国会会議録

【第159通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2004年4月21日)

本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 高速道路株式会社法案(内閣提出第一一二号)
 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出第一一三号)
 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一四号)
 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出第一一五号)
 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出、衆法第三六号)
 派遣委員からの報告聴取

     ――――◇―――――

○赤羽委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 きょうは、高速道路建設における社会的便益の判断について質問します。
 まず、高速自動車国道の事業評価手法によると、ステップ1として「事業としての必要性の検証」の項で、事業の完成によって生じる社会的便益が費用を上回るか否かを検証することによって継続するか否かを判断するとしています。これは文書に書いています。さらに、費用対便益の基本的考え方として、交通量の推計、便益の推計、いわゆる走行時間短縮便益、さらには走行経費減少便益、交通事故減少便益などを算定基準としています。
 この道路建設を続けるかどうかを判断するステップ1、いわゆる費用対便益の中で、例えば自然や、それから景観や、まちづくりにもたらすマイナス影響などについてはどこで評価するんでしょうか。それをまずお聞きしたいと思います。

○佐藤政府参考人(国土交通省道路局長) 先生のお尋ねは、自然や景観や環境にもたらす、あえて申し上げれば悪影響と思ってよろしいんでしょうか、マイナスの効果についてどこでどう評価するか、こういうお尋ねだと理解してよろしいでしょうか。
 そこで、私どもは、費用便益あるいはまた外部効果を計算したりする上では、特に外部効果、こういう面で申し上げますと、貴重な自然や環境への悪影響、これは幾つかの項目でとらえ得ることができるかと思います。しかしながら、大事なことは、費用便益の中の計算には、残念ながら、定量的、明示的には入れることが現時点ではまだできておりません。世界的にも非常に難しいという部分がございますので、そういう意味では、そういうマイナスの効果をできるだけあらかじめゼロに近づける、あるいはまたミチゲーションというような形でさらにその復元を図る、こういうことかと思っております。
 したがって、環境影響評価法に基づきまして、自然環境であるとかあるいは景観についても、環境アセスメントを実施する中で、必要に応じて、構造物の形式、デザイン、あるいはのり面の緑化、こうした環境の保全措置を講ずるという形でそのマイナス影響を小さくしていくということにしております。
 また、自然や景観、環境についてマイナスの影響がありそうだ、こういうことが考えられる場合には、必要に応じて、専門家等から成る委員会を開催して意見を伺う、あるいはまた、対策を講ずる上で、学識経験者その他の皆様の十分な御意見をいただきながらマイナスの影響を極力小さくする、こういう形であらかじめのアセスをやっておる、こういうことでございます。

