国会会議録

【第162通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2005年7月22日)

日本道路公団などが発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事をめぐる談合事件の問題を取り上げた。

○橘委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 私も談合の問題について一言質問したい。
 国交省の三地方整備局及び日本道路公団が発注した橋梁をめぐる談合事件というのは戦後最大規模と言われていまして、日本経団連の有力企業を初め二十六社が起訴される事態になっています。
 国交省は、談合で起訴された二十六企業に対して指名停止処分を行っています。
 そこで、新日鉄に対してはどういう措置をとったか、御報告ください。

○峰久政府参考人 今回の橋梁の談合事件に関して国土交通省がとった指名停止でございますが、これは指名停止のルールに従って厳正かつ速やかに二十六社について行っております。
 お尋ねのあった新日鉄につきましては、刑事告発がありました東北、関東、北陸地方の三整備局におきましては八カ月、またその他の地方整備局におきましては五カ月、そういうことになっております。

○穀田委員 つまり、指名停止をやっている、それほど重大な犯罪を犯したとしてある意味で認定をして、国交省も厳しく対処しておると。
 先ほどもありましたように、当時、〇三年、〇四年、そういう対象の事件があったときにそこの副社長だった人を内定していこうとしているというのには、私もおかしいと思います。
 先ほど道路公団の総裁も、発注者側から受注者側に行く問題についてるる話があって、ありとあらゆる御意見を賜りたいという話をしていました。これは同時に、受注者側から発注者へ行くというのもけしからぬ話でして、私は、その副社長、当時ナンバーツーですから、もともと法令遵守というものを社内に徹底させる立場にあると。ところが、法の遵守どころか、法を踏みにじる談合を会社として行った、その役員の一人であるということは紛れもない事実です。だとすれば、襟を正すということが必要でして、当然、本人みずからが辞退しますと言うか、それとも、任命し、またそういう権限を持っておられる大臣がこの内定を取り消すというのが私は普通だと思うんです。
 しかも、経団連の副会長の三村明夫新日鉄社長は何を言っているかというと、率直に言って、いろいろな日本の体質を考えると談合の撲滅はそんなに簡単じゃないなんということまで言っているわけですね。
 こういう、会社ぐるみでそういう発言をしたり、そういう談合を行っている事実についてやっている方を、先ほど大臣は、談合に関与したとは聞いていないなんて、いまだにそんなことを言っているということ自身が、世間の常識さえわからないのかとだれも思うと思うんです。
 談合があってはならないというんだったら、談合企業に対する厳しい、確固とした対応をすべきだ、最低限内定を取り消すべきだと私は考えます。それでこそ責任を果たすことができると考えます。そこを指摘しておきたいと思うんです。
 それでは次に、先ほど述べた二十六企業に対して指名停止処分を行っているという話をしましたし、新日鉄は聞きました。
 そこで、次に、横河ブリッジ、高田機工、栗本鉄工所、片山ストラテック、日本鉄塔工業に対してはどういう措置をとったか、お教えください。簡単でいいですけれどもね。

○峰久政府参考人 ちょっと済みません、ちょっと社名を聞き逃しましたので、わかっているところだけ先に申し上げますと、横河ブリッジが三整備局で十二カ月、川田工業も同じく三整備局で十二カ月、それから、その他の地方整備局におきましては、横河ブリッジが八カ月、川田工業が八カ月でございます。
 ちょっと、あとは聞き逃しましたので。

○穀田委員 栗本鉄工所、片山ストラテック、日本鉄塔工業です。

○峰久政府参考人 栗本鉄工所につきましては十カ月でございます。これは三整備局でございます。それから、片山ストラテック、これも同じく三整備局、十カ月。それから、日本鉄塔につきましては八カ月でございます。いずれも三整備局でございます。

○穀田委員 三整備局で一番、横河ブリッジについては最大、一番の重い指名停止をやっているわけですね。
 私は、今言いましたように、指名停止を受けているところなどの、そういう会社、企業から上がってくるのはけしからぬということを言いましたけれども、もう一つ許せないのは、談合企業からの政治献金の問題です。
 岩井副大臣に聞きたいと思います。
 岩井副大臣は、経歴で、建設省出身、河川局長を歴任しておられる。そして、選挙のときには建設業団体でつくる建友会などから推薦を受けている。その二つの事実は、そのとおりですね。

○岩井副大臣 そのとおりでございます。

○穀田委員 そうすると、経歴からしても、それから立候補をする際も、建設業界とは密接な関係にあるということがわかる。
 そこで、今回の橋梁談合事件で起訴された談合企業、横河ブリッジ、高田機工、栗本鉄工所、片山ストラテック、日本鉄塔工業からの、二〇〇〇年から〇三年まで、献金がありましたか。

○岩井副大臣 突然のお話でございますので、よく調べてみないとわかりませんが、そういった大きい企業も小さい企業も、広く浅く政治献金を集めるという意味で、おおむね五万以下ということが多いんじゃないかと思いますが、一部それを超えておるようなものも、一部ですよ、あるかもわかりません。今固有の名前を申されましたので、その辺につきましては早速に調べてみたいと思います。

