国会会議録

【第164通常国会】

衆議院・予算委員会・第2分科会
(2006年3月1日)

 予算委員会第2分科会において、竹中総務大臣を相手に、地方で深刻な問題になっている産科医の不足の問題について質問。

○田中主査 これにて土井亨君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

○穀田分科員 きょうは、地方における産科医の不足の問題について、竹中大臣と議論したいと考えています。

 「生み場所探し妊婦さん走る これも少子化の一因?」ということで、日経新聞のことしの二月二十一日付で、分娩を取りやめる医療機関が各地でふえている実態を報道しています。

 閣議決定された少子化社会対策大綱では、妊娠、出産の支援ということで、妊娠、出産に関する総合的な支援体制の充実、周産期医療のためのネットワークの整備など、周産期医療体制を充実すると決められています。産科医師不足の解決へ地方自治体もさまざまな努力をしているが、国の重要課題として、総務省も関係省庁と協力し取り組むべきだと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○竹中国務大臣 産科医の不足という非常に重要な問題について、委員がお取り上げでございます。

 詳細の政策の中身につきましては、きょうは厚生労働省もいらっしゃっておられますので、いろいろお答えがあるかと思いますが、当然これは、内閣は連帯してこの政策を推進するという立場で、総務省がどのようにかかわっているかということを御説明させていただきます。

 厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査というのがございますけれども、それによりますと、平成六年度から平成十六年度までの十年間で、医師総数は約四万人増加しているわけでございます。しかし、それにもかかわらず、全体として四万人増加する中で、産婦人科医師数は逆に約九百人減少しているというふうに承知をしています。不規則な勤務体制、医療過誤訴訟の多さなどを背景にしまして、全国的に産科の医師不足が生じて、周産期医療提供体制は極めて深刻な状況であるというふうに我々も承知をしております。

 こうしたことから、平成十五年十一月に設置した厚生労働省、文部科学省、そして総務省から成ります関係省庁連絡会議のもとに、関係学会、医師、そして有識者等を構成員としたワーキンググループを設置しております。昨年十二月に、医師不足が深刻である小児、産科医師の確保対策として、当面の対策をどうするかという報告書を取りまとめております。その報告では、広域の医療圏を単位とした、自治体病院を中心に、地域の実情に応じて公的な病院も対象とした集約化が必要であって、既存の仕組み等を活用した国の財政支援について努力をするというふうにしているところでございます。

 あわせて、この三省庁から同月に、小児科、産科における医療資源の集約化、重点化の推進について積極に取り組まれるようにということで、都道府県に通知をしたところでございます。

 今後も、関係省庁と連絡の上、このような問題に適切に我々としても対処をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

○穀田分科員 今お話あった集約化、そして重点化ということなんですけれども、これは、今お話あった、〇五年十二月に出されたそういう通知では、その重点化、さらには集約化という問題についても、各地域における、一律的に強制的に実施するものではなくて、医師確保が困難地域における緊急避難的な措置であると。つまり、重点化、集約化するというのは緊急避難的な措置なんだということを言っているんですね。だから、事態の深刻さは、それではやはり大変なんだということを実は最後の方に指摘しているわけですよね。

 そこで、私は、その問題の深刻さについて、どれほど深刻かという問題について、若干実例を示したいと思って持ってきました。(地図を示す)

 これが私の地元における近畿の一つの、例えば高島市というところなんですけれども、ここに高島市があるんですが、これは琵琶湖ですね。非常に長い市で、今まで六つの町村が合併して誕生したものです。

 大体、この市全体で、年間四百人から四百二十人の出産があります。このうち、約半分の二百人を担っていた高島総合病院で分娩の受け付け休止という問題が起きて、あふれた妊婦さんが大津市まで行かなければならない。移動距離で約四十キロなんですね。旧高島町、それから旧マキノ町、この辺へ行きますと大体六十キロメートル以上になって、妊婦さんにとっては大変負担が重い。

 どんな負担が重くなるかということなんですが、これは、通院時間が長くなるだとか、交通費がかかる、それもあるんだが、もっと大変なのは緊急事態。例えば、胎盤早期剥離が起こった場合など、救命できるかどうかのかぎとなるのは、何よりも治療開始までの時間。その時間がこういう場合だと長くなるということで、これは利便性の問題でなくて、命の問題につながるということなんですね。

 次に、これは私が住んでいます京都なんですけれども、京都も、これは京都市なんですが、こっちは北部なんですけれども、一番北の京丹後市、これは六つの町が合併によって一つの市になりました。