○穀田委員 大臣、今の話は大体打ち合わせ済みだと思うんですけれども、副大臣もこちらを見ていますけれども、苦しい話ですよね。これはつくる側にしてみましたら極力小さくするという話であって、どんな判断しているかを見ますと、明示的、定量的には得られないと。つくる方のプラスの方は定量的、明示的にわんさわんさやって、マイナスの方は、なるべくゼロにする、復元する、出そうな場合は意見を伺う、これでは、本当に情けないと言うしかないと私は思います。
 それは、まず判断する段階で、マイナスの効果について結局は評価していないということの宣言なんですね。それはそのとおりだと思うんです。初めにプラス効果だけで実際上は事業の継続を判断し、結果、建設を進めるという結果になるのは当たり前で、これでは、残念ながら、私が今後問題にしようとしている自然や景観や、それから環境という問題について、それを守るということに十分な効果を発揮しないということは明らかだと思うんです。というのは、壊れたものはもとへ戻らないものもあるわけなんですね。そういう意味からいっても指摘しておきたいと思います。考え方はわかりました。
 次に、公団民営化に伴う事業費の地方自治体負担への影響について、淀川左岸線を例にして聞きたいと思います。
 ことしに入って、阪神高速道路公団が、有料道路方式では採算がとれないとして、阪神高速淀川左岸線二期、大和川線を地方自治体の直轄に方針転換することになっています。このため、大阪市では、事業費負担が大幅に増額することをめぐって困惑が広がっています。議会でも議論になっていまして、淀川左岸線二期事業、大阪市の中ですけれども、残事業が九百六十億円で、当初、阪神高速道路公団による事業であれば、大阪市の負担額は六十億円と計上されていました。ところが、直轄として一般街路事業に変更した場合は、交付金などを受けても最終的に負担が三百八十億円に大幅増額となり、六倍以上の負担がかかっていることになるそうです。
 大阪市は、二〇〇四年度当初予算で調査検討費四百万円のみを計上し、負担増に応じるかの決定については当面先送りしています。
 ここの線は、実は、スーパー堤防等を建設してその地下を走らせる計画で、建設費の四〇%が用地買収にかかっていると聞いています。莫大な費用をつぎ込まざるを得なかった結果、採算がとれなくなり、地方自治体で面倒見てもらう、有料では無理だから税金で建設する、これでは筋が通らぬと私は思うんです。有料で採算がとれることを前提に計画されたはずで、建設の根拠が根本から崩れ出した。こういう路線は一たん凍結して、中止を含めた見直しを、こういう問題だからこそ決断すべきじゃないか。
 きのう、参考人の質疑を聞いていまして思ったんですね。データを見直して、勇気を持って、そういうことについて、間違っているときはそういう決断をする必要があるということを知事もおっしゃっていましたけれども、もちろん、これは阪神の問題だと言わずに、その辺はいかがお考えか、お聞きしておきたいと思います。

○佐藤政府参考人 先生御指摘の阪神高速の淀川左岸線の二期、これは平成十三年の八月に、大阪圏の新たな環状道路を構成する路線として、都市再生プロジェクトとして都市再生本部で決定された路線であります。
 阪神高速道路公団の民営化後の債務返済、こうしたことは会社になってから十分また検討をしていただくわけでありますが、債務返済を確実にするためということもございまして、事業区分を見直すべきではないか、こういうことで公団の方でいろいろ検討いたしました。
 公団の事業からこの二期の部分を除外したい、こういう公団の検討結果がございます。これにつきまして、この見直しによって、先ほど先生御指摘のように、それぞれの、国あるいは大阪府、大阪市等の負担が変わってくる、こういう問題はございます。
 例えば、九百六十億円、約一千億円の縮減、こういうふうに考えますと、阪神公団の場合、高速道路事業としては二五%が大阪府と大阪市と国との出資で、こういうことにしておりますので、そういう意味では、わかりやすく一千億でいえば、二百五十億の半分、百二十五億が国であり、それから大阪府と大阪市がそのまた残りの半分を負担する、出資する、こういうことであったわけであります。
 これをいわゆる街路事業として行う、こういうことになりますと、国と大阪市が負担する、こういうことでありますから、わかりやすく申し上げて一千億かかるとすれば、五百五十億円と四百五十億円のそれぞれの負担になる、こういうことであります。
 今先生のお話は、有料道路事業であれば急いで緊急に整備する、こういうものが、有料道路事業としては難しい、こういうことであるならば、一たん事業を凍結して、本当にどうするかということを考え直すべきではないか、こういう御指摘でございました。
 これにつきましては、もちろん都市再生の大事なプロジェクト、こういう観点から申し上げますと、大阪市、大阪府のそういう面での骨組みをきちっとする努力、こういうことが大前提であるわけでございます。そういう意味では、あえてこれだけの負担を大阪市あるいは大阪府民がどういうふうにお考えになるかという問題もあろうかと思いますが、逆に申し上げれば、こうした事情を公開し、オープンにしながら、御意見を伺いながら、プロジェクトとしてきちっとやっていくということも一つの考え方だと思っております。

