立場でございます。

○穀田委員 それはわかっているんですよ。それに反していないかという話をしているんですよ。

 しかも、その後、こんなことも言っているんですよ。そういった意味で、何の勉強もしないまま、無知のままでいくよりは、きちんと勉強した上で持たないというのも一つの選択肢だと。これが立場ですか。この発言と、今お話があった冬柴大臣の発言と、矛盾すると思いませんか。それを聞いているんですよ。

○冬柴国務大臣 国民がどう判断されるかでありまして、我が安倍内閣は、一貫して、非核三原則は国是であり、そしてこれは堅持すべきであるという立場に変わりはありません。

○穀田委員 それが答弁とはおよそ思えませんよね。国民が判断する、国民の意見を聞く前に、あなたの判断を聞いているんですよ、違うんじゃないかと。そんなこともはっきりできないで、それだけ棒読みしているようじゃ、それはだめですよ。事非核三原則にかかわる、国是にかかわる問題について違う発言をしており、しかも、そういう問題について勉強しないのは無知だとまで言っているというのは明らかにおかしいということを言っておきたいと思うんです。

 万景峰号の入港禁止、それから、引き続く特定船舶の入港禁止の措置の目的は何かということですね。これは、核兵器と核開発計画の放棄、無条件での六カ国協議への復帰を求めるためと考えてよいですね。

○冬柴国務大臣 お説のとおりだと私は思います。

○穀田委員 そうしますと、この一連の措置、今回は万景峰号の入港の禁止、その後、すべての船舶の禁止、国土交通にかかわる問題はそういうことですよね。では、それらの措置を解除する条件とは何か、その辺を少し詳しく述べていただきたいと思うんです。

○冬柴国務大臣 それは、一国土交通大臣が判断すべきものではありませんで、国際社会とともに政府が一丸となって、北朝鮮の今後のこの履行の状況、いわゆる一七一八号に明記されたそのようなものに対する履行の状況等を総合考慮して、将来そういう時点が来たときに政府が判断をすることである、こういうふうに思います。

○穀田委員 そうすると、今お話があったのは、国連決議に基づく履行がどうかということが大きな一つの要件であると言っていいんですね。

 もう一つは、今お話があった総合的にというのは具体的に、例えば、大臣は、一つの所管の国土交通大臣の認識じゃない、こうおっしゃいますけれども、だって、大臣は、単にいわゆる海上保安庁を初めとし、また港を初めとする、そういったところをやる措置だけではなくて、全体の措置に責任を負っている一人ですよね。ですから、国連決議はわかったんです、そうすると、もう一つの総合的に勘案してという条件の中身というのは、どういう点が列挙されるんですか。

○冬柴国務大臣 先ほども本件の提案理由の説明でも御説明申し上げましたとおり、六者会合の共同声明とも相入れない行為である、また、日朝平壌宣言に明記されたいわゆるミサイル発射モラトリアムというものにも違反する行為だという指摘をいたしております。

 したがいまして、今後の北朝鮮の行動、挙措動作というものがどういうふうになっていくのかということが判断の資料になってくるだろう。まだ解除というようなこと、我々、今このような措置をとったところでありますから、ずっと将来の動きを総合考慮しながらそういうものは判断されていくもの、内閣が一体となって判断していくものだ、このように思います。

○穀田委員 それは、今私どもも、何が北朝鮮のそういう反しているのかといいますと、やはりみずから国際的取り決めに反すると同時に、日朝平壌宣言、これに反している。これを生かしていくためにも、そういう立場でやるんだということを改めて確認しておきたいと思うんですね。

 そこで、最後に、今度の安保理決議の十三項は、国連加盟国、とりわけ六カ国協議の当事者に対して、朝鮮半島の非核化を誓約した昨年九月十九日の共同声明の速やかな履行を目指し、緊張を激化させる可能性があるいかなる行動も慎み、六カ国協議の早期再開を促進する外交努力、こう指摘しているんですね。その後さらに、関係諸国の取り組みを歓迎する、それをさらに強めることを求めていますね。この点も、国連が行った決議が、日本との関係でいうととても大事な点ですよね。

 そこで、今回の一連の措置を実施するに当たって、関係国との連携をどのように考え、どのようにとっておられるのか、御説明願いたいと思います。

○冬柴国務大臣 安保理の議長国として、各国とこの決議をなすに当たりまして、調整をし、そして、我が国の考え方というものが国際社会が共有するところである、そういう結論に達して、本当に迅速にこのような決議が一七一八として結実したわけでございます。その中に今御指摘のような文言がございます。

 このような国連安全保障理事会の決議は、国連憲章二十五条によって、加盟国のすべてがそれを誠実に履行しなければならない義務を負っていることは言うまでもありません。我々、その中でも、北東アジアのいわゆる中国、韓国そして日本というもの、そしてまた、我々が安全保障の基軸といたしております日米、そういうところが緊密な連携をとりながら、この決議に盛られたような状態に北朝鮮が履行する、すなわち、今までのことを悔い改めて戻ってくるということ、そういうことをどうすればいいかという連携を緊密にしているわけでございまして、その意味で、アメリカのライスさんがきょうもお見えになるというのもその一環でございます。

 我々としては、外務大臣も電話会談等を通じて枢要な国連加盟国とこの問題については緊密な連携をとっていることは、報道でも明らかにされているところでございます。

○穀田委員 緊密な連絡をとっているというだけしかないので。

 安倍首相が中国を訪問し、韓国を訪問する。その後、中国と韓国の首脳会談も行われていますよね。そこで中韓日三カ国の協力強化を求めていく方針、これを確認したと報じています。その意味で、この三カ国の、いわば一番近い、一番関係の当事者のところの協調が極めて大切だと思うんですね。そこを私は言っているんですよね。

 ですから、もちろん六カ国全体の協調は必要なんです。ただ、実際にさまざまな措置をとる場合にその三国の連携というのはとても大事だ。だから、その点で連携をよくしていただきたいし、その中身を今後とも見守っていきたいということを述べて、質問とします。