こくた恵二
こくた恵二のこだわりエッセー

政治の原点宿る地から遊説

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 私の参議院選挙全国遊説が始まった。最初の訴えは神戸市東灘区御影公会堂であった。阪神・淡路大震災の折、避難所となっていた場所で、当時救援活動で多くの被災者と交流し、支援の食料の改善を国に要求することにつながった地である。
 その地で大沢たつみ参院議員と演説できたことは意義深い。大沢さんは国会で「震災復興いまだし」と、災害援護金を借りた56000人の被災者の半分以上が返済できていない実情、災害復興住宅では65歳以上が世帯比率の6割を超え、家賃補助切り下げのなかで、家賃が払えず強制退去の事態も生まれていると鋭く迫り、生活再建支援法の充実を求めた。いまや震災問題の第一人者であり、兵庫を代表するかけがえのない議員である。
 大沢さんの優しさには、いたわりの心がある。看護師として命に向き合ってきた人ならではのあったかさがある。弁士の一人である筒井もとじ県議に、興味深い話をお聞きした。一つは御影地域が、作家の野坂昭如氏の戦争体験をつづった小説で、アニメ映画にもなった「火垂るの墓」のモデルの地であること。二つは、戦争体験や幼稚園に住み込みで働いていたお母さんの手一つで育てられたことが市田書記局長と同じだと語っていただいたこと。反戦の党を誇りをもってじゅんじゅんと語る、「ぬくもりの政治家」市田さんの経歴・人柄を語るにふさわしい弁士がここにもおられる。
 この夜は、「生活再建なくして復興なし」「戦争の惨禍を再び繰り返してはならぬ」という二つの政治の原点が宿る地からのスタートとなった。

(「しんぶん赤旗」2004年3月23日付、新しい政治めざして)

(Update : 2004/03/23)