○穀田委員 参考人、前半の部分は言っているわけですから、後半の方だけ言っていただければ。わかって話をしているわけでしょう、何ぼかかるかというのは。それは違うというのであれば違うと言ってくれたらいいわけで、そこはちょっと時間の都合もありまして、それは当然でしょう。
 それで、私、オープンにしながらというのは、それは当然なんですよ。問題は、再生プロの大事な仕事だから、事業だからという話じゃなくて、こういうことがもしまかり通れば都市部の高速道路はほとんどが国と地方の直轄になってしまう危険性があるよ、そういう問題として物を見る必要があるんじゃないか。
 高速道路建設の大もとで、採算性が無視されて計画した路線は採算が合わなければ税金でつくる、国も地方も採算性のない道路に税金をつぎ込む、こういうやり方をいよいよやめるべき時期に来ているということを強く指摘しておきたいと思います。
 その一つの例として、京都の話に行きたいと思います。
 八七年に閣議決定された四全総で一万四千キロの高速道路の建設を打ち出したことは御承知のとおりです。近畿圏では、四全総と歩調を合わせて、すばるプランとして同じ年に策定され、京都高速道路はそれに呼応してつくられたものです。
 今、阪神高速道路計画が実際に進行していまして、既に、新十条通、油小路線では事業が着手されて、総事業費は計画された時点で約四千億円と言われていた、結構大きな計画なんですね。この計画が、阪神道路公団が引き続き有料高速道路としてやっていくかどうか、今の話からしても私は疑問だ、金の面からいって。
 そこで、新十条通は六百四十八億円、油小路千六十億円の事業費ということだが、ここは説明はいいですから、総事業費として幾らかかるのか、その一点だけちょっと教えてください。

○佐藤政府参考人 先生のお尋ねは、久世橋線、堀川線、西大路線を入れて、こういう趣旨だと思ってよろしいですか。(穀田委員「総事業費、全部」と呼ぶ)
 そういう意味では、合計で四千六百億円が見込まれております。

○穀田委員 四千六百億円近くかかる。相当な金だということがおわかりいただけると思うんです。
 そこで、こういうパンフレットまでできていまして、この間も、私、参考人質疑しましたときに、大体、なぜ京都市内に高速道路を持ち込もうとしているのか、その理屈、理由をちょっと言ってくれませんか。

○佐藤政府参考人 この京都の都市高速道路、昭和六十一年と平成五年にかけて都市計画決定されています。
 その理由としては、混雑区間を解消するため、こういうことでありまして、一般の平面道路に比べて、高速道路、約二倍以上の交通容量を持ちます、こういう問題と、それからスピード、こういう面からいきますと、規格の高い都市高速ネットワークが京都の市内でも必要であろう、種々配慮して都市計画が決められている、こういうふうに考えております。

