こくた恵二
こくた恵二のこだわりエッセー

自分の身体に初めてメスが入った。

 自分の身体に初めてメスが入った。昨年の4月10日に、胆のう摘出手術を民医連中央病院で受けて。
 麻酔や小水などのいろんな管を抜いた13日に痛みが襲った。ちょうどその日は、地方選挙の投・開票日で、先輩である上京区の三木一弘府会議員が敗北するなど、日本共産党の選挙での後退という口惜しい結果を入院先のテレビで見るはめとなった。
 その夜はおしっこに6、7回も行っただろうか。ベッドに起き上がるたび、寝るたびに患部に激痛が走る。敗北の痛みと重なってうとうとしては起きることを繰り返し、眠れない情けない一夜が明けた。
 50を越える世代は、「多少痛いくらいは我慢するもの」と教え込まれている。前夜から朝にかけての状況を看護師さんに報告すれば、笑われることしきり。
 「痛いときは痛い、眠れないときは眠れないとすぐに言ってくださいよ。そのために私たちがいて、薬もあるのです」とのたまうではないか。その日はさっそく「痛い、眠れない」と報告。痛み止めの座薬と睡眠剤を服用する。薬を飲んでものの2、3分もせぬうちに寝入ったそうな。また笑いの種になった。極めて単純な精神構造、要するに信じ込みやすい性格であることが多くの人の知るところとなった。
 民医連の医師や看護師たちが、忙しい中でも親切、丁寧に患者に接する態度をじっくり観察できた。そして自分の性格についてもいまさらながら得心した貴重な入院体験であった。もちろん、その後、健康体に戻り、(ついでに体重も元に戻り)何の支障もなく元気に総選挙を闘い抜くことができた。今は、イラクへの自衛隊派兵反対の活動に明け暮れている。

(上京健康友の会・友の会だより・2004年1月号)

(Update : 2004/01/01)