【エッセー】

穀田恵二

「自民党変える」の正体

 小泉首相の“化けの皮”がまたもやはがれた。政治姿勢にかかわる三つの問題であからさまになりました。一つは、NGO(非政府組織)排除と田中真紀子外相の更迭問題。不当な圧力をかけた鈴木宗男衆院議員を「潔い」とほめ、正しい行動を取った田中外相をクビ。首相の行為は族議員による外交私物化の真相をやみの中に隠しました。
 二つは、公共事業の「口利き」疑惑。自民党加藤紘一元幹事長の秘書などが、公共事業の受注に介入し、ばく大な「口利き料」をせしめていたもの。「金丸ゼネコン事件」とうり二つです。金権・腐敗疑惑の徹底解明は政党と国会の務めです。ところが首相は「個々の政治家が説明すべきだ」とまるで他人事です。
 三つは、BSEいわゆる狂牛病の問題です。WHO(世界保健機構)が肉骨粉の使用禁止の勧告を出したとき、農水省は、法律による禁止を行いませんでした。それを反省するどころか、「行政指導を知らないのを恥ずかしいと思わないのか」「狂牛病の感染源の解明がそれほど大事か」の暴言をはいたのが、武部勤農水相です。塗炭の苦しみにあえぐ生産者をはじめ関係業者の思いと、食の安全を求める国民の願いがこもったのが野党提出の大臣不信任案でした。更迭すべきは田中外相ではなく武部農水相です。
 真相はやみの中に隠す、疑惑解明は他人事、責任は不問。国民に痛みの「改革」だけはゴリ押し。どれもこれも結局、旧態依然たる自民党政治のやり方そのものではありませんか。これが「自民党を変える」の正体だったのです。

[「しんぶん赤旗」2002年2月7日付、国会議員のリレーエッセー]