○穀田委員 京都市は、当時、一等最初に高速道路を持ち込む一番目の理由はそれじゃなかったんです。それは、私は京都に住んでいますからよく知っています。最初の理由は、京阪神間の一体感を強め、活力を引き出す、これが目的だったんです。それが第一の理由だったんです。そして、京都の経済界も、当初から、高速道路計画を南部開発のばねにするということを言い続けてきたんです。その次に、実は渋滞の解消、こういう話をしてきたんですね。二番目の方から言っていただくのもいいんですけれども、当時そういうことだったんです。
 では、本当にそうか。この間、いろいろ問題になりまして、非常にローカルな話に皆さんお思いかもしれませんが、五条通りが込むから、こう来るわけです。それには高速道路を入れさせなといって、混雑は解消するのかと。一見、確かに容量がふえるという話なんだけれども、それとこれとは全然無関係なんですよ、だれが考えたって。
 例えば一番問題になるのは、京都の渋滞というのは、この間も新聞に出まして、市バスが、京都駅から嵐山へ行こうと思ったら七時間半かかったというんですね。それぐらい渋滞になるんです。確かになるんです。これはひどい話なんです。五条通りが一番込むというのもこの間話がありまして、事実なんです。
 だけれども、それでは、今度計画されている路線は何か。それは、例えば西大路線の北端に建設される西大路五条のランプなんですね。まさに五条にぼかんと出るんですよ。その間は込まないんです、五条に出るところに道がぼんと出るわけだから、込んでいるところにまた車が来るから、これは込むのは決まっているんですよ。そんなあほなこと言っても仕方ない話なんです、だれが見たってそれは混雑の解消だということにならないんです。
 では、どうして渋滞を解消するかといったら、それは、京都市の方々でも、京都の経済界の方も、このごろは、もう車の乗り入れの総量を規制する以外にない。ここなんですよ。本当に渋滞解消しようと思ったら、高速道路を中に入れて、出口のところに、一番込んでいるところにどおんと入れる、そんなことが通用する理論自身が間違っているんですよ。だから、それは京都市内の総量の乗り入れ規制以外にない。
 そして、パーク・アンド・ライド方式と例えばLRT、新型の路面電車ですけれども、これを組み合わせることが私はベストだと思っているんです。それは、単に私だけじゃなくて、京都市の方々や経済界の方々もそういった問題を新しい提起として始めていることも紹介しておきたいと思うんです。
 それでもう一つ、では、先ほど、一番最初のところで環境アセスメントという話も局長はされました。そこで大臣にも少しお聞きしておきたいんですけれども、こういう京都市内のど真ん中に高速道路を持ってくるということは、京都は盆地です、環境悪化になると思わないかということを率直にお聞きしたいと思うんです。

○石原国務大臣(国土交通大臣) ちょっと工法がどういうものなのかわかりませんので、仮に京都の五条と交わるところの上に高架を持ってくれば、それは景観を破壊することになると思いますが、地下であるならばそんなに景観は破壊しないんじゃないかと思います。

○穀田委員 いや、質問の景観は飛ばしたんです。環境の話をしたんです。
 景観、せっかくおっしゃっていただいたから、では一言だけ言っておきますと、工法、地下だというふうに今おっしゃいましたね。それは確かに地下も考えているんですよ。それは莫大な金がまたかかるんですよ。
 それで、では、その出口がどこに来るかというと、多分大臣もこれはわかっていると思うんですね。京都のちょうど駅をおりましてちょっと西へ行ったところに堀川線というのがあるんですけれども、そこに西本願寺があるんです。西本願寺のど真ん前に入り口が来るんですよ、高速自動車道の地下をつくった場合。本当にこれ、地下、今は金かかるから、これ自身ができるかどうかという問題はありますよ。だけれども、前に来るんですよ。そこの前に三十五メートルの換気塔ができるということで、これ自身でいえばもう台なしなんですよ、それはだれが考えたって。きのうも参考人の佐藤さんがおっしゃっていましたけれども、そこへ入れるのは反対だ、同時に、京都の駅ビルはどないやという話をされていました。
 その意見はともかくとしても、つまり西本願寺のど真ん前に来るというふうなやり方が、およそそういうものとしては考えられないということだけ指摘をしまして、局長に、今大臣に質問した環境悪化はどうかという話をお聞きしておきたいと思うんです。

○佐藤政府参考人 先生の御指摘は、京都都市高速の堀川と西大路に入れる路線、これの、景観上は地下にする、しかしながら出入り口の排ガス等がどうか、こういう御指摘かと思います。
 これは、都市計画を決めていただく段階で環境アセスを行って、そういう面での環境上の障害はない、こういうふうにアセスの結果を出させていただいて都市計画を通していただいた、こういうふうに理解しております。
 しかしながら、先ほど先生のお話の、換気塔を建てるとすれば三十五メートル、そういう高さがいいかどうか、この点についても、いろいろ景観を検討する上で、有識者にお集まりいただきながら議論をしてきている、こういうふうに聞いているところでございます。

