こくた恵二
こくたが駆く

兵庫・但馬の医師不足問題現地調査その2

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昨日の続き

 豊岡市の次は、香美町へ。
 藤原久嗣町長との懇談では「但馬は医療過疎の地域、その但馬の中でも香美町はさらに過疎」「新しいバイパスができて豊岡病院まで車で30分で行けるという新しい条件が生まれているのは確かだ。しかし、車で移動できない老人や子供にとっては、病院の質の高さよりも『近所にあるかどうか』が決定的に大事だ、老人・子供は集約化よりも分散化するほうが大事じゃないか」「都心部と違って、香住で医者がいなくなれば、香住の住民は行くところが無くなってしまう」等、切実な実態を訴えられた。

photo 香美町から、さらに西の新温泉町へ。
 馬場雅人町長との懇談では「最盛期で14人いた医師が6人、小児科・眼科が休診、週1回の整形外科には50人もの患者が殺到している」「医師の偏在が問題だと言っているが、命の重さに地域偏重があってはいけない」「集約化ということで住民にしわ寄せがくるようでは困る」と、ここでもまた切実な状況を訴えられた。

photo 新温泉町から、つぎは養父市へ。
 八鹿病院を120億円以上かけてリニューアルしたばかりの養父市では、梅谷馨市長と懇談。
 「120億円かけて、新しく建物を建てたが、医者の減少で、市民からはかえって評判が悪くなってしまった」「私が頭を下げにどこまででも出向いてもイイと医者の確保のために必死で頑張っている。それでもなかなか・・・」「個人的には、一定の集約化するしか無いと考えているが、医師全体を増やす以外に解決しないと思う」
 「診療所の開業医などにも協力をお願いするなど、あらゆる手を打とうということで現在努力している」というお話だった。

 道路工事の渋滞等で予定した時間を30分も遅れてしまいまた。関係の皆さんにたいへん後迷惑をおかけしました。

 最後の朝来市では、山下芳生さんのチームと合流。車の遅れた関係で、私が到着したころには、懇談は一通り終わって、こちらがこの医師不足の問題についてどのように取り組もうと考えているのかというお話をするところだった。
 私は「そもそも、厚生労働省は医師は足りており、診療科・地域によって偏在しているという立場で今日の深刻さを理解していない。
 医師の労働状況を、週48時間労働で計算していて、当直、日直や待機時間などの拘束時間を考えていないいわば机上の空論。『週70時間の拘束もざら』という実態も聞いており、諸外国との比較でも、医師の数がそもそも足りていない」
 「医師不足は、緊急事態であり、医師の過重負担からさらに医師が離れてしまう悪循環に陥る前に必要なあらゆる手立てを打つ必要がある。
 自治体の『医師バンク』制度や医師会・開業医の協力、派遣大学との話し合いなど、関係者からの意見を聞き、やるべきことは全部やること。行政は、『不安解消は行政の責務との立場』から積極的な役割を果たさねばならない。


 兵庫県の果たすべき役割は非常に大きいです。まず何より医師不足の現状の正確な把握を行うこと、関係自治体・議会や関係病院、住民・患者など、あらゆる層の意見を聞き問題点の掌握をキチンと行うこと、大学医学部関係者、医師会とも協力し県全体の医療状況の共通認識を持つよう努力すること、解決のためのイニシアチブを発揮すること、隣接する京都・鳥取・岡山なども巻きこんでみんなで実態を共有し知恵を絞る必要がある」「中長期の問題として厚労省の『医師の需給に関する検討会』報告書にみる『国全体としては必要な医師は供給されている』との見解が間違っており、地域医療の危機が構造的問題であることを踏まえて解決をはかること、そのさい国際的にもOECD加盟国の人口千人あたりの医師数は低い方であること。
 また政府の考え方の根本に「医療費給付削減」あることが最大の問題だと」述べて、医師不足問題の解決にむけて国会でも力をつくすので、ご一緒にがんばりましょうと締めくくった。

(Update : 2006/08/31)