こくた恵二
こくたが駆く

川辺川ダム建設反対の要請を受ける

photo 「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の代表が来られた。
 清流球磨川と川辺川を未来に手渡す会副会長の大山次郎さんと、日本共産党人吉市議会議員の本村令斗さんが訪れた。
 「ムダと浪費、清流・自然環境破壊の典型のこのダムは、県民の闘いでまだ着工させていない。利水の根拠も崩れ、治水の点でも不要なことは明らかだ。追い詰められているのは国側だ。今日も国土交通省と交渉(別項)してきたが、今後も協力を」と力強く訴えられた。小沢和秋議員には随分お世話なりましたと語っていただいた。参議院で国土交通委員の仁比聡平さんの山口秘書も「これからもよろしくお願いします」と、ともども一層の協力を誓った。
 お聞きすると、何と熊本から車を交代で運転して17時間以上の強行軍で交渉、各会派廻りとのこと。頭が下がる思いでいっぱいだ。
 帰りがけに「ぜひ現地にも来てください」と言われ、百聞は一見にしかず、同時に現地で草の根で闘いを担ってきた日本共産党の奮闘に心から敬意を表した。


  〈子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会が
             石原国土交通大臣に渡した抗議文〉
 国土交通省は、川辺川ダム建設計画に関して、総事業費が現在の2650億円から増額され、最低でも3300億円余りになること、それに伴い特定多目的ダム法による基本計画変更の手続きが避けられない見通しであることを内部文書で明らかにした。
 新聞報道によると、2001年の時点で、既に川辺川ダム事業費の増額が明らかになっていた。熊本県民にその事実を明らかにせぬまま、川辺川ダムを考える住民討論集会での議論や熊本県収用委員会の審理に臨んでいたことになる。このような秘密体質は、県民に対する大きな背信行為であり、私たちは強く抗議するものである。
 これまで住民討論集会でのなかで私たち住民は、人吉地区において建設省(当時)が策定した河床掘削計画を実施すれば、過去に起った最大洪水の流量(=毎秒5400トン)が、1.5mの余裕高を残して流れることを指摘し、川辺川ダムが不要であることを立証した。
 国土交通省は、「もともと川辺川ダムありきの河道で考えている」「だから、(略)我々も掘削はできないというふうに思っている」(2002年6月22日、工藤啓調査官(当時))と発言し、直轄河川改修計画の根拠になった訓令が廃止され、河床掘削計画が無くなったと主張した。
 河床を掘削したり、河床に堆積した土砂の浚渫を行ったりすることは、流域住民の生命と財産を守る上で緊急かつ必要不可欠な事業である。にもかかわらず、ダム事業ありきだから、河床掘削はできないというのだ。
 八代市においては、去る7月15日に国交省八代河川国道事務所は、萩原堤防の強化事業であるフロンティア堤防事業を中止していた事実を明らかにした。フロンティア堤防事業は、超過洪水にも耐えうる堤防であり、八代市民の生命財産を守るために不可欠であるとして、総事業費29億円、2001年には1億円の予算がつけられた事業である。国交省の資料では、200年に一度の洪水に対応できる事業であることが明示されており、八代市にとっては川辺川ダムが不要である根拠として、専門家が明らかにしてきた。
 今回の河床掘削計画やフロンティア堤防事業の中止の決定は、これらの事業の存在が、川辺川ダム建設の障害になると国土交通省が判断し、ただダム建設を推進するために行ったと非難されても仕方がない。流域住民に何ら説明することもなく、このような中止決定をすることは、ダム建設のためには流域住民の生命財産など無視するという暴挙であり、流域住民を甚だしく愚弄したもので、許すことはできない。
 私たちは、このような国土交通省の姿勢に対し、強く抗議するとともに以下の事項を申し入れるものである。

1.国土交通省は、その秘密体質を改め、川辺川ダム事業に関する全ての情報を開示すること。また、今回の事業費増額とダム基本計画の変更に関して、熊本県をコーディネーターとして、県民に対して納得のいく説明を行うこと。
2.人吉地区における球磨川の河床掘削や河床に堆積した土砂の浚渫を計画通りに、かつ環境に配慮して実施すること。当面、今年度から来年度にかけて、以下の2箇所を最重点箇所として実施すること。@繊月大橋〜西瀬橋付近、A中川原公園周辺
3.八代市民の生命財産を守るために必要というフロンティア堤防事業について、早急に復活させ、予算をつけること。

(Update : 2004/08/27)