○穀田委員 アセスメントは確かに行われているんです。この間、どんなふうな話をしているかといいますと、アセスメントでは、交通量は五万台から十万台にふえると予測していて、それで環境がよくなると言っているんですよ。だから、いかがなものかと普通の人は思います。
 そして、当時、私は説明会にも出させていただきましたが、もちろんそういう意味で、言っている話を全部局長や参考人が聞いているとは思わないわけだけれども、当時何を言っていたかというと、完成するのは何年も後で、そのころには車の性能はずっとよくなっている、電気自動車も普及しているから大丈夫だ、こんな話をしているんですよ。これは、私、聞いているんです。だから、この程度の話で、アセスメントをやった、それから説明したなどということを言っているのはおよそ理に合わないということだけは言っておきたい。しかも、大気汚染の状況を調べる自動車排気ガス測定局六カ所のうち、三カ所が国の環境基準を超えているわけなんです。
 そこで一番最初に戻るわけですが、意見を伺う審議会をつくる、こう来ましたよね。そこで聞いているんですよ、その中でどんな意見が出ているかと。わざわざ審議会も意見も出ましたので。それを調べてみると、こう言っているんですね。市が走行車両を減らすといいながら高速道路建設を進め、走行車両がふえるという事態になるではないか、政策は矛盾している、こういう意見が出ているんですね。三分の一はこういう意見がありました。
 しかも、先ほど排気塔の景観上の問題がありましたけれども、道路が二つ交差をする、例えば上下という意味ですね、二重という意味ですね。この点では既に結論が出ていまして、皆さんも御承知のとおり、高速道路を含めたそういう高架道路が二重になっているところでいいますと、九五年の西淀川公害地裁判決、それから同じく国道四十三号線の最高裁判決、九八年の川崎公害地裁の判決、二〇〇〇年の尼崎公害地裁判決など、すべて住民側が勝訴しています。そのときに、車が多く通るのに環境がよくなるという言い分は、常識からいっても司法の判断からいっても通用しない時代になっているということをぜひ見ていただきたいと思うんです。
 そこで、これは大きな論ですから、インナーシティー、つまり都市の中核的な内部のところに高速道路を入れるというのは世界的に見たら常識ではないんじゃないかということについて大臣の所見をお伺いしたいと思います。

○佐藤政府参考人 事実に基づいた事業に関係するお話でありますので、一言私の方から言わせていただきます。
 先生御指摘の先ほどの訴訟関係、いろいろ事実関係があるわけでございますが、内容によって違うわけでございますが、いずれも高架の道路、こういうことではあるわけでございます。そういう点で、先ほど来の堀川線あるいは西大路線、計画そのものは地下構造、こういうことなものですから、状況がまたそれなりに違う部分はあろうかと思います。
 先生御指摘の、都市の中心部に高速道路を入れる、こうしたことは世界の流れからいっておかしいんではないか、こういう御指摘ございました。
 そういう面で申し上げれば、世界的にという議論でいえば、必ずしも、都市の中の渋滞解消のために高速道路あるいは専用道路が計画あるいは事業されていない、こういうことではないということも事実であるわけであります。特に地下構造で申し上げると、結構、従来できなかったようなことも地下構造として事業実施している、これは世界じゅうにもあるわけでございます。
 問題は、その場合にも、景観上あるいは環境上十分か、こういうことを十分アセスしながらやっておるかという議論になるわけでありまして、そういう意味では、景観にしろ環境のガスの面にしろ、十分御説明申し上げながらやってきている、こういうことであるわけでありますが、さらに御理解いただくような努力ということが必要かと思っております。