 この京丹後市の弥栄病院、ここにあるんですけれども、ここでも分娩受け付けの休止が起きている。ここでは年間五百人の出産があるけれども、この休止によって、やはり約半分の二百五十人が舞鶴へ行く。半分は兵庫県の豊岡に行かなくちゃならぬ。ところが、豊岡は既に産科の病院があふれていて、二〇〇四年で三十三・二件の月平均の出産件数があり、二〇〇五年では五十一・七件と約一・六倍になって、患者があふれているという実態があるわけです。

 このように、産科の病院が少なくなることによって、遠くの産科まで行かなくてはいけないという事態、妊婦さんにとって過酷な状況が生み出されている状況と、今お話しした周産期ネットワークの網の目が崩れかかっている、崩れている、こういう状況について、厚労省としてはどういう対策を行っているのか、明らかにされたい。

○白石政府参考人 今お話ありましたように、妊産婦等に対しまして適切な周産期医療の提供というのは、安心して子供を産み育てるという基盤として大変重要だということで、高次の医療機関であります総合周産期母子医療センターを中核として、地域周産期医療センターを含む周産期医療ネットワークの整備ということを計画的に進めなければならないというふうに考えております。

 一昨年十二月の子ども・子育て応援プランにおきまして、平成十九年度までにこの周産期医療ネットワークを全都道府県で整備するということを目標としておりまして、現在のところ、三十八の都道府県でその整備が行われておるところでございます。引き続き頑張っていきたいと思っております。

 国におきましては、厳しい財政状況でございますけれども、NICU、いわゆる新生児の集中治療室、あるいはMFICU、母体、胎児の集中治療室の整備の補助でありますとか、あるいはこういうネットワークの整備、運営というものに関する補助を行っておりまして、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。

○穀田分科員 補助をやっている、それで全国につくるつもりだ、そんなことはわかっているんですよ。問題は、具体的に言っているわけじゃないですか、こういうふうに事態は深刻じゃないのかと。その深刻さをどう受けとめて、どういう体制をとっているのかと聞いているわけで、周産期ネットワークなんて、それは聞いていますよ。それから、そういうものについて予算を一定つけているだとか、それから、三十八都道府県しかなくて、全国に広げようなんとしている、それは知っていますよ。

 問題は、こういう事態について、個別に起きているところの、そういうネットワーク自身が崩れかかっている、崩れているという問題について、どうして救えずしてネットワークを維持できるのかということを言っているんじゃないですか。

 では、もう一つ、医療圏についてもう一度聞きたいと思うんです、国の責任にかかわるから。

 これは、先ほど言ったように、舞鶴の地域なんですね。そこで、今言った周産期ネットワークのかなめである、白石さんがお話あった、ネットワークのかなめである舞鶴医療センターが、産科医の退職によって産婦人科が休止の状態になっている。

 舞鶴医療センターというのは、京都府にとっては京都北部唯一の地域周産期母子医療センターなわけですね。大体いつも言う、ハイリスクの妊婦の分娩を行う比較的高度の、あなた方にもらった資料によればですよ、医療を提供する施設、これが北部からなくなってしまうわけですよね。

 結局、一番最初に大臣も言われた、少子化大綱でうたわれているいいお産、それから安心、安全な出産を進めるための担保として周産期医療ネットワークを掲げていながら、そのかなめとなるそういう地域周産期母子医療センター自体が舞鶴の場合は受けられないという事態になる、大変お寒い状況だと思うんですね。

 舞鶴医療センターというのは、地元に行ったらわかりますけれども、国立舞鶴病院とみんな思っているんですよ、事実そういう経過だったから。そうすると、国の責任があるんだ、こういう事態を放置していいのかということを、では具体的に問いたいと思います。

○岡島政府参考人 独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センターの産婦人科の問題でございます。

 当センターは、京都府北部における周産期医療を担っておりまして、産婦人科医三名の体制によりまして、一カ月間に二十から三十件の分娩を取り扱ってきたところでございます。

 しかしながら、平成十七年八月末に一名、平成十八年一月末にもう一名の医師が退職いたしまして、さらに残る一名も平成十八年三月末までに退職するという意思表示がございました。病院としましては、その後任者の補充のために、大学等関連機関へ医師の派遣を要請してきたところでございますが、大学からは、医局における産婦人科医の減少等を理由に、いまだ確保の見込みが立っていない状況でございます。