○穀田委員 私の方で調べますと、小さい額を、一生懸命小さく言おうとしていますけれども、要するに、私が最初に言いましたのは、今の企業の名前を挙げて、指名停止を受けている会社だということは最初にお話ししたとおりです。そして、それらの企業から、高田、それから横河ブリッジなどを初めとしたところでいいますと、例えば、副大臣は調べないとわからぬと言いましたけれども、二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇二年、二〇〇三年、今我々が知り得る範囲内での資料からしますと、少なくとも合計で二百五十万円もらっているということは明らかです。
 これについてですけれども、今回の事件については、国発注にかかわる談合事件です。だから、建設業の指導監督の立場にあり、今までも議論になってきたように、発注側の、ある意味では副責任者だ。そして、そういう副大臣が、談合し受注した企業から献金を受けてよいのかということが問われていると思うんですね。そこら辺はいかがですか。

○岩井副大臣 公共事業につきまして、むだな公共事業と言われたりして、国民の公共事業に対する大変厳しい目のある中で、今回のようなけしからぬ談合問題が生じたということにつきまして、大変残念であり、遺憾に思っております。
 そういった民間企業からの政治献金につきましては、いろいろなケースがあるわけですけれども、今回の場合のように、企業の刑事責任が問われるような場合につきましては、これから、私としては、お断りすべきではないかというふうに考えているところでございます。

○穀田委員 残念、遺憾という話ではないんですよね。
 公正取引委員会は、過去の入札談合事件をもとに談合業者が不当に得た利益率をはじき出して、不当な利得率は一八・六%としています。橋梁談合でこの五年間にK会、A会に加盟している企業の受注総額は約七千七百十八億円。これの一八・六%は、千四百三十六億円に上る巨額なものです。この不当利得の一部が当然献金に回っているわけですね、金に色目はないわけですから。そうすると、国民の税金が還流し、税金を食い物にしていたことになる。
 このような献金について、今後やめるべきだというようなお話ありましたけれども、今までこういった問題が出てきた折に、関係が深い業者のところで言うならば、例えば小泉当時厚生労働大臣、橋本総理大臣含めて、返却をなすっています。私は、当然、このような献金については、今までの例からしても返すべきだと思いますが、そう思いませんか。

○岩井副大臣 今のところ、過去の部分につきまして、なかなか実態等についてわかりにくいところがありますので、検討はしなければならぬと思いますけれども、今後の話として、先ほど申し上げたとおりでございます。

○穀田委員 よくわかりませんね。
 わからないことはないんですよ。僕が言いましたように、正確に言いますと、だから、二百五十万もらっているじゃないかと、〇年から〇三年でいえば。当該の事件の時間にしたって、それは明確に、金は調べればすぐわかるわけですから、それは調べて返しますと言えばしまいなんですよ。そう思いませんか。だから、そういう極めて単純な話をしているにすぎないんです。
 問題は、では、その点で驚くべきことは、談合企業からの献金は国交副大臣にとどまらないということなんですね。私の調査では、小泉内閣の閣僚、副大臣で、町村外務大臣、中山文科相、中川経産相、棚橋特命大臣、副大臣で言うならば、西川、林田内閣府副大臣が献金を受けている。これは何度も、国交大臣について言うならば、談合事件をなくす、再発防止を進める、こういうふうにおっしゃっているんですから、まず隗より始めよということだと思うんですね。したがって、談合事件にかかわった企業からの献金については返却すべきだ、そういう旨について国交大臣として、いわばこの問題の重大性にかんがみて、きちんと閣議その他で提起をして実行させるべきだと思いますが、いかがですか。

○北側国務大臣 政治資金規正法等、法規があります。その法規にのっとっていくのは当然のことだというふうに思うわけでございますが、それ以上のことは、これはもう御自身の御判断であるというふうに思います。

○穀田委員 副大臣はどうですか。

○岩井副大臣 穀田先生は過去のことを含めておっしゃっておるわけでございますけれども、過去のことにつきましては、先ほど実態と申し上げましたけれども、談合ということについてどういう状況であったのか、どこまでさかのぼればいいのかとか、なかなかわかりにくいというか難しい問題がありますので、これからという話を先ほどさせていただいたところでございますが、どういうことをやるべきかというのは、ちょっと自分なりに考えてみたいと思います。

○穀田委員 どこまでさかのぼればということでいいますと、私は二つあると思うんです。
 この談合というのがどのぐらい続いていたかというと、四十年間続いていたというのが広範に流布されている実態です。そして、K会、A会ということでいうならば、九〇年代に復活をしたという事実であります。したがって、そういうものとして物事をとらえるのが当たり前だと思うんです。
 同時に、談合が認定されて問題になっているのは〇三年、〇四年ということなんですね。だから、極めて事は簡単でして、そういうものについて自分でよく調べてやるというのは、もう企業名が特定されて、自分がここまでは返そうと思うと言えば、それは返したらいいんですよ。それだけの話ですよ。どこまでさかのぼればいいかなんというのは自分の判断なわけであって、さかのぼってでも返すということが当たり前だということを言っているんです、こっちは。
 そして同時に、副大臣会議もあるわけだから、同じような副大臣もいるわけだから、当然そういうものについて返すべきという提起をしたらどうか。その二つを言っているんです。二つ、最後にお答えください。

○岩井副大臣 これから私としてどうすべきかということにつきましては、よく考えてみたいと思います。

○穀田委員 これから考えてみたいという点では、らちが明きませんわね、これでは。これだけ問題になって、こういうときに、提起された瞬間に、やはりこれはまずかったと。今まで発注側にいた。しかも、過去でいえば、経歴からしてもそういう問題を提起し、同時に、今度の談合の問題ということが新しく出たという事態の中でそういうことを率直に提起しているわけですから、率直に答えるべきだと思います。
 私は、そういう点では極めて不誠実で、この点での談合をなくす副責任者としていかがなものかということを指摘して、終わります。