国会会議録

【第162通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2005年6月8日)

 4月25日に発生した「JR福知山線の脱線事故」問題について、JR西日本から「安全性向上計画」が国交省に提出されたことを踏まえて質問。国土交通省の責任を追及。

○橘委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 JR西日本から安全性向上計画が国交省に提出されたことを踏まえて質問します。
 JR西日本の安全性向上計画について、私の地元、京都新聞の解説では、「同社が列挙した「反省点」の多くは、過去にも改善の必要性が指摘されていた。安全対策に消極的だった同社の姿勢が、かえって浮かび上がる形となった。」と書いています。私は全く同感であります。
 京都駅のインシデント、事故の原因が余裕のない時間設定にあった、こう指摘をした事故調の指摘を生かさずに、新型ATSの設置も福知山線だけ後回しにし、安全投資を削った。大阪支社では、事故件数がふえていたのに、経営方針の第一に「稼ぐ」を掲げた。安全軽視も甚だしいものでした。事故で亡くなられた遺族の方々やけがをされた方々からは、今さら何をしても遅い、なぜ今まで対策を講じなかったのか、本当に実行できるかなどの厳しい感想が出されています。
 一つ確認したいんです。JR西日本の査察に入ったとき、大臣は、社会、国民が注目している、言葉を選んで表現してほしいなど、対応した垣内社長にくぎを刺した。そして、安全性向上計画の反省文に対して、心からの反省が感じられないとして書き直しを求めたなどと報道されています。これは事実でしょうか。

○北側国務大臣 そういう報道があったことは知っておりますが、私の方から申し上げたのは、今委員もおっしゃっていただきましたが、これは私どもの方から安全性向上計画を提出してください、五月末までに出すようにということを指示いたしました。
 しかしながら、私がJR西日本の方に申し上げましたのは、これは鉄道局を通じて申し上げているわけでございますが、この安全性向上計画というのは、国土交通省に提出する文書というのではなくて、やはり、こうした大惨事が起こったわけでございます、被害者の方々はもちろん、また利用者の方々ももちろん、国民の皆様にあてた文書である、再発防止策である、そういう思いを込めてこの安全性向上計画はぜひ取りまとめていただきたい、こういうお話をしたことは事実でございます。
 ただ、具体的に、どこどこの文章はどうだこうだと言ったことはございません。

○穀田委員 大臣が事細かにこれをしろ、あれをしろ、そんなことを言っているとは言っていないんです。問題はその観点でして、今お話あったように、単に反省だけじゃなくて、事故再発防止、私に言わせれば、なぜこの事故は防げなかったのかということとあわせて、しっかりすべきだし、同時に、亡くなられた方々やけがをされた方々、国民に対してこれが社としての考え方ですと出す立場、これは当然だと思います。
 そこで、別の報道では、国交省が最も重視したのは責任逃れの企業体質だった、水面下で調整を続け、一度、原稿書き直しを命じている、とても世間に出せるものではなかった、弁解が多く、会社には非がないと言わんばかりの中身だったと幹部が明らかにした、こう報道されています。
 実際、その原案というのはどういう中身だったのか、知り得る範囲内、また、ないしは明らかにできる範囲内で言っていただければ幸いですが、いかがですか。

○梅田政府参考人 安全性向上計画の原案というのは当然ございますけれども、今先生がおっしゃったようなコメントは、少なくとも私はしておりません。それから、原案につきましては、当然でございますが、いろいろなレベルで作成してまいっております。したがいまして、練り上げていく過程というのはございますし、向こうからも相談を受けた案もございます。
 しかしながら、今回、最終的に会社として、社長として、世間に対して、社会に対して出た文章が会社の意思、社長の意思でございまして、途中区間の文章につきましては、これはいろいろやりとりがあったのは当然でございますけれども、それは十分会社の意思を反映していたかどうかは、私どもはっきりわかりません。原案をつくる過程で会社の中でよく議論がなされたものだと思っております。

○穀田委員 わかりやすく言えば、局長は言っていないが、ほかが言ったかもしれないという部分もあるし、それから、相談を受けてやりとりをしたということは事実だと。
 だから、この経過からはっきりしたことは、第一に、JR西日本の安全性向上計画というのは書き直さなければならない、つまり、原案ではだめだったということははっきりしていると。その意味では、もちろん、やりとりがあったわけですから、結果としては最終の会社の方針でありますが、しかし、その点では練り上げるという意味合いがあったわけで、その意味で、みずから考えた、最初に考えたものではなくて、確実に実行するかどうかについては不安が残る、これがみんなの思いだと思います。
 それから、第二に、今お話あったように、相談を受け、そして練り上げたということですから、国交省については、当然ですけれども、JR西日本の計画を遂行させる責任があると思うんです。つまり、国交省が、この安全性向上計画を確実に実行するかどうか監視、監督するにとどまらず、実施させる責任というものを深く負っていると考えていいですね。