 以上の状況から、十八年一月以降の分娩予定者につきましては、入院受け入れを休止せざるを得ないという状況になっておりまして、現在は近隣の医療機関における分娩を紹介しているところでございます。なお、舞鶴市内にはほかに三カ所の医療機関がございまして、そこでの対応を行っているところでございます。

 今後の対応につきましては、産婦人科医師の確保が可能になれば速やかに入院受け入れを再開するということで、助産師も確保し、体制を整えているところでございまして、今後とも、医師確保に向けまして、関係機関への要請を行うなど、引き続き努力してまいりたいと思っております。

○穀田分科員 可能になれば、当たり前の話なんです、そんなことは。だれだって、可能になったら送るのは当たり前なんですよ。どうしたら可能にするかという話を問うているわけで、知っていますよ、大体、近隣の京都府立大学だとか福井大学とかいろいろありますわな、そういうところへ行って頼んでみる、なかなかしんどいということが起こっているわけですよね。

 問題は、もともと国が担うべき、そういう政策の一環としてやっているはずだろう、おたく。だから、その意味では、可能になればなんという話をせぬと、大体、独立行政法人にするときも、そういう点でいうと、成育医療など政策医療を担うと約束していたわけだから、国も責任を持ってきちんと取り組むべきだ。何か、自治体やそのところがこうなっているなんという話をるるされてもらったって困る。その点では、もちろん自治体としても努力していることについては我々知っていますよ。だから、きちんと国も努力をしなさいということを言っているわけですね。

 そこで、周産期医療ネットワークの中で、総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターの中で、先ほど三十八とありましたけれども、舞鶴の例のように、事実上分娩受け付けができない状況になっている例はほかにないんですか。

○白石政府参考人 私どもの承知している範囲で申し上げますと、今御指摘ありましたように、総合周産期母子医療センターは三十八都道府県で五十六カ所、それから地域周産期母子医療センターは二十六都道府県で百八十八カ所。これ以外に、県、地域がこれに準じるような体制をしているところもございますけれども、こうした医療機関につきまして、日本産科婦人科学会が昨年九月に調査を行いましたところ、こういう地域周産期母子医療センタークラスの医療機関のうち、過去一年の間に産婦人科の分娩取り扱いを休止した施設は、全国で六カ所あったというふうに聞いております。

○穀田分科員 ほかのところの話じゃなくて、厚生労働省が、先ほど言ったように、自分のところで総合センター、地域センターと決めているわけだから、実際はそれ以上多いというのが現実なんですよね。だから、そういうものを、人の資料を頼りにこうなっているなんという話をしているところに、私はどうも、本気かいなというふうに思うということを言っておきたいと思うんです。

 だから、さっきから言っているわけですよ。具体事例を示せば、自治体も努力しています、可能になったら、そんな当たり前の話を幾ら聞いたかて、だれもそんなの信用せえへん。ましてや、どないなっていると聞いたら、いや、学会の資料ではこうやと。おたくのところでどないして調べたかわかっているのかと聞くと、そういう話をしない。そして、現実はというと、もっと多いんじゃないかというのはだれもが知っている。こういう事態にあるからこそ問題提起しているということを言っておきたいと思うんです。

 では、そこで、総合周産期センターのところでいいますと、いつも一体どんな援助、支援を財政的を含めてしているんですか。短く。

○白石政府参考人 お答えいたします。

 周産期医療ネットワークの整備、あるいは総合周産期母子医療センターの運営という点に着目いたしました、施設整備以外のものでございますと、トータルで三十六億円の内数でございます。それから、施設整備に関しますもの、医療供給体制の整備交付金、それから医療提供体制の設備整備も含めた推進事業補助金を合計いたしますと、二百四十億の規模でございます。

○穀田分科員 大きい方の数字ばかり話をしているんだけれども、実際には、総合センターの運営補助金というのは六、七億円なんですよね、おたくの方からいただいた資料によると。問題は、さらに私が言っているのは、地域のサブセンターにまで予算措置をすべきだと。つまり、地域のそういう周産期センターにまで拡大をするとしないと、なかなか下はもたへんということだけ言っておきたいと思うんです。

 そこで、産婦人科のある病院の全体数、そのうち、国立、都道府県立、市町村立の病院の数はそれぞれ幾らであるのか、直近の数字と十年前の数字を述べてください。

○白石政府参考人 直近とそれからちょっと前の数字ということで、例えば、平成八年と平成十六年を比較させていただきますと、平成十八年、医療施設調査をもとにしたデータでございますが、産婦人科を有する病院の総数は千九百九十六カ所、そのうち、国立が百六十カ所、都道府県立が百三十六カ所、市町村立が四百五十五カ所でございます。

