国会会議録

【第164通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2006年5月24日)

 建築基準法の審議。政府案反対、民主党案賛成の討論。

○林委員長 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 私は、建築基準法改正の政府案反対、民主党案賛成の討論を行います。

 耐震強度偽装事件は、姉歯元建築士以外の新たな構造計算書の偽装、改ざんや耐震強度不足の建築物の存在も明らかになるなど、我が家は大丈夫かという国民の不安はますます強まり、建築物の安全性を確保するための建築行政に対する信頼は失墜しています。

 この失った建築行政に対する信頼を回復するためには、国民不安を引き起こした今回の事件の原因や背景要因を真摯に分析し、反省すべきところはきちんと反省して正す。再発防止に必要な抜本的な対策に最善を尽くすべきであります。

 この事件の核心は、九八年の建築基準法の改悪を初めとした規制緩和路線により、建築行政を安全よりも効率優先に変質させたところにあると考えています。

 九八年の法改正の問題点は、第一に、公の事務である建築確認検査を民間開放したことです。第二に、チェック体制も整えないまま、性能規定化等により建築士の設計の自由度を拡大させ、コスト最優先の経済設計を可能にしたことにあります。こうしたことに対する反省がなければ、再発防止はもちろん、建築行政に対する国民の信頼回復はできません。

 政府案は、建築確認検査の民間開放に対して、民間にできることは民間にという方向は間違っていない、基本的に現行の枠組みを維持すると答弁するなど、建築行政を安全よりも効率優先に変質させたことに対する反省が全くありませんし、大枠を維持しているからです。

 反対の理由の第二は、民間検査機関が営利目的の競争をすることをそのままにし、特定行政庁が建築確認検査に責任を持つ仕組みがあいまいにしたままであることです。

 政府案では、民間検査機関のあり方について、指定要件の強化や特定行政庁の指定確認検査機関に対する監督を強化するとしています。しかし、現行の民間検査機関が構造計算書の偽装を見抜けなかった要因には、建築主など顧客を獲得するために検査を甘くするという競争がありましたが、この営利目的の競争を排除する仕組みが政府案にはありません。

 次に、民主党案について、賛成の第一の理由は、建築確認検査済証の発行を特定行政庁に限定しているからであり、政府案よりも改善であります。

 第二の理由は、建築士の地位と独立性を高めることや、設計、施工、監理の分離の促進など、建築行政の抜本的改善に必要な課題であり、我が党が九八年以来かねてから主張してきた当然のことだからです。

 最後に、今回の偽装マンション被害住民の方々が、二重ローンなど新たな負担を余儀なくされ、生活再建のめどが立たないままの事態を踏まえ、早期解決目指して超党派で知恵を出し合うことを呼びかけて、討論とします。(拍手)