こくた恵二
こくたが駆く

中越被災地からの報告(写真掲載訂正あり)

photo 小千谷市長、川口町総務課長、小千谷総合病院、小国町法末営農組合の方々との懇談は、本当に有意義だった。
 何よりも新潟県中越大震災の被害の特徴が浮き彫りになったことだ。
(写真左 山古志村助役と懇談)

photo @中山間地域で土質でも沖積層であり、地すべりや山崩れが多いなど「地盤災害」といわれること。しかも土砂被害が宅地、学校、農地、養鯉産業の池におよび、そして道を塞ぐという複合的被害をつくりだしている点だ。
 復旧する際には、農地、農道は農林水産省、商店や養鯉は経済産業省、学校は文部科学省、道路は国土交通省でなどと縦割りというわけにはいかない。
“地盤”復旧をどうするか、どこに住宅を再建すべきか、生活と生業の支援をどう結びつけるか、効果的かなど総合的な復旧を心がけねばならない。何から始めるべきか、どういう手順で行なうかなど、そこに住まい・生業する住民の意志を最大限尊重し、実行主体である市町村が住民との合意形成に真摯な努力をおこなうかどうかが、成功のカギを握っている。

photo A豪雪地帯であり、阪神大震災での都会の被害とは違った側面も良く見る必要がある。非住家の損壊が多いのもそのひとつである。損壊の判断・認定も、雪に耐えれるかという目安が肝心であろう。家々との距離も離れている、そのような“まち”として成り立ちの特徴を持っている。被害認定の要件もそれにマッチしたものでなければならない。
 復旧のさいに何ごとにも「豪雪仕様」という考え方が大切だ。仮設住宅の場合も、まわりに位置する駐車場や取り付け道路の舗装が除雪には欠かせない条件だ。
 決定的問題は、仮設住宅の入居と応急修理の両方を受けられるようにすることだ。

photo Bまた、山古志村や川口町、小国町法末地域に見られるように、村ぐるみ・集落ぐるみ被災しているところを、どのようにして再建するのかも新たな問題であり、復興に工夫がいる。
 高齢化という問題もはらんでいる。川口町では、課長自身がローンを貸してくれるあてもないと述べていたほどだ。防災集団移転促進事業などを使いながら、地方自治体が宅地造成して、町営住宅の建設貸家と貸地をミックスするなどの工夫もいるのではないか。法末地域の場合など、70歳代が6割を占める。「家の再建のためのローンなど組みようがない」と述べておられた。
(写真右は、馬場栃尾市長

photo C同集落の意欲ある取り組みについても触れないわけにはいかない。仮設住宅に住まいしながらも、「土地を愛する心」「農業は生きてきたことの証」として、自力で復旧・復興の努力を行っている。
 営農組合との膝を交えた懇談では、その思いが次々と語られた。破損した農道を自ら重機で直し、「来年の作付けをなんとしても」「土地を荒らせてはならない」「田んぼへ行く道だけは開けよう」「今年中に道開けねば、自分たちの住み慣れたところに戻れなくなる」と時間の経つのも忘れるほど真剣な議論だった。
 こういう力に依拠して、励ましてこそ復旧・復興が可能ではないのか。この思いに応えるのが政治ではないのかと調査団一同が思った。まずは報告第一弾。(写真左は、高橋副知事)

(Update : 2004/12/16)