 それから、平成十六年の箇所数でございますが、一千四百六十九カ所、そのうち、国立が百七カ所、国立の中には独法化した国立病院・療養所も含みます。それから、都道府県立が百十五カ所、市町村立が三百八十一カ所でございます。

○穀田分科員 平成十八年じゃなくて平成八年ね。まあいい、わかっているから。

 全体で五百二十七件減っているんですよ。それで、二六・四%も減っているんですが、国は実は、国立の関係でいくと三三・二%も減らしているんですね。子供さんの数というのは、大臣、この間、減っているといったら八%ぐらいなんですよ。だから、ぐっと減っているということがおわかりいただけると思うんです。だから、国と地方自治体が大きく減らしている、ここから大臣に行くわけですけれども、そういう点がある。

 そこで、総務省にお聞きしたいのは自治体病院の支援についてです。

 今、自治体が、今お話ししたように、地域医療というのを守る役割を果たすことは非常に大事だ。ところが、総務省は、地方公営企業の経営総点検の号令をかけて、自治体病院の民間移譲や民間的経営手法の導入促進の計画を今年度中につくるように各市町村に指示しています。

 それに基づいて、例えば京都府は、京都府市町村経営改革支援シートなんというものをつくりまして、赤字の市民病院を合理化するように迫っています。その中で、ひどいんですけれども、「収支計画は適正か。見込みが甘くないか。」それは、赤字になっているんだからどこか一定の困難があるということは確かなんですけれども、そういうふうに言っている。それから、「投資に見合う利益を上げているか。」それから「統廃合や経営移譲について検討しているか。また、その場合のシミュレーション等を行っているか。」こういうことまで言っているわけなんですね。

 産科医不足の問題というのは、厚生省や総務省など三省庁のいわゆる議論の中で、いわば、地域の偏在、診療科の偏在という二重苦があるということを随分言っています。だけれども、それだけじゃなくて、プラスして、自治体におけるリストラや地方切り捨てによる三重苦になっているんじゃないかと私は認識しているんですね。

 一方で、赤字になりやすい救急、小児それから産科などを政策医療と位置づけて守らなきゃいけないと言いながら、一方で、こういうチェック項目を示して病院の統廃合を進めさせる、これでは全く矛盾しているんじゃないか。このチェックリストなどに基づく統廃合を進めるということについては、これは総務省の方針ですか。

○瀧野政府参考人 地方公営企業につきましては、病院事業も含めまして、非常に厳しい状況にあることはもう御案内のとおりでございます。

 そういった中で、全体として、地方財政の健全化を図るという文脈の中で、公営企業につきましても、ただいまお示しされたようなことで取り組んでいただくようにお願いをしているわけでございます。

 ただ、病院につきましては、地域医療の確保というのが非常に重要であるということも我々も十分認識しておりまして、特に救急医療、それから今御指摘の周産期医療、そういったものについては、なかなか診療報酬だけでは採算がとれない場合もあるということは我々十分認識をしております。

 そういった中におきまして、できるだけ病院経営について合理化をしていただくということは当然のことであるわけでございますけれども、その上で、なかなか診療報酬だけでは不十分という場合については、きちんと繰り出し基準を設けまして、一般会計でこういう範囲内で負担していただきたいということも示しておるわけでございます。

 そういった中で、地方財政計画におきましても、十七年度は六千億を超えるような病院事業に対する需要を見ておるわけでございますが、十八年度、ただいま法案の審議をいただいておりますけれども、非常に厳しい中でも、こういった病院に対します財政措置については若干なりともふやすような方向で対応し、周産期医療につきましても、特別交付税の中で、取り組んでいるところに財政支援をするというような対応をとっているところでございます。

○穀田分科員 一般論でいくと、そういうふうになるんですよね。

 ただ、問題は、こういうチェックリストまで来て、今お話あったような、例えば、地域医療は大事だ、救急は大事だ、そして周産期医療というのはとても大切だ、単なる採算だけではいけない、こう言って、一方ではこういう話で、投資に見合う利益を上げているかと。そんなこと、上がるんだったら民間がやっているわけで、上がらへんからこれはやっているわけなんだよね。それをこんな形でやっているなんというのは言語道断だと、はっきり言って私は思うんですよ。だって、周産期医療というのは大事だと言っていて、それを一方で言いながら、一方では採算に合うかどうかと。合わないからやっている話であって、そういう点が全く私は問題だと思うんですね。

