こくた恵二
こくたが駆く

建築基準法改正案代表質問(下)

photo 第四に、住宅購入者など消費者保護の問題です。
耐震強度をはじめとした建築物の安全性に関する情報、瑕疵担保責任の履行が可能かどうかなど供給サイドの信頼性にかかわる情報の開示を徹底することが必要です。
 今回の法案では、この点の情報開示をどのように強化しているのか、具体的にお示しいただきたい。

 加えて、販売価格については、初期の取得費用だけでなく、耐久年数、維持管理コストなどトータルコストの試算も開示するライフサイクルコスト(LCC)の考え方にもとづく情報開示を検討すべきではありませんか。
 また、今回の事件では、売主に賠償能力がないため、「瑕疵担保責任」が履行されないなど、深刻な事態が起きています。こうした事態を改善するため、売主や設計、施工会社などに瑕疵担保責任保険への加入を義務付けることなど瑕疵補償制度の改善・拡充をはかることは喫緊の課題であります。いつまでに、どのように対策を講じるのか答弁を求めます。

 第五に、「コスト削減競争」について聞きます。
今回の事件の背景に、安全を蔑ろにしたコスト削減競争があったことは明白です。国民の安全を守る行政としては、これをチェックし、いき過ぎた競争に歯止めをかける必要がありました。
 ところが、これまで、政府が推しすすめてきたのは、アメリカと日本の財界の圧力に応えて、「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画」(九六年)など住宅分野の規制緩和でした。市場に、安全をないがしろにする“安上がり競争”を助長してきたと言わざるを得ません。
 これを反省し、本来の、国民の安全を守るため、ダンピングを含む過当なコスト削減競争にもメスを入れるべきだと考えます。
 また、建設会社・設計会社などの下請業者への“丸投げ”の禁止を徹底することをはじめ、建設業法による下請け保護、独占禁止法の順守によって、不当な買いたたき、低価格発注をやめさせるために、監督指導を強化することこそ、一連の耐震偽装事件をふまえた政府のとるべき対策ではありませんか。答弁を求めます。

 
 最後に、偽装マンションを購入した被害者の救済問題です。まさにまったなしの課題です。
 
 被害者には何の罪も責任もありません。にもかかわらず、いまだに解決のメドが立たないまま時だけが過ぎています。
 多くの被害住民は、「一世帯あたり平均二千万円を超える経済的負担を強いられている」「精神的、肉体的、金銭的負担を背負ったまま包括的な支援もなく建替えをすすめることは困難だ」と訴えています。国の救済スキームがきわめて非現実的なものであることを示しています。
 
 解決にあたって最大のネックは二重ローン問題です。被害者住民が個人で銀行と交渉することは困難であることから、@住民の既往ローン債務軽減のために銀行等と交渉すること。A販売会社など加害者に損害賠償責任をはたさせること。B銀行や不動産関係業界などから基金等を募り、被害住民の債務返済に充てる――など、「国が解決に責任もつ」スキームに改め被害者の切実な声に答えるべきではありませんか、明確な答弁を求めて質問を終わります。

答弁する北側国土交通大臣

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(Update : 2006/04/30)