国会会議録

【第163特別国会】

衆議院・国土交通委員会
(2005年12月7日)

 耐震強度偽造問題で2回目の参考人質疑。当初、前回欠席した姉歯秀次一級建築士が、また内河健椛麹経営研究所代表取締役所長が新たに出席するということであったが、二人とも病気を理由に欠席。
 日本ERI代表取締役社長鈴木崇英氏、イーホームズ代表取締役藤田東吾氏、泣Aトラス設計代表取締役渡辺朋幸氏が参考人として出席した。


○林委員長 穀田恵二君。
○穀田委員 今度の事件について、真相解明のポイントは、今各党からもありましたように、姉歯氏、そしてそれと意見が異なる内河氏、木村建設、この最低三者が私はこの場に来ていただく必要があろうと思います。したがって、既にもう皆さんのところで大方一致しているんですから、一人は一致している、少なくともそういう証人喚問をすべきだ、単なる一人だけじゃなくて、三人が必要なんだ、三者が必要だということを私は申し上げ、委員長に提案しておきたいと思います。
○林委員長 理事会で協議します。
○穀田委員 そこで、端的に渡辺さんにお聞きしたいと思います。
 今回のそういう、最初の設計に関する指摘、これはどういうミスを指摘したのか、そして、それはどれほど異常だったのかということについて端的にお答えください。
○渡辺参考人 構造計算は最初に、応力といって力の計算をします。その力によって断面がどのぐらいになるかというのを計算するんですけれども、その断面を決めるときに、力を数分の一に小さくして計算していました。
○穀田委員 その結果、どういう事態が起きることが想定されますか。
○渡辺参考人 耐震性のない建物ができます。
○穀田委員 つまり、耐震性のないほど、そういう異常な建物で、すぐ壊れる可能性があるという建物がつくられるということなんですね。そこが大事なんです。
 そこで、ERIにお聞きしたい。
 つまり、そこで強度の問題でふぐあいがあった場合に、先ほど話があったように、着工前なら確認を取り消して再提出させるというのが、これは筋なんです。それは先ほど藤田社長もお話ありました。その際に、単に自分のところで取り消すことはできないから、そのルートでいえば特定行政庁ないしは国交省、こういう自治体に報告するということで、それを行うわけです。それを報告しなかったということが最大の問題なんです。ですから、それは私は、なぜ特定行政庁並びに公のところにそういう問題について報告しなかったのかと聞きたい。
○鈴木参考人 私どもの最初の建築確認、それを次に計画変更するというのは、定められた手続のとおりでございまして、計画変更が出たから取り消すという手続をしてもらうというふうには、手続は定まっておりません。
○穀田委員 それは私も、先ほどもありましたように、特定行政庁の関係者に聞きました。それほど重要な問題がある場合には取り消しに値する、これは事実です。そうでないとしたら、僕は大変なことになると思いますよ。そういう事実であるということをわかっていないということ自体が問題なんですよ、あなた。およそ、私、そんなことでよう検査機関やっているなとはっきり思いましたよ。
 では、聞きましょう。
 だから、そういう問題について先ほどあなたは苦情のシステムをいろいろ示しました。だけれども、そうじゃなくて、重要な変更について、そういうことについてあなたは報告を受けていたのか。そういう報告をするシステムはあったんですか。
○鈴木参考人 そのときはそれほど重要な変更であるというふうには認識できなかったのは、残念なところでございます。
○穀田委員 それは理由になりませんよ。建物が壊れるかもしれないという重要な変更なんですよ。これは取り消しに値することは明らかなんです。取り消しのための措置をとらなかったということが今日の最大の責任だということを指摘しておきたい。
 そこで、十一月三十日付のホームページに、あなたは、イー社の発言に対して、競争相手である当社に根も葉もない誹謗を浴びせて、当社の事業に意図的に打撃を与えようとしたものだ、こう批判をしています。
 私は、社長の発言は、少なくとも今全国が問題にしている安全の問題なんかよりも競争問題にしているというところに、およそとんでもないことだなということを改めて思いました。建築確認業務というのはそういう厳しい社会だ、そういう競争社会だということが最大の問題だということがわかりました。
 では、そこで、ERIのそういう問題についてのいわば売りというか目玉というのは何ですか。
○鈴木参考人 現在、民間の指定確認検査機関は全国で百二十社ほどあるとお聞きしておりますけれども、各地域で競争が激しくなっておるところもございます。そこで、私どもはそういう価格競争ということがあるやにも聞いておりますけれども、私どもはそういうものにはくみしませんで、適正な厳しい設計審査をするということ。
 それからもう一つは、お客様の、どういう建物をつくりたいか、あるいは、それにはどうしたらいいかというようなことを丁寧に対応していく、適切に対応していくというようなことで信頼性を得たいと思っております。
○穀田委員 得たいと思っておりますということで、得ていますとは言っていませんね。
