こくた恵二
こくたが駆く

障害者のパソコン用 「自在アーム」を助成の対象に

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 寝たきりの障害者がパソコンを利用するための「自在アーム」を、国の助成の対象にしてほしい、と要請を受けた。

 「自在アーム」をベッドや天井に取り付けることで、寝たきりの方でもパソコンを利用したいときに自由に使うことができるとのこと。開発された福谷栄二さんに、写真を見せてもらい説明を聞いた。せっかく自治体から障害者用パソコンを支給されても、一回ごとにケーブルをつないだりベッド上で使えるようセットしたりするのが大変で実際には使っていないケースが多く、このような「自在アーム」が必要なのだそうだ。

 京都市議会議員の加藤広太郎さん、福谷さん、右京民主商工会事務局の小原さんと一緒に、厚生労働省から説明を受けた。

 これまで「自在アーム」は、自治体によって、「障害者情報バリアフリー化支援事業」の助成の対象になったり、ならなかったりするため、利用が十分進んでいなかった。国の補助金事業であるが、実施するかどうか、対象をどうするか、自治体の判断にまかされていたという。京都市では当初、「対象にならない」といわれたが、加藤市議の尽力もあり、認められることになった。
 厚労省は制度の見直しを行い、10月から、重度障害者用意思伝達装置(障害者用ソフトが組み込まれた専用パソコン)について、国の「補装具」給付事業の対象とし、自在アームなども給付の対象となる(原則一割の自己負担)。障害者用ソフトを必要としない、普通のパソコンを利用する障害者については、市町村が必ず行う地域支援事業(日常生活用具)に位置づける。日常生活用具の対象となるかどうか、自己負担はどれだけか、などは自治体ごとに決めることになる。自在アームは、これまでも「バリアフリー化支援事業」の対象となっており、「参考例」として日常生活用具の対象になることを示したい、と厚労省の担当者は説明した。明日開かれる全国担当者会議で、基準額なども示す予定だ。
 厚労省は「今までより位置づけが上がった」というが、日常生活用具については、対象になるかどうかは引き続き「自治体の判断」とされており、予算も十分でないなか、心もとない。
 障害ゆえにパソコンが使えない事態を改善するーーという制度の趣旨を徹底し、各自治体で自在アームも助成の対象とし、障害者のパソコン利用が広がるよう要求した。

(Update : 2006/08/23)