○梅田政府参考人 安全性向上計画というのは、御承知のように、これはJR西日本が私どもに提出してきた計画でございます。
 前文を読んでいただければわかりますけれども、ここの計画の中身につきましては、社長みずからが自署したペーパーでございますが、確実に、これはやります、約束しますという言葉が入っております。
 私どもは、そういう計画ではありますが、この計画は着実に実施していただきたいと思っておりまして、今後一年程度、重点的に立ち入りもし、それから監査もしながら、その実施状況につきましてフォローアップしてまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 そこで、この間で言いますと、何度か指導の経過があったわです。今度ばかりはどうしてもきちんと実行させる必要があると。
 安全性向上計画、あります。全文読みました。なかなか、でも、これを見ても、自分たちの行動計画なんかも見ますと、例えば一年間で、今お話ありましたように、ずっと見ると言っていましたけれども、例えば、安全が社会的責務である、徹底するために、三カ月間を緊急安全点検期間と定めるとかあるんですよね。こんなもの、三カ月程度じゃ話にならなくて、国民からすれば一年間きちんとやってもらいたいぐらいの話ですよ。だから、言葉だけでなくて、どこをどのように強めるかが重要です。
 私は、この間、このJR問題について何度も質問をしてきました。その際に、今回の事故をなぜ未然に防ぐことができなかったのか、それから、国の監視、監督は十分役割を果たしていたのか、そして国の安全基準は明確だったか、そして事業者任せになっていたんじゃないかなど提起してきました。これらを踏まえて、私は、国土交通省みずからが深い反省と分析、検証が必要だと考えているんですね。そういう角度から中心点について質問します。
 まず、二〇〇三年十二月のダイヤ改正の届け出に関して聞きます。
 JR西日本が、二〇〇三年十二月のダイヤ改正、私これまでも何度も取り上げてきました。福知山線の快速電車の停車駅、中山寺駅をふやした際に、運転曲線図をつけずに、運行計画変更届出書を近畿運輸局に提出、運輸局はそのまま受理していた、このように報道されています。
 そこで確認したいんです。鉄道事業法施行規則では、運行計画設定(変更)届出書、いわゆるダイヤ、列車運行図表とともに運転曲線図を添付することになっているが、この運転曲線図を添付させる理由は何か、お答えいただきたい。

○梅田政府参考人 運転曲線図でございます。ランカーブと我々は呼んでおりますが、このランカーブというのは、最終的にそれを出させて何を見るかといいますと、駅と駅との間の基準運転時分というのがどのぐらいになるかというのを見るものでございます。