 そこで、産科医不足との関係で、医師の充足、それから大学医学部の定員問題について聞きたいと思うんですね。

 まず、医師の充足状況についてですけれども、外国との比較で、人口千人当たりの医者の数はどうなっているのか、それからOECDの中での順位を示していただきたいと思います。

○岡島政府参考人 平成元年にOECDが発表した人口千人当たりの国際比較によりますと、日本では千人当たり二・〇人の医師数となっております。これは、OECD加盟三十カ国のうちの二十七位となっております。

○穀田分科員 相当低いということですな。下から数えた方がはるかに早いということになるわけですね。

 そこで、一九九七年の閣議決定で、大学医学部の定員を規制することが決まっています。九八年、医師の需給に関する検討会報告書では、医師の需給については将来過剰になるという見通しだったけれども、今でも過剰だと思っているんですか。簡単に。

○岡島政府参考人 今の御質問にお答えする前に、先ほどの私の答弁、間違えまして、修正させていただきます。平成元年と申しましたが、平成十七年でございます。大変失礼いたしました。

 それから、医師の過剰についての問題でございますが、平成十年の医師の需給に関する検討会報告書によりますと、遅くとも平成二十九年ごろから供給医師数が必要医師数を上回り、その後過剰が拡大するという認識がされております。

 現在の医師の養成でございますが、現状では、毎年七千名から八千名が新たに医師となりまして、全体では毎年三千五百人から四千名程度が増加しているという状況にございます。

 以上でございます。

○穀田分科員 その後の方で、要するに、今お話あったように、医師の需給に関する検討会中間報告書によると、「年間四千人程度増加しているにもかかわらず、現状では充足感がなく、むしろ、患者及び医師の双方から見て、医師は不足していると感じられる場面が多い」、こういうふうに述べて、要するに、これは大変だ、実際には、数はあるんだけれども、そういう問題も大変だということを言い出し始めているんですよね。

 産婦人科病院の四一%が実は自治体病院で、他の診療科に比べても比率が高いんです。だから、総務大臣に一生懸命私は聞いてほしいということを言っているわけですよね。

 そこで、深刻な事態というのは、患者も医師の側も両方から不足しているという実感があるということで、しかも、事実として、先ほど述べたように、産科医のところで深刻な事態が起きているということの根本のところに、一九九七年の閣議決定を見直す考えはないかということについて、閣僚の一員である竹中大臣にお聞きしたいと思います。

○竹中国務大臣 人口が減少する中でいろいろな問題が本当に起こってくる、その意味では、穀田委員最初におっしゃったように、緊急措置ではなくて構造的な問題としてとらえなければいけない、その問題意識はしっかりと我々も持ちたいと思います。

 定員の問題等に関しては、担当部署でいろいろもう御議論をされておられる問題であろうと思います。この問題に関して、私は直接担当ではありませんので、こうすべきだということを申し上げる立場にはございませんが、厚生労働省においては、医師の需給に関する検討会を設けて、需給の見直しについて検討を行っているというふうに聞いております。また、文部科学省の医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議においても、医学部の今後の入学定員のあり方について検討を行っているというふうに聞いております。

 我々総務省としましては、これらの検討の結果を踏まえて、地域医療の確保のために総務省として必要な支援があるのかどうか、これは担当省庁とよく御相談をして、また地域の声もよく聞いて、総務省としてできることが何なのかということに関しては、問題意識を持って真剣に考えてまいります。

○穀田分科員 大臣、三省でやっているんですよ。それで、私は、おひざ元の自治体がどう言っているかということとの関係だと思うんですね。

 この間、全国自治体病院協議会の決議を見ますと、緊急対策の第一番に、実は「医師数の確保」「大学入学定員削減方針の見直し」と言っているんですよ。だから、今、単に所管の厚生労働省というだけじゃなくて、いわば足元の方で支えているところで実際にそういう要求が上がっているということをぜひ私は見ていただきたい。だから、これをやったんですね。

 先ほど言ったように、医師需給検討会の中間報告では、医療の高度化それから専門化、単に少子化だから産むということに対する体制を強化するというだけじゃなくて、そういう新しいニーズと新しい状況の中でふやす必要があるんじゃないかということまで言い出し始めているわけですね。

 したがって、私は、今お話あった、必要な地域、分野で医師確保がされるように、条件整備も含めて、国のそういう抜本的な予算増も含めて、きちんと総務省が努力されるよう求めて、終わります。

○田中主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。