こくた恵二
こくたが駆く

原爆症認定訴訟原告団・寺山さんを訪問
「平和を築く」小野 今絵画展

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 先々週の日曜日に、原爆症認定集団訴訟の初判決が大阪地裁で原告全面勝訴の画期的判決として下ったことを書いた。
 先週の国会には、原告や弁護団の方々が、厚生労働省に控訴をさせないようにと上京されて、各党国会議員にも要望活動がおこなわれたのだが(厚生労働省は5月22日に控訴)、京都原水協の方から「原告はすでに高齢で家を出られない方が多い、原告の家の近くを通ることがあったら立ち寄って励ましてあげてほしい」との申し出があった。
 それでは、地元京都の原告の家をまず訪ねようということで、北区在住の寺山忠好さん宅を訪問した。
 体はやはりしんどいようであったが、頭はしっかりとしておられる。「寺前さんや谷善さんの入れ歯を造ったのは私なんですよ」とうれしそうに話していただけた。寺山さんは歯科技工士なのだ。
 自費出版した絵本も見せていただいた。これは寺山さんが12年前に心筋こうそくで入院中、被爆地の悲惨な情景が何度も夢に現れ「こぎゃんことがあってよかとか。よかはずがなか(こんなことがあっていいのか。いいはずない)」と苦しんみ、楽になるには絵に描いて後世の人に知ってもらうしかないと、2年間でたくさんの水彩画を描き「こぎゃんことがあってよかとか」という題名で自費出版されたものだ。

 この絵は、病身のため出廷できない寺山さんの意見陳述の代わりに、一昨年11月法廷でスライド上映されている。どんな言葉よりも裁判官の心に訴えたのではなかろうか。

ご自身が被爆者2世でもある井坂博文・京都市議がご一緒でした

photo 次に訪れたのは立命館大学の平和ミュージアム。
 立命館大学出身で考古地理学の研究家(元・山口大学教授)でありながら、小野今(おの こん)という雅号をもつ画家としてもよく知られている方だ。
 広島中学校勤務の時代の原爆体験から、平和の構築をテーマにした作品を多数描いておられ、憲法9条を守るメッセージプロジェクトなどにも参加されている。
 定年を転機に移住した京田辺市で、木津川を散歩中、山の端からのぼる太陽を見て、宇宙空間の中の地球を体感し『天地天的地球観の絵画』へと、絵画観が一変したという。
 たしかに多くの作品が、上下を逆向けにしても作品として成り立っているような、全地球的なスケールを感じさせる作品となっている。わたしはその中でも仏教の曼陀羅(マンダラ)を思い起こさせる作品に興味を覚えた。

 館内撮影禁止だったので、ここで作品をお見せするわけに行かない(残念!)ので、ぜひおすすめします。平和ミュージアムへ足をお運び下さい。6月10日まで開催しています。

(Update : 2006/05/28)