○穀田委員 駅と駅との基準時分を見るんだということですわな。そうすると、余裕時分があるかどうかというのが、ここが肝心なんですね。
 それで、これが、皆さん御承知かと思うんですが、大体、いわゆる編成というダイヤでして、こんなふうに、大臣は御承知だと思うんですが、全然時間的余裕がないということ、これはよくわかるんですね。
 それとあわせて問題になっているのは、今図表と言いましたけれども、運転曲線図と言いましたけれども、これは距離に対する速度と時間の関係をグラフ化したものでして、単に時分がわかるだけじゃなくて、列車の走行状態を示したものなんですね。こんなことを私が解説しなくちゃならぬという自体が困る話だけれども。距離と走行時間を横軸にして、速度などを縦軸にして、今お話あったランカーブの曲がりぐあいが決まるわけですね。これは実は速度制限も読み取ることができるという仕掛けになっています。
 私、これ、持ってきたんですが、これが快速電車の列車のものなんですね。これが普通列車のものなんですね。それぞれ違うんですよ、当然、当然のごとく。今お話あったように、一般的には、この曲線図がなければダイヤどおりの運行が可能かどうかは検証できないものなんですね。それほど大切なものなんです。つまり非常に大事で不可欠な資料だと。
 快速電車の停車駅をふやしたら、今ありましたけれども、駅と駅との関係ですから、当然、駅でとまるダイヤととまらないダイヤでは運転の仕方が違うわけですね、ランカーブ自身が。だから当然提出されたダイヤがチェックできる、そういうものなんです。しかも、停車駅をふやした上に余裕時分を削られていると。だから、注意して見れば、本当に大丈夫かという疑問に思えたはずなんです。
 このときJR西日本に規定どおり曲線図を出させてチェックしていれば、余裕時分がないこともわかり、事故を防ぐことができたかもしれない。なぜ曲線図を提出させなかったのか。私は、これはやはり重大なミスだと思うんですね、国交省の。問題は、こういう甘い、そのときのチェックが悪かったというだけじゃなくて、私は、届け出制にしている、そういう意味でいうと事業者側の言いなりになる、認可制にするなどダイヤのチェックを強化すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○梅田政府参考人 まず、先生御指摘のダイヤ、二〇〇三年十二月のダイヤ改正についてでございます。この際に運転曲線図をなぜ添付させなかったのかということでございます。
 二〇〇三年十二月のダイヤ改正では、福知山線の快速列車、これが中山寺駅に停車することになりました。宝塚駅、中山寺駅、川西池田駅、この間は快速列車も各駅停車と同じになりました。
 このため、改正後の宝塚駅―川西池田駅間の運転曲線図につきましては、この区間ですね、これは一九九七年三月のダイヤ改正に届け出された各駅停車の運転曲線図と同じになりました。
 したがいまして、当該駅間の快速列車の基準運転時分も各駅停車と同じになりました。その所要時分が基準運転時分を下回らないということを確認できました。したがいまして、安全性は確保されていると判断いたしまして、新たに快速列車の運転曲線図の届け出は求めなかったものでございます。そういう面で安全性は確保されております。
 それから、もう一つの問題、ダイヤについては届け出ではなくて認可にしたらどうかという御指摘でございます。
 ダイヤにつきましては、我々が見ておりますのは駅と駅との間の基準運転時分のところでございます。全体のダイヤは客扱いの程度で変わってまいります。駅に着きまして何秒間停車するか、これは列車の構造、ホームの構造、お客さんの乗りおり、それから駅の構造、これによって全部変わってきます。
 したがいまして、個々の細かなダイヤにつきましては、事業者の方が、利用者あるいは中の部内での議論を踏まえながら適切に設定できるというふうに思います。したがいまして、私どもとしては届け出制で今後十分であるというふうに考えておりますが、なおこういう点につきましては引き続き検討してまいりたいと思っております。

○穀田委員 その点では相変わらず西日本と同じような感じだというのを思いました。要するに反省がないということですよ。つまり、運転時分の余裕時間がないということが、あれは確かだったんです。そこを見抜けなかったということについて反省がないということは、僕はえらいことやなと思いましたね。つまり、今後ともそういうことについて余裕時分を見ることがないということを宣言したみたいなものだと思って、私はそれは間違っているということを言っておきたいと思います。
 しかも、鉄道事業法施行規則ではどう書いているかというと、「既に提出されたものと異なるときに限る。」と書いているんですよ。既に提出されたものと、快速電車のものは快速電車と登録されているんですよ、違うんですよ。だから、それは出すべきなんですよ。そういう点を言っているようじゃ、ちょっと大変やなと私は率直に言って思います。
 だから、自分たちがやってきた中で、せめてあのときに点検しておればということがないということが、私は恐ろしいなと思います。だから、そういうことを平気で言ってごらんなさいよ、いろいろなところへ行って。全部、集まった被害者の方々に、我々は間違いなかったと言ってみろというんだよ。私は絶対許せない、そういうことは。
 それで、少々の問題について言うならば、あの余裕時分を見抜けなかったということについて、あのことがもたらした責任は単にJRだけにあったんじゃなくて、それを見逃したということについて、しかも最速の時間で行けば十五秒しかとまる時間がないという問題も知っていたと。そういうことをあわせて、全体として反省すべきだと言っているんですよ。けしからぬと私は思いますよ。
 では次に、制限速度の問題について聞きます。
 北側大臣はこの間、予算委員会などで、制限速度が守られていたら今回の事故は起こらなかった、そして、事故列車は異常な速度超過が行われていたと考えられるので、常態化していないかどうかを調査する、さらに、列車の速度を記録する装置の設置について義務化を検討すると述べています。これは当然だと思います。
 そこで、列車の制限速度を守るということは安全運行の最も根幹です。事故列車がなぜ制限速度を守らなかったのか、あるいは守れなかったのかについて検討する必要があると考えます。JRは大体、そういうときは必ず言うんですね、先ほどの梅田局長と同じですね、制限速度を守るように指導してきた、あるいは、回復運転の指示は制限速度の範囲内で行っている、これを繰り返し述べているんです。そうでないことは、運転されている方が次々と証言していますから、そういう点は既に破綻をしているわけですが、それはさておいて、そこで、制限速度を守る、守らせる行政側の対応についてどうだったのか、聞きます。
 道路だと、自動車の制限速度は法律で決められています。違反すれば罰金などの処罰の対象です。では、鉄道の場合、制限速度はだれが決めるのか。二つ目に、違反した場合どうなるのか、処罰はあるのか。ここを聞きましょう。