 競争を打ち負かすためには、仄聞するところ、建築確認をおろすのが早いと宣伝する向きがあったり、私はこの間川崎で聞いてまいりましたが、逆に、施工者が指定機関に、どこならこの建築確認をおろしてくれると打診するという、甘さを唆すことがあると聞いています。そういう事実を掌握していますか。
○鈴木参考人 建築確認をおろすまでの間に事前相談というのを私どもはやっています。これは特定行政庁では余りないと思いますけれども、審査の時間をたっぷりととる、いろいろな問題について検討できるというために事前相談をしております。その間に厳しい指摘をする、あるいは資料を請求するというと、その申請者の方が別の機関に行ってしまうという事実はございます。
○穀田委員 つまり、この間のテレビ討論会でも言っていた、欠陥住宅被害に取り組む吉岡弁護士は、検査機関を株式会社にすれば利潤を追求するようになり、他社との競合が生じますから、今お話があったように、他社よりも検査を厳しくしたらお客さんは他社に行ってしまいます、そのため、各社が競い合って検査を甘くしたり時間を短縮したりすると指摘しています。
 ここでイーホームズさんに聞きます。
 品川区で、葬祭場の設置に関する環境指導要綱があります。これを無視してイー社が建築確認をおろした、建築審査会に審査請求が行われ、建築確認を取り消した例がありますね。御存じですか。
○藤田参考人 品川区の物件については、審査請求が提起されて、審査請求の決裁の前に品川区長名で取り消しがされました。ですから、審査会での議論はされておりません。(穀田委員「いや、あなたのところが出したのはあるんですね」と呼ぶ)そうです。はい、あります。そういう経過です。
○穀田委員 つまり、あなたのところが出したところが取り消されたということは事実だと。
 そこで、品川区でこういう取り消されたのは、建築基準法改正後初めての例なんですね。そして、この内容は、火災発生の際に必要な避難路の確保などの不適格があったという事実なんです。事は命にかかわる問題で、これほど甘く確認をおろすということなんです、事実は。
 京都市でも実は同様でして、同じ葬祭業者が建築確認を申請しています。そして京都市建築条例、この中にある空き地への避難通路の違反であって、これまた危ないという、いわば命の安全にかかわる火災のときの問題を指摘しているんですね。それを、確認をおろしてはいけないというふうに京都市建築指導課の注意にもかかわらず、建築確認をおろしている。こういう事態が散見されているんです。
 つまり、こういう事態というのはどんなことを引き起こすか、やはり安全がないがしろにされているということだと私は思います。したがいまして、私は、これらの今行っている問題とあわせて、制度の不備、これをやはり指摘せざるを得ないということを改めて主張しておきたいと思うんです。つまり、国の行政全体の責任もあるということをあわせて私は言っておきたいと思います。
 そこで、ERIにもう一つ、政治家の献金についてお聞きします。
 鈴木崇英ERI社長は、二〇〇四年、自民党森派、政治団体でいえば清和政策研究会に対して百万円を献金していたという報道があります。これは事実ですか。
○鈴木参考人 事実でございます。
○穀田委員 次に、森内閣のときに官房副長官を務めた上野前参議院議員に昨年の七月の参議院選挙前に三百万円献金している、これも事実でございましょうか。
○鈴木参考人 上野さんは私の大学の同期の友人でございますので、友達として応援したいというふうな思いで寄附をいたしました。
○穀田委員 昨年の七月のをお認めになった。
 いつから献金なさっていますか。
○鈴木参考人 いつからという年月ははっきり申し上げられませんが、上野さんが議員になられるころからだと思います。
 金額は、それぞれ、もちろん私のポケットマネーですから、それでできる範囲ということでございます。
○穀田委員 わかりました。とても大事な証言をいただきました。
 最後に、私ども、今度の問題で、やはりERIのそういう検査の責任というのは免れないということだと思います。それで、やはり一番大事なのは、先ほど私指摘しましたけれども、当時、一番最初に建築確認申請を行ったときにミスが発見された、そしてそれが、渡辺建築士からお話がありましたように、事の重大性が、単に建築変更を出せばいいという中身ではなくて、建物がすぐ壊れる、耐震強度がない、そういう実態にあることの指摘を受けた際に、それを正しく公表し、そして監督の、取り消しを行う権限のあるところ、あなたのところは権限がないわけですから、そういう意味でいいますと一度通したものですから、それを取り消し権限をすることのできる特定行政庁、つまり自治体並びに国交省に届け出があったらば、少なくとも一年半前に事態は発見することができたというふうに私は思うんです。そう思いませんか。
○鈴木参考人 先ほども申し上げましたように、そのときに担当者がそういう重大な問題であるということを感づいていれば、感じていればよかったなというふうに、大変私は残念に思っております。
○穀田委員 最後に一言だけ。
 今、お話がありましたけれども、先ほど来、それが偽装だとか偽造であったらばということを最初に、先ほどまでおっしゃっていたんですね。じゃないんですよ。偽装だとかそういうミスだとかじゃなくて、事の重要性がわかれば、それを上げるシステムがなかったということが問題だということを指摘して、終わります。