○穀田委員 参考人にも、まさか京都の問題でこれを一つ一つ聞くのは大変な話で、申しわけないとは思っているんです。でも、そういう京都みたいなところに持ってくるのがいいのかという大きな立場で物を考えてほしいから言っているんです。
 先ほど言いましたように、地下の話がありますけれども、油小路は実は高架なんですよね。それだったら、それを全部地下にするのか、今さら、つくったものを。それはできないわけで、何か物を小さく見せようという話を私はしているんじゃなくて、現実は高架のものもあるんですよ、出てきているわけですから。たまたま地下へ行っている話であって、残りの二つのつくっていないものは。だけれども、それも、本当にこれ、こんな大きな金かけてできるかという話になって、先ほど大阪の話をしましたけれども、そういう負担になってくるとなればそれはとても無理な話になってくるんで、それ自身も無理だということは言っておきたいと思います。
 あわせて、もう時間が来ましたので、残念ですけれども、奈良の平城京のところも通そうという話があるんですよね。これも私はいかがなものかと思うんですよ。やはり京都や奈良、こういう古都、先ほど、大きな都市部の中では、インナーシティーで潜り込んでいる例は地下はありますという話はありましたけれども、私は寡聞にして、歴史都市でそういうものを持ってきたという例は余り知りません。ドイツなんかでも、逆に、周りはありますけれども、中の都市の、しかも地図からいって京都のど真ん中に二本持ってきて、それをこうやるなどという例は聞いたことが私はありません。そこで、奈良へも持ってくるなどという話も私はいかがなものかと思う。
 ですから、一言だけ言っておきますと、最後ですが、なぜ、私、こんなことを言ったかというと、自然や環境や、そして景観というものを一つの配慮の基準にするということを、ゼロにするとか、それから復元するとかじゃなくて、これは壊すことになるということがあらかじめわかっているものをやるべきじゃないということを言っているわけですよ。評価基準というのは何か客観的なものであるかのようにえらく言い張っていますけれども、私は決してそんなことはない。それはつくるということを前提に組み立てられている議論だということを私は言いたかったわけです。
 ですから、マイナス要因もあるんだということも指摘し、こうしたマイナス要因についても基準に加えず、いわゆるプラス要因だけで物事をはかるようなやり方というのは、結局、むだな道路をつくり続ける論拠にもなりかねないということだけ指摘して、時間ですので、質問を終わります。


【「しんぶん赤旗」2004年4月22日】

高速道
マイナス要因考慮せず
評価基準 穀田氏に国交省認める

画像  日本共産党の穀田恵二議員は二十一日の衆院国土交通委員会で、高速道路建設の是非についてマイナス要因を考慮せずプラス要因だけで評価している問題を追及しました。
 国交省は、今後も高速道路をつくり続ける根拠に、「(時間短縮などの)社会的便益が費用を上回る」ことに加え、採算性と必要性を客観的基準で評価していることをあげています。
 穀田氏は、建設を続けるかどうかを判断する最初の段階で、「環境や景観に与える悪影響を評価しているか」と質問。国交省の佐藤信秋道路局長は「定量的・明示的には入らない」と、建設の是非の判断には、マイナス要因を算定していないことを認めました。
 穀田氏は、「プラス要因だけで判断すれば当然、“建設先にありき”になる。ムダな建設を続ける根拠になる」と批判しました。マイナス要因の例として京都市の中心に高速道路が乗り入れる計画をあげ、景観・環境破壊を生むとのべ、「渋滞は車の乗り入れ規制で解決すべきだ」と提案。平城跡を壊す高速道路計画にもふれ、「歴史都市の真ん中に高速道路をつくるなど世界では聞いたことがない」と強調しました。
 穀田氏は、採算がとれないとして国と地方自治体の負担で建設することになった阪神高速淀川左岸線二期工事について、大阪市の負担が六十億円から三百八十億円に増大し、自治体財政を圧迫していることを指摘。「建設の根拠は崩れている。こういう路線は凍結し、中止を含めた見直しを決断すべきだ」とのべました。

写真=質問する穀田議員=21日、衆院国交委