○梅田政府参考人 制限速度につきましては、鉄道に関する技術上の基準を定める省令第百三条におきまして、線路及び電車線路の状態、これは電線でございますが、電線の状態、それから車両の性能、運転方法、信号の条件、列車防護の方法等に応じ、安全な速度で運転しなければならないと規定しております。具体的な制限速度につきましては、この規定を受けまして、鉄道事業者においてこの規定に適合するように定めた上で、実施基準として国に届け出をされるという仕組みでございます。
 速度違反によって事故等を引き起こした場合には、その内容によりますが、動力車操縦者運転免許に関する省令第六条の規定に基づきまして、そういう者に対しまして運転免許の取り消し、あるいは停止処分等ができるということになっております。

○穀田委員 簡単に言えば、要するに事業者を中心にやられている、任せにしているということですわな。私は、制限速度は自分で決め、違反をしてもとがめる者はいない、この状態、仕組み自体がおかしいと考えます。事業者が自主的に決める制限速度が本当に適切なのか。
 新快速は、百三十キロで走れるように、車両の構造をアルミサッシにして、薄いところは一ミリしかなかったというんですね。だから、車体を軽くしているわけです。大惨事につながった車体構造も、速く走るためということがまかり通っている。今回の事故の教訓を踏まえて、制限速度は、私は、道交法に倣って政令で決めるなど、法令で規定すべきじゃないか、速さだけを競う車体の構造についても根本的に見直す必要があると考えます。今回の事故の二〇七型車両、また信楽鉄道の事故などの教訓から、車両の軽量化が事故後の二次災害となっていることも明らかです。したがって、乗客を保護することを目的とした車両の構造基準を定める必要がある。
 この二つの点、つまり、制限速度についての法令化、そして、構造基準についても定める必要があるんじゃないか、この辺はどうですか。

○梅田政府参考人 お答えいたします。
 制限速度につきましても、先ほど言いましたように、技術上の基準に従って自主的に決めるというような仕組みでございますが、制限速度、これは、先ほど言いましたように各線区によって、日本は大体二万七千キロぐらいの鉄道があるんですが、この鉄道個々によりまして、全部一律に決めているわけではないんです。先ほど言いましたように、電車の構造だとかその路盤の構造だとか、いろいろなものを勘案しながら、安全な速度で決めるというやり方にしているんです。これは千差万別でございます。したがいまして、走っている車両その他考えますと、道路とはちょっと、線路の場合は若干違うところがあると思います。
 したがいまして、この制限速度の問題等、これから技術上の基準につきまして全体的に見直しをしながら勉強していきたいというふうに考えておりますので、いろいろな検討項目を今我々として考えております。そういうものの中で、どういうようなことができるのか、少し議論はしてみたいというふうに思っております。
 それから、構造の基準でございますが、構造につきましては日比谷線の事故のときの教訓がございまして、現在、鉄道総研で、実際に車体の強度につきまして実験をし、コンピューターの解析もやっております。
 今回の事故を踏まえまして、私どもといたしましては、車体の強度につきましても、これは前後の強度だけではなくて横からの強度、それから、仮にその強度を維持したときに、中に乗っている乗客の方のいわゆるサバイバルファクターというんですが、どうしたら余分な打撃を受けないようになるか、そういうような問題につきましてもさらに研究、それから検討を深めていきたいというふうに考えております。

○穀田委員 それはぜひそうしていただくと。
 では、あと二つだけ、事故報告に関して聞きたいと思うんです。
 事故の予兆をつかむということは、重大事故を防ぐためにも重要です。JR西日本の事故報告について調べてみますと、省令で定める報告以外に、JRではこれまでも、責任事故、反省事故1、反省事故2、ヒヤリ・ハットなど分類して報告される制度があったと聞いています。国交省はこの内容をつかんでいるのかということであります。そこの一点だけ、簡単に。

○梅田政府参考人 鉄道事故等報告規則では、脱線等の運転事故、それから運休等の、これは運休あるいは三十分以上の遅延でございますが、輸送障害、それから事故が発生するおそれがあると認められる事態、これはインシデント、こういうようなものについての報告を求めているところでございます。
 今先生御指摘の責任事故といいますのは、私ども、責任事故、反省事故1、反省事故2、ヒヤリ・ハットという分類、これは社内的な分類でございますが、例えば責任事故の一部、これは三十分以上の遅延というのが書いていますが、これは我々の方に報告がありますけれども、例えば十分未満の遅延とか、あるいはヒヤリ・ハットとか、こういうような部分については私どもの方に報告できるような仕組みになっておりませんので、JR西日本が社内で独自に把握しているこのようなトラブルにつきましては、網羅的には把握していないということでございます。

○穀田委員 なぜこんなことを言っているかというと、実はこの分類というのは、社内における、乗務停止を含む再教育の期間と連動していたんですね。だから、こういう問題が、いわゆる日勤教育ということで指導をしているわけだから、そういうものと連動している内容について、つかみながらやる必要があるということが一つ。
 もう一つは、予兆というのは、その意味でいうと大事でして、彼らの分類がどうあるかは別として、いわゆる事故報告規則の内容よりも非常によく分類されていて、もっと細かいわけですよ。それ自身も私は改正する必要があるという角度から聞いているんだということを言ってほしいと思うんです。何かありますか。簡単にして。

○梅田政府参考人 これからの検討でございますが、オーバーランなどのミスが今回いろいろ指摘されました。すべて報告を求めるということにつきましては、現場に必要以上の負担をかけてはいけないという面もございますが、こうしたミスをどこまで国への報告対象にするか、こういう点につきましても、今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 もう一点。やはり現場で起こっている事態についての改善方をよく指導してほしいと思うんです。
 これは、一点だけ言っておきます。仕業点検の検査項目の中で、運転士が、発車前、発前というんですか、点検で検査するものについては車両管理係が行う検査の項目から外してしまって、二重にチェックする方式で行っていたものを運転士一人にしたとある、こういうふうに私、この間、現場に行って聞きました。安全運転を強化すべきときに、逆行する事態が起こっている。こういうものはやはり直ちに改善の指導をすべきだ。そういう一つ一つの、やはり出ている現場の意見を重視していただきたいと思っています。
 最後に、私は、体制の問題について一言だけ言っておきたいと思うんです。
 JRが民営化したのは、既に長い期間たっているわけですけれども、当時、国鉄だった時代について言えば、鉄道の安全にかかわる人員はそれなりにいたことになります。ところが、民営化されて国の機関ではなくなった。そこで、民営化されて以後、鉄道局など鉄道の安全にかかわる国の人員はふえたのかどうか、どうですか。

○梅田政府参考人 国鉄の改革に伴いまして、それまで国の規制につきまして民鉄とは異なっておりました国鉄がJRになりまして、民鉄と同じ扱いになりました。その結果、JR等に対する許認可等が大幅に増加しました。また、JRがみずから担っておりました鉄道の技術基準の策定、技術開発、こういうような面につきましても国が多くの役割を果たすことになりました。
 そこで、こういう業務量の大幅増加に対応するため、私どもとしては、体制強化あるいは定員増強を図ったところであります。国鉄改革前の昭和六十一年でございますが、それと比較いたしまして、本省は五十一人でございましたが、国鉄改革後の、三年でございます、これは鉄道局が発足した年でございますが、五十一人が六十人に、地方運輸局は、それまでの九十人から百四十七人に増員いたしました。これは技術系の職員の数でございます。

○穀田委員 ただ、誇れる数字じゃ余りないんですよね、皆さん、わかるんだけれども。
 例えば、これは最後にしますけれども、同じ安全をつかさどっていることでいいますと、自動車でいうと、地方でいうと千二百九十九人もいるんですね。本省で七十五人ですよ。そして、空の安全をつかさどっている関係でいいますと、本省で三百五十七人ですよ。地方でいいますと四千五百六十二人ですよ。
 ですから、私は何もけなして言っているのではなくて、もっとふやす必要があるということを言っているんですね。応援しているという意味じゃなくて。これはやはり、国交省の中でも、自動車局や航空局には、安全にかかわる部があるんですよ。十分とは言えないけれども、技術系の技官もそれなりにいるんですね。鉄道局には、部もない。だから、こういう点を改善する必要がある。
 したがって、私は、実際の安全チェックを行う地方運輸局の鉄道部の人員を補充し、地方運輸局に鉄道監査を主体とする専門官を配置する、増員する、こういったことも含めて体制を強化する必要があるということで、全体の安全をさらに充実していく必要があるということの提案だけ申し